第11話「ルームランナー」


 私の名は海阿 久恵(かいあ ひさえ)。  何とか第8競技までクリアできたが、おそらく次の競技では失格してし まうだろう。  第8競技でのリタイア選手は12人、すでに多くの逆さ開脚姿が吊るされ て並べられている。  私がそこに加わるのは時間の問題だ。何せ、先ほどの水上綱渡りで足を くじいてしまったからだ。 「久恵、足の具合はどうなの?」 「昌世か..おそらく次の競技で失格になるのは間違いないだろう」 「そんな、私や果彩がここまで来れたのは久恵のおかげなのよ」 「そうよ。久恵が失格になるなら私たちも付き合うわ」 「果彩..すまない」  私と一緒に失格になってくれるという2人は幼稚園からの幼馴染であり、 クリアするのも失格するのも共にと誓いを結ぶほどの大親友でもある。  けど、私のために2人を道連れには出来ない..  失格になるのは私だけで充分だ。 「昌世、果彩。私のことは気にするな。お前たちまで失格になる必要はない」 「ううん、次の競技なら私たちの失格は無駄にならないから」 「そうよ。私たち3人で1人でも多く、クリアする子を増やそうよ」 「・・・・わかった。あなたたちがそこまで言うなら私たちの最後の力で クリア者を増やそう」  私は2人の決意を跳ね返すことが出来ず、共に失格する道を選ぶことに した。  でも無駄死にはしない。2人が言うように次の第9競技なら私たちの行 為によって多くのクリアする子が出そうだからだ。  そんな私たち3人の前に第9競技場の競技が目の前に見えてくる。  第9競技「ルームランナー」は初の一斉参加型競技であり、今までの様 に順番でやる個人競技とは大きく異なる。  この競技は名の通り巨大なルームランナーを選手全員で走り、ゴールに つけばいいだけの競技であった。  全員で参加するため、身体に着けられるのは両手首に例の磁力リングを 両足首には新型のリングが装着されることになった。  今回はペナルティロープがないので温泉内には救助ロープをつける男性 スタッフが大勢待機していた。  つまり、ルームランナーから落ちると男性スタッフが群がりロープをつ けるようであるが、どさくさに紛れて身体を弄ってくる気だろう。  それに、足につけられている新型のリングは何かしらの細工がされてお り、ただのスピードアップだけで温泉に落とす競技ではないのは確かだ。  どのみち、足をくじいた私にとってはゴールまで走ることなど出来るわ けなく、失格を覚悟した競技になるのは間違いない。  だけど、大量失格を狙っているこの競技に一泡ふかせてやる。  私たち3人の最高のフォーメーションを見せてやるんだから。  選手全員がゆっくり動いているルームランナーに乗ったとこで競技が始 まった。  さっそく、いつものエロ司会者が大きな声で観客に呼びかけた。 「さぁ!みなさん!次の競技は全員で行うものとなっていますよぉぉーー。 今回は至極簡単でただ目の前にあるゴールに辿り着けばクリアですぞぉー。 ただ毎秒ごとにルームランナーのスピードがアップするから1秒でも早く 先に進まないとゴールに行けませんよぉぉぉーーー!きっと、この競技で は大量の失格者が出そうなので、とても楽しみですぞぉぉーー」  やっぱり思ったとおり、大量の失格者を出す競技だったようだ。  そして、ここで足につけられている新型のリングを先に説明してきたの であった。 「これから皆さんにはA,B,Cの3つのボタンがついた小型ボックスが 配布されます。そう、皆さんには10秒事にルームランナーで走りながら 3択のクイズに答えてもらいます。正解すれば何も起こりませんが、間違 えると足首のリングが重くなるようになってます。そう、これは重さを自 由に変えられる重力リングなんですよ。くくっ」 (重力リングですって..そうか、足を重くして失格させる気か)  そう、10秒毎に出されるクイズに間違えたり答えられないと、足のリン グが重くなり、重さが増して耐え切れなくなればルームランナーの後方へ と追いやられ、ルームランナーの末端から温泉へ落ちる仕組みらしい。  それだけではない。重さが急に変化すれば足がもつれて転んでしまいそ うになるので、転んでしまったらほとんどの場合ベルトコンベアに運ばれ てドボンしてしまう。  