第4話「霧隠ナディア、参上っ!」


 ああっ、今日こそは平穏な生活に戻りたい紅乃衣です。  あんな恥ずかしいドックレースなど2度とやってたまるものですか!  今思うと、あのお嬢様、絶対に自分の性癖ストレス解消にしているよう な気がするし、そんなに恥ずかしいことしたかったら自分の屋敷でやれっ ていいいたいわっ!  この前はたまたま、誰にも見られなかったから良かったけど、全裸でド ックレースなど自爆もんじゃない。  ぜったぁぁーーい!リベンジなんて受けないからねっ!  まあ、私も..ストレス解消出来て、新たな露出ポイントを見つけるこ とが出来たけど..リスクが大きすぎるわ。  このままじゃ、いつか本当に従姉妹のさっちゃんに迷惑をかけてしまい そうだわ。  私のせいで、さっちゃんまで変な目で見られたら申し訳ないわぁぁ〜 「ああぁ〜、さっちゃん。ごめんなさぁぁーーぃぃ」 「?ニンちゃん、何突然に謝ってるの?」「えっ、さっちゃん!?」  びっくりしたぁぁぁ〜、いきなり当本人が出てこないでよぉぉぉ〜。  まずいわ..今の謝罪をどうごまかそうかしら.. 「さっちゃん..えっと、今のはその..」 「もしかして、エリザベスさんのこと?」  ギクッ!「な・な・何でそれを?」 「今、私のクラスの間で噂になってるわよ。すごいよね。あの高貴で清楚 なエリザベスさんと知り合いになれるなんて〜」  いや、淫らで露出狂のおバカお嬢様なんだけどぉ.. 「ねぇねぇ、どんなこと話したの。どこかに行ったって聞いたから、近く の市民体育館で爽やかな汗を流しあいながら運動でもしたの?」  ええ、恥ずかしいドックレースをして、いろんな汁を流したけどね.. 「まあ..ちょっとした競技はしたけど..」 「へぇ〜、すごいよね。あんなすごいお嬢様と競い合うなんて私にはとて も出来無そうにないかも」  いや、競わない方がいいわよ。お股だけがぐしょぐしょになるだけだから。 「そういえば、スポーツの話で思い出したんだけど、この前ロシアから天 才スポーツ少女が来日したみたいなのよ。日本人とのハーフなんだけど、 テニスから水泳・陸上まで、あやゆる競技で天才ぶりを発揮してるみたい なんだって」 「へぇ〜、ロシアって結構、スポーツ万能な子が多いよね」  どっかのイギリスお嬢様と大違いよね。出来たら、こういう子と知り合 いになりたいわ。 「ただ、このロシアの天才スポーツ少女が泊まってるとこは不明らしいな の。用意したホテルを全て断って心身を鍛える為にどっかで修行してるん だって」 「すごいね〜。知らない土地で修行だなんて真似出来ないわ」  一緒にあのお嬢様を連れてってもらって、心身を鍛えて欲しいとこだわ。 「そういえば、そのロシアの子もすごく印象ある名前だったよ..えっと、 エリザベスさんと同じで忍者っぽい苗字だったわ」 「!忍者っぽい..」(ま・まさか..ただの偶然よね) 「えっと、霧隠だったわ。霧隠ナディアって言ってたわ。ん?どうしたの ニンちゃん、急に床に手なんかついちゃって?」 「いや..ちょっと立ちくらみしちゃって..」 「大丈夫?」「ええ、大丈夫..もう平気だから..」  霧隠って..思いきりっ、危険人物っぽいじゃないのっ!  冗談じゃないわっ!これ以上、おバカを増殖させてたまるものですかっ!  とりあえず、今日は本当にルンから逃げたほうがいいかも知れない。  ルンと一緒にいたら、何かが現れそうで怖いから。  そう決意し、放課後ルンの隙を見て校舎横の塀から逃げ出す私。  正門や裏門じゃ、先回りしてそうだし..おバカお嬢様が現れそうだしね。  何とか無事に学校から逃げられたけど、このまま家に帰った方がいいかな。  でも、何か家の前に居そうな気もするし、ここはルンの裏をかいて、この 前、ドックレースをしたとこに行ってみますか。  土手に降りて、ルンの気配を気にしながら、ドックレースをしたとこへ 向かう私だけど、自分自身に1つ言いたいことがあった。  何で素っ裸で露出してんのよぉぉぉぉぉーーー!  まあ前回、露出しそこなった悔しさがあったから、ついつい服を脱いで 4つんばいに移動することになったけど、これでルンに見つかったら、言 い訳出来ないよね..(とほほ)  草むらの中をおっぱいを揺らしながら目的の場所へ向っていくと何故か この前には無かったテントがあった。 (えっ?もしかして住所不定の方がここに越してきた?まさか霧隠?)  いや、もし霧隠だったら、私は相当大間抜けかも..ここは遠くから様 子を見るとしますか..  私が様子を見ているとテントから初老の外国の男性が釣竿を持って出て きた。 (あっ、もしかしたら本当に住所不定の..