4お見舞いにはピンクの花を(3)
「え……両手両足骨折で病院送り!?」
「そうなのよ〜。あの男、たくやちゃんに手を出しやがったでしょう? うちの若いもんにそのあたりのけじめをきっちりつけさせて裏のごみ置き場に捨てといたのよ。そしたら次の日になって警察が来てね、むさい親父の刑事に事情聴取されちゃったわ。でも、本人は精神錯乱状態だし、あたしもボロを出してないからばれるはず無いと思うけどぉ」
「そ…そうですか。それは…あはははは……」
(佐野先生…そんなにひどい状態だったのか……自業自得とは言え、ちょっとかわいそうかな?)
大学からの帰り道、たった一日だけ働かせてもらったキャバクラの前で偶然オカマの店長と再会したあたしは、事務室でお茶と羊羹を頂きながら佐野先生の哀れな末路を聞いて胸を痛めていた。
ナルシストでポエマーで変態チックで周囲がぜんぜん見えて無くて人の話も聞かずにあたしをトイレで……あの時のことは思い出したくも無いけれど、入院するほどの重傷をおったとなれば話は別だ。宮野森学園時代にあたしや明日香にしたことを思えば、それでも軽いぐらいだと思わないでもないけれど……そこまで非情になりきれないのも事実だ。
(そういえば財布の中身は全部あたしが貰っちゃったんだっけ。入院費用とかも大変だろうなぁ……それに、がぶがぶお酒を飲ませたあたしにも原因があるわけだし……)
「あの……突然なんですけど、あたしをもう一度働かせてもらえませんか?」
「アラアラ、急にどうしちゃったの? もしかしてまた男にだまされたとか……誰? その男は誰なの!? またクドーって男!? こんな可愛い女の子を食い物にする野郎なんて、今すぐ○×湾にコンクリ詰めにして――」
「ち、違いますって! ただ…前借、させて欲しいんです。お給料……」
「そ、そんな…もしかしてお母様の具合がまた悪く――」
「だから違いますってぇ! その…店長にこういうこと言ったらどう思うか……お見舞いに、行こうかなって思って……」
「誰の? お母様はもう大丈夫なんでしょう?」
「あ〜…いや、あたしの義母さんは置いとくとして、さっき話に出た佐野先生の……やっぱり、かわいそうかなって……」
「ああぁん? いいのよ、あんな男の事なんか放っといても。たくやちゃんがそんなことで胸を痛める必要はないわ」
「一応あんなのでも知り合いでもあるんだし、もしあたしがここで働いてなかったら入院する必要なんてなかったと思うんです。――そう思うと、お見舞いぐらいしてあげたほうがいいかなって……」
「……………」
「助けてもらった事は感謝してます。けど、だからって大怪我した人を放っておくなんて、あたし……」
「……………うっ」
「店長…?」
うううオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!!!
「ひゃあっ!?」
「たくやちゃんはとっても心優しい最高の女の子よぉぉぉ〜〜〜〜〜!!!」
「い、いえ、あたしはおと…ぐえっ!」
いきなり号泣し始めた店長は、感極まったように突然あたしに抱きつくと、ベア八具で持ち上げながらウエストを締め上げてくる。
「いいわ、たくやちゃんの為ならなんだってしてあげる。お金もいくらだって出してあげちゃう!」
「えうぅぅぅ〜〜〜…ギブアップ、店長、タップタップギブアップ!!」
「とりあえず十万円あれば大丈夫よね。いい、お見舞金は帰り際にそっと、あとお見舞いの花はお花屋さんに聴けばちゃんと選んでくれるわ。お金の事は心配しないで、一週間も働いてくれたらあっという間なんだから♪」
(そ、そのまえに……このままじゃ背骨が折れるぅ……はうっ)
バキッ、といや〜な音が背中から響く。その音が致命的なものかどうかを理解するよりも早く、胸から空気を押し出されたあたしは酸欠で意識を失ってしまっていた……
「この病院ね。うわ…結構大きい……」
右手にはお見舞いの花を抱え、左手に果物の入ったかごをぶら下げたあたしは佐野先生が入院している病院へとやってきたのは6時を過ぎ、面会時間終了まで一時間と言う頃だった。商店街からバスでそれほど時間がかかったわけじゃないんだけど、思いつきでお見舞いに来たから動き始めも遅かったし、佐野先生に妙な気をもたれるんじゃないかと思って面接の品を迷いに迷って結局オーソドックスなものを選ぶのにも時間がかかったし……佐野先生のお見舞いなんて、やっぱりやめとけばよかったかな……
そう思いはするけれど、ここまで来たんなら……ある種、覚悟を決めたあたしは病院内へと入ると、三階にある佐野先生の病室を訪れ……
―――コンコン
「あの…失礼します」
「………ん?」
「ええっと……佐野先生、その節はどうも。お加減のほうは……」
「ひっ…ヒイイイィィィ〜〜〜〜〜!!!」
(………ちょっと、お見舞いに来ていきなりその反応!?)
