第四章「王女」08


「………もしかしたらと思ったが、本当にただのキ○ガイだったようだな」
 部屋に戻るなり、いかつい顔をした男が一糸まとわぬ姿でベッドに横たわるあたしを見て安堵のため息を漏らした。
 今になって後悔してます……どうしてあたしは身代わり大作戦なんか思いついちゃったんだろう…とほほ……
 あの時はこうする事しか思いつかず、今更後悔しても遅く……あたし一人ではどうしようもないので、助けが来るまでの時間稼ぎをしなければならない。
 だけど相手も一人だ。ナイフは壁とベッドの間に隠しておいたから、もしエッチな事をしてこようとしたら……
「だが気になるな。……おい、ミストスパイダー。俺がいない間に侵入者はいなかったか」
 「霧の蜘蛛」と呼ばれたのは恐らく天井にいたあの大蜘蛛の事だろう。その事がなんとなく気になったので薄目をあけて様子をうかがうと、男は先端に紫色の宝玉をつけた短いワンドを天井に向けて大蜘蛛に語り掛けていた。
 あれで操ってるのか……じゃああれを奪ったら何とか脱出できないかな……
 いろいろと脱出方法を考えてみるけれど、あの蜘蛛にあたしを攻撃するように命令されたらそれこそ一巻の終わりだ。それに助けが来ても、あの蜘蛛を倒すのにどれだけ苦労するかは容易に想像がつく。
 なんとかしてあのワンドを奪い取らないといけない。………でもその前にあたしの運命が終わりそうだ。なぜなら、あたしの腕よりも太く、そして天井から床に届きそうなほど長い蜘蛛の足先が、
―――キシャアァァァ……
 あたしの顔を指す。
 ああ……これで終わった。あの女になっちゃった日から本当にいろんなことがあったけど、結局男に戻れないまま、しかも全裸で人生を終える事になるなんて……神様のバカァァァ〜〜〜!!
「チッ、これだからあの野郎の作ったモンスターは使えないんだ。いいか、こいつは大事なゲストだ。食い殺したりしたら承知しねーぞ」
 ………ほっ…よかった、男のほうが馬鹿で。
 男は悪態をつくだけで深く追求はせず、蜘蛛の足も引っ込んでとりあえず九死に一生だ。あとはこのままここで眠っていれば上手く行くはず……
「ん? 何で下着が無くなってるんだ?」
 ギクッ……そ、そういえば静香さん、パンツは履いてたような……けど、あたしの紐みたいなパンツと静香さんのとじゃ全然違うんだもん。履いてたら絶対にばれるって!
「……何か妙だな」
 疑問の言葉を放ちながら男がそばまで近寄ってくると、あたしの体が恐怖と緊張で緊縮していく。けれど寝ている振りをしているあたしには身じろぎ一つ許されず、見る事も叫ぶ事もできずにじっと時間が過ぎていくのを待つ事しかできなかった。
 もし……この時、あたしが目をあけていたら、男のいやらしい視線に気づき、その場から逃げ出していたかもしれない……
「………あっ!」
 突然、あたしの股間に何かが触れる。それが男の指だと気づいたのは、柔らかい膨らみを押し込まれ、縦の筋に沿って粘膜をなぞられた後だ。
 いきなりとはいえ、あたしの局部には強烈と言ってもいいほどの疼きが掛け抜けていた。寺田に犯された時よりも男との経験を重ねてきたからだろうか、ほんの数回アソコを触られただけで、背はベッドから浮き上がるほどに反り返り、腰の奥が快感によったかのようにヒクヒクと震えてしまっている。
 それほどまでに感じてしまう原因は、隣の空家で大介のペ○スを咥えてしまったことかもしれない。――そんな考えはすぐにどこかへと吹き飛ぶほどに、あたしは割れ目を割り開かれて膣口をくすぐられる感触の虜になり、びくびくと裸身を震わせながら、一度は拭い取った愛液を再びヴァギナの内壁からジュクッ滲み出させてしまう。
「あ…ああ〜……!」
 股間の脈動が収まらない。あたしの股間が脈動しているのを感じながら首を振り、勝手に収縮していくヴァギナから愛液を漏らしながら股間をヒクヒクと震わせる。するとあたしの反応を楽しむような目つきで見下ろしていた男は自分自身もベッドへと上がってくると、あたしの脚を広げてその間に座り込み、張りのある太ももを両肩に抱え込んで……
「や、いやぁぁぁ〜〜〜!!」
 あたしの叫びもむなしく、しっかりと剥き出しの下半身を押さえた男はヒクつく割れ目に舌を這わせ、そのまま顔を股の間へと埋めさせる。
