「香澄と優香」入試前日-4


「―――明日は本番ですしね。今夜はここまでにしておきましょう」
「は…う………あうゥ………」
 時計の針が九時を指そうかと言う頃になってシャープペンシルを手から離した香澄は、座布団に座ったまま手を上に挙げ、その立派過ぎるバスとを誇張するかのように背筋を伸ばす。
 そんな香澄と机をはさんで目の前に座る優香はと言うと、机に突っ伏してグッタリとしていた。声も出ない。
 夕食を終え、せっかく相部屋になった香澄に何気なく勉強を見て欲しいとお願いしたのが苦行の始まりだった。
 楽しかった食事の時間とは打って変わって、待っていたのは解り易くも息を突く暇さえないほどのスパルタ指導。けど、いくら解り易くても理解のスピードが追いつかなければ意味がないのだけれど、香澄の指導速度は一〜二時間ほど前に出会ったばかりの優香の限界ギリギリ。短時間とは言えエンジンが焼きつくほどアクセルを全開にし続けた車さながらに、優香の頭の中は完全にオーバーヒートを起こし、それすらも倒れる限界を見計らったかのような香澄の一言を聞くのと同時に机の上に突っ伏してしまっていた。
「そんなに厳しくしたつもりはないんだけど……大丈夫?」
「ご…ごめんなさい……わたし…頭……あんまりよくないから……」
 “普通”の学生である優香にとっては苦行でも、自分に厳しい香澄にとっては普段よりものんびりとしたものだ。ゆっくりしすぎて少し肩は凝ったものの、優香ほど疲れ果ててはいない。
 ただ、
 ―――葉塚大学って結構レベル高いはずよね。……大丈夫なのかしら、彼女。
 ともに合格すれば、今度の春から同じ大学に通うキャンパスメイトだ。しかしながら、自分の実力に見合った大学であると判断して推薦入試を受けにきた香澄と比べると、優香の学力はまさに雲泥の差。密かに中学生レベルの問題も出題したが、間違えこそしなかったものの解くのにずいぶんと時間を掛けていたほどだ。
 ―――できたら一緒に合格できたらいいんだけど……
 まだ突っ伏したまま起き上がることの出来ない優香に代わって、ポットから急須にお湯を注ぎ、湯飲みに二人分のお茶を注ぐ。部屋にはお茶菓子も用意してある。
 美味しいお茶に美味しいお菓子。眠気覚ましに糖分補給、受験生にはありがたい。
「これを飲んで。少しは頭もすっきりするから」
「うう……香澄ちゃん、ありがと〜……」
 ―――香澄ちゃん、か……なんかくすぐったいんだけど……
 敏腕生徒会長だった香澄を、「さん」付け無しで呼ぶ同級生は誰一人としていなかった。もちろん、下の名前で呼ぶものもだ。そのせいもあってか、湯飲みを受け取りながら笑顔で名前を「ちゃん」付けで呼ばれてしまうと、初めて出会った時の胸の高鳴りが豊かな胸を内側からドクンドクンと震わせてくる。
 ―――女の子同士なのに……こ、こんなの不潔で不純よ。一時の気の迷いよ。そうに決まってるわ。そうじゃなきゃ困るのよ!
 実を言うと、机をはさんで優香に勉強を教えている間中、香澄の頭の中は自分で“不純”“不潔”と呼んだ妄想の数々で埋め尽くされていた。
 ショートカットで幼さを感じさせる顔立ちをしていながら、優香の胸の膨らみは香澄のそれを遙かに上回る。初対面の男性にはよく胸から見られていた香澄だけれど、優香の場合、顔を見ようとしても視界に胸が飛び込んでくるほどの迫力あるボリューム。勉強中も、服の内側に押し込められていても締め付けられているとは思えない二つの膨らみは、優香が悩んで頭を抱え込むほどに机に強く押し付けられ、丸々としたバストが“ふにゅん”と形容したくなるような感じで押しつぶされ、問答無用で香澄の視線をひきつけてしまうのだ。
 ―――それに、ウエストもきちんとくびれてるし、スタイルも全体的にいいのよね……
 生まれて初めて、他人のスタイルを羨ましく思い、初めて同世代で負けた胸の大きさに軽い嫉妬すら覚えてしまうけれど、頭の中のピンク色の妄想の前では、それすらも興奮を導き出すスパイスでしかない。
 気がつけばメガネのレンズ越しに優香のことをジッと見つめていたり、勉強を教えるために隣に場所を移せば肩と肩とを密着させ……拒まれなかったからよかったものの、冷静になって思い返してみれば、香澄の基準ではどの行為もかなり変態じみている。
