第59話「全裸の罰から再開します」


「やっぱ、あれはやりすぎだったよ〜。これで罰が再開したらどうしよ〜」  どうしても罰の再開をしたくない葉須香は、全裸で5周したことに今さ らながら後悔していた。 「い、言い訳を..何とか考えなくちゃ..」  いっそ名歯亀の幻覚でも見たとでも言おうかなと思ったけど、だからっ て全裸で走らないよね.. 「あれは見間違えよ..って無理よね..」 (本当にどうして、あんなことしちゃったのよぉ〜) 「はぁぁ〜。もう教室に着いちゃったわ..」  結局何も思いつかないまま、制服姿の葉須香は教室の前まで戻ってきた。 (ああぁぁ..どう言えばいいか分からないよぉぉ〜。きっと、みんな怒 るかもしれないわ..)  ガラガラッ。さっきの全裸罰をどう言ってくるのが不安いっぱいの中、 葉須香はおそるおそる教室のドアを開けた。  葉須香の顔は真っ赤で困惑の表情をしていたが男子たちは普通に話して きた。 「葉須香ちゃん、ご苦労様〜。少し休んだほうがいいよ。ほら、席に座っ た座った〜」「あ、あの..あれはその..」 「それは後でいいよ。今はゆっくり休んだやすんだ」「う、うん..」  何故か男子の誰もが、さっきのことについて1つも聞いてこないことに 違和感を感じたが、あとでしっかりと説明すればいいと今は思った。 (絶対に!絶対に罰の再開だけは避けなくちゃ!うん)  結局、葉須香は何も説明出来ずに1日を終えることになり、うやむやな ままで翌日を迎えることになった。  朝、教室では葉須香より早く登校してきた4組の男子たちが昨日の件で 騒いでいた。  一部の男子たちから、このまま罰の再開に持っていこうという提案もあ がってきたようだ。 「やっぱエッチな罰の方で攻めていこうぜ。葉須香ちゃんもきっとまんざ らじゃないしな」「いや、あれは気の迷いだろ?今まで通りでいこうぜ」 「けど、ただ走って忘れ癖が治るわけないことはみんなも分かってるよな?」 「そりゃそうだけど、俺は他に何か絶対いい方法があると思うんだ」 「でもな。忘れ癖って健忘症みたいなものだろ。悪化させてもしものこと があったら俺一生後悔するぜ」「だからって裸は駄目だ!」 「ここは様子を見ようじゃないか。なあ、みんな?」 「うーん、わかったよ。所詮、俺たちだけじゃ罰は難しいし..」  こうして、昨日の一件は見なかったことにしようと決めた男子たち。  まさか登校してきた葉須香が教室の外で聞いてしまったとは思いもしな かっただろう。 (やっぱ、みんな真剣に考えてるんだわ..私も..本気で..この癖を 治さないといけないわ)  ガラガラッ。「おはよ、みんな」「!!お、おはよ、葉須香ちゃん」 「おはよ..今日もいい天気だな」(やべ〜、今の聞かれたか?) 「どうしたの?みんな。何か顔が険しいよ」「そ、そうかぁ?」 「・・・えっと、今日も..忘れ物をしちゃった..ごめんね」 「謝ることはないよ、葉須香ちゃん」「じゃあ、今日も校庭5周だな。制 服で5周だからな」「!!ばかっ、お前。強調しすぎだ」「ははは..」 「くすっ、そうそう、今日の忘れ物だけど..じゃーん、教科書1冊だけ でした!」「おおっ!俺より忘れてねーじゃないか」「すげーな」  これは明らかに昨日の全裸5周の罰が効いたのだが、誰も口にすること は無かった。  そんな優しい雰囲気を葉須香が察したのか、鞄を床に置いて目をそっと つぶってから、こう口にした。 「・・・す、須和葉須香は..今日も忘れ物をしました..目をつぶってる ので..みんなの好きにしてください..」 (こ、これでいいのよ..これで..) 「おいおい、何の冗談だよ?」