「夏休みの宿題やった?」-2


「ふぅ……一冊目終了……」
 定期等に解答を間違えながら全ての解答欄を埋めた英語の問題集を放り出すと、あたしはそのまま後ろへと倒れこんだ。
 暑い……窓際って一番直射日光を浴びてるよぉ……
 カーテンを閉めれば風は入らないし、扇風機は熱風をかき回すだけで役に立っていない。女三人と男一人の体温でサウナと貸した室内で勉強するのが、こんなに辛いとは思わなかった。問題集には数え切れないほど汗の雫が滴り落ち、服の下はパンツまで湿るほど湿気が溢れかえっている。
「そういえばお昼過ぎてるのね。そろそろ休憩にしよっか」
 勉強の邪魔になると言って長い髪の毛をポニーテールに縛って黙々と数学の答えを写していた美由紀さんが顔を上げる。
 結構集中していて、いつの間にか時計は一時過ぎを指していた。おひるの時間を忘れられていたお腹は、今がその時だとばかりに胃袋を締め付け、うなり声に似た音を響かせている。
「う〜……こんなんじゃ外にも出たくない。シャワーでも借りよっかな……」
「それじゃあみんなでお昼ご飯にしましょ。買い物は私が行ってくるから」
「美由紀さんて体力あるねぇ……」
「そりゃもう。鍛えてますから」
 とりあえず午後の勉強はご飯を食べて、少し涼んでからだ。そう決めて体を起こすと、なぜかケイトの姿が無かった。
「ケイトは? さっきまで来生に数学を教えてもらってたよね」
「そういえば……トイレに行くって出て行って、それっきり戻ってこないわね」
「ふ〜ん……それってもしかして」
 ケイトが不意にいなくなるときと言えば、たいていナンパされた時だ。そして戻ってこないところを見ると……
「また…みたいね」
 まったく……クラスメートにまで手を出すなんて何を考えてるのよ。それに課題の問題集を一冊も終わらせて無いって言うのに。
「こうなったら呼びに行くしかないわね」
「あ〜…けどさ、美由紀さん? ケイトが男の子と一緒にいるって言うのはつまりその……つまりそういう事をしてる可能性が非常に高いんだけど……」
「だから見に行くんじゃない」
 うわ、美由紀さんてば夏休みの間に性格変わってる! これが夏の魔力か……恐るべし。
「人はやっぱり刺激に飢えている生き物なのよ。日常生活ではありえない非現実的なスリルがサスペンスになってラブストーリーは突然に始まり燃え上がるようなロマンス! 王道はこうでなくっちゃ!」
 どういう王道なのよ、美由紀さん……ま、この部屋の暑さじゃ頭が少々おかしくなっても仕方が無い。あたしも涼みに下に降りようかな。
 そうと決まれば膳は急げだ。搾れば汗が滴りそうなワンピースの胸元をパタパタと開いて胸の谷間に空気を送り込みながら立ち上がると、あたしと美由紀さんは一階へと降りて行った。
「さて、来生の奴とケイトはどこに――」
「しっ。黙って」
 一階に降りた辺りから、どうも美由紀さんの動きがおかしい……と言うよりも素早い。廊下の壁に背を貼り付けると、耳を澄ませば聞こえてくる荒い鼻息の聞こえる方へとにじり寄って行く。
 ―――今日の役どころは女スパイか。髪を上げてるからなかなか似合ってるなぁ……
 とりあえず役になりきって様子を伺う美由紀さんがジェスチャーで壁によれと合図をしているから従い、身長に首を伸ばして声の聞こえてくる部屋を覗き込むと……いた。
「ケイト……それ、すげ…うあっ……!」
「んっ、喜んでもらえて、嬉しいです、ネぇ……ケイトのおっぱいの中で、おチ○チンが跳ね回ってるですネ…♪」
 うわ…しかもパイずりしちゃってる……スゴくダイナミックに……
 思わず凝視してしまうほど大きな動きでペ○スをはさみ、扱き上げるケイトのパイずりに、あたしか、それとも美由紀さんか、どちらとも知れない唾液を飲む音がやけに大きく聞こえてしまう。
 狭い脱衣所の中では、乳房の下側の丸みが見える程度にたくし上げたケイトの胸の間へ、壁にへばりついた来生のペ○スが出入りを繰り返していた。膝と腰を使い、汗を捨て服が張り付いた背中と腰のラインをいやらしくくねらせるたびに、潤滑液代わりの大量の汗を全体にまとわせたペ○スが谷間から抜けないギリギリのところまで引き抜かれ、ケイトのいたずらっぽい笑みに見上げられながら大きな乳房の間へ飲み込まれていく。