 ―――私って同性愛者……じゃないと思ってたんだけどな……
 父親をはじめとして、あまり男性全体にいい印象を持っていない香澄ではあるけれど、それでも自分に恋人が出来るとすれば男性だと考えていた。女性の自分の恋人だから相手は男性……そんなありきたりな固定観念ではあったのだけれど、今ではもう、妄想の中の恋人は優香以外に考えられなくなってしまっていた。
 ―――はぁ……手腕が“男勝り”とか言われていたけど、だけどさ、だけどさ……
「あの……香澄ちゃん、先にお風呂に入っちゃう?」
 両手で包み込むように自分の湯飲みを持ちながら、思わずため息がこぼれていた。それを自分に勉強を教えてくれたことによる疲れだと思って優香が声をかけてくる。
「さっき覗いたんだけど、この部屋って露天風呂がついてるんだよ」
「露天……?」
「うん。お風呂から海がよく見えるようになってるの。だからせっかくだから香澄ちゃんにはゆっくり入ってもらいたいなって思って」
「い、いいわよ、私は後ではいるから。その……ゆ、優香…さんが先で……」
 外から丸見えの露天風呂に入るなんてとんでもない……が、優香を下の名前で呼ぶの事の方に精一杯になりすぎているし、裸を見られることよりも何倍も気恥ずかしい。
 ―――出来たら一緒に……なんて言えるはずもないじゃないのォ!!!
「あ、だったら一緒に入っちゃおうか。結構広かったし、二人一緒に入るのも面白そうだよね♪」
 その瞬間、鼻の奥の血管がブチッと破れて鼻血を噴き出してしまいそうだった。
 ―――ど、同性だからよね。女の子同士だから平然とお風呂に入ろうとか言えるんだよね!
 思い起こせば、修学旅行だって女子のクラスメートだけでお風呂に入ったではないか。その時、生徒会長とと学園一の巨乳と言うダブル権威のおかげで、遠巻きにされながら羨望と嫉妬の視線に晒されたものだけれど、他のクラスの話を聞くところによると、お互いの胸を揉み洗って、捏ね洗って、吸い洗ったりしあったそうだ。
 ―――いやいやいや、“吸い洗う”って何よ!? さ、先っぽ!? 男の人のアレみたいに白くてねばねばしたのが出るはずないじゃない!!!
 一昨日の自分からすると自分もすっかり穢れたなーと自覚した途端に、頭の中では泡まみれの優香の胸を揉み洗って、捏ね洗って、吸い洗っっている自分の姿が描き出される。
 90センチオーバーGカップの香澄と比べても、優香の膨らみは明らかに二周り以上サイズが上だ。100cm以上と言われても信じてしまえるだけのボリュームと迫力が目の前にある。
 その胸に、指先を食い込ませて丹念に揉み上げながら、先端に赤ん坊のように吸い付く……逆に優香に自分の胸を同じように弄ばれたりしたら、どれほど甘美で刺激的なことだろうか。いやいや、いっそのこと泡まみれにして二人して擦れ付け合ったりするのも本当の意味で裸の付き合いと言えるのではないだろうか!?
「………ご、ごめんね。私、余計なこと言っちゃって」
 優香のひと言でまたも妄想の世界にどっぷりはまっていた。一般的な青少年よりもはるかに耐性がない分、甘い展開を考え出すと止まれなくなってしまうのだろうか?
 ただ我に返った時、香澄は自分の視線が机に向き、表情がかなり強張っていることに気が付いた。きっと眉根は寄り、難しい顔をしていたのだろう。
 視線も合わさずに不機嫌そうな顔をするのは、香澄の考え込む時の悪いくせだ。それで幾度も不機嫌と誤解を受けたことはあるけれど、まさか嬉しさのあまりに妄想が飛躍している時にまで怖い顔をしていただなんて、勉強一筋だった香澄に分かるはずもない。
「あ、あの……」
「今日は本当にごめんね。私の我侭で相部屋にしちゃったりして……お、お風呂、先にいただいちゃうから。すぐに出てくるから!」
「違うの、優香さん、わたしは―――!」
 弁解しようにも、「あなたとオッパイの洗いっこをしているところを想像してて、鼻血が出そうになるのをずっと我慢していました」なんて口が裂けても言えるわけがない。口にしただけで変態女の烙印が押されてしまい、それなりに親密に接して凝れた優香のとの関係が木端微塵に粉砕してしまう。
 ―――だけどこの状態も危険と言うかなんと言うかァ!
