第43話「裸で歩く葛藤と決断」


(…わ、私ったら何でショーツまで脱いじゃったのよ..)  休日出勤の帰りに寄った料亭で、インタビューのためにおっぱいやおま ●こを晒している結愛子。  まるで露出に目覚めたような行動だった。 (ち・違うっ!私に露出癖なんてないわっ。ショーツを..ぬ、脱いだの は全裸の美夏さんの後に付いていくときに変に目立っちゃうから..)  実は結愛子なりに裸にならなければいけない理由があった。  仮にパンイチ姿のままで居ても、事情を知らない第三者から見れば結愛 子も女体盛りの女性としか見られないからだ。  だとしたら、女体盛りの女性がショーツを穿いていたらおかしいじゃな いかと結愛子は感じたらしい。  いや、そもそも服自体を脱ぐ必要がないはずなのだが、結愛子の脳裏に はインタビューに来た以上、裸になるのは当然という決まりが出来てしま ったのだ。  もちろん、この後は昨日と同じように遠回りされて案内するはず。 「今日は真っ直ぐ案内してください」と嘆願したいのに言葉が出ない。  裸で連れまわされるのを望んでいる自分が居るような..いつもなら、 裸になったり、裸にされることに吐きたくなるほどの嫌悪感が来るのだが、 こうやって裸になる正当性があれば気持ち悪くはならない。 (…そうよ。別に私だけが裸じゃないんだし、案内している美夏さんも堂 々と歩いているんだから..それに今日はお客も来てないことだし)  そう、昨日と違って客が居ないことにホッとして美夏と一緒に休憩室ま で向かっていたが、ここでようやく結愛子は料亭が騒がしいことを知った。 「えっ?何で..人の声がいっぱい響いているの?」 「知らなかったの?まあ、結愛子ちゃんには関係ないことだけど、今日は 予約の客でいっぱいなのよ。どこも午後7時開始からなのに3時ごろから全 員来てるのよね〜」 「!そんなっ..」(客は居ないと思ってたのに!)  結愛子は慌てて手で胸と股間を隠したが今更遅いって感じだ。もう目の 前には料亭内で一番長い廊下が見えていて、多くの部屋が障子を少し開け たままで並んでいた。ここを通るということは確実に裸を見られてしまう ことになる。 (どうしよ..ここぐらいは手で隠して通っても構わないよね..)  さすがに昨日のように堂々と手を離すことなど出来ず、顔も何かで隠し たい思いだった。 「…あ・あの..美夏さん。この廊下を通らなければいけないんですか?」  結愛子ははっきりと断る言葉を出せず、美夏に自分の恥ずかしい気持ち を汲んでもらいたいと願っていた。 「う〜ん、ここだけは迂回することが出来ないのよぉ〜。あきらめてね♪」  結愛子が断れないのを知った上で美夏は軽く舌を出して、はにかんでき た。 「大丈夫よ。お客さんはお喋りに夢中で誰が通りかかるなんて気にしない から。堂々とさっと通っちゃえばいいんだから。ねっ♪」  あっさりと言ってくるが、気付かないなんてことが真っ赤な嘘であるの は結愛子にも分かる。けど否定したくない..否定できないのだ。  覗かれてるのを前提にこの廊下を通るなんて結愛子には到底無理で、た とえ手で隠しても通りすぎることは絶対に出来ない。  ここまで来て引き返すわけにもいかない結愛子にとっては、この嘘を信 じ込むしかなかった。 「そうですよね..誰も気にしてないですよね?」 「ええ、気にしてないわ。だから、手を離して歩きましょ〜」 「…は・はい」  恥部を隠していた手を離し、再びおっぱいやおま●こを晒す結愛子。  美夏はそんな結愛子に冷ややかな視線を向けながら心の中で嘲笑した。 (ぷっ、馬鹿じゃないのかしら〜。