そうよね。あんな偶然がつづ くわけないか..)  川に釣り糸を投げて次々と魚を釣り上げる初老の男性。ここって意外に 魚が良く釣れるのかしら? 「お嬢、大漁ですぞ。これだけあれば3日は持ちますぞ〜」「でかしたぞ。 セバ・スチャン」  セバ・スチャン?あの初老の男性の名前なの?何か執事っぽい名前よね。  それにしても、お嬢ということは中に女性が住んでいるのかしら? 「この辺りは食べられる草も多いので嬉しいことですな」「うむ、鳥もよ く捕れるし、いうことないな」  おいおい、何か本格的な狩猟生活してるんですか..何なのよ。あのテ ントの人たちは..  まあ、一つだけ言えるのは例の霧隠ではなさそうよね。  いくら何でもロシアから来日したスポーツ選手が土手でテント生活する わけないしね。  ひと安心した私だが、まさかこの後ですごい騒動が起こるとは思わなか った。  そう、ふと土手の上を見ると、いかにも危険を感じるような黒い高級車 が次々とやってきて、そこから車に合ういかにもって言う人たちがいっぱ い降りてきたのだ。 「いたぞ!例のじじいがぁぁぁーー!一斉に潰しにかかるぜ」 「取引を邪魔した上に資金まで奪った借りを返してもらうぜ」  えっ、ええぇぇっ!ちょっと待ってぇぇーー。急に変な展開になってき てるじゃないっ!  ちょっと、こんなのどかなとこで抗争なんてやめてよぉぉぉーー!  ここは血なまぐさい事件が数年も起こったことない平穏なとこなんだか らぁぁぁー  それに今の私って素っ裸じゃないぃぃぃーーー!  ああぁぁっっ、後悔満点だよぉぉぉぉぉぉーーーー。
第4話後編
 けど、すでに逃げられる状況ではなく、大勢の男たちが私の目の前でテ ントと老人を囲んでいて、かなり緊迫した雰囲気になってしまったのだ。 「これは、ちと参りましたなぁ〜。どうします?お嬢」「あんな取引は世 のためにならぬ。資金などあるから下らないことをするのだ。あれは我が 道場設立に有効に使わせてもらうぞ」  道場設立?ちょっと人から奪ったものでそういうのをするのは不味いん じゃないかな.. 「セバ・スチャン。こやつらに元・K●Bの恐ろしさを教えてやれ」 「御意!」  K●Bって..それって、確かソ連の?  嫌な予感がし始めた私の目の前で初老の男性の身体の筋肉がすごい勢い で盛り上がってきたのだ。  一瞬にして服を破りながら、ボディビルダー真っ青のマッチョな姿とな る初老の男性、セバ・スチャン。  そのセバ・スチャンが肩慣らしに近くにあった大岩を一瞬にして粉々に してきた。 「ふむ。手加減はしたつもりじゃが..まあ、半身が飛ぶことは覚悟さな れいぃぃー!」  1歩1歩歩くたびに、地面の石まで粉々にするセバ・スチャンを見て、 男たちが一斉に逃げ始めた。  いや、あれは逃げた方が正解かも.. 「お嬢、彼奴ら尻尾を巻いて逃げていきましたぞ」 「ふんっ、くだらん..最初から逃げるぐらいなら来るなと言いたいな」 「そうですな」 「セバ・スチャン。夜討でもされても面倒だ。先に本拠地を見つけて、適 当につぶしておけ」「御意」  ああぁぁっ、何かぁぁ〜すごい会話をしてるんですかぁぁぁーー!  私ったら、どんでもないとこに出くわしてしまったのかしらぁぁーーー  ここは一切見なかったことにして立ち去るのが正解ねっ。(うんうん)  そう思い、そっと逃げ出そうとした私だったが、どうやら手遅れだった ようだ。 「セバ・スチャン。子鼠が逃げ出そうとしてるぞ」「そうですな〜」 ・・・やばっ。すでに見つかっていたのね。ちゅーちゅー何て言ってもダ メだよね。  とりあえず、見つかった以上は素直に言って逃がしてもらった方がいい かも。第一、さっきの人たちとも無関係なんだから。  恥ずかしいけど、全裸のままで立ち上がり、言い訳を始めるしかなかっ た。(全裸って、めちゃくちゃ怪しい女だよぉぉぉーー) 「あ・あの〜、すいません。たまたま、ここに来ただけで、さっきの人た ちとは全く関係ないんですっ」(ぁぁ..どうか通じますようにぃぃーー) 「そんなのは初めから分かっている。この霧隠、そこまで落ちぶれてないわ」  !!霧隠ぇぇぇーー!やっぱりぃやっぱりぃぃーー嫌な不安が的中して しまったよぉ〜  頭をかかえてクラクラしてしる私の前に、ようやくテントの中から話し ていた女性が出てきたのであった。  ただ..ちょっとイメージしていた子とかなり食い違っており、ちんま りとした中学生のような可愛い外国の女の子であった。 「!なんだ、その姿はっ!さては私がガキだと笑ってるな!胸がでかいか らって、見せびらかしているつもりか?」 「別に私はそんな風で出してるわけじゃ..」  