 客室には浴衣もタオルも備え付けてあるので、入浴には何の準備もしなくていい。だから香澄が止める間も無く、優香は逃げるように浴室へと飛び込んでしまい、引き止めようと伸ばしかけた手は、力をなくしてそのままパタンと身体ごと机の上に倒れ落ちてしまった。
 ―――う…うああ……お風呂……優香さんとのお風呂ォ………
 これはダメだ。完璧に自分は同性愛者のレズビアンになってしまっている。さようならノーマルな恋愛。こんにちは自分に正直なアブノーマルな恋愛よ。けれど愛さえあれば同性の壁だって乗り越えられるはずだ、理論的ではないけれど!
 とは言え……関係修復をどうとかする前に、香澄自身も明日は面接試験を受けなくてはいけない。まだ深夜と言うには時間は早いけれど、長旅と24時間陵辱、オマケに旅館まで移動するバスの中でも痴漢たちに弄ばれた疲れが、気を抜けば一気に押し寄せてくる。いっそ机に突っ伏したまま眠りに落ちてしまいたい。
「いや、ダメダメダメ! 明日の面接に備えてきちんと休まないと!」
 受験生には分不相応な二間続き露天風呂付き。隣の部屋には夕食の片付けの際に仲居さんが布団も敷いてくれている。
 優香との関係修復をするためには葉塚大学に無事合格し、二人の時間を多く取れる機会を確保しなければならない。ならば明日の試験は是が非でも落とすわけにはいかない。ただ父親の元から離れたい言う後ろ向きな動機ではなく、愛しい人と幸せな生活を手に入れるためにも。
 ―――や、やっぱり何かおかしい! 私、こんな性格だったっけ!?
 どちらにしても、明日の面接は気を抜けない。それにいつまでも机に突っ伏していて、それを優香に見られたら、またも彼女に余計な気遣いをさせて明日の試験に万全で挑ませられなくなってしまう。
 ―――お風呂に入る準備でもしてよっかな……
 後は寝るだけの今夜では、彼女と仲直りするのは難しいかもしれない。そんな気持ちの重さもあってノロノロと身体を起こした香澄だけれど……その視線がふと、優香が口をつけていたお湯のみに吸い寄せられてしまう。
「……………」
 大きな胸を机に押し付けてうつ伏せになったまま、手を伸ばしてお湯のみの淵をそっと指でなぞる。
 指先が半周……ちょうと優香の唇が触れていた場所に辿り着くと、湯飲みの外側が少しだけ湿り気を帯びていた。
「……………」
 湿り気が指の先に移る……その感触を得た香澄はその指先を自分の口元へと運ぶと、自分の唇にそっと差し入れていた。
 ―――優香さんの……唾液………
 彼女と間接キスをしている……お湯飲みから、入浴中の優香の知らないところで、彼女の唾液の付いた指に舌を絡みつかせ、ゴクッ…と大きくノドを鳴らして飲み干す背徳感は、今まで香澄の経験したことのない感情だった。
「ハ…ァ……」
 指は根元までたっぷりと唾液に覆われた。でもまだ……でももっと……間接でもいいから優香の唾液を嘗め回したいと言う衝動が胸に溢れ、涎の滴る自分の指に、湿り気を帯びた吐息を悩ましく吐き掛けてしまう。
 ―――ダメ……我慢……我慢しなきゃ………
 自分にそう言い聞かせながら、まるで幽霊のようにフラット立ち上がった香澄は、自分の座っていた場所から机を廻り、優香の座っていた場所へ移動する。
 そして優香が勉強中ずっと腰を下ろしていた座布団の前に座り込むと、
「んッ………」
 鼻先を座布団に埋め、内側に充満していた優香の体臭を、まるで犬のように鼻を鳴らして嗅ぎだしてしまっていた。
 ―――彼女の…香り……彼女の…温もり…がァ……
 一時間も二時間も優香の形のよいヒップが乗っていた座布団……室内には暖房がかかっている。わずかに湿り気を帯びているのは、彼女の汗が染み込んでいるからなのだろうか。
「ふ……ん…ゥ……クふっ………」
 さっきたっぷりと舐めしゃぶった指を、床に跪いた両脚の間からスカートの内側へと滑り込ませる。
 ―――なんか……ちょっとすっぱくて……優香さんの…汗……お尻の…におい………あ、ああァ……!
 まるでナメクジのようにネットリとした跡を付けながら太股の付け根へと到達した指先は、薬指をショーツの股布に引っ掛けて脇へとずらし、ヒクン…ヒクン…と震えている秘所へ先端を押し込んだ。
「んクゥ………!」
 昨日から今日にかけて、名前も知らない男の人に擦りあげられ、徹底的に感度を引きずり出された粘膜は、まだ処女のままだと言うのに陰唇で指先をいやらしく締め上げる。
 ―――この締め付けが……いいって言ってくれて……
 もしかしたら優香も、自分のここが気持ちいいと言ってくれるかも知れない。でも、どこを“挟む”のか……指? 胸の先端? それとも……舌先?
