A)たくや・美由紀ルート−1


「あのさぁ……やっぱりこれ着て泳がなきゃダメ?」
 美由紀さんに手伝ってもらって水着に着替えたあたしは、ホテルを出てビーチに向かう途中で足を止めてしまう。
「今更なに言ってるのよ。せっかく気合入れた水着持ってきたんだから着なきゃ勿体無いじゃない。よく似合ってるんだしさ♪」
 似合ってるって言われても……あんまり嬉しくないんだけど。あたしはちょっと困るお褒めの言葉に苦笑いを浮かべながら、ラインでまくりの体を隠すように両腕を巻きつけた。
 あたしが着ているのはもちろん男用の水着じゃない。―――が、ビキニと言うのはハズかしすぎる。デパートでケイトや美由紀さんに露出の少ないワンピースをすべて却下され、選ばれたのは上下に分かれたビキニばかり。巨乳のあたしにはワンピースは似合わないからと言われたけれど、今着てるこれ、おっぱいがこぼれそうで歩くのも恐いんだけど……
「ほら、あたしって男じゃない。だからこういうビキニとか露出の多いのはちょっと苦手で……」
「男性水着の方が露出は多いわよ。なんたって下半身しか覆わないんだもの。トップレスだし、こんなリゾートでビキニタイプだったらセックスアピール満点だし。でもま、たくや君がおっぱいぽろりで泳ぎたいなら止めないわよ?」
 そう言って振り返った美由紀さんが着ているのも当然ビキニ。ホルターネックのフルカップは包み込む膨らみの大きさと薄いブルーの布地から覗けている谷間の魅力を強調するようなデザイン。あたしも胸の大きさには自身があるけど、こういうのを間近で見せられると………あうう、無いはずのおチ○チンが疼きそうな……
「早くしないと明日香やケイトが待ちくたびれちゃうわよ。急ぎましょ、ここで遊べるのは今日だけなんだし」
「あ、美由紀さん、待ってよぉ!」
 よほど待ちきれないのか、長い髪をなびかせてビーチへと走り出した美由紀さんを追い、あたしも駆け出した。
 ………それにしても、胸が揺れてるよ…やっぱりワンピの方が良かったんじゃ……
 薄いイエローのストライプ柄。胸の下淵にちょっとフリルのついたビキニは恥ずかしくはあるけれど、可愛らしくもある。自分の部屋で姿身を前にしてきて見た時には、恥ずかしさもある反面、自分で自分の姿に見惚れちゃったりもしたぐらい似合ってもいた。けど結構ラインはきわどいし、胸元はかなり露出してるし……意識したら、ちょっとドキドキしてきちゃった。
 それにあたしは、水着でいい思い出はあまり無い。女になってからは特にそうだ。水着姿で美術部の絵のモデルをした時は三人がかりで犯されたし、ケイトに水泳部へ連れて行かれた時には二人一緒に……やだ、余計な事まで思い出して……んっ…アソコがグジュって……
「―――あ、あれ? 美由紀さんは?」
 濡れた音を響かせた股間を押さえて足を止めている間に、美由紀さんは先に行ってしまっていた。頭を振って脳裏に浮かんでいた過去の悩ましい体験を振り払うと、慌てて走り出し―――角を曲がったところで美由紀さんとすぐに再会できたんだけど……
「ヒュ〜。この子、君のフレンドかい?」
「え……だれ?」
 美由紀さんは外人男性二人組みと話をしていた。
 背が高く、肥満が多いなんてニュースはどこ吹く風だといわんばかりに引き締まった体つきをビキニパンツとアロハシャツで彩っている。片方はサングラスをかけているけれど二人とも甘いマスクをしたイケメンで、もう一人のブルーの瞳に見つめられると不覚にもドキッとしてしまう。
「相原くん…やっほ〜……」
 あたしと再会できた事を喜ぶように美由紀さんがこちらへ手を振る。けどその顔はどうも困った状況であるらしいことを伝えてきていた。
「ちょっとナンパされちゃってさぁ……」
「ナンパぁ!?」
