第2話「桂、恥辱の賭けに..」


 安希によってとんでもない生番組に出ることになった桂。  実は今回の”ドキっと健康”は、安希が全てセッティングしたものであ り、何とその番組費用も全て安希が自腹で出していたのであった。  プロデューサーも、そこまでする安希の行動に少し怖さを感じていた。 「安希ちゃん、本当にこのままやっていいのかい?」 「ええ、その為にあの女の出演料もあたしのポケットマネーで出してあげ たのよ。文句ないでしょ?」 「まあ、うちはあんな大物呼べねーから助かったけど今回いくらかけたん だい?相当な額だろ?」 「問題ないわよ。あの女を堕とせるならいくらでもかけてやるわよ」 「・・・・あんただけは敵に回したくねーな」 「ふふっ。おしゃべりはそこまでよ。ほらもう時間よ。生なんだからやば いわよ」 「そうだ。そうだ。タイトル流さなきゃ」  時間は午後11時になりTV東*の画面には音楽と共にタイトルが流れ てきたのだが何とそのタイトルはいつもと違うのが出てきたのであった。 <飯塚 安希のドキっと健康 −桂の恥ずかしエステ体験−>  始まると同時に視聴率はどんとあがり、その第1報が岡上の耳に届けら れた。 「な・何ーー!!もう20%いったのか?おい、番宣はしてないのになん でそんなに数字が?」 「ふふっ。あたしが口コミとネットで広げたのよ。今ごろ全国の百合谷フ ァンやアンチ百合谷の連中が録画をセットしている頃ね」 「一体、どんな事を流したんだ?こ・こんなに数字が取れるなんて..」 「まあ、いろいろよ♪ふふ」  安希はにっこり笑って言った。一方、当の桂は何も知らず台本どおりの 進行をしていたのであった。 「こんばんは。百合谷 桂です。今日はお肌が綺麗になると言う有名なエ ステ・サロンに来ています」 「今日は1時間、私がエステでどれぐらい綺麗になれるか体験しますので 見て下さいね」  桂はさっそく水着姿に着替えてエステの体験コースを始めていった。  まずは軽くサウナに入り汗を流して冷水のバスに入る。  その後、泡つきのプールに軽く入り体をリラックスさせ、プールを出た あとはバス・ローブを着て軽い休憩に入った。  そう、ここまでは何ら普通の映像であり、安希が仕組んだ割にはやけに ごく普通の映像ばかり流れていたのであった。 「あのー安希さん。これって普通のエステの映像じゃ?」 「ええ、普通よ。始めから変なのをやれば、あの百合谷はすぐ気付くわよ」  そう、安希は桂が警戒しているのを前もってわかっていた。  相手は仮にもハーバード大学を卒業している才女アイドルであるゆえ、 下手な手を打てばたちまち化れてしまうからであった。 「ふふ、これはあなたが好きな知恵比べよ。クイズの様にはいかないわよ」  今の所、不信に思わない桂はマッサージの部屋に通された。  マッサージの部屋にはアロマテラピーの香りが充満しており、桂はその 香りを少し嗅ぐととろんとした表情をした。  そんな中、女性のエステティシャンが3人現われ、その手には泥エステ で使われる泥を持っていたのであった。  本来、泥エステだと水着から使い捨ての下着に着替えるのが普通だが、 桂のわがままで水着のままで行う事が決まっていた。  エステティシャンは桂をベットに寝かすと全身にペースト状の泥を塗っ てきたのであった。  もちろん、顔には一切の泥を塗らないおかしなエステでもあった。  泥を塗ってる中、1人のエステティシャンが桂にある事をそっと小声で 聞いたきた。 「ねえ?どうしてこんな吸水性の悪い水着を着てるんですか?これじゃエ ステの効果は出ないですよ」 「出なくてもいいわ。どーせ、私の水着姿がこの番組のメインなんだから..」 「でも、エステは気持ちいいものよ。番組なんて忘れて楽しんだら?」 「うるさいわね。楽しめるわけないでしょ!こっちは頭がガンガン痛いっ ていうのに、気持ちよくなるわけないでしょ!」 「・・・頭が?ふ〜ん、じゃあ1つ私とカケをしない?」 「カケって?」 「今からエステを始めるけど、もしも貴方が少しでもリラックスしたと判 断した時はうちの指定の水着を着てもらうのはどうかしら?」 「指定の水着?」 