「んんゥ、んんんぅ……!!!」
 思わず身を揉んで股間を絞り上げる。優香の顔が股間の間に押し込まれ、秘所の匂いを今の自分のようにかがれてしまうのかと考えただけで、達してしまいそうな興奮が熱い愛液となって秘所からあふれ出してきてしまう。
 ―――ダメ……もうホントにこれ以上はダメェ! 優香さん、お風呂から、で…出てきちゃうからァ!!!
 もしも優香に、床に這いつくばって座布団を嗅ぎ回している姿を見られでもしたら、その時こそ関係は完全に壊れてしまう。彼女が走り去った露天風呂の方からは何の音も聞こえないけれど、香澄の秘所からはグチョグチョと卑猥な水音が鳴り、指先が陰唇をなぞるたびに重たい衝動が腰を芯から蕩かせる。
「しゅ…ゴい……優香ちゃん……き、気持ちいいよォ……そんなに、あ、アソコを舐められたら…わたし、頭の中が、お…おかしく……あ、あああァ……!!!」
 優香に聞こえるかもしれないと言うことさえ忘れるほどに声を高ぶらせた香澄は、身体を起こすとショーツを慌しく脱ぎ捨て、座布団の上へ秘所を擦り付けるように大きく股を開いて座り込んだ。
「ああァ……優香さん、ごめんなさい、わたし、こんなに、淫らで、んあ、はァああああああァ!!!」
 以前はどんなに大きくなっても皮から飛び出さなかったはずのクリトリスが、今ではすっかり充血しきって、包皮まで完全にめくれ上がってしまっている。それほどまでに勃起したクリトリスを、優香のヒップの臭いがたっぷりと押し付けられた座布団へと腰を前後に揺すり立てて擦り付ける。
 ―――ざ…座布団でオナニー……優香さんの座ってた座布団で…座布団でぇぇぇ…!!!
 オルガズムの快感を知ってしまった瑞々しい肉体は、座布団とクリトリスが触れ合うたびにビクビクと狂ったかのように痙攣を繰り返していた。張りのある太股に滲み出した汗と、興奮の坩堝と化したヴァギナから搾り出された愛液を座布団の綿に染み込ませ、羞恥心も何もかもかなぐり捨てて優香の“座布団”のもたらす快感美に酔いしれる。
 ―――こ、このザラッとした感触が、気持ちよすぎるけど、でも、あ…あともう少しィ!!!
 だけど足りない。まだ足りない。
 ドロドロになるほど蕩けきったヴァギナには、優香の残り香を感じるだけではオルガズムに達するのに物足りなさを感じていた。これも抗いながらも強制的に身体中を弄ばれた後遺症なのか、以前よりも感度が格段によくなった分だけ、達するまでに興奮もさらに必要になってしまっていた。
 ―――イかせてよォ、お願いだから優香さんを感じながらイかさせてェェェ!!!
 180度近くにまで開いた太股が張り詰め、座布団に吸い付くかのように割り開かれた陰唇もビクビクと狂おしく痙攣していた。けれど腰をカクカクと揺するだけではイくにイけず、迸らせることもままならない疼きや切なさが全身に溢れ返って発狂寸前になっていると、
「あ……」
 香澄の視線が、机の角へと吸い寄せられる。そこは優香のあの豊満な乳房が押し付けられていた箇所で……と、そこまで認識した時点で、推薦を受けるほどの才女は膝を掲げて机の淵をまたぎ、座布団に摩擦されて真っ赤に晴れ上がった秘唇を押し付けてしまっていた。
「あはゥ……!!!」
 適度に丸みを帯びた机の淵にクリトリスが圧迫され、途端にズゥンと重たい喜悦が股間ではじけた。
「あうっ、あああああ、これ、これがいいのォ!!!」
 机の上に広げた筆記用具や参考書を跳ね除けるように汗ばんだ太股を張り付かせると、大きく股を開いたまま丸々としたヒップをくねらせ、割れ目に股間を擦り付ける。
「あふっ、あはァん、とまらないィ、優香さんのおっぱいが…わ、私の……おマ○コ、おマ○コにィ! いいの、スゴくいいのォ!!!」
 固い机の淵でクリトリスを押しつぶし、花弁を割り開きながら、香澄の腰はさらに激しく、より淫らに円を描くようにくねり動く。押し付けるほどに固く膨張するクリトリスをさらにグリグリと淵へ押し付け、腰を左右に振って弦楽器のように連続して弾けば、陰唇もそれに合わせて形を変えて、畳に滴るほどに愛液を迸らせていた。
 ―――私の胸も、痛いぐらい張り詰めてて、こんなに苦しいの、全部、全部優香が悪いんだからぁぁぁ!!!