「美人の宿命っちゃ宿命なんだけど……この人たち、友達が待ってるって言っても聞いてくれないのよ」
「オウ! そんな事は無いよ、ハニー。ユーのフレンドもとってもチャーミング&ビューティフル。こうしてフレンドと再会できたならミーの誘いを受け取ってもらえないかい?」
 な、なんつーか、かなり怪しい英語だ。エセ外人でももっと上手に話すだろうという日本語と英語のミックスした喋りにカルチャーショックを受けそうになる。
「ユーたちはジャパニーズだろ? ミーたち、このあたりに詳しいから是非案内させてくれよ。ショッピングでもレストランでもホテルでも。なんだろうと最高の場所を紹介してやるよ」
「きゃ!」
 二人のうち一人があたしの肩へ腕を回し、そのまま引き寄せられてしまう。美由紀さんも同様にもう一人の男に抱きしめられ、今にもキスをされそうなほど顔を近づけられている。
「もう。別にイヤだって言ってるわけじゃないんだから急がないでよ」
 そう言うと美由紀さんはするりと男の腕の中から逃れ、続けてあたしの腕を引いて二人の外人からちょっと離れて、
「あの二人、どう?」
 と耳打ちしてきた。
「どうって……なにが?」
「付いてこうかどうかって事よ。顔は申し分ないし、下心は見え見えだけどストレートな物言いって嫌いじゃないし」
「待った待った! あんな怪しいのについていったらなにされるか分からないわよ。ここ外国よ。ばらばらにされて内蔵売り払われたり、何処かの王様のハーレムに入れられちゃったりするかもしれないんだから!」
「そんな事、あるわけないでしょ。それにせっかく海外にまで来たんだから、こういう楽しみだって味わったっていいんじゃない? なにごとも経験経験♪」
「だからって……あたし、あんまりエッチな事したくないし……」
「そ。じゃあ仕方ないわね。私一人で楽しんでくるから」
「美由紀さん!」
「私だって恐くないわけじゃないのよ。一人だったら何されるかわかんないから、相原くんが一緒だったら心強いし……」
 ううう……そう言う風な言い方をされたら、あたしも断れない……
「わかったわよ……けど、あいつらが変な事をしたら大声出すからね」
「もうすぐ元に戻れるんなら、今の内に楽しんどいた方がいいと思うんだけどな〜。……あたしたちの方がオッケーよ。それでどこに案内してくれるのかしら」
 美由紀さんが指で輪を作って見せる。すると外人の男二人はあたしたちをエスコートするように横へ並んで腰へ手を回す。
「オフコース、任せてくれよ。まずは軽い食事でもどうだい? 激しいSEXの前に腹ごしらえしようヨ」
「なに、もう既にエッチするの確定!?」
「もちろんさ。ここじゃナンパ=SEXだぜ。ユーみたいなキュートなレディーにはそれが最高のもてなしさ。それとも俺のこれじゃノーグッドかい?」
 あったり前でしょうが!―――そう相手の顔面に突っ込もうと握り締めた手を逆に取られ、そのまま上ではなく下、ビキニパンツがくっきり食い込んでいる股間へ押し付けられてしまう。
「――――――!!?」
 うそ……こんなに大きいものなの、外人さんのアソコって!?
 口では嫌がっていたけれど、あたしだってそりゃ外人に抱かれたらどうしようとか、かなりエッチな想像を抱いて旅行までの日々を過ごしてきたけれど、手の中に納まりきらないペ○スの感触は、あたしの想像が以下にチープなものだったかと、そして現実は想像を越えるものなのだと誇示していた。
 それに、最近はエッチなハプニングが多かったのも災いした。人一倍敏感でトラブルの方からやってくる体質なだけに、意識はともかく体の方はちょっとした事でもスイッチが入るようになってしまっているのだ。
「あ………」
 さっき昔の事を思い出して濡れかかってたから……ペ○スに触っただけで体がものすごく疼いてる。どうしよう〜〜〜!!
