「バニーDays 」読切


 実際の恋愛は漫画やドラマのようにすんなりといかない。  そうだと思うと..しみじみ実感している巫看子です。  朝から私の裸の行水を覗いて、はぁはぁ興奮している誠一くん。  悲しいことに私が好きな人であり、こうして毎日覗かれていても気持ち が変わらないのよね..  そもそも誠一くんが覗いてきたのは私が小学生の頃からであり、正直世 界で一番嫌いな男性だったんです。  何せ、学校では誠実さを演じてるのに私生活では私のことを覗きまくる んですよぉぉぉーー。  大体、覗かれているのは行水だけでなく、お風呂も着替えも..そして 自慰行為してるとこも全部見られてしまったんですぅぅーー!  そのうちストーカー被害でも出してやろうと思ったんだけど、ある事実 が分かってから寛大な気持ちで許すことにしました。  それは誠一くんが覗くのは私だけであったということを知ったんです。  てっきり、いろんな女性を覗いてハァハァしてると思ってたのに、ずっ と私しか覗いてなかったの。  でも最初にこの事実を知ったときは吐き気がするぐらいのキモイ奴と思 ってたのに気がつくと好きになってたのよね.. (なんでこうなっちゃんだろう?)  まあ好きな人に覗かれてるんだから、女性冥利につきるもんだと思うし かない。  と言うのかここまで好きなら告白して堂々と見て、触ればいいのに..  おそらく誠一くんも私が好きであるのは感じてると思うけどなぁ〜〜  それでも覗くところまでで止めるとこに私のほうがイライラしちゃうよ ぉぉぉぉ〜。  だから、私自身も変な性癖に目覚めてしまったのだ.. (ぁぁっ..お清めなのにぃぃ〜、おま●こが濡れてきてるよぉぉぉ〜〜)  実は覗かれることに快感を覚える性癖がついてしまい、密かに覗きの場 所に自分から出向いて肌を晒すことをしちゃうのだ。  きっと、同じ学校の男子の中には月芭 巫看子の裸を覗いた奴が何人か いるだろう。  そのせいで見せたがりかも言う悪い噂も立っているから悲しいよぉぉぉーー。  確かに覗かれてるのを知ってて着替える私が悪いんだけど、見せたがり じゃないわっ!露出狂と一緒にされちゃ大迷惑だわっ! 「人前で裸になりたい」じゃなくて「裸をこっそり覗かれたい」のよっ!  公衆の面前で裸になって「私のおっぱいを見てぇぇ〜」なんてことは絶 対にやるつもりはないんですからっ!  これというのも毎日、覗き続けてくる誠一くんが悪いのよぉぉぉぉぉーー!  毎朝の巫女のお清めで、毎回股間を濡らして感じてるなんて馬鹿みたい だよぉぉ〜。 (巫女失格だよぉぉぉーーー、でも失格というほど立派な神社でもないけど..)  とにかく今日も濡れまくりの行水を終えた私は制服に着替えて近所のパ トロールに出かける。  制服に着替えたのはパトロールを終えたら、そのまま学校に向かうからだ。  パトロールの時は誠一くんがついてこないので、ストーカーとは違うか も知れない。  このパトロールは巫女として近所の秩序を守るために行っており、正直 なところ昔は形だけのパトロールということになっていたんだけど.. 「うぁっ..今日もいるのね..何でこんなに”キョウ気”が漂っている のよっ!」  目の前にいるOLさんが”キョウ気”に侵されて世間を騒がす事をしそ うとしていた。 「んふふふ〜♪出すわよだすわよぉ〜。私の立派なものを出してあげるわ よん〜♪」 「そこまでよ。OLのお姉さん!見たところ”キョウ気”にやられてますね」 「だ・誰っ!な・何、わけのわからないこと言ってるのよ」 「私は月芭神社の巫女、月芭 巫看子。お姉さんの邪な気を払ってあげます」  そう実は私、人が持つ邪気や憎気などの気を払うことが出来るんですよぉ〜。  でもね..気を払うには神具をつけないといけないのが辛いトコなのよ。  まあ、”キョウ気”をそのままにしておくことが出来ないから神具を装 着するけど、野次馬からはいつもの台詞が飛んでくるのよっ。 