明らかに私たちが通るのを今か今かと 待っているのが丸わかりじゃない?まあ、今日は「桜野 結愛子」が通る のを知ってる客も来てるから思う存分、おっぱいもおま●こも晒して頂戴。 貴女はすでに陰健課長の掌で裸で踊っているんだから〜)  どうやら、結愛子は知らず知らずの内に会社の帰りに料亭に寄るように 陰健課長に導かれており、まんまと嵌ってしまったのだ。  だからこそ、美夏がすぐにインターホンに出たり、客が1人も来てない ように見せることも出来たのだろう。  そして、結愛子をここに来るように陰健課長に命じた郷幡部長がすでに お得意様を呼んで接待を始めていた。  この接待は先日陸永洋蔵が書いた記事を鶴の一声で訂正させたドエライ 大先生方へのお礼を兼ねたものらしい。  1時間前、車内が見えない黒塗りの高級車3台で乗り付け、料亭内に入 った大先生方。  どの大先生方も女体盛りが大好きであり、至極満足な笑顔で部屋にやっ てきた。 「郷幡くん!今日の接待は期待してるよ!いっぱい思いついちゃうぐらい なものを頼むよ」「ぐっししし〜、お任せください」 「郷幡くんの知恵は俺らの元気の元だからな」 「思わず障子をアレで破りたくなるものを頼むよ〜」 「ぐっししし〜、先生方の期待以上のものを用意しましたから。あと、先 日はいろいろ力を貸していただいて助かりましたよ。まずは軽くピザでも 食べて待ってください」 「…実を言うと私は今日のこの日を楽しみにして辞めずに頑張ってるんだ よ。いろいろ迷走しちゃったけど、思いついちゃったんだから仕方ないよ な〜」とピザを次々に頬張りながら上機嫌な大先生。  もう1人も持参したサッカーボールをリフティングしながら「郷幡くん はいろいろ知恵を出すから俺ら協力しちゃうんだよな」と同じく上機嫌。  これから女体盛りが思う存分味わえることが嬉しいのか、大先生たちが 決してマスコミに見せないだらしない笑顔を見せていた。 「そうそう、今日はこれからお披露目もあるそうなので、それも楽しみに してください。ぐっししし〜」 「お披露目か..まあ新人じゃ、あの美夏さんより劣って見えるよな〜」 「そういうと思って、こんなものを用意しましたよ。ぐっししし〜」  郷幡部長が1つの籠を大先生方に差し出すと、中には女性の服や下着、 持ち物などが入っていた。 「うん?郷幡くん。これって君の会社の社員証じゃないかな〜。桜野結愛 子か..もしかすると、このベッピンさんがお披露目されるのかい〜」 「まあ、そういうことでしょうな〜。ぐっししし〜」 「く〜、相変わらずいい知恵出してくるな。俺のちんこでリフティング出 来そうなレベルだな」 「私なんて年甲斐もなく障子をチンポで破りたくなってきましたぞ」 「ぐっししし〜、先生方に悦んで戴いて幸いです。今日はお披露目だけで すが、いずれは先生方に味わってもらいますから楽しみに〜」  まさか、脱いだ服や下着が大先生たちに吟味されてるとは結愛子自身想 像出来ないだろう。  今は目の前の長い廊下を歩かなければいけないことで結愛子の頭はいっ ぱいいっぱいなのだ。  唯一の救いは部屋の方を振り向かなければ、覗き見されてる事実を知ら ないで済む。  が、残酷なことに障子の隙間が昨日よりも広がっており、全身を隅々ま で見られそうだ。 (ああぁ..やっぱ恥ずかしい..覗かれてしまうかと思うと気持ち悪く なってきちゃう..)  この場になって理性の方が強まり、顔が一気に青ざめる。胃酸が喉元ま で逆流する中、そんな結愛子を見て美夏がわざとらしい言葉を掛けてきた。 「結愛子ちゃん、障子が少し開いてるのは換気のためよ。