「あっちよりもミーの方がビッグネ。リクエストされたらオールナイトでインサートしちゃうゼ」
「ひ、一晩中……これで一晩中……」
 ダメダメダメェェェ〜〜〜!!! いくらなんでもこんなの入れられたら壊れちゃうって。ここは逃げた方が……
 けれど手を開放されてもあたしは水着の下で脈打つものを握り締めていた。ゴムのような弾力を持つそれは次第に大きさと固さを増して水着の前を突っ張らせ始める。布地の中央には男の時のあたしのよりも二回りほど大きい亀頭が形を現し、今にもあたしを犯さんばかりに猛り狂っていた。
「相原くん……これはちょっとスゴくない?」
 隣では美由紀さんも同じ事をされている。外人たちは二人揃って巨根で、その勃起力は見ているだけであたしの体の奥を熱く昂ぶらせてくれる。
 ―――これだけ大きいのは、翔君のお父さん以来かも。固さでは一歩譲っても、二本あるのは魅力的……って、あたしは何を考えて……
 女の快感を味わいたくなりそうな思いを必死に振り払うけど、普通では味わえない快感はアソコの奥深くに刻み込まれている。子宮を容赦なく突き上げられ、かき回された記憶を思い出した陰部はあたしの意思とは無関係に強く収縮し、ズンズンと響く疼きのリズムに合わせてねっとりとした愛液を溢れさせ始めていた。





「んっ…んんっ………ハァ…んあっ……! こ…こんなとこで…やだ………」
「はずかしがることはないヨ。ここではみんながやってることサ」
 長い長い情熱的な口付けから開放され、ようやく紡ぐ事の出来た抗いの言葉は聞いてもらえなかった。海に面したレストランの、しかも周囲には他の水着姿のお客が大勢いるその中で、ビキニ姿のあたしは胸を揉みまわされ、挿入された指にヴァギナの奥をまさぐられていた。
 左隣に座る男に体を密着させられ、片足を相手の膝に乗せられて逃げられないようにされてしまうと、もうどうする事も出来ない。水着の下に入り込んだ十本の指は弾力のある乳房を丹念に揉みしだき、熱く煮えたぎったヴァギナをグチャグチャと音を響かせてかき回され、海外での初絶頂を籐の椅子に座ったまま迎えさせられてしまっていた。
 「女性をSEXで迎えるのが礼儀」と言うだけあって、男の指使いはたまらないほど上手かった。繊細なタッチで摘みまわされた乳首は左右共に硬く尖っている。水着には裏地が付いているのに、形がくっきりと浮かび上がっていて、痺れるような気持ちよさに口を開けばすかさず胸の先端へ吸い付いてきて水着の上から嘗め回し、出ないはずのミルクを搾るような手つきで水着に包まれた膨らみを圧搾してくるのだ。
 下着姿とほとんど変わらない格好のまま、次…また次と、繰り返し絶頂を味合わされる。一度も海に浸かっていない水着は汗と唾液と愛液でグショグショになり、火照った陰部から噴き出した絶頂液が木製の床にポタポタと滴り落ちている。それでも男はあたしを愛撫する手を止めようとはせず、何人もの人たちの視線に晒されながら、子宮に指で触れられてギュンッと背を伸び上がらせた。
「ンンむぅぅぅ〜〜〜〜〜〜!!!!!」
 見られ、少しでも逃れようとする意識が快感をより強烈なものへ変換してしまう。大事な場所は水着に覆われているとは言え、激しく痙攣するヴァギナで指を締め付けながら悶絶する姿を見られる恥ずかしさだけででも頭の中は沸騰し、迸る喘ぎを押さえ込む濃厚なキスにあたしの方からむしゃぶりついてしまう。
「はぁ……はぁぁ………」
 男の首に腕を回し、唾液が音を響かせるほど激しく舌を絡ませあう。そしてヴァギナの脈動が収まってアクメの波がゆっくりと、じれったくなるほどゆっくりあたしの体を震わせながら引いていくと、全身が蕩けきって脱力した腕を相手の首から解き落としてしまう。