 片膝だけを上げた不安定な姿勢を支えきれず、机の淵にしがみつくように身体を倒した香澄は、全身を大きく前後にグラインドさせながら、お尻から片手を回して愛液を噴出している膣口を指先で揉みしだく。
「優香、イく、私、あなたと、一緒に、恥ずかしいけど、あなたと、一緒なら……ああっ、ダメ、イイ、イイィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 髪の毛を振り乱し、首と背中とを大きく反り返らせながら、いまだ誰にも怪我されたことのないヴァギナをビクビクと痙攣させる。まるで風船が膨らんでいくかのような圧迫感が広がり、クリトリスと膣口、二箇所の快感が直接支給にまで突き抜けると、瞬間、ビクンと腰が跳ね上がり、机の淵から離れた陰唇からオルガズムの衝撃とともに勢いよく音を立てて強烈な噴出感が香澄の身体を駆け巡った。
 潮噴きだ。
「―――ッ、〜〜〜〜〜〜〜〜………!!!」
 噛み締めた歯をガチガチと鳴らし、キツく閉じ合わせたまぶたの端から涙をぽろぽろと流しながら、机の上や真後ろへ向けて半透明の液体を噴き出させる。
 Gスポットどころか挿入の快感すら知らないまま、女の“射精”を体験しても理解できるはずもないが、尿管を絶頂潮が駆け抜けるたびに、ヒップを高く掲げた魅惑的な体制のままで味合わされる放尿を超える放出感は一昨日まで女の喜びを何も知らなかった香澄を狂わせるのには十分すぎた。
「ヒッ……! あッ……、やァ………!!!」
 意識を失えば、潮の噴出に引きずられるように本当にお漏らしまでしてしまいそうな快感の連続に、メガネはずり落ち、知的な美貌も涙と涎でドロドロに濡れ汚れてしまっていた。
 高々と舞い上がった汁は畳みに大きなシミを作り、身体中の気力と体力を根こそぎ搾り取られてようやく力尽きた香澄ではあったが、そのまま机の下へと崩れ落ちてもまだ、手は股間で快楽を求めて花弁をまさぐり、クリトリスをつまみの様にクリクリと捻り回していた。
「きゃふうッ……! あ、優…香……わ、わたし…も……もおォ……!!!」
 再び太股が張り詰めて腰を浮かせると、今度こそ香澄の見ている前で秘所から本気汁の残滓がプシャッと迸る。畳を掻き毟り、ヒップを何度もヴァンプさせながら、絶頂地獄の中で香澄は優香への思いに翻弄されまくってしまう。
「も……らめェ……これひょうらと……わ、わらし……ばかに…なっひゃうゥ………♪」
 前身汗だくになるまでオルガズムに酔いしれ、それにお漏らしまで……間違いなく生まれて初めて一人エッチでアクメまで極めきってしまった香澄は、床に倒れこんだままスカートのホックをハズし、ノロノロと身体を起こすと上半身の服も脱いで、身に付けているのはメガネだけの全裸になる。
 ―――こんなに濡れて…汚れちゃったんだもん……お風呂に入って……身体…綺麗に洗わなくちゃ……
 潮吹きオナニーの後始末なんてどうでもいい。快感に溺れて何も考えられなくなってしまった香澄は、欲望の命じるままに浴室に向かって歩き始めていた。
 ―――優香と一緒にお風呂に……ああ、早く、早くゥ……♪
 頭の中を埋め尽くしているのは、二十四時間以上かけて教えられた“葉塚市民との友好的な接し方”だ。
 口図家をして親愛を示し、隠し事のないことを全裸になって全身で示す。肌と肌を触れ合わせ、汚いと思える場所でも丁寧に嘗め回し、迸る淫液ですら喜んで……その全てをしよう。お風呂場でしよう。明日の受験のことなんてどうでもいい。もう優香のことしか考えられない。
 それなのに、


「ああああぁん! こ、擦れてるの、奥に、奥に擦れるゥ、ダメ、イくの、そんなにされたらイッ…イっちゃうのォ――――――!!!」


 浴室の扉を開けた途端、香澄を迎えたのは優香の口から迸っているとは思えないほどの、あられもない嬌声だった……


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