 この夏、何度かケイトのパイずりは横で見せてもらったけれど、感じる男を弄ぶようにペ○スを包み込んでイく。来生のアゴが上がり、ここからでもペ○スの根元が痙攣しているのが見て取れるけれど、こうしてペ○スに触れ合う時間を一秒でも長く味わうかのように動きを緩め、タンクトップに包まれた胸の膨らみにペ○スをはさんだまま柔らかい体を来生の腰に摺り寄せて、ヘソから腹筋へと唾液まみれの舌を舐め上げさせていく。
「や、やばいってそれ。…うあっ……舌が……」
「んっ……来生クン…逞しいですネ……ケイト、一番好きなのたくやちゃんですけど、来生クンのも結構好きかもしれませんですネ……♪」
「ああっ……で、出る……お願いだから、もう射精させてくれぇ……!」
 壁に指を食い込ませ、直立不動で快感に耐える来生。ガリ勉かと思いきや無駄の無い腹筋を唾液で嘗め回したケイトはその様子を見上げてクスッと笑うと、
「じゃあ……ケイトがイかせてあげちゃうですネ……♪」
 乳房が歪んで潰れるほど来生の腰に自分の体を押し付けて、タンクトップの丸い胸元から飛び出してきたペ○スの先端を唇へ加え、音を立ててすすり上げ始めた。
「ズズッ…んっ……ぴくぴくして……可愛いですネ……あムっ…んうぅ……んんんッ……」
 自分の胸の谷間へ顔をうずめるように、ケイトは大きな来生のペ○スの先端を頬張りながら胸を上下に揺すりたてる。
 脱衣所からはあまりにも淫靡な水音が響いている。汗にまみれた乳房とペ○スが擦れあう音、口の中で亀頭を弄んで唾液をはぜさせる音、そして、空いた手を短パンの中に差し込んで興奮した割れ目をかき回すケイトのオナニーの音……それらを見聞きしている内に、あたしのノドはカラカラに渇き、何度も唾を飲み鳴らしながら、擦られるたびに赤くはれ上がっていくような来生の逞しいモノに目が釘付けになっていく。
「んっ………あっ………」
 こんなのを見せられて、あたしの体が疼かないはずが無い。人差し指と中指を揃えて唇へと差し入れ、滴り落ちるほどの涎を纏わり付かせると、膝まであるワンピースのスカートをたくし上げ、疼いている割れ目へ下着の上から擦りつけた。
「んっ………ハァ……んっ………んっ………」
 二人に気付かれちゃいけない……けれどそう思えば思うほど、抑圧された心が興奮を覚えてしまい、ケイトのパイずりのり済みに合わせて指を動かしているとあたしのそこへもおチ○チンがこすり付けられている、そんな気分になってしまう。
「あたし……ハァ……ハァ…………んっ!」
「ケイト、イくよ、出る、出るぅ〜〜〜〜〜!!!」
 来生が初めて壁から離れて、体を折った瞬間に、張り詰めた肉棒からケイトの唇へ大量の精液が勢いよく噴出される。その直前に軽く達したあたしは、ケイトの唇からあふれ出た濃厚そうな白濁がタンクトップの下でパンパンに張っている乳房へとこぼれ落ちていく光景を目に焼き付けると、首を引っ込めて来生がそうしていたように壁へ背中を押し付けてしまう。
 あたしの体の至る所から汗が吹き出ていた。床にも汗の雫が何滴も飛び散っていて、慌てて足の裏で踏んで誤魔化すと、背後からケイトの声が聞こえてきた。
「ア〜ン、ケイトのおっぱい、来生クンのザーメンでべとべとになっちゃったですネ。これ、どう責任とってくれますカ?」
「せ、責任って……」
 おいおい、ここまで唾を飲む音が聞こえてきちゃったよ……けど、胸だけで責任を取らされるなんて事になったら、あたしなんて……
「このままじゃたくやちゃんのところへ戻れませんですネ。だから体洗いたいからシャワーを浴びたいですネ♪」
 ………あ、そういう事か。さすがに汗だくだったから、シャワーを浴びて涼んじゃおうと。―――あたしも……ちょっとぐらい汚れちゃおうかな……」
―――チョンチョン
「!?………あ、美由紀さん……」
 肩を突付かれ何事かと顔を向けると、美由紀さんがいたずらっぽい笑みを浮かべてあたしの顔を覗き込んでいた。
「相原君、戻るわよ」
「戻るって……上の部屋に?」
「いい事思いついたから。来生君に気付かれる前に」
 そ、そういえばそうよね。クラスメートの家で覗き見しながらオナニーしてたってばれたら、新学期から変態のレッテルを貼られちゃうかも……