「んあああっ!!」
 見も知らぬ男に股間を舐められ、舌先に愛液を漏らす股間を嬲られる……精液を受けるのと同じほどの嫌悪感に背を震わせたあたしは、ジュルジュルと音を立てて愛液を吸われるたびに声を迸らせ、天井の蜘蛛へと向けられたつま先をビクッと震わせながら男の頭を両手で押し返そうと動かしてしまう。
「吸わないで、イヤあっ! いやいやいやあぁぁぁ!! やめて、吸っちゃ…ダメぇぇぇ〜〜〜!!」
「やっぱり目を覚ましてやがったか。くくく…少しは嫌がってもらえないと全然つまらないからな」
「くあっ、やめっ、舌…うあぁぁあああ!!」
 両腕で押しても男の頭はあたしのアソコに吸い付いて離れず、少しでも逃げようと揺れ動くお尻もおマ○コの奥から吸い出されるような強烈な愛液吸引に屈してベッドへと押し付けた局面をびりっと震わせるだけ……完全にあたしを拘束した男は一度顔を上げ、寝たふりをやめて涙をにじませるあたしの顔を楽しそうに見つめると、ねっとりとしたイヤらしい液で汚れた唇をべろっと舐めまわし、蛇のように舌先をうごめかせて見せてから再び割れ目へと吸いついてくる。
「んんっ! ゆるして…もう、もう…ああぁぁあぃっ! あっ、ああっ、くああああっ!!」
 肉付きの良い太ももに挟まれた顔が左右にうごめくと、膣口に押し当てられた生暖かい舌が悦ぶようにその身を震わせ、ヴァギナを押し開いて膣肉を割り開く。その瞬間、雷の打たれたかのようにあたしの白い裸体が震え上がり、真っ白になった脳裏には股間から放水したかのように溢れ出す愛液のイメージだけが鮮明に描き出された。
「いや、いや、いやぁぁぁ!! だめ、舐めちゃ…吸うのもダメェェェ!!」
―――ビチャ…ズズズズッ…グチャ……レロッ…ズチュズチュ……
「ああっ、ダメエエエェェェ!!! やっ…もう…あたし……ふぁあああああっ!!」
 膣口が広がり、ヴァギナの奥深くにまでうごめく舌が入ってくる。ねちっこく、執拗に蜜の滴る割れ目を責め立てられる……信じられない、体の中で愛液が爆ぜるたびに、脚をさらに大きく開かされて充血が限界を超えて痙攣が収まらなくなった膣肉を舌で押し揉まれるたびに、膣口から子宮にまで熱い疼きが駆け巡り、表面に汗がにじんだ豊満な美乳がビクッビクッと体の上で重たげに揺れる。
 もう何も考えられない……今まで無理やり男に抱かれてきたあたしの体がこんなに感じているなんて……
「くくく……まさかクラウディアの王女様ともあろうものが俺のような庶民に嬲られて感じてやがる。たまらん、たまらんな…どうだ、お姫様よ。スケベなお姫様よぉ」
 男は顔を上げると、あたしの膣内から吸い出した愛液を右手の指に舐めつける。その唾液と蜜の混ざり合った液でテカる指先を快感におぼれかけて苦悩するあたしの前に突き出す。
「しゃぶれよ。淫乱」
「うっ……」
 あたし…そんなんじゃないのに……
 そう思っても、あたしは男の言葉に逆らえない……熱い吐息を吐く唇を小さく開いて舌先を少し突き出すと、押し付けられた野太い指をわずかに舌の腹で押し返そうと圧力を掛けるだけで、されるがままに口内に飲み込んでしまう。
「いい顔してしゃぶるじゃないか。いったい誰に教わったんだ、王女様よ。くくく……」
「ひょ…ひょうなの……んむっ…んんん…っ!」
 何か言おうとしても、タコだらけで硬い男の指に舌を挟まれ講義の声を上手く放つ事ができない。そんなあたしの様子を見て「王女を嬲る」興奮に唇を吊り上げた男は、頬の内側や上あごを指先でなぞり上げ、深く根元まであたしの口に指を突き入れてジュブジュブと唾液をかき混ぜる。
 その動きに、知らず知らずあたしも反応を示していた。まるで男の人のモノの様に唾液でぬめる唇でストロークを繰り返す指にぬるりと自分から舌をこすりつけ、舌の裏にまで触れられる異様な感覚に身震いしながら口内を掻き回す指先を夢中になってしゃぶってしまっていた。
 娼館での時のように薬を盛られたわけでもない……確かに男は怖いけれど、拒もうと思えば拒めたはずなのに……
「んっ…んふ……んむぅぅぅ………」
「王女と言えども一皮剥いたらただのメスか。まったく、楽しませてくれるじゃないか」
 まぶたを閉じ、半ば夢中になって指をしゃぶるあたしの様子に満足が行ったのか、男はちゅぽんと音を立ててあたしの唇から指を引き抜くと、乱れた呼吸に合わせてフルフルと振るえる露出した乳房に滴り落ちるほど唾液をまとわせた指先をこすりつける。
