47 - 「三十路たくやプレ版第2回「たくやと夜の職員室で」中編


「ん〜、肩こったァ!」
 窓の外はもう真っ暗だ。初日からいきなりの残業仕事をようやくやり終えたあたしは、椅子に座ったまま思いっきり身体を伸び上がらせた。
 ―――てゆーか! 赴任初日目でどーして実力テスト作りまでやらされてるのよぉぉぉ!!!
 新年度の開始前で、準備に先生たちは誰もが忙しい。―――そのせいか、部活の顧問やっててギックリ腰になって救急車で運ばれた化学教諭にかわって、「一番ヒマしてる」と言う理由であたしに化学のテスト作りのおはちが回ってきてしまったのだ。
 ―――う〜……自分で解くならまだしも、解かせる問題作るのって面倒くさい〜……自己紹介のときはあんなにチヤホヤしてくれたのに……
 まあ三十路を過ぎたバツイチ女で、いきなりやってきて期待の新設コースを任され、しかも元は“男子生徒”だし……やっかみを受けるのもしょうがないと言えばしょうがないし、手のひらを返すように接し方が変わる要素も満載だ。
 おかげで自力で一からテストを作ることになり、ようやく実力テストが出来上がったころには、今にも日付が変わりそうな時間帯になってしまっていた。
「あ〜……おなか空いたぁ〜……」
 研究員時代の習性か、一度集中し始めると寝食を忘れてしまう。当時は二徹三徹もよくやったし、麻美先輩や千里も一緒だったけど、
 ………広い職員室に一人っきりってのも、なんか怖いかな……
 さすがにこんな時間まで残業している先生は他にいない。気がつけばただ一人、ノートパソコンが乗っているだけの机の前にいる自分しか残っていないことに気づくと、なんとも言えない寂しい気持ちになってしまう。
 ―――バス、まだあったかな? タクシーで帰ると高くつくし……
 今後もこんなことが続くなら、バイクか車の免許を取ろうかと考えながら、不意に、まったく予想していなかったタイミングで職員室の引き戸がガラッと音を立てて開かれた。
「ひあっ!?」
「ああ、悪い悪い。驚かせたか、相原」
「み、宮原先生……んも〜、なんなんですかァ!」
 情けない声、聞かれちゃったな……おどろかされた反動でちょっとぷりぷりして声を荒げてしまうけれど、過去の記憶にあるとおりに人当たりのよい笑みを浮かべた、片手にコンビニの袋をもってあたしの方へと近づいてきた。
「ほら、弁当を買ってきたよ。飯抜きで仕事ばっかりしてると身体に悪いからな」
「え……あたしの、ですか?」
「決まってるだろ。他に誰もいないんだし。まあ、俺も一緒に食べるけどな。えーと、お茶お茶っと」
 目の前に置かれたのはぬくもりのあるお弁当が二つ入ったコンビニ袋。そして、宮村先生はそのまま窓際においてある給湯ポットでお茶をいれてくれて、あたしのところに戻ってくる。
「遅くなったけど、一緒に夕食にしようか。はは、相原みたいな美人と食事したって知られたら、奥さんに怒られちゃうけどな」
「残業して二人寂しくコンビに弁当食べて怒られるって、踏んだり蹴ったりですよね」
「まあな。でも指導教員としては最後まで付き合ってやらないと。声かけても、まったく気づかないし。他の先生たちも食事に誘ってたんだぞ、お前のこと」
「ううっ……すみません……」
 なにせ才能のないあたしは、ひたすら研究に時間をかけないと結果を残せなかった。おかげで集中力は人一倍になったけど、集中している間は身体を揺さぶられでもしないとまったく気がつかないのだ。
 けどそれよりも驚きなのは、宮村先生が結婚していたということだ。―――なにも失礼なことを考えているわけではない。ちょっぴり身なりはだらしないけど、顔立ちは良い方だし、生徒からも人気があるし、収入も安定している。結婚適齢期はとっくに過ぎているのだから、むしろ結婚していないほうがおかしい。
 ただ……宮村先生の買ってきてくれたお弁当をつつきながら、少し照れくさそうに口にする今の奥さんの話を聞かされると、どうも胸のあたりが苦しくて―――
「そろそろ8ヶ月でね。親と同居だから残業してても問題はないんだが、いろいろと大変だよ。気が早いけど名前考えたり、お産はどこでするのかとか」
「それに、あっちの方もですよね。親もいて奥さんが妊娠中じゃ、どうしたって溜まっちゃいますよね〜」
 ―――やば。つい言っちゃった。