 最後にちらりと覗き込むと、着すぎは床に座り込み、全裸になったケイトがその横を通り過ぎて浴室へと入って行っていた。この分だと二回戦はすぐにはなさそうだし……大丈夫かな。
 そして身長にその場を離れたあたしは、美由紀さんと一緒に勉強部屋へと戻っていく。けれど、あたしの目には来生の大きなおチ○チンの姿が焼きついていて、少しだけ後ろ髪を惹かれる思いがしたのは……黙ってよう。



「実はさっきブレーカーを見に行ってたんだけど、この部屋のエアコンだけ電源が落ちてたのよ」
「え……それじゃあエアコンが動くの!?」
「ブレーカーを上げてくればね。けど……これ、何だと思う?」
 部屋に戻り、作戦会議よろしく顔を寄せ合った美由紀さんは、一本の小瓶を取り出した。
 それは近所の薬局で売っている精力剤だ。あたしも明日香やケイトとエッチする前にお世話になったことがあり、一本飲むだけでかなりの効果が現れる上に良心的な価格でかなりのお買い得品だ。
「この便が十本近く、台所に捨ててあったのよ。しかも、あれは今日、二・三時間前に飲んだものね」
 ―――なんだ? 今日のみ雪さんは女スパイじゃなくて女探偵?
「ここから推測されるのは唯一つ……来生君、今日は相原君とキめるつもりだったんじゃない?」
「………………………は?」
 キめるって……美由紀さん、少し下品……
「見て。ベッドの上には新品のティッシュ。枕の下にはコンドームが1ダース。ここまで準備万端、けど隠し方が甘いってことは……」
「あ、あたしが電話してから準備したって事? しかも犯る気満々!?」
「しかもエアコンが壊れているといって女の子を汗だくにさせ……さすが優等生は考えることが違うわね」
 な…なんて事考えてるのよ……アイツはあたしが男だって知ってるでしょうにぃ!!
「普通、女の子から家に行きたいって言えば当然そういう事を考えると思うけどね。でも来たのは私たち三人だし、宿題見せてくれって押しかけたら、さぞ行き場に困ったでしょうね」
「何の行き場に困るって言うのよ」
「性欲。それに時期が時期でしょ。学園生活最後の夏休み。勉強だけで終わらせたくない。休み明けの友人たちの大人びた余裕! 今年こそ、ああ今年こそ愛しの彼女と一夜を共にし、大人の階段を三段抜かしで駆け上がってやる!……って思ってたけどそうそう上手く行くはずも無くて、新学期が間近に迫ったちょうど今が焦り捲くってる時期って訳」
 それは……まあ、あたしも一年の時にそんな事話をしてたっけ。二年のときは………明日香は大丈夫だけど、ケイトに下手に口にされたらあたしの平和な学園生活は終わりそうだ。それに今年はそれ以上だからなぁ……
 けど、あの優等生の来生までそんな事を考えてるなんて思いもしなかった。そりゃ女の色気で誘惑して宿題を見せてもらおうとしたけど、本番となるとまた話は違ってくるし……
「さて、ここからが本題なんだけど、大人の階段を選考してる私たちはどうすればいいと思う?」
「…………それって来生とエッチするって言う意味じゃないでしょうね。あたしはイヤよ。クラスメートとエッチして変な噂が立ったら明日香に半殺しにされるもん。ただでさえ情報魔の由美子が同じクラスなのに」
「けど、それも条件によりけり…じゃない?」
「……お金でも取るの?」
「まさか。私は体を売ったりしないわ。相原君だってそうでしょう?―――だけど親切心から勝手に行動してくれるとなれば話は別よ」
「それは……もしかして……」
「私たちに残された時間は少ないの。それなら有能な人にしてもらった方が何かと……ね♪」
 う〜む、美由紀さんって結構策士だ。けど具体的にどうすれば……っと、来生が階段を上がってきた。ど、どうすれば……こういう時の美由紀さんに同意したらややこしい事になりかねないんだけど……
「アドリブで行くから、私が何かしたらそれにあわせてね」
「その前にあたしの話しを――」
「残念ながらタイムアウト。それじゃよろしく♪」
 あう〜…ウインク一つで無理やり了承させられた……仕方ない。美由紀さんがケイトと何もなかった風に装って戻ってきた来生にどうするか、とりあえず見るしかないな、こりゃ……


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