「罰の再開ってことか」「俺本気にするぜ」 「マジで剥いちゃうぜ。なんてな」  さすがに脱がすわけにはいかないので男子たちが変な空気にならないよ うに茶化す。葉須香が目をつぶっているということは罰の再開を本気で望 んでないということだろう。 「・・・わ、私も..本気で取り組みたいの..お願い」  葉須香の嘆願に男子たちの心が揺らぎ始めた。そして男子たちが静かに 葉須香を囲うように集まってきた。  次の瞬間、多くの手が葉須香の制服に触れ、ぐっと掴んできた。 「!!!」(脱がされるのね..けど、これでいいんだわ) 「???」(あれ?何もしてこない?どういうこと) 「・・・・・・」 「ばーか!何言ってんだ」「俺らをなめんなよ」「あんなの気にしねーよ」 「そうだよ!俺ら葉須香ちゃんの裸何回見たと思ってんだ」「そうそう」 「しっかりしろよ!葉須香ちゃん」パシィィィーーン!!  男子の1人が葉須香の尻を思いっきり叩いて元気付けてくれた。 「ひゃぁん!」「ガンバレよ」パシィィィーー!! 「ちょっとぉ〜」「くじけんな」パシィィィーーン!! 「んもぉ〜!えっちぃぃぃ〜!」「あはははは、わりぃ」  葉須香がムッとした顔で明るく応えた。脱がすフリだけした男子たちは 笑顔を浮かべながら席に戻っていった。 「もう絶対に!絶対に!あんなエッチなことしないからっ!後悔しても知 らないんだからねっ」 「後悔なんてしねーよ」「今日は制服でちゃんと走れよ!」「慌てんな!」 「俺たちもちゃんと考えてやるから」「わかったな」 「・・・う、うん。ありがと」  これで葉須香自身も充分理解した。男子たちは名歯亀とは違うと! 「そ、それじゃ..5周走ってくるね」「ああ」「ゆっくり走れよ」 「う、うん..」  今日も校庭5周の罰をするために誰も居ない正面玄関に着いた葉須香は、 深呼吸を2・3回ほどしてから、すぅぅぅーっと限界まで息を吸ってから、 「絶対っ!絶対ぃぃぃ〜っ!もう2度と忘れ物なんてしないからっ!しな いんだからねっ!」と校舎に響き渡る大声で叫んだ。  これは忘れ物を本気でしないという葉須香の決意の表れだった。  中途半端な気持ちじゃいつまでも改善できない!それなら何の罰が一番 効果あるのか?それは絶対にしたくない罰であると葉須香は確信した。  わすれんぼの罰の再開。そんなことになれば今度こそ、自分のおま●こ が晒される日がやってくる。そんなの絶対に嫌だけど、それぐらい嫌じゃ ないと駄目なんだと! 「・・・みんな、きっと怒るよね。あれほど注意されたのに、私ったら..」  葉須香の足元には制服が脱ぎ捨ててあった。ブラも脱ぎ捨ててあった。  そして..ショーツも脱ぎ捨ててあった。  すでに校庭の方からは、窓から身を乗り出した生徒たちの声が聞こえる。  さっきの大声を聞いて何かに気づいた幾つかのクラスがこれから起こる ことを期待して校庭の方を注目してきたのだ。 「このまま..走ったら..もう後にはひけない..でも..すぐに知れ 渡るんだから..」  葉須香の足は校庭へ向かっている。わすれんぼの罰が再開されたことを 伝えるために。心の中は「絶対に嫌っ!いやっ」と何度も訴えてるのに、 足が止まらない。いや、逆に校庭が間近になると走り出した。  ついに素っ裸の葉須香が校庭に現れ、白線の引かれたトラックに合わせ て走りだした。おっぱいもおま●こも隠さずに走る葉須香。  けれど、いつもだと起こる歓声が響かない。どうやら、この全裸5周の 罰に気づいたクラスは葉須香がかって寒風摩擦を見せた3年のクラスだけ で、他のクラスは気づかなかった。  どのクラスも葉須香に迷惑をかけないように黙って見ることにしたらし い。 「・・・1組の男子も見ている..