「ギブアップかイ? ユーのハッピータイムはまだこれからだゼ」
「そんな…こと、言われたって……」
 いっそ普通に犯された方がよかった。そうすれば大きさに苦しんだとしても射精と言う終わりを迎えて、この快感から開放されるんだから……貫かれる事に恐怖に近い感情さえ抱いていたペ○スを欲しがるような思いに気付いて否定したくなる。でも、水着が締め付けてくるように感じ始めたあたしの体はそうなる事を期待し、抑える事のできない震えを込み上がらせている。
「そろそろユーのフレンドが帰ってくる頃だネ。それまでにワンスモア、もう一度ヘブンへ連れて行ってあげようカ?―――ホラ、これが欲しいんだろウ?」
 レストラン―――三方に壁がなく、エメラルドグリーンの海に面した場所で、男は恥ずかしげもなくペ○スを露出させた。
「―――――ッ!!!」
 息を飲む。……何人もの女性を泣かせてきたんだろう肉棒はそれに見合うだけの風合いをしていて、目にしただけで頭の中が真っ白になってしまいそうだった。
 よほど窮屈な思いをしていたのだろう、伸縮性のある水着から開放されると上下に何度も膨れ上がった亀頭を振り、下腹部をぴたぴたと叩くほど反り返っている。男はそれをあたしの蜜で濡れた手で扱くと、レストランのあちこちから簡単にも似た女性の吐息が聞こえてきて、あたしたちがどれほど人の目を集めているかを改めて思い知らされてしまう。
「なに…考えてるのよ。こんなところで……」
 もう耐えられない。愛撫の手が止まっている間に男の膝の上から足を下ろしたあたしは、相手との交わりを拒むように背を向ける。それでもまぶたに焼きついたペ○スの威容を拭い去る事は出来ず、芯に絶頂の震えが残っている体は露わになった背中に抱きついてきて欲しいとさえ願っている。
「ミーが考えているのはユーの事だけさ、タクヤ。ユーみたいなビューティフルガールとこれからメイクラブできるかと思うと我慢できないんだよ」
「だからって……もうちょっと場所を選んでよ。見られたんだから……」
「オウ、これはソーリーネ。ミーとしたことが、タクヤがそんなに待っててくれたなんて気付きませんでしタ」
 そうじゃないのに……ちゃんとイヤだって言わなきゃ。言って……それでも求められたら、どうすれば……
「―――こんなにビューティフルなバストは他の男には渡せませン」
「は、はぁぁぁぁんん……!!」
 長いようで短かったインターバルも終わり、後ろから手を伸ばした男は注文して運ばれてからほとんど手をつけていない料理の傍であたしの胸を揉みしだく。指の間からツンッと尖った乳首の周囲の柔肉が押し出され、水着に包まれた膨らみがいやらしい形に歪むのを見せ付けられながら、
「タクヤ……キス、シてくれますか?」
「え………んんんっ…!!」
 顔を後ろに向けさせられ、唇を奪われてしまう………それなのにあたしは、唇の端から唾液が溢れるぐらい激しいキスを交わしながら男の腕の中で身をよじり、自分から、あたしの肌にこすり付けられている肉棒をさすり始めてしまっていた……
「今日はユーのために二人っきりになれる場所を用意してありまス。誰の邪魔も入らない、最高の場所をネ……」
「あたし……ダ…メ……あっ…はっ、はあああっ!!!」
 また……イかされちゃう。タップリと乳房を揉みしだかれ、クリトリスをひと撫でされただけで愛液を搾り出しながら全身を波打たせてしまう。
 それに今度は口を塞いでくれない。跡が残らないように軽いキスの雨を肩に押し付けられるだけで、敏感な陰部をかき回されてノドから迸る喘ぎはそのままレストラン中に響き渡る。
 もう隠しようが無い……!