扉を開けて病室へ入ると、両手両足を天井へと吊った佐野先生はボンヤリしていた顔をいきなり強張らせて、あたしをおびえる様にベッドの端へと移動した。
「何しに来た!? もう僕に関わらないでくれ。くるな…くるなよぉぉぉ!!」
「えっと…あたし、お見舞いに……」
「君のせいだ! 君のせいで僕は怪我をするし金を奪われるし、キャバクラに行っていたのがばれて仕事も首だ。なぜだ、なぜ君が僕の前に現れると人生がこうも滅茶苦茶になってしまうんだぁ!!」
(そりゃ佐野先生がいやらしいことをしてくるからでしょうが。……あ〜あ、やっぱり来るんじゃなかったなぁ……)
自分がした事を忘れて一方的に投げつけられる非難の言葉を聞きながら、ここへ来たことを後悔する。でもあたしは、顔が暗くなるのは押さえようが無かったけれどそのまま室内に入ると、置いてあったテーブルの上に果物かごとお花、そして見舞金とを無言で置いた。
「な、なんだね、それは。僕は物なんかで心を許す人間じゃないんだからな」
「………看護士さんが来たら、花瓶に生けてもらってくださいね。それじゃ先生、失礼しました」
長居をしたらそれだけ二人とも嫌な思いをするだけだ……なんだかその事を悲しく思いながらベッドに横たわる先生へ頭を下げたあたしは後ろを振り返って、そのまま部屋を後にした。
「あ、相原さん!? 待ちたまえ、相原さん!」
(………まだ文句を言い足りないんだ。そうよね…あんな大怪我させられたら……だけどあたしだって、ひどい事されたのに……)
――結局そのまま振り返らず、あたしは急ぐでもなく病院を後にした。
外に出ると日は暮れかけて周囲は夕暮れの赤い色に染まっていた。
このままバス停まで行って、バスに乗り込んじゃえば佐野先生の顔を見ることもなくなる……そのことに未練や後悔などあるわけがなく、ただ暗い気分にさせられたことにため息を突くと、とぼとぼと少し前に通った道を逆にたどり始める。
(そうだ…義母さんに遅くなるって電話しなきゃ。えっと、携帯携帯……)
今から帰っても8時を過ぎるのは間違いない。なら夕食はいらないと家に電話しようとして……ジャケットのポケットに携帯電話が入っていないことに気が付いた。
「あれ? ここに入れといたのに……あれれ?」
最初は事態が理解できず、徐々に電話をなくしたことを悟ったあたしは全身のポケットをパンパンと叩いてどこか別の場所に入れた可能性のある携帯を探し回る。……が、どこにも無いことが分かるとサァ…と顔から血の気が引いていった。
「お、落とした……携帯電話どこかに落としちゃった!」
バスを降りた時までポケットに入っていたのは覚えている。となると、落としたのはバス停から病院までの道のどこかだ。
「ううう……やっぱりお見舞いなんか来るんじゃなかった……」
刻一刻と暗くなっていく道を、どこをどう歩いたのかを思い浮かべながら携帯電話を探して歩く。日がとっぷり暮れてしまうと、自販機や周囲の建物から漏れる明かりを頼りに身を低くして探し回らなければならなかった。
(はぁ……お見舞いのお金を出して、罵倒されて、トドメに携帯電話を落として……今日のあたし、とことんついてないなぁ……あ〜あ、お腹減った……)
そうこうしているうちに時刻も9時を過ぎる。下を向いて道を何度も往復するけれど、あたしの携帯はどこにも落ちていない。研究費や今日のお見舞金で財布の中身はレッドゾーン、しかも借金付きなのだ。買い替えなんてできる状態じゃない。
(これだけ探してないなんて……誰かに拾われたのかな)
あたしが来た時間が遅かったのでバス停から病院へ向かう人の数も少なかったけれど、その可能性も捨てきれない。でも近くの交番がどこにあるか分からないし、こんな時間になってから道行く人に尋ねるのは……そもそも人がいないんだから無理な状態だ。
(………そうだ、病院だ)
考えてみれば病院の中で落としたのかもしれないし、そうでなくても交番の場所ぐらい教えてもらえるだろう。
(けど、時間も遅いし……ええい、考えてたってしょうがない。とりあえず行ってみよう――)
「携帯電話の落し物? それなら見たわよ」
………あたしの携帯はあっさりと見つかった。今まで探し回ってたのは何だったのよぉ……とほほ……
「あなた、三階の佐野さんをお見舞いに来た子でしょ? さっき行ったらあの人が大事そうに枕元に置いてたわよ」
「え……」
「「必ず取りに来るからそのとき渡すんだ」って言って、触らせてもくれなかったわ」
「うっ…待ち構えられてる。やだなぁ……あの、お手数だとは思いますが取ってきてもらえませんか?」
「え〜、いやよ、夜にあの人の病室に行くなんて。妙な電波受信してるんじゃない勝手ぐらいに変な人だし、夜にナースコールで呼び出したかと思えばセクハラしてくるんだから。病人じゃなければ放り出してるわよ。あれ、絶対の欲求不満なんだわ」
「ははは……やっぱり」
「ねぇねぇ、それよりさぁ、あなたってあの人の何? もしかして恋人?」
「ち、違います! ただ、先生と生徒だったってだけで、絶対にそんな関係じゃないです!」
「でもさぁ、お見舞いに来る様な仲なんでしょ? やっぱり校舎の中でエッチとかしたんじゃないの? 倉庫のマットの上とか部活の教室とかさぁ」
「あうっ……」
(ずばり正解……この看護士さん、何者?)
「あの人って性格を除けばそこそこいい男じゃない。ひょっとしたらあなたも…とか思っちゃうわけよ。こういう仕事してるとそういうゴシップに目が無くってさ〜〜♪」
「べ…別に佐野先生とあたしはな〜んにもありませんでしたから。それよりあたしの携帯、どうにかなりませんか?」
「う〜ん、何とかしてあげたいのは山々だけど、彼氏に操を立てちゃってるから。下手に手を出されたら超ピンチな訳で……あ、そうだ。あなたっていい体してるわよね?」
「えっと……まぁ、それなりに」
ここであたしが男だといったら……この