もう明日からは絶対に忘れ物をしないよ うにしなくちゃ!絶対によ!だって忘れたら裸で校庭5周なんだから..」  そう、これで罰の再開は決まったようなものだ。明日から忘れ物をした ら、葉須香は素っ裸で校庭を5周しなければいけない。  今さらながら「やっぱ取り消し!」「気の迷いでした」と前言撤回し たくてたまらない葉須香だった。 (どーしよ、この後みんなにどうやって説明したらいいのぉ〜)  ここまで葉須香が決意した以上、4組の男子も罰の再開に反対しないだ ろう。けれども、この後どんな姿で教室に戻っていいか分からない葉須香 だった。 (やっぱり全裸なのかしら..けど、それはやっぱ無理ぃ〜)  罰の再開を認めた以上、葉須香が全裸で教室に行くのは当たり前だが、 そんな度胸も無く、罰を終えた葉須香は制服姿で戻ってきた。  ドキドキしながら、葉須香が教室のドアを開けると男子たちは普段通り に接してきた。 「お疲れ、葉須香ちゃん。今は何も言わなくていいから」 「えっと..その..」「いいから、いいから!今は休むのが第一」 「う、うん」「次は自習だから、そのときでいいから」 (自習時間..それって..もしかして..)  何か男子たちの間で企んでいるようだが、それについて文句を言える立 場でもないのも分かっていた。  そして、男子たちの企みは次の自習時間ではっきり分かった。 「そうだ!俺たち、みんな見慣れた顔ばかりだったから、自己紹介をしな かったけど、この自習時間でそれをしないか?」「それいいな!」 「やっぱ、自己紹介が無いと学年が始まった気がしないんだよな」「同感」 「よく考えたら、知らない奴もいるんだし、自己紹介は必要だ」 「みんなもそれでいいか?」「ああ、賛成だ」「自己紹介しよーぜ」 「それじゃ、えっと最初は葉須香ちゃんにしてもらおうぜ。葉須香ちゃん、 それでいいかい?」 「う、うん..」(そういうことね..)  葉須香は何かを察したかのように素直に教壇へ歩いていった。 「そ、それじゃ..私から自己紹介させていただきます..」 「その前に葉須香ちゃん、今までいろいろ忘れものしてたよな?」 「は、はい..いっぱい忘れました..」 「そういう時って何をしてたんだって?」 「えっと..わすれんぼの罰をしてました..」 「じゃあ、まずはわすれんぼの罰の紹介もしながら、自己紹介頼むぜ」 「う、うん..わかったわ。わすれんぼの罰を最初に説明します」  これが何を意味するが、元、2年4組の男子なら分かっていたが、新し く4組の男子になった彼らにはドキドキものだった。  ぼそぼそ「うおっ、もしかして噂の罰をするのか?するのかぁぁ?」  ぼそぼそ「いやいや、もう名歯亀も居ないんだから、するわけないよな」  ぼそぼそ「おいおい、お前らもさっきの全裸走り見ただろ?」  ぼそぼそ「やっぱ、必死に待った甲斐があったぜ」  男子たちが全員注目している中、葉須香はどうしていいか分からなくな った。  そんな葉須香に男子たちがとんでもない言葉を言ってきた。 「葉須香ちゃん、もしかして俺たちに手伝えってことかい?」 「・・・ち、違います..自分で..は、裸になります..」  葉須香の裸になるという宣言に新しいクラスメイトは狂喜乱舞し、他の 男子が意地悪な質問をしてきた。 「裸になるって?それって、どういうことなんだい?葉須香ちゃん」 「それは..わすれんぼの罰が..さ、再開するから..いや違います。 どうか、須和葉須香のわすれんぼの罰を..せ、先生の代わりにみんなが 続けてください..お願いします」  今でもあんな辱めの罰なんて絶対したくないと思っているのに、葉須香 は自分から頭を下げて罰の再開を嘆願してきた。  