第三章「神殿」裏5


「さぁて、こーいう扱いしてくれたわけ、しっかり教えてくれるんでしょうね、ミ・ン・ト・さん♪」
「や、ヤダな、たくや君。お顔が恐いよ、スマイルスマイル♪」
「スマイルなんて出来るはずが無いでしょうがッ!! 朝よ、もう夜があけちゃったのよ! あたしはずっと…ずっと犯されてたんだからぁ!!」
 閉館時間を過ぎても男たちに集団で陵辱されていたあたしが開放されたのは日が差し込んで……というより、最後の一人があたしのアソコに精液を注ぎこんで満足したのが明け方だったと言うのが正確な言い方だ。
 そんなわけで、ざっと考えて五・六時間犯されっぱなしだったあたしは、この娼館に寝泊りしている娼婦の人達があまりの惨状に見るに見かねて沸かしてくれたお風呂で体を洗い、意識をはっきりさせると事務所で眠っていたミントさん…いや、娼館での仕事は終わったんだから本名を読んでもよさそうだし――みっちゃんを叩き起こすと昨晩のステージの釈明を求めたのだった。
「何がひどくはしないよ。あれのどこがマシ!? いきなり男の人とのエッチは無いって言ったのに、きぃぃぃ〜〜〜!!」
「落ちついて落ちついて。んじゃまぁ、たくや君の取り分を先に上げるからそれで納得してもらおうかな…っと、よいしょ」
 あたしをなだめるしぐさもそこそこに、着崩れたドレス姿で髪を三つ編みに結いながら事務机の下に手を入れたみっちゃんは、両手の平に乗るぐらいの大きさだけどやけに重そうな袋を取り出してあたしの前に置いた。
「…………なにこれ?」
「たくや君の昨日のお仕事量。金貨で五十枚入ってるから」
「き、金貨!? 五十枚!?」
 それを聞いて慌てて確かめてみると、確かに金色に輝く硬貨がぎっしりと入っている。
 ちなみに、クラウディア大陸の何処ででも価値が認められている金貨は一枚ざっと100ゴールド(1G=約100円)が相場だ。
 それが五十枚となると……アイハラン村のあたしの店の利益の四ヶ月分がここにあることになる。しかも一晩であたしが稼いだと言われると……商人の端くれとしては唖然としてしまう。
「気にしなくてもいいのよ。店のマージンは抜いてあるから。
 昨日のプレイ代はたくや君のトライアルも兼ねていたから少し休めの料金設定で一発50G。――あ、一発って言うのは一回射精する事ね。それからフェラは20G、ペッティングでイった場合は10Gの料金を取ったの。最初は十人ぐらいで終わりかな〜〜と思って、たくや君のそばに壷を置いておいたら入るわ入るわ、まさに大入りで店としても万万歳。いや〜〜、あたしの見込み通り、たくや君は娼婦の素質があるわ、うんうん」
「そ、それとこれとは話が別! あたしが言ってるのはなんであんな酷い事をしたのかってことなの!」
 たしかにお金に目がくらんだし、多くのお金を稼ぐ事が目的でここに来たけど、あれはあまりにも犯り過ぎだ。
「じゃあ逆に聞くけどさ、たくや君は気持ち良くなかったの?」
「えっ…うっ……それはちょっと答えにくいんだけど……」
「ふ〜ん、気持ちよかったんだ。プロの娼婦でも壊れちゃいそうなステージでも、ピンピンしてるもんね〜〜」
「み、みっちゃん、なんつーことを言うのよ! あたしは、あたしは男なんだから〜〜〜〜!!」
「分かってますって。男の子なら細かい事に愚痴言わないの。――でも予想外に長引いたおかげでたくや君のPRS(娼婦レベル)、スゴい事になってるわよ。見てみる?」
 「はい」と手渡されて、顔を真っ赤にして怒っていたあたしもつい反射的に預けていた冒険者カードを受け取ってしまう。
「そこの水晶にかざしてみて」
 言われるがまま、机の上に置いてあった、属性を調べるのによく似た水晶へと冒険者カードをかざしてみる。するとカードの裏面に「娼婦登録証」と言う文字が浮かび上がり、その下側に表記されたあたしのPRSは――
「………レベルC?」
「そっ。一晩であたしと同じレベルよ、信じらんないわ。最初のEからDになるのにも一ヶ月ずっと娼婦で働いていなきゃいけないのに。Cになろうと思ったら一年は犯りまくりの毎日だわ」
「じゃあ……もしかしてあたしって一晩で……」
「うん。一年分はたっぷりやりまくったって事ね」
「あ…あうっ……」
 一年分……そりゃたっぷりなはずだわ……改めて聞かされると頭が痛くなってきた……
「それじゃ神殿に帰ろっか。それからたくや君にはPRS昇格って事で当店からいろいろとスペシャルアイテムがプレゼントされま〜〜す。これはすぐに準備できないものが多いから、後でたくや君の部屋に届けておくからね」
「うん……その変の事はもうどうでもよくなってきたんだけど……何か忘れてない?」
「? たくや君、その若さで健忘症?」
「ち、違うわよ! でもまぁ、思い出せないんだからたいした事じゃないと思う。そのうち思い出すだろうからどうでもいっか。――ふっ…あ〜あ……」
 う〜…最後の方で気を失ってたけどほとんど徹夜だし眠いわ、やっぱり。
「みっちゃん、一緒に帰ろ。途中で朝ご飯でも食べてさ――酷い事してくれたみっちゃんの奢りで」
「え〜〜。あたしのおかげでそんなに稼げたようなもんじゃない。たくや君のおごりよ、それは譲らないからね!」
「ひどいっ! レベルうんぬんより一晩中目隠しされて輪姦されたのよ。その心の傷はみっちゃんのせいでもあるんだから潔く朝ご飯奢って!」
「あ〜ん、あたし昨日は働いてなのにぃ〜〜!!」
「聖職者は迷える小羊を傷つけた罰が当たったのっ!」
 そんな風に元気な声を上げて眠気を振り払いつつ、あたしは袋の重みに少しずつ頬を緩ませながらずいぶんと長い間いた気のする娼館を後にした―――


