■最終話(第十話)


「これを飲め」
出されたのは錠剤のような物。
「何コレ・・・」
「いいから飲め。飲めばわかる」
わかった時には手遅れだろうけど、逆らえないのはもう百も承知だった。
写真やビデオがばら撒かれなくても、この格好のまま放置されるわけにもいかない。

覚悟を決めて錠剤を飲み込む。
「んぐ・・・」

何分かして効果が現れ始めた。
「んん・・・あ・・・」
収まってきていた体の疼きが急に強くなる。
「まあ説明するまでも無いだろうが、お前が飲んだのは媚薬だ」
「くぅ・・・・」
全身を蝕む官能で返事をする余裕も無い。

「それと一つ教えておこう。そのコート」
頭がぼんやりして男の言葉があまり入ってこない。

「袖とか襟とか、一旦切り離してから糸で軽く縫い合わせてあるんだ」
何を言っているんだろう? 理解できない。

「さて、そろそろ駅に着くな。俺とお前にとっては終着駅だ」
男が何か言っている。そんな事よりも体の疼きをなんとかしたかった。

「それじゃ、俺は降りるぞ」
扉が開く。
コートの前は開いたままだったので、男がいなくなれば丸見えになってしまう・・・

「じゃあな」
そう言って男はコートを引っ張り・・・

ブチブチブチッ
何が起こったのか理解できなかった。

袖を通して着ていたはずのコートがするりと取られ、
私は一糸纏わぬ姿で電車内に吊るされていた。

「あ・・・・あああ」
乳首がピンと立った少し大きめの胸も、
バイブが突き刺さってヒクヒクと動くお尻の穴も、
毛は剃られてツルツルになり、片脚を上げてローターを入れられたアソコも、
私の全てが、名前も知らない大勢の人に晒される。

電車に乗ろうと並んでいた人たちが目を見開いて驚き。電車内にいた人たちが息を飲む。

「いやあああああ! 見ないでえええええ!!」

思わず叫ぶ。その声でさらに人が集まってくる。
中には私と同じ学校の制服を着た人もいた。
全身を媚薬で疼かされ、股から雫をダラダラと垂らしているのを見られながら、私はあの男の姿を探した。

(なんとかして・・・なんとか・・・)

冷静に考えれば助けてくれるはずは無い。それでも探した。
男は人ごみの中にいた。野次馬のフリをしてを見ている。鞄のカメラも向けたまま。

そして小さく手を振った。
その手にはリモコンが握られていた。ボタンが押されるのが見える。

「―――――――――――――!!!」

さっきとは比べ物にならない強い振動と快感が体を突き抜ける。

「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」

何十人もの人に見られながら、私は生まれて初めての絶頂を味わった。


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