どんなに早く走ったとしてもゴールまで120秒はかかる距離だから、最 低12問はクイズを解く必要がある。  ジャンプしながらゴールを目指す攻略が一番良さそうだが、着地の際に ルームランナーのローラで転倒させられてしまいそうだ。  逆に言えば、ローラを何とかすればジャンプでもいけるのだろう。 「久恵、例のフォーメーションのこと、みんなに話してきたよ」 「ありがと昌世。これで無駄死にしなくてすみそうだ。果彩の方はどうだ」 「こっちも出来る限り話してきたわ。大いに感謝すると久恵に伝えてって」 「そうか、感謝されるほどのことじゃないがこれで決意は固まった。見せ てやろうよ。私たち3人の最後の意地を」「ええ」「やるわよ」  大量失格を狙うこの競技を少人数の失格者だけで済ませみせる。  私たちが決意する中、ついに競技が開始されルームランナーが速く動き 出した。 「ちっ、いきなりこんなハイスピードかよっ」「これじゃ本当に大量の失 格が出るわっ」「そんなことはさせない。久恵っ、頼んだよ」  ルームランナーの速度が増す中、私たち3人が全速力で走り出す。その 姿を見た司会者が馬鹿にした言葉を出してきた。 「おやおや、いきなり後のことを考えないで全速で走った選手がいますよぉ〜。 そんなペースじゃゴールまで辿り着けないでしょ〜。いやぁ、実に滑稽な 攻略ですなぁぁ〜」  こっちも初めからクリアする気はないさ。私を先頭に昌世と果彩が縦一 列に重なって並び、ゴールからみると私のみが走ってるように見える。  そして、くじいた足が持ちそうにない私が思い切りジャンプし、ローラ に大の字になるようにダイブ。その大の字になった私の身体を踏み台にし て昌世が同じようにローラにダイブ、これを果彩まで同じように実行し、 ローラの上にはわずかの間だけ等間隔の安定した踏み台が出来ることになる。  それを見た司会者がげげっとした声を出して顔を真っ青にした。 「海阿さん、貴女たちの犠牲に感謝します」「いいってことさ。早くみん な私たちを踏んで行けぇぇーー」 「踏んですいません、松樹さん」「気にしないで。どんどん行ってぇぇー」 「ごめんなさい。尾留手さん」「そんなのいいわ。早くゴールまで飛んでぇ」  3人の身体を踏み台にして次々と選手たちが感謝してゴールへ行ってク リアしていく。  もっとも、あらかじめ皆に自分たちが犠牲になることを伝えたから成功 したフォーメーションなのかも知れない。 「ああぁぁぁーー、これは何と悔しいことでしょぉぉぉぉぉーー!大量失 格の競技なのに次々とクリアされていますぞぉぉーー!あの憎き3人には それ相応の罰を与えますが、こんな風になって観客に申し訳ない所存です ぞぉぉぉぉぉーー」  司会者が悔しがる中、踏み台の役を終えた私たちが次々と温泉に落ちて、 辱めを受ける事になったが悔いはない。  何せ、この競技で失格になったのは私たち以外では頭脳派と言われた選 手、涼宮 真智子と藍山 唱乃の2人だけで済んだからだ。  大量失格を見事なまでに防いだだけで充分だ。  こうして私たち、海阿 久恵含む国三蓮高校3人の挑戦は終わった。  が、次の第10競技「ジャンピングロープ」では多くの失格者を出すこと になってしまった。  これは要するに大縄跳びである。温泉上に設置された幅50センチの透 明アクリル板上で、10人単位で大縄跳びをする。  幅が50センチしかない足場のため、落ちないように慎重にジャンプし なければならない。回すのは人ではなく、縄跳び選手用に開発され養成の ために実用されているマシンだ。  つまり、女の子がロープにひっかかったり、その反動で転んでしまって も、容赦なく強制的に力強く回し続ける。これにより、女の子は強烈なロ ープをムチと同じ力で体に受けてしまう。  おそらく、ほとんどの女の子は転んだ反動で温泉に転落してしまうが、 そこから立て直して飛ぶことは可能である。  しかし、立ち上がれず座ったままロープに耐える女の子の場合、ロープ は次第に強く回り、女の子の肌に跡を増やし続ける。  転んでから10回目に達すると、アクリル板が回転し、問答無用で女の 子は温泉に転落してしまう。晒されるときは、恥部だけでなく、ロープに よってつけられたムチの跡をも晒すことなり、観客の興奮をあおるだろう。  このゲームは、ペナルティーロープを縄跳びの縄に結びつけてのチャレ ンジとなる。