 自分でもこれは、嫉妬なんだと自覚してる。先日まで別の男と夫婦をしていて別れたばかり。引越し初日には早速他の男を咥え込み、今また、過去の恩師とも言える人に好意を持ちつつある……はっきりいって、あばずれの節操なしとはあたしのことだ。
 でも、いけないのは宮村先生のほうだ。だって、だって、
「今日、時々あたしのことをイヤらしい目で見てましたよね? 理事長室から出たとき、もう勃ってたの、あたし、見たんですから」
「なっ! いや、あれは、違うんだ相原、あれはそういうのじゃなくてだな!」
「何が違うんです? あたしじゃなくて松永先生に欲情したんですか? あの後も、何度か胸とか脚とかに熱い視線感じてたんですけど……?」
「本当に違うぞ、誤解だ、あれは相原がずっと美人になってたから驚いてだな―――!」
「じゃあ、先生が見て欲情してたのはあたしのほうだったんですね。―――元・教え子に。あ〜あ、ちょっとがっかり」
「だから誤解だ―――――――――!!!」
「………ぷっ♪ そんなにあわてなくたって、冗談ですよ、じ・ょ・う・だ・ん。セクハラしてくれたお返しです♪」
 新任女教師をエロい目で見てくれたことと、奥さんの話ばかりしてくれたことへの仕返しがうまく言って、ジト目から表情を崩して笑みをこぼす。
「あ…あのなぁ〜……お前、ずいぶんと性格悪くなったんじゃないか?」
「あったりまえじゃないですか。散々な目に遭いっぱなしですからね、あたしの場合。性格も一回転二回転ぐらいひねくれてますよ」
「そういう風に言うところは、前とあんまり変わってないように思えるんだけどな」
「変わってますよ、ほら、こ〜んなに……♪」
 先に食事を終えたあたしは、ブラウスの上からでも分かる圧倒的なボリュームの乳房の下で腕を組むと、隣の席に座る宮村先生に向けて身を倒し、少し期待し始めた94センチのバストを寄せ上げてみる。
「―――――――――――――――ッ!!?」
 新しいスーツが出来上がったとき、自宅の鏡の前で色んなポーズを取ってみたけれど、これがなかなか迫力がある。
 バスト94、Gカップでもキツくなってきた胸のふくらみは、何年も毎日のように揉みしだかれてきたせいもあって、色つや張りと申し分ないと自負している。年齢は別にすればグラビアアイドルにさえ勝るボリュームが下を向いて突き出されれば、まさに“たわわに実った”という表現がふさわしい。そして表情はといえば、学生時代にはすることの出来なかった“オンナ”の顔で、やや誘惑する輝きを帯びさせた視線で宮村先生を下から覗くように見上げている。
 ………けれど、少し悪乗りが過ぎた。椅子から軽く腰を浮かせて宮村先生との距離を数センチつめると、お弁当を手にしたまま身体をビクッと震わせ、その拍子に、机の上に置かれていたお湯のみに肘が当たってしまう。
 そして―――


「ぬわあああああァ――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!」


 熱いお茶がひっくり返り、宮村先生の悲鳴が響き渡る。
「きゃあっ! せ、先生、早く脱いで脱いで!」
 熱湯を吸った服を着続けていると、ひどい火傷を負ってしまう。慌ててハンカチを出し、お茶のこぼれた場所を改めて確認したあたしは、
 ―――ま、ま、またぁ〜〜〜!?
 いや、二度目って意味じゃなくて股間と言う意味で。こぼれたお茶は宮村先生のズボンのど真ん中に大きなシミを作っている。
「と……ともかく脱いで先生ぇ! 大事なところが火傷しちゃうから!」
「大丈夫、大丈夫だから、お茶冷めてたし、熱いけど火傷するほどじゃ―――」
「ダメぇ! ダメですってェ! さ、さささ再起不能になったら大変じゃないですかァ!!!」
 男の局部の大切さをよく知るだけに放ってはおけない。あたしは立ち上がった宮村先生のベルトのバックルを掴むと、「やめ―――」という制止の声を振り切り、手際よく(?)ズボンとパンツを一気にずり下ろした。
「っ………!?」
 直後、跪いたあたしの目の前を、下から上へと先生の肉棒が跳ね上がる。
 そしてあたしの顔に向けて突き出された肉棒の巨大さに、あたしは思わず息を呑んでしまっていた。
 ―――わ…ぁ……宮村先生、スゴ…こんな大きさ………が、外人サイズ!?