「ええ、下着に着替えるのは抵抗あるんだったら、せめてうちの指定の水 着を着て欲しいんだけど、駄目かしら?こんなカケは..」 「・・・ふっ、リラックスね..こんなに気持ち悪いのが治れば構わない わよ」 「そう♪じゃあ交渉成立ね。リラックスしたとわかった段階で貴方にはう ちの水着を着てもらうわよ」 「ええ、どうぞ。リラックスなんて無理だけどね」  泥を塗る間に小声で約束された賭け事。桂はこの賭けに負けるとは思っ てない。  何せ、さっきからヒドイ頭痛と悪寒が襲っていたからであった。  そんな中、泥を塗り終わたエステティシャンたちは、それぞれ分担して うつ伏せになっている桂のマッサージを始めたのであった。  始めは泥を塗られるだけで嫌悪感で嫌な顔をしていた桂だが徐々にその 泥状のヌルヌルとした感触に心地よくなっていた。そう、泥の感触とは違 い何かオイルを塗られる感触にも似ていた。  そしてエステティシャンの絶妙なマッサージも上手で桂の身体はだんだ んと火照ってくる。  そんな桂の変化をスタジオの方で安希が微笑みを浮かべながらプロデュ ーサーの岡上に話し掛けたのであった。 「ふふっ。これからいい画が撮れるわよ。岡上ちゃん」 「おお、何かすげーな。マッサージであんなにいい顔するんだな?」 「それは当たり前よ。あの泥、あたしが頼んだ特殊な泥だもの♪」 「特殊な泥?」 「ええ、あれにはね。たっぷり媚薬が仕込んであるのよ。それと部屋のア ロマテラピーにも特殊な媚薬調合がしてあるのよ」 「媚薬かよ。すげー事やるよな。安希ちゃんは」 「まだ、驚くのは早いわよ。あの3人のエステティシャンはね。私が雇っ た腕利きの女性専用の性感エステティシャンよ。どの子も最高級の腕を持 っているわ」  ごくっ。「お・おい。それじゃ、この後はあの子の...」 「ふふっ、そうよ。あの子の楽しい一面が見える番組になるのよ」  安希が笑うブラウン管の先では桂が徐々に変化を見せ始めてきた。 「はぁ・・・はぁ・・・・」  桂の口からついに甘い吐息が出てきてしまう。  本人は一応抑えてるつもりだが、自然に口が開き軽い喘ぎを出していた のであった。 (こ・このエステティシャンすごい上手・・・身体が熱いわ・・・)  だが、エステはここでいきなり中断されてしまった。 「・・・?あ・あの..どうして止めるんですか..」  桂は急に止められたエステに疑問を抱いて、彼女らに聞いてきた。 「ふふ、忘れたのですか?リラックスした時はどうするかを?」 「・・・・・あっ・・・」 「今、頭痛はひどいかしら?気持ち悪いかしら?」 「・・・・・!?」(おかしい..頭痛も悪寒も全然消えてる..?) 「その感じだと消えている感じね」 「ええ..」  桂は頭痛や悪寒が全て消えていることに、かなり驚いていた。  今までだったら薬でもそう簡単に治まることがなかったからである。  痛みが全て消えていることによって少し和らいでいた桂。  そんな桂を見てエステティシャンが映しているカメラに向かって視聴者 向けにある説明をし始めたのである。 「TVのみなさ〜ん、やはり今の水着ではエステの効果がないので1回、 百合谷さんには当店指定の水着に着替えてもらいたいと話していました。 そうですよね?」 「は・はい。話していました..」 「じゃあ、話しがまとまったとこなので着替えてくれますよね?」  エステティシャンは桂に向かって目で軽い合図を送った。  どうやら賭けの事を隠して、ごく自然な流れとしてエステティシャンの 方が桂に気配りしてきたのであった。  桂もそんな気配りが気に入ったのか素直にエステティシャンに答えてき た。 「はい..着替えます..どこで着替えたらいいでしょうか?」 「今は生収録だから、そこの右手に見える簡易更衣室を使って」 「えっ?あそこで着替えるんですか?」 「駄目かしら?」 「いえ..大丈夫です」  普段の桂だったら文句を言うところだったが素直に簡易更衣室へ入って しまう。  部屋に設置してある簡易更衣室は良くデパートにある試着室にあるのと 同じで1枚のカーテンで遮るだけの簡単なものであった。  カーテンを閉めてその中で素直に着替えを始める桂。  