 一方その頃――


「うえ〜ん、この縄を解いてくださいよぉぉぉ! もうしません、ルーミットさんに酷い事はしませんからぁぁぁ!!――そうか、これは罰だったんだ。たくやさんを愛している僕がルーミットさんという女性を前にして心を浮つかせたから神様が罰を与えてくださったんですね!……ああ、でも、でもぉ〜〜!! 僕はたくやさんを愛していますけど、やっぱりルーミットさんを想う心が身を焦がすんです!!」

「…………おい、こいつどうしようか?」
「ほっとけばいいんじゃないか? 縛られてるけどなんか本人喜んでるっぽいし」
「でもうるさいぞ?」
「ほっとけほっとけ。そのうち股間の充血で頭が貧血起こすさ。それより掃除だ掃除」
「俺……ルーミットちゃんの感触、忘れられないかも……」
「………実は俺もだ」
「冒険者だって話だけど…また来ないかな……」
「そうだな……」

「たくやさん、ごめんなさい。だけど僕はあなたの事を愛しています、世界中の誰よりも愛してますぅ〜〜!! けど僕は…僕は貴女を想うたびに込み上げるたぎる熱い血潮を押さえる事が出来ないんです、ああ、ルーミットさん、ルーミットさぁぁぁぁん!!」
 顔を隠した数人の黒子がステージに溜まった精液をモップで拭い取るそばで、椅子に縛り付けられ感覚遮断目隠しまでされた弘二が延々とたくやとルーミットへの愛を語りつづけていた……やれやれ。








金貨五十枚手に入れた。
マジックアイテム・感覚遮断目隠しを手に入れた。
マジックアイテム・まじかるバイブ「匠の逸品」を手に入れた。
アイテム・ハイレグビキニを手に入れた。
アイテム・シルクの高級下着セット(白)を手に入れた。
アイテム・ルビーのネックレスを手に入れた。
アイテム・奇妙な薬を手に入れた。
教材・「娼婦のススメ」を手に入れた。
教材・オナニー用官能小説を手に入れた。


第四章「王女」01へ