 手首を使い、蠢く肉ヒダを掻き分けて進む指の一挙動にあたしの体は反応した。誰もがあたしを振り返り視線を注ぐ中で片足をテーブルの淵に乗せ、大またを開いたその中央からビュクビュクと愛液を放ってしまう。
「ここでは誰もユーの事なんか知らないんダ。恥ずかしがらずに、素直にイっていいんだよ、かわいいタクヤ」
「へぁあああ……ダメ…それだけは…ダ……や、いや、恥ずかしいの……イヤアァァァ――――ッ!!!」
 藤製のチェアーが軋み、あたしのヴァギナからテーブルの下めがけて絶頂液が「爆発」した。ノドを仰け反らせて奉公しながら、男の指をくわえたままのアソコから放射状の淫液が噴出してしまう。
 全身が膨張し、伝い落ちる汗にさえ快感を感じながら絶頂に登りつめてもまだイき足りない。見られて、何十人もの人に見られながらアクメを迎えていると言うのに、恥ずかしくて、それでも胸を揺さぶるのを止められないのに、イって、イって、イって――――――ッッッ!!!
 あたしのヴァギナで二度三度と続けて愛液が吹き上がる。それでもあたしは男の指先から逃れる事は出来ず、逞しい胸板にすがりつきながら、なお湧き上がる情欲に水着姿の肢体をくねらせ続けていた……


「―――声、外にも聞こえてたわよ……」
「み……美由紀………さん……」
 下着の中に指を挿入されてアゴを突き出して悶えるあたしの傍に、いつしか美由紀さんが戻ってきていた。その傍らにはもう一人のナンパしてきた外人が寄り添っているけれど、二人がここを出て行くときよりも体が密着しているように思えるし……何故か美由紀さんは、男がかけていたはずのサングラスで目元を隠してしまっていた。
「もしかして…美由紀さんも……?」
 あたしの問い掛けに美由紀さんは答えてくれず、サングラスをかけた顔を横へそらしてしまう。その無言の反応と、ホルターネックのトップの上から見て取れるほど尖っている乳首、そして内太股をわずかに光らせる股間から滴った液体が何があったかを雄弁に語っていた。
「………ちなみに何回?」
「一回……でも、人ごみのど真ん中で……それで、これをね……」
 人目に耐え切れなくなってサングラスか……演劇部部長の美由紀さんでも耐え切れないほど、恥ずかしい事をされたんだ……
 そう考えると……あたし、なんてはしたない事を……
 二人が戻ってきた事でヴァギナ攻めから解放されたあたしは、改めて自分の周囲に目を走らせる。
 床が水浸しなのは……もうどうしようもない。早くここから立ち去りたい……人の目も、スゴく気になるし……
「……それで、明日香とケイトは? 二人は見つかったの?」
 いくらナンパされたからって、落ち合う約束の二人を放っておくわけにはいかない。それで美由紀さんと、それについていった男の二人で探しに行ってもらったんだけど……二人とも、どこ行っちゃったんだろう……
「相原くん、ごめんね。まさかこんなことされるとは思ってなくて……」
「……………」
 美由紀さんに謝られても困るけど……あたしも自分から欲しがって、あれまで握って……この旅行が終われば男に戻れるのに、このままじゃ………
「―――「個室」はいっぱいだったのカ?」
「―――ジャア、予定通りに……」
 人には言えないあたしの不安をよそに、顔を寄せ合った男たちは二言三言言葉を交わすと、すぐに席から立ち上がった。
「それじゃあ行こうカ」
「行くって……ま、まさかあたしたちを人気の無いところに連れ込んで……」
 そうなったら……今のあたしじゃ、拒む事なんてできない。ゴクッとノドを鳴らしてつばを飲むと美由紀さんと顔を見合わせ、不安げな視線を二人の外人へと向けてしまう。
「ノンノンノン、心配なんてナッシング。俺たちが今から行くのは………あそこサ」
 そう言って男が指差したのは、レストランから望む事のできる海―――見渡す限り水平線まで何も見当たらない、眩く輝くエメラルドの海原だった。


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