「おおっ!ウサミミ女子高生〜」「ウサミミを着けたぞ。ウサミミだぁウ サミミ〜」  ああぁっ、ウサミミを連発しないでよぉぉぉぉーー!見た目は確かにウ サミミなんだけどぉぉ〜。月芭神社は兎様を祭っているから、おかしくな いんだからぁぁーー!  けど、そんなことを言ってる場合じゃないわっ。”キョウ気”をはやく 払わないと..  ぺろんっ♪「ふふっふ〜。どう、私の立派なものはぁぁ〜。これGカッ プなのよん〜」 「ああっ、遅かったわ!」私の目の前で上着を捲って、見事なおっぱいを 出すOLのお姉さん。  実は”キョウ気”に侵された女性は何故かおっぱいを出したくなるそう で、そのままにしておくと、その女性の世間的な立場がなくなるので早く 払う必要があるのだ。  だが、この淫気が出た後だと非常に恥ずい状況になるのよぉぉぉぉぉーー!  何せ、ウサミミをつけた女子高生と、おっぱいを出して揺らしているお 姉さんが対峙するのだから、面妖な場面といっても過言じゃないかもぉ〜。 (また変な噂が立つ前に払わなくちゃ!ええいぃと!)  思い切り地面を蹴って空高く跳ねた私が空中で手印を結び始める。 ”キョウ気”ぐらいなら簡単な手印で払えるからであり、苦戦もせずにす ぐにお姉さんの邪な気を払った。  当然ながら”キョウ気”がなくなって正気に戻ったお姉さんは顔を真っ 赤にして慌てて逃げていった。  しかし、ここ最近になってどうしてこんなに邪な気が増えたんだろ..  おかげで本当のパトロールになってしまって大忙しだわ。はぁ〜〜  ため息を吐く私の足元に大きなボールが転がりながら近づいてきた。  そしてボールが私の目の前で変形していく。ウサミミを出し、手足を出 すボール。 「いつまでもこんなとこに居ると遅刻してしまうみこ」「うさはろー、ど こ行ってたのよ」 「偵察だみこ。巫看子だけじゃ、気を見逃すかも知れないからみこ」 「はいはい、まだまだ修行が足りないってことね」「そうだみこ」  私に話しかける変形ボール型ウサギ風メカロボ”うさはろう”。何とこ のウサメカは月芭神社の守り神の使いという立派な方であり、私が愛用し ていたガン●ムのマスコットの身体を借りて私のサポートをすることにな った。(って言うか、もう少し別のものを借りて欲しかったけど..)  守り神の使い様(うさはろう)も、この身体が大層気に入ったらしく、 気がつくと高性能なメカウサギに勝手に改造してるんだもんな..  だから、私の噂に余計な拍車をかけてるんですがぁぁぁーー! 「ママ〜、ウサミミをつけたお姉ちゃんがウサギのロボットを連れてるよ ぉぉ〜。あのウサギ欲しいよぉぉぉ〜」 (ぅぅ..完全におもちゃ扱いされてるよぉぉぉーー)  誰も私の事を守り神の使いを連れ、神具をつけた巫女と見てくれないか ら悲しいよぉぉーー。  世間一般の目では、ウサギのロボットを連れたウサミミ女子高生なのよ ねぇぇ〜。 「うさはろう。この神具ってどうして1度つけると、なかなか外れないのよ」 「それは巫看子の修行が足りないせいだみこ。本来ならすぐに外せるみこ」 「そう..どうせ、修行中の身ですよ〜。けど、こういう時はあのクラス であったことに感謝するわ」 「そうだみこ。高校になった巫看子は目立たなくなったみこ」  普通、こんな馬鹿な格好をしてメカウサギなど連れて登校した日には目 立つのだが、私のクラスは濃い女子ばかりで助かったわぁぁ〜。  何せ、勝手にクラスを改造する女子や、バイオリンを背負ってくる女子 など、ひと癖もふた癖もある女子が集まったクラスだからだ。  ウサミミぐらいじゃ、このクラスでは派手なアクセサリをつけてるよう なもので片付けられてしまうのであった。  とりあえず、学校に来れば平穏な時間となるので早く登校しなくちゃ。  こうして、クラスについた私はまずは一息つき、机に頬をつけてごろご ろすることにしたんだけど..  