これによって、通常上から垂れ下がっている形式と同様に、 転落するとバスタオルがはがされる。ペナルティーロープの長さを考えて も、アクリル板の高さは温泉上3m程になる。  さらに、このゲームはそれだけではない。両手を縛る為、バランスをと るのが難しい。そして、ジャンプの反動で、バスタオルがはだけて晒して しまう可能性が非常に高い。万が一晒してしまっても、女の子は晒された 豊満な胸を揺らしながら飛び続けなければならない。  1分間耐え続ければクリアだが、この1分が相当長く感じると思う。  エロ司会者がさっきの競技の失敗を取り返すような言葉を出してきた。 「前の競技では、たったの5名しかリタイアしませんでしたが、この競技 ではバンバン失格させますぞぉぉ〜。何せ、団体競技ですからねぇ〜。ま さに1人の失敗がみんなの足を引っ張ってしまう見事な例えの競技ですよ」  そう、司会者の言うとおり、団体競技の怖さが思い切り出たものとなり 1人の失敗でアクリル板が回転し全員が転落してしまうこともあった。 「いやぁぁぁぁーーーー!」バシャァァーーーンン! 「そんなぁぁ!!」ドパァァーーーーンン!  司会者の思惑通りに失格者が次々と出てきており、みんな必死でタイミ ングを揃えて飛ぶことだけに集中する。  時々、縄を振る速度を変えられたりして、失敗してしまう選手もいた。  あと、タオルが外れても早々に諦めなければならず、観客におっぱいを 揺らしながら飛ばなければならなかった。  全員タオルが取れてしまう事もあって、司会者が思い切り野次を飛ばし ていた。 「見てください。10個のおっぱいが上下に揺れていますぞぉぉ〜。これは とっても恥ずかしいですぞ。我々にとっては実に美味しい光景ですぞぉぉ」 「ぅぅっ..見ないでぇぇ」 「だ・だめよ。飛ぶことに集中しないと!ああぁぁっ..」 「しまったぁぁ〜」 「おやおや、縄が足にかかりましたな。もうこうなったらおしまいですな〜 さあ、さっさと落ちちゃいましょう。くくくっ」 「汚いわぁぁぁーーーー!」ジャパァァァーンン! 「覚えていなさいよぉぉぉ!!」バシャァァーーンン! 「いやぁ〜、いいですな。おっぱい丸出しの女子高生に罵られるのはぁぁ〜」  結局、司会者の嫌味な攻撃も加わったことにより、この第10競技では今 までの最高失格数となる15人がリタイアしてしまった。  これでついに半数以上の選手が逆さ開脚で吊るされる事になり、司会者 が狂喜乱舞しながら、こう言ってきた。 「みなさぁぁーーん!観てくださいぃぃっ!ついに100まん突破しまし たぞぉぉぉーー!女子高生のおま●こが100個以上一気に見れるなんて、 一生もんの光景ですぞぉぉぉーーー!もちろん、これで満足しろとは言い ませんぞっ!目標は200人全員のおま●こを並べることだぁぁーー!次の 競技でもいっぱいリタイアさせますから楽しみにしてくださいぃぃーー」  いったい次の競技がどんなものか分からないが、選手には更なる辱めが くるのは間違いないだろう。


海阿 久恵(かいあ ひさえ)   第9競技失格
松樹 昌世(まつじゅ まさよ)  第9競技失格
尾留手 果彩(おるて かあや)  第9競技失格
涼宮 真智子(すずみや まちこ) 第9競技失格
藍山 唱乃(あいやま しょうの) 第9競技失格
 【失格者5名:残111名】

黒瀬 西絵(くろせ にしえ)  第10競技失格
円櫛 宣子(えんくし のぶこ) 第10競技失格
常盤 秀歌(ときわ しゅうか) 第10競技失格
亜麻森 ミツ(あまもり みつ) 第10競技失格
津元 縫香(つもと ほうか)  第10競技失格
今城 冴子(いましろ さえこ) 第10競技失格
土肥 紀代美(どい きよみ)  第10競技失格
河野 おつう(こうの おつう) 第10競技失格
一之森 凜(いちのもり りん) 第10競技失格
河原 鏡花(かわら きょうか) 第10競技失格
三田木 多乃(みたき たの)  第10競技失格
竜森 成美(りゅうもり なるみ)第10競技失格
白木 卯依(しらき うい)   第10競技失格
萩森 綱子(しげもり つなこ) 第10競技失格
摂津 紀香(せっつ のりか)  第10競技失格
 【失格者15名:残96名】

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