今の時間、廊下 の方を眺めてる人なんて誰もいないわよ〜」 「えっ..誰も見てない..」(いや、そんなはずはないわっ) 「そうだわ。念には念を押して、お客さんに気付かれないようにゆっくり 歩いていきましょ〜」 「えっ?」(うそ..とっくに気付いてるはずよ..)  大体、どの部屋も障子が意図的に開いてるって変な感じであり、ふん、 ふんと息を荒げる音も聞こえてくる。  けれど、美夏の”誰も見てない”と言う言葉に結愛子はホッとしてしま い、吐き気の方もすぐに納まってしまったのだ。 (…そ・そうよ、見てるわけないじゃない..見てない、見てないんだか ら..だ・だから..覗かれてるのは気のせいってことにして通りすぎる しかないのよ..) 「結愛子ちゃん、落ち着いた?ほら、こんなに静かなんだから問題ないで しょ?」(って言うか、あいつら鼻息荒すぎじゃない..こんなバレバレ で引っかかったら、相当なおバカさんよね..) 「は・はい、落ち着きました..こんなに静かなら大丈夫です..」 (全て気のせいなんだから..き・気のせいよ、気のせいっ!) 「それじゃ、行きましょう」(ぷっ。これを気付かないフリで通すつもり なの?まあ、そういうつもりならこっちは気兼ねなく晒してあげるわ♪)  美夏は吹き出しそうな笑いを我慢しながら、廊下を歩き始めた。  おそらく、どの部屋からも美夏と結愛子の裸をじっくりと堪能でき、女 体盛りの姿を想像されるだろう。  当然、結愛子のことは新人のお披露目扱いされており、粘っこい視線が 結愛子の全身に突き刺さってくるのだ。  結愛子は一秒でも早く通り過ぎようと美夏の後に付いていくが、故意的 に障子の隙間を通り過ぎる時だけ、美夏がわざと遅く歩いていた。 (あ、あぁっ、もっと早く歩いて..隙間から私の裸が..わ・私は女体 盛りの女性なんかじゃない..これは資料作成のために必要だから..)  心の中で結愛子は自分が女体盛りの女性ではないと強く訴えていた。 (でも..こんな姿じゃ、誰も理解してくれない..)  そう、インタビューのためにわざわざ裸になって、こんなところを通る なんてあり得ないからだ。  見ず知らずの人たちに、おっぱいも、お尻も、おま●こまでも晒してる。  顔だって晒してる。知り合いがいた時には一巻のおしまいだ。 (ああっ..私ったら、女体盛りの女性として全部、さ・晒してるぅ..)  が、結愛子の手は恥部を隠すことなく、むしろ胸を突き出してブルンと 揺らしているのであった。 (あ、あ、私ったら乳首がすごく固く立ってる..)  乳首がこれでもかというほどにピンと尖っていた。 (やだぁ..濡れてるし..お豆も飛び出てる..)  見られて悦んでいるかのように愛液が溢れ、大きめのピンクのクリトリ スまでも包皮を捲って飛び出ていた。 (私は感じてなんかない..こ・これは違うんだから..)  結愛子は自分が見られて感じている事を拒否しなければならない。  いや、最初から誰も見ていない、気付いてないと思い込むしかなかった。  ―――強く、強く思い込むしかない..  隙間の奥で、客たちがどんな顔をして覗いているのが、結愛子は知るつ もりはない。が、興奮を抑えきれない数人の客が隙間から顔を出して結愛 子の恥部に近づいくる時もある。客の舌が包皮の根元まで捲れたピンクの クリトリスぎりぎりのラインで触れるほどだった。  ただ通り過ぎる横向きの結愛子に対して、そんな芸当が客に出来るのか?  どうやら、途中から快感で意識が朦朧としている結愛子に美夏が部屋の 方を振り向いて立ち止まるように命じたからだ。  これでも尚、結愛子の視界には客が映っていなかった。  