そんな桂にエステティシャンが最初の罠を仕掛けようとしていた。 「あの〜百合谷さん。中、暗くて着替えにくいと思いますので手前にある 明かりをつけて下さいね」 「はい。手前のこれですね」  桂は何の疑問も抱かぬまま素直に簡易更衣室の中の明かりを付けてしま う。だが、これが罠であった。  中でつけた明かりの強い光によって更衣室の手前の薄いカーテンを透か してしまったのであった。  明かりをつけると同時に桂のシルエットがはっきと浮かんでくる。  それも横向きで着替えるように更衣室が設置してあるため桂の身体のラ インが綺麗に映っていた。  才女アイドルとしての普段の桂なら、これぐらい考えればわかることだ ったが今回はそれに気づくことがなかった。  そして、そのまま素直に水着を脱ぎ始めてしまう。  視聴者が見ているTV画面には、その様子が映し出され字幕スーパーで 【百合谷 桂の生着替えタイム】が大きく入ったのであった。  水着をすんなりと肩から下ろし始める桂。  下ろされる水着の中から大きくこぼれる2つの豊満な乳房。  横向きで映っているシルエットには上下にぷるんぷるんと震える乳房の 丸みの曲線がはっきりと見えており、TVを見ている視聴者を盛り立てた。  始めはサポータか下着を着けてると思った視聴者だが丸みの曲線の先に ある突起部分までもがシルエットとしてうっすらと映っているため桂が何 も付けていない事を確認することが出来たのであった。  シルエットに映る手は下の方へ向かっていく。  今度は下の水着が彼女の腰を通り過ぎ足元へ一直線に下ろされていく。  簡易更衣室のカーテンは下の方が20cmばかり空いてる為、足元が見 えるカーテンの下側には桂の脱いだ水着がするりと落ちていくのが見えた。  当然、TV画面にもその部分がクローズアップされ、ブラウン管の外で は視聴者が歓喜を挙げていることであろう。  これだけでも美味しい絵柄なのだが、この後さらに凄い絵柄がTV画面 に映し出されようとしたのであった。  何とエステ側で用意した水着を取ろうとして思い切りしゃがんてきたの だった。  そう、実はしゃがまないと取れないようにエステ側で、わざと床の片隅 の網かごに水着を置いていた。  これも普段の桂なら気づく罠だが素直にしゃがんでカーテンの下側から 見事なラインのお尻を出してしまった。  もちろん桂自身は気付かないで、その状態で籠から水着を取って立ち上 がった。  TVの前で生尻をちらりと見せてしまった桂。そんな桂の様子をスタジ オの方ではプロデューサーの岡上が興奮しながら安希に話し掛けたのであ った。 「すごいよ!こりゃ最高なシーンだよ。安希ちゃん!」 「すごいと言っても、たがが横向きのお尻でしょ?そんなに良かったの?」 「横向きでも最高だよ。けど、言われてみるとそれほど凄くもないかもな..」 「ところで今の画、モザイクかけたの?これ生なんでしょ?」 「モザイク?安希ちゃん、たががお尻ぐらいじゃモザイクはかけないよ」 「そう?まあコマ送りでもしなければ気にすることはないか..」 「えっ?どういう事だい?安希ちゃん?」 「あの子がしゃがむ時、黒いものがチラリと見えたわよ。岡上ちゃん、も しかしてお尻ばっかり見ていたの?」 「本当かい?それは、ちょっとまずかったな」 「あとカーテンの隙間からも乳首が見えたのに、ズームアップしなきゃ駄 目じゃない?」 「そうなのか?そりゃ千載一遇のチャンス逃しちゃったかぁぁ〜」 「まあ、乳首なんてその内見放題になるけど、やばいとこも映るかも知れ ないから、画像処理担当には、ちゃんと釘をさしといてね」 「釘をさすって..まさか、そういう画までこれから出るってことかい!?」 「当然よ♪生だから下手すれば、とんでもない卑猥なものまで映っちゃう わよ」  ごくりっ。「・・・・・・」  安希のとてつもない計画に息をのむプロデューサー。  果たして安希の言葉通り、桂はこの番組内でそこまでの恥辱な姿を流し てしまうのであろうか..


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