「いったい誰に仕込まれたんだか。この肌…ずいぶんと男好きするじゃないか。この弾力、堪らない。艶がああってプリプリとしていて……」
「あ…ああぁ………」
 自分の唇からこぼれる涎をすすり上げつつ、男の指があたしの乳房をすべる。左から右へと乳房のふもとの曲線を脇の下からなぞり、愛でるように丸みを手のひらで撫で回す。そして両手を使って押し上げグイッグイッと指の腹をめり込ませて張り詰めた丸みの奥の乳腺を揉み解すと、男の手の中で痙攣を繰り返していた乳首をいきなり弾かれ、あたしは眉根を寄せて苦悶の表情を浮かべながら裸体をよじらせた。
「そら、ここにも欲しいんだろう?」
 いや……そこに触らないで。さっきよりも…濡れちゃってるのに……
 激しい吸引から開放されたのに、あたしのアソコはヒクヒクとわななき、お尻を浮かせて入り口の開閉をヒクヒクと繰り返していた。口を嬲られている時から既に蜜が止めど無くあふれ、お尻の谷間にまで暖かい粘液が流れ込んでいた。
 そんな場所に男の指が触れる。――それだけで、一度嬲られた後の秘唇にビクッと強烈な痙攣が走り、引き絞られたヴァギナから自分でも信じられないぐらい熱い液体がドロッと流れ出して侵入しようとしていた男の指を汚してしまう。
 けれどそれで終わりのはずも無い。軽く絶頂に達したように身を硬くするあたしに覆い被さるように前傾姿勢になった男は、服越しにたくましい胸板へあたしの乳房の先端をぐっと押し付け、唾液まみれの二本の指をそろえて膣の入り口へ押し当てるとズズッと火照りと痙攣の収まらないあたしの膣内へと挿入してきた。
「ああ……ああああああっ!!」
 その途端、まるで指の挿入を喜びように内壁がうごめいた。粘度の高い蜜をグチュリと鳴らしながら、折り重なる肉ヒダを掻き上げるように進入してくる指へと絡み付き、その指先が子宮口へと触れると同時に強烈に締め上げてしまう。
「こんな…指で、指だけでこんなに……違う、あたしは、これは違うッ!…うあっ、ああああっ!! ダメ、そこ…そこはだめえぇぇぇ!!」
「ここか? ほら、Gスポットだ。ションベンする穴の裏側だ。ほら、もっと悶えろ、イけイけイけ、イっちまえよ、お姫様よぉ!」
 男の指が膣内で折れ曲がり、膣の天井をこすりながら前後に動く。わずかに触れられるだけでおしっこを漏らしてしまいそうなほど強烈な快感が流れると言うのに、それをリズムよくこすられては女の体にまだ慣れきっていないあたしに絶えられるはずも無い。
「ああ、ああ、あたし、ダメ、もうダメェェェ!! イくの、イくのぉぉぉ!!!」
 涙を流しながら絶叫を迸らせると、あたしの体は天井に向けて乳房を突き上げるようにググッと身を反り返らせる。汗の浮いた喉元をそらし、脳裏で白い火花が飛び散るたびに張り詰めた乳房が根元からブルっと震え上がり、乳首が宙に楕円を幾重にも描いた。
 そんな状態なのに男の嘲笑だけは耳に届く。浮いたあたしの腰をしっかりと抱え、執拗に一番感じる場所へ指を往復させられればあたしの喘ぎはさらに増し、おマ○コどころかお尻の穴や尿道までをも痙攣させてしまう。
「ああ…いや、出る、なにこれ、出る、でるぅぅぅ!! あたしのおマ○コが…変なの…いや、これ、あたし、もう……だ、だめぇぇぇ――――――っ!!!」
 たまらない。体はイっているのに男の指は動きを止めず、絶頂、絶頂、また絶頂……つま先までピンっと伸ばし、ねじり合わされた指にガクガクと振るえる恥骨を突き上げ、女の体のあまりの敏感さと快感の深さに何もかも考えられない状態になりながら男に剥けて恥ずかしい言葉と体位を向けて無き悶えてしまう。
 両腕で顔を覆い、ガクガクと腰を痙攣させていると、細くなっていくような錯覚に襲われていた尿道がビクッと一際大きな震えに襲われる。―――きた。あたしのお腹で渦巻いていた熱い液体が拒もうとする尿道を一気に押し開き、撃ち出されるように一気に外へと迸った。
「ああ、く…うぅぅぅ……ああああああっ!!!!」
 これ…おしっこなの? これ…違う、おしっこじゃない、とまんない、これ全然とまんない!!出る、とめて、誰か、いやぁああああああ――――――ッ!!!