 最近のあたしの周りには巨根の人しかいないのか……元・夫や明くんと比べても、その長さ、太さは勝るとも劣らない……いや、わずかに上回るほどだ。
 反り返る肉茎、張り出したカリ首、そしてあたしの顔へまっすぐ狙いを定めている亀頭の先端……過去に女になったばかりの身体を何人もの男性教師に弄ばれたけれど、宮村先生とは一度もそういうことがなく、宮村先生のとはこれがはじめての“ご対面”だ。
 それだけに、規定外のこのサイズに受ける衝撃も強い。息とともに言葉を飲み込んだあたしは、肉の棍棒のような逸物をジッと凝視してしまい……先生に気づかれないように、小さく喉を鳴らしてしまう。
 ―――宮村先生……あたしのそばで、こんなに欲情して……
 一緒に食事をしながら、こんなに勃起させていたことを知ると、スーツの下で大きな胸が早鐘のように高鳴っていく。ドクンと大きく脈打つたびに熱いものが身体の奥から込み上げ、吐息が漏れるたびに締め付けられるように苦しくなってくる。
 ―――どうしちゃったんだろ……あたし……
 吐息が震え、頬に熱がともる。
 ペ○スなんて、他の人のを何十本も見てきたはずなのに……あたしは自分の頬に手をやりながら、信じられないものを見るかのような眼差しから、その逞しさに、うっとりとした眼差しへと視線を蕩かせていく。
「あっ……ここ、赤くなって……」
 やっぱりお茶は熱かったのだろう。他の場所と明らかに色が異なっている場所がある。そこにそっと指を伸ばすと、
「ゥ………」
 宮村先生が小さく呻き、ペ○スをビクンと跳ね上げる。跳ね上げて……透明な汁がにじむ先端を天井に向けたまま、戻ってこない。
 ―――隠さないっていうことは……もしかして先生も……?
 もう一度、先ほど触れた場所に指先を滑らせると、これ以上ないというほどに鎌首を持ち上げていた肉棒にドクンと大きな脈動が駆け巡り、さらに一回り膨張する。
 こんなの挿れられたら壊れちゃうんじゃ……巨根だったかつての夫のモノをも上回る雄々し過ぎる肉棒を前にして、あたしはしばし言葉を失っていた。
 生徒の前では笑顔を絶やさない、あの優しい宮村先生からは想像も付かない巨大さ。今まで目にしたこともない、未体験のサイズのペ○ス……
「んっ……」
 胸が大きく高鳴ると、あたしの身体からは力が抜け落ちていく。全身に熱く火照った血液が駆け巡り、スカートの下ではショーツにシミが出来るほどに秘唇から愛液が染み出し、徐々に湿り気が広がって……不意に宮村先生の指が首筋に触れた途端、それらは悩ましい吐息となって、あたしの唇から零れ落ちてしまった。
「ァ………」
「相原……今ならまだ、我慢だって出来るんだぞ?」
 顔を上げれば、宮村先生があたしのことをまっすぐに見つめていた。
 だけど、その視線は迷いに揺れている。元・教え子のあたしに、男だったあたしに、そして奥さんがいる宮村先生が手を伸ばしてきた……過去の事情を知っていて、あたし以外の人を愛すると誓った身では、今日一日傍にいたあたしにどれほど興奮していても、こらえ続けるしかなかったんだろうけれど、
「いまは……あたしたち、ふたりっきりなんだから……」
 少し冷えた指先が首筋に触れる感触に小さく背筋を震わせると、唇をほころばせ、首元を彩っていたリボンタイの両端を引っ張って、ほどく。
「俺だって教師である前に一人の男なんだからな。覚悟しろよ、相原……!」
「あっ……」
 椅子から立ち上がった宮村先生に、あたしは肩を掴まれてそのまま床に押し倒される。そしてそのまま覆いかぶさられると、勢いに任せて唇に舌をねじ込まれた。
「んっ、んんっ……んふっ……んっ、だめ、あ……んんっ……」
 唇と唇のわずかな隙間から、舌と舌とが絡み合う粘つく音が漏れ響く。
 思いもよらない強引な、そして力強い口付けに衝撃を受けながらも、それをあたしは迷うことなく受け入れる。お互いの唾液をこぼれるぐらいにたくさん交換しながら、瞳を伏せ、宮村先生の手に身を委ねていく。
 ―――んっ……やだ、宮村先生、手馴れてない……?