何が起こっているか判断できない虚ろな目で部屋の中を傍観する。  けど、本当に客が近づいているのを気が付いてないのか?  もしかすると、これは全部夢か幻かと思いたかったのだろう。  事実だとしてしまえば、頭が狂ってしまうかも知れないからだ。  無論、客の方も近くに美夏が居る以上、下手なことは出来ずに接近プレ イだけを楽しむだけに過ぎなかった。  それにどの部屋も1分ほどの戯れ事だったので、最後まで結愛子が意識 を取り戻すことがなかった。 「――結愛子ちゃん?大丈夫..」 「はっ..えっと私..」  廊下を渡りきったところで美夏が声をかけてきた。結愛子が急いで廊下 の方を振り向くとどの部屋も障子がしっかりと閉まっていた。 「どうしたの?あっ、障子の方は私が通るときにそっと閉めたから、結愛 子ちゃんは覗かれなかったはずよ?」 「えっ?そうなんですか..ありがとうございます」  白々しい美夏の嘘だが、結愛子はこれを事実として受け入れることにし た。何か..途中の部屋でとんでもない大先生方の乱痴気騒ぎを見た覚え もあるが、こんな場所に来るわけないと思いたかったからだ。 (そうよね..障子をアレで破ったりするなんて、あり得ないし..) 「それじゃ、あとは休憩室に真っ直ぐ行くだけだから」 「は・はい..」 (あぁ、この廊下を通り過ぎちゃう..)  さっきまではダッシュで通り過ぎたかった廊下が愛おしく感じる。この まま折り返してくださいと頼みたいぐらいであった。 (あぁぁ..私ったら何、いやらしいことを願ってるのよぉぉ〜。あんな 廊下、2度と御免だわっ)  何とか理性を奮い立たせて、黙って美夏の後についていく結愛子。心の 奥では、また遠回りされて裸を晒されるのだから、わざわざ変なことを口 走る必要はないと思っていた。  が、これ以降の廊下は障子はなく、結愛子の裸が晒される機会は出なか ったのだ。 (…こ・これで..良いはずなのに..気分が晴れないわ。晒されなくて 助かったのに喜べないなんて..) 「もうすぐで休憩室ね♪結愛子ちゃんがインタビューしてる間に服の方は 私が持ってきておくわ」 「えっ?」  思わず疑問符で返した結愛子。帰りは裸で戻らなくて済むのだから、安 心するところなのに、何故こんな台詞を返したのか分からない。 「ふふ、私は結愛子ちゃんを裸で戻すなんて酷いこと出来ないから〜♪」 「…あ、ありがとうございます」  ここは理性を振り絞ってお礼を言う結愛子。決して裸を見せたいなんて 口には出せない。自分には露出癖なんてものは無いと信じているからだ。  が、美夏が次に口にした言葉に結愛子は嬉しくてたまらなくなった。 「これからも、聞きたいことがあったら遠慮なく来て頂戴。ただ、毎回裸 になってもらうのは納得してね」  毎回裸..また同じ目に遭ってしまう..結愛子は美夏のとんでもない 言葉につい素直にコクンと頷いてしまった。 「まあ、その代りに結愛子ちゃんにはいろいろ女体盛りについて教えてあ げるから、それでいいよね?」 「は・はい。助かります。ありがとうございます」  このお礼は仕事が捗ることに対してなのか、身体を満足させてもらえる ことに対してなのか、結愛子自身にも分からなかったのであった。  この後は昨日と同じようにインタビューを始めたが、ほとんど雑談で終 わってしまったようだ。  そして、帰りは一切の辱めを受けることなく帰宅した結愛子。  明日からはようやくGWで羽を伸ばせそうであり、女体盛りのことはし ばらく忘れることにしようと心に誓ったのであった。


(最終更新:2011年8月28日)
第44話へ