 それはいつもの小水とは似て非なる、濃密な液体だった。突き上げた恥丘から勢いよく放出され、男の体を汚すそれはおしっこよりも臭いがキツく、白く濁っていて、迸るたびに腹筋と内股へ痙攣を駆け巡らせながら深い深い絶頂を体験させられてしまう。
 いっそ、気を失いたい……呼吸もろくにできず、ふいごのように鼻を鳴らして股間を力ませているが、意識には次第に靄がかかっていく。けれど、男の指は一向に動きを止めない。体があたしの射精液で汚れる事もいとわずに、ほとんどかきむしる様に指を前後に動かし、あたしの尿道から噴射が終わってもなお、唇を大きく開いてガクガクと全身を震わせるあたしのおマ○コを抉りつづけた。
「あっ…くぁあああっ………!」
「ちっ、とまっちまったか。だが、いい見せ物だったぜ。あの野郎にやるのはもったいない。俺専用のメス犬奴隷にしたいぐらいだぜ」
 間欠泉のような愛液の噴射が終わり、どれくらいたっただろうか……ようやく開放されたあたしは、放った蜜が体力そのものだったかのように全身脱力してベッドへと沈み込む。
「お疲れかい? だがお楽しみはまだこれからなんだぜ。なにしろ王女様は「処女じゃなかった」んだからな」
 かすれそうになる意識に男の心底うれしそうな声がずいぶんとはっきりと聞こえてくる。
 ………そう…だ。あたし…静香さんと入れ替わってるんだっけ。……まだ…まだ助けはこないの? このままじゃあたし……また男に犯されちゃう……
 男がベッドを降りていったから、何とかするなら今がチャンスだ。肘をついて力をこめて身をわずかに起こしたあたしは、男がテーブルのそばでこちらに背を向けているのを確認すると、ベッドの横に隠しておいたナイフへ手を伸ばす。
―――キシャアアアァァァァァ……
「っ………」
 天井に張り付く大蜘蛛の声を聞き、怯えたあたしの手はナイフを掴む前に止まってしまう。
 もしあたしが男を倒せたとしても、この蜘蛛をどうにかしなければ生きてここから逃げる事もできない。どうすれば……そうだ、あのワンドは――
 誘拐犯の男が蜘蛛に語り掛けた時には、紫宝玉のワンドを手にしていた事を思い出し、視線を走らせて短い杖を探すと……あった。テーブルの上に無造作に置かれ、暗い輝きを放つ宝玉をあたしのほうへと向けていた。
 あれを手に入れれば逃げ出せるかもしれない、そんな期待を抱くけれど、特に腰から下がガクガクになるほど力が抜けている状態では立ち上がる事さえままならない。それでもなんとかしなければならないと考えているうちに……小さ目のビンを手にした男が、上半身裸になってあたしの元へと戻ってきてしまった。
「待たせたな。さぁ、今度はもっと感じさせてやるからな」
「うっ……」
 この状況ではどうしようもない…ナイフから手を戻し、仰向けの状態に戻ったあたしは、意識がはっきりした分恥じらいを覚えながらも、イったばかりでまだ余韻が残っている悩ましい裸体を男のいやらしい視線の前にさらけ出した。
「本当にいい体をしている。嬉しいねぇ…これからたっぷり俺の体を忘れられなくしてやる。ヤツに抱かれても忘れられないぐらいにな」
 ヤツ? もしかして誘拐事件の黒幕がいるんじゃ……
 あたしの注意が男から言葉の中にあった「ヤツ」と呼ばれる人へと逸れる。そのタイミングを見計らったかのように、男は後ろに隠し持っていたワンドを引き抜くと水平に構え、その動きに気づいたあたしの前で一言を放つ。
「スパイダー、やれ!」
「あっ……」
 偶然か運命か、あたしの手の届く範囲へと自らやってきたワンドを奪おうと、あたしの右手がベッドから持ち上がる。けれど次の瞬間――
―――キシャアアアアアアアアアアアッ!
 迸り、室内に木霊する蜘蛛の叫び。
 どこか苛立ちを感じさせる鳴き声をあげた蜘蛛は先端に鋭い爪のついた脚を天井からこちらへと向けると、


 一瞬にしてあたしの右腕を貫いた。


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