どうやら、また別のトラブルが怒ったらしく、私のとこにクラスでいじ めをしている女子が声を掛けてきた。 「ふふっ、偉いわね月芭さん。何も言わずとも私の心を汲み取ってここま で恥ずかしいものをつけて登校してくるなんて〜。いじめがいがあるわぁ〜」 (いや..いじめでつけてるわけじゃないんだけど..)  そう..目の前にいる女子は私をいじめてる?と思っているみたいだ。 「さすが、内川様です〜。暗黙の内にイジメが出来るなんて凄いです」 「そ・そう?そうよ♪私ぐらいになるとこれぐらいは朝飯前よ」 (・・・そんなこと出来ると本当に思ってるのかしら?) 「まあ、それは置いといてここまで私の言いなりになるあなたが2年の亀 成をそのままにするのは困るのよね〜」 「そーよ。あの成り上がり、ムカつくんだよ」「そーよ。あの成金娘」 「ちょっと、何でそれを私に言ってくるのよ?亀成先輩とは仲良くなった 覚えはないけど..」 「とぼけても駄目よ。特撮仲間なんでしょ。あの縦髪ロールの成金女と!」 「別に特撮仲間というわけじゃないんだけど..やっぱ、そういう風に見 られるのね」 「とにかく、これ以上亀成をそのままにするなら、眼光じゃすまなくなる わよ〜」「内川様を怒らすと大変よ」「そうそう」 「それなら直接、亀成先輩にしてくれないかしら?特撮仲間だとしてもあ いつとは敵なんだから」「それは..私に歯向かうつもりかしら?」 「内川様..」「謝った方がいいわよ」  クラスの中で嫌な空気が漂う中、クラスの男子が校門の方を見て叫び始 めた。 「お・おいっ!校門のとこでまたゲリラ特撮を始めてるぞ!またすげー女 怪人が暴れてるぞ」「!!」(うそぉぉーー!もうすぐ授業なのにぃぃぃーー)  校門を確認して見ると仮面ラ●ダーで出てくるような女性怪人が暴れて おり、クラスのみんなが私に何とかしろと暗黙の視線を送ってきたのだ。 「巫看子!早くいくみこ」「わかってるわよ。うさはろう」  クラスを出て急いで、校門ではなく屋上に向かう私。実はあの女性怪人 は特撮の怪人ではなく本物の怪人だからだ。アレを特撮ものと勘違いして くれてるのが少し救いかも。  屋上に向かうのは女性怪人を倒すための装備が必要であり、神具のウサ ミミだけではとても太刀打ちできないからだ。 「うさはろう!召喚の準備よ!」「OKだみこ!」  うさはろうが召喚用のモバイルPCに変形する。召喚をPCでやるなん て何か時代の進歩を感じるわぁ〜。 「巫女装束召喚っっ!!」画面に出た召喚承認ボタンをEnterキーで返す とうさはろうの身体が光りだす。  そして、その光と共に大きく空中に跳ねた私の身体も光だし、制服が一 瞬の内に塵と消える。まあ、素っ裸になってしまうってことだけど..  この後で召喚した巫女服を装着するんだけど、裸になると決まって聞こ える声がある。 「うっひょぉぉぉぉーー♪」(何で必ず装着の時に誠一くんが覗いている のよぉぉぉー) 「巫女装束装着完了〜!」「おおっ、ティーンバニー♪」 (ぁぁっ..勝手に変な名称つけられてるし..ティーンバニーって何な のよっ) 「まあ、そんなことより今は怪人退治ね。とおっ!」  屋上から颯爽と飛び降りる大胆な私。月芭神社の巫女装束をまとった私の 跳躍力は普段の14倍となり、屋上ぐらいの高さなど平気で飛べるからだ。  誠一くんも屋上から急いで校門に向かい始める。すでに校門には特撮研 究部の2人の女子部員がカメラを回して撮影を始めてるからだ。 「衣華瀬っ、巫女がきたからカメラアングル宜しくね」 「わかってますよ、葉乃琴」  そう、私と怪人との戦いを誠一くんは特撮研究部の部長として撮ってい るので、いつの間にかゲリラ特撮扱いされているのだ。  おかげで私がどんな力を使っても、怪人がどんな攻撃を仕掛けても全て 特撮効果として片付けられてしまうみたいなのよね.. (いいのか悪いのか、何とも言えないけど変に騒がれるよりはマシかも..)  地上に降り立った私を見て、怪人の後ろに立っていた女幹部らしい女性 が高笑いをしながら叫んでくる。 「おっほほほほほほ〜、また懲りずに現れましたわね。ウサミミ巫女〜」 「ウサミミ巫女じゃないぃっ!大体、毎回懲りてるのはそっちでしょ!先輩!」 「先輩?誰の事を言ってるのかしら。おっほほほほ〜」 「亀成先輩でしょ。まったくいつも変なもの作って学校にこないでよ。も うすぐ授業なんだから自重しなさいよっ!」 「おっほほほほ〜、私は亀成なんかじゃありませんわよ。見て分かるでし ょ!いずれ、この世を征服し世界の姫として君臨するダークシスターよっ!」  へそだし、ミニスカートのエッチっぽい黒いシスター服をまとって叫ぶ 亀成先輩。  正直、特撮ものに出てくるお色気女幹部が板にあっているとこが凄いかも..  一応、相手の方もれっきとした敵であり、わけの分からない怪人を生み 出して、本気で世界征服を企んでいるのよね..  それを阻止するのが月芭神社の巫女の宿命なんだけど、ウサミミをつけ た巫女にエッチなシスター服をまとった敵とおかしな怪人のセットだと、 どう見ても特撮ものになってしまうわ.. 「とりあえず一応聞くけど、今回のその女性怪人は何なの?」 「おっほほほほ〜。よくぞ聞いてくれましたわね。これはバルカン性人! バルカンで陰毛をジョキジョキ切っちゃう怪人なのよぉぉぉぉーー」 「またしょうもないものを出してきたわね..いったい、それでどうやっ て世界征服するつもりよ..」 「おっほほほほ〜、なめてかかるとパイパンにされるわよぉぉぉーー!」 「そうね..とりあえず授業がもうすぐだから、すぐに決着をつけるわ! うさはろう!まだ計算中なの?」「もうすぐ、計算が終わるみこ!」  巫女装束から聞こえるうさはろうの声。実はこの巫女装束を装着すると うさはろうと一体化するのであった。 「巫看子!計算完了だみこ!おふだを出すんだみこ」 「わかってるわよ。アンサーアンサーアンサーアンサー!ファイナルアン サァァーー!」 「ちょっと、ウサミミ巫女!いきなりおふだなんて卑怯よっ!」  ちまちまと戦ってたまるものですか。授業が始まるんだから早期決着よっ!  私の目の前に現れたおふだを見てうさはろうが説明を始める。 「巫看子!これは”カリアゲ禁止おふだ”みこ!バリカンにはこれが一番 だみこ!」 「じゃあ行くわよぉぉぉーーー!燃えろぉぉ〜必殺ぅぅぅ〜巫女パンチィ ィィー!」  おふだの力を借りた強烈な空を裂くパンチが私の腕から発射される。  いかにも特撮パンチですと言うイメージがピッタシのように、パンチが 怪人に当たると爆発して、空高く吹っ飛んで消えていった。もちろんダー クシスターも一緒に。  決着がつくと同時に野次馬たちから感動の拍手が響きわたる。今日もい いものを見せてもらったよと常連客が親指を立ててGOOD!とアピールして きた。  いや、本当はこれ真剣勝負なんですが..特撮風に見せてると言っても 誰も信じてくれないよね..カメラも回っていることだし..はぁぁ〜。 「誠一くん。今日もいいものが撮れましたね」「今回もいい作品となりま すよ」「ありがとう、衣華瀬に葉乃琴」ぎゅっ♪誠一くんが歓喜のあまり に2人を抱きしめている。  恥じらいもなく歓喜を表すとこが誠一くんらしいけど、相手の女性の方 は勘違いしそうな気がするよぉぉぉーー。  ちなみにティーンバニーは特撮のタイトル名であり、ウサミミ巫女の名 称となっているらしい。(どいつもこいつも勝手な名前つけるんだからっ!)  こうして今日も月芭神社の巫女としての闘いが終わったんだけど、いつ まで続くつもりなのよぉぉぉーーー!  私のバニーDaysは、まだまだこれからも続きそうな感じであった。 <完>


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