 唇を交じらせながら、ブラウスは肌蹴られ、ピンクのブラに包まれたたわわな膨らみが露わになる。そしてあたしが期待したとおりに下着の上から荒々しく揉みしだかれると、峻烈な快感にあたしの乳首は布地を突き破らんばかりに硬く勃起してしまう。
「可愛い下着をつけてるんだな。よく似合ってるよ、相原」
「せ、せんせ、やめちゃヤァ……んむぅ、んんっ、んふ……んんぅ……!」
 いったん離れた宮村先生の顔を追いかけるようにして、あたしは両腕を伸ばし、抱き寄せ、もう一度濃密なキスを交わし、甘く切ない喘ぎをこぼす。
「焦らなくていいから、安心しろ。俺だって初めてってわけじゃないんだから、お前をきちんと満足させてみせるさ」
「あっ……」
 こぼれるぐらいの唾液にまみれた唇が、あたしの首筋から胸元へと滑り落ちていく。その間にブラをたくし上げられると、ビンビンに自己主張している乳首を摘みあげられた。
「んああああ……! んあ、やあァ、せ、センセ、あンうゥ……!」
「学生の頃から大きかったけど、あれから一段と大きくなったよな。やっぱり、離婚したって言うだんなに毎晩揉まれたのか?」
「そんなの訊くの、ひ、卑怯……んはあァ!」
 あたしの反応を確かめながら、宮村先生の指先が敏感な部分を押し込み、揉みあげてくる。乳房全体に広がったズゥンと重く響く疼きが膨らみ全体を大きく膨張させ、ミルクの出ない、出るはずの先端から今にも何かが飛び出しそうなぐらいにジンジンとし始める。
 ―――も……う、上手いなんてもんじゃないよぉ……!
 小高く膨らみきった乳首を扱くようにひねり上げられたあたしは、伏せた目蓋に力が入り、涙をにじませながら、ショーツの内側へ大量に吐淫する。宮村先生の下半身に割り開かれた内股をビクビクと震わせつつ、こね回される乳房と乳首とを弾ませると、学生時代に憧れていた先生の手で蕩かされていく恍惚はますます高まる一方だ。
 指が食い込み、乳肉が搾られるたびに、秘所がマグマのようにドロドロの火照りを帯びていく……そんな秘所に宮村先生の指が滑り込むと、あたしは次なる行為への期待に喉を鳴らしてツバを飲み込んでしまう。
「悪い、相原。もうずっとご無沙汰だから我慢できない……」
 身体を起こしてひざ立ちになった宮村先生は、職員室の冷たい照明の下でビクビクと激しく脈打っている肉棒をあたしによく見えるように前へ突き出した。
 ―――ああぁ……宮村先生、スゴいぃ……♪
 大きく反り返る巨根に、簡単のため息をこぼす……けど、宮村先生の顔は、まだどこか迷いを振り切れていないように見える。
「けど……本当にいいのか? 俺とお前は、教師と教え子で、今は同僚で―――」
「でも、分別ある大人で、一人の男と女……でしょ? あたし、愛してなんて言わないし、奥さんから先生を奪おうなんて思わない……これは、お互いが納得しての行為なんだから」
 少し……ほんの少しだけ胸が痛んだけど、あたしは自分を止められない。自分の両手をひざの裏に回し、今にも暴発しそうな巨根の前で両膝を立て、愛液を吸ったショーツの張り付いた股間をさらけ出す。そして、太ももの上をすべるように両手を内股へと移動させると、左手の親指で股布を引っ掛けて横へとずらし、右手の親指で淫唇を抑えて秘所を割り開いた。
「あ、相原……」
 大きく上下する宮村先生のノド。真上からの白い光を反射して隠微に濡れ光る陰部をさらけ出す恥ずかしさはあるけれど……ここまできてやめるなんてムリ。もう、行き着くところまで行かなきゃ―――自分の想いを、もう止められない。
「………いくぞ」
「え……い、いきなりは、ちょっと、心の準備…ああっ……!」
 今まで受け入れたことのないサイズの巨根だけあって、先っぽを入れられただけで膣口が限界近くまで押し広げられる。グチュ…と音が響く中で、痛みを感じるほどに狭い肉穴が拡張され、肉棒が奥へ進むほどにわななく膣壁を張り出したカリ首にごっそり抉り抜かれて、たまらなくなって震えるノドから声を―――


「まだ誰か残ってるの? 仕事は明日にしてもう帰りなさい」


 職員室への突然の来訪者の存在に、あたしはとっさに口を手で塞ぎ、強烈な圧迫感に何度も何度も身体を波打たせながら、迸りそうになる声を押さえつけていた―――


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