って言うか、全裸でいること自体に突っ込まないつもりかしら.. 「この霧隠ナディア、おっぱいは小さいが下はお前なんかより立派に生え ているんだぁぁっ!」  いや..そう強く言わなくても..大体、中学生の時に生えてくるでしょ.. 「その目つき、信じてないな。いいだろう、この立派な生えぶりを見て驚 くがいいっ!」  って人前でジャージを下ろすなぁぁぁーーー!下着も下ろすなぁぁぁー! だぁぁぁぁぁっ、この子もやっぱ、相当ズレてるわぁぁぁぁぁーー!  今さっき会ったばかりの私に自分の丸出しの下半身を見せ付ける女の子。 「どぉぉーだぁぁ!ぐうの音も出ない見事な生えぶりだろぉぉーー!」 「・・・・えっと、確かに見事だけど..生えぶりと言うよりはツルツル ぶりなんだけど..」 「ツルツル?えっ?」私の言葉を聞いて慌てて縦すじの割れ目がくっきり 出てるツルツルの恥丘を見るナディア。 この子は一体、私に何が言いたいのだろうか.. 「・・・セバ・スチャン、聞いていいか..」「はい?何でしょう、お嬢」 「昨日までは立派に生えていたはずなんだが..」 「はははっ、この私が大の剃毛好きだと知っていますでしょう。お嬢」 「剃ったのか..」 「はははっ、ここまで我慢して伸ばした甲斐がありましたぞ。久々にいい 仕事をさせてもらいましたぞっ!」 「き・きさまぁぁぁ〜、また剃りやがってぇぇーー!ここを剃ったら私 が高校生と言えないじゃないかぁぁぁーーーー!ああぁぁぁっ、それも! こんなにツルツルにぃぃーーー」 「はははははっ!このセバ・スチャン。うぶ毛1本すらも見逃しませんぞ ぉぉぉぉぉーー」  バキィィィーーーンン!!ドカァッゴロゴロゴロォォォーー!!  屈強な身体の持つセバ・スチャンが、ナディアの強力な蹴りで舞い上り、 そのまま10m先まで転がっていってしまった。  って言うか、このナディアって子、もしかして凄く強いじゃないのよ! 「さすが、お嬢。筋肉の硬度だけ上げましたな..」 「黙れっ、お前に霧隠の技を教えたのはこの私だ。筋肉を盛り上げなくて も強度など簡単にあげられるわっ」  ちょっと、ちょっとぉぉぉーー。このナディアって子。めちゃくちゃ忍 者らしいことをしてるよぉぉぉーーー!何か別の意味で危機的な状況にな ってる気がするよぉぉぉーー (正体がばれないようにしなくちゃ..私はただの女子高生なんだから.. あんな子と勝負なんてしてたまるものですか) 「あ・あのぉ..そろそろ私、用事があるので帰っていいでしょうか..」 「構わぬが..私の目が節穴だと思ったか?」「えっ?」 「お前、服部 紅乃衣だな。あの鳶加藤を倒したという噂は聞いておるわ」 「えっ..何で私の名前を..」  って言うか、どんな噂が流れているのよぉぉぉぉーーー!そっちの方を 詳しく教えて欲しいよぉぉ〜。 「この霧隠の力、鳶加藤とは一味違うからな。そこは理解してもらうぞ」  いや..あのバカお嬢様は私と同じで忍術まったく出来ませんので..  ううぅ..どーしよー。このままじゃ本物の忍術対決に巻き込まれそう だよぉぉーー。 「ふふっ、服部 紅乃衣。武者震いか..まあ、この霧隠秘術、筋肉増幅 術を見れば仕方ないか..」  ただ震えてるだけなんですか..おバカな勝負もお断りだけど、真剣勝 負もお断りだよぉ〜。 「お嬢っ、相手はどうやら怯んでおりますぞ。何せ、お嬢の筋肉増幅術は 筋肉を盛り上げなくても出来ますからなぁぁ〜!ははははっ」 「うむ、その通りじゃ!」 「ただしっ!!たとえ盛り上げても、おっぱいだけは脂肪なので膨らみま せんからっ!残念っっっっっ!!」  ブンッ!!ヒュュュ〜〜、ドカァァァァァァーーーンンンッ!  力いっぱい残念がるセバ・スチャンの上に大きな岩が落ちてきたのは言 うまでもない。  しかし、このセバ・スチャンって人、本当に元・K●Bなのかしら.. 「うるさいっ、うるさい!ここはまだ成長過程なのだぁ〜。いずれは大き くなる予定だっ」 「ははははっ、お嬢、安心なさってください。この国は貧乳を好むものが 山ほどおりますぞ!つるつる割れ目と合わせれば、まさに最強ですぞっ!」  バキィィィィーーーー!!  今度は凄まじい空中飛び蹴りが炸裂し、セバ・スチャンが吹っ飛んでい った。 「胸のことはともかくっ!服部 紅乃衣、お前を倒してロシア忍者のすご さを世界に知らしめてやるのだ!」  って私を倒しても意味無いわよっ!私はごく平凡な女子高生なんだから!  ああっ、今回も変な展開になってきちゃったよぉぉぉぉーーー。


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