ついに罰の再開を願った葉須香は少し安堵の表情を見せていた。  これからまた素っ裸にされるというのに何故かすっきりした顔をしてい る。もしかして裸の罰を続けてる内に葉須香が露出癖に目覚めてしまった のだろうか?  が、よくよく見ていると罰の再開を口にしたことを後悔している感じも ある。  どうやら、わすれんぼの罰の重要性を再認識して出した言葉らしく、4 組の男子たちなら罰を任せてもいいという信頼あっての事だ。 (みんな必死で私の忘れ癖を治そうとしてるんだもの..恥ずかしくても、 みんなを信じよう)  そう、この1ヶ月葉須香自身がゆるい罰をし続けても、男子たちが何の 文句も言わずに見守っていた成果がようやく出たのだ。  これで元通りの罰が再開できるはずだ。いや、もう少しだけ罰の重要性 を高めたほうがいい。羞恥心が強くなって裸になりたくないと言うかも知 れない。今こそ、切り札を出すときだと男子たちがこう言ってきた。 「そういえば葉須香ちゃん。先週の何回かは忘れ物がひどくない日があっ たけど何かやったのかい?」「!!そ、それは..」  男子たちの問いに、なかなか答えられない葉須香。どうやら、男子たち に内緒で行った特別罰で効果があったとは言いづらかった。  先週の罰と言えば、校門での脱衣熱唱だったが、下着姿にまでレベルア ップした恥ずかしい経緯がある。 (恥ずかしいけど..言わないとダメよね..) 「・・・と、特別罰として..屋上でも..校歌熱唱しました..」 「それは下着姿ってことかい?」「ち、違います..」 「葉須香ちゃん、恥ずかしがることはないよ。それが効果出たんだから」 「・・・じ、実は..は、裸で!こ、校歌熱唱してました..」  どうやら、男子たちは葉須香の特別罰をこっそり覗いて楽しんでいた。  けれども自発的に裸で罰をする行為は変な誤解を生みやすいのでみんな に内緒でしていたのだろう。  だが、これで裸の罰の方が効果でることを葉須香本人により強く自覚さ せられたはずだ。 「そうそう、葉須香ちゃん。いつまで、制服を着ているんだい?」  男子の1人が葉須香を指摘する。そう、わすれんぼの罰は再開されたの だから、忘れ物をした葉須香には制服を着る資格が無くなったのだ。 「!ごめんなさい。罰再開したのにこれじゃ変だよね?」 「そうだぜ。自己紹介なんだから、”ちゃんとした姿”でしなくちゃな」 「そ、そうね。”ちゃんとした姿”になります」  すると、葉須香は恥ずかしいのを我慢して自分から上着を脱いできた。 「おおっ、上着を脱いだぞ。これってもしかして」 「いや、暑いから脱いだんじゃねーのか?」  新しいクラスメイトは葉須香の行動に戸惑いを感じながらじっと見つめ ていた。 (みんな見てる..見てるわ..でも..続けるしかないわ!)  葉須香は何かを決心したかの表情を見せて、自己紹介の続きを再開した。 「さっきの..裸になるってことは..須和葉須香の..わすれんぼの罰 を..さ、再開させてもらうっていう意味で言いました」 「それってどういうことだい、葉須香ちゃん」 「つ、つまりですね..2年生の続きなので..そ、その時の、す、姿に、 も、戻ります」 「葉須香ちゃん、2年生の最後の姿ってどんな感じだって?」 「…す、す..す..す」 「す?」「お酢?」 「す!すっぽんぽんでした..だから、これから、この教卓の上に..身 につけてるものを..全て脱いで乗せていきます」  この瞬間から、葉須香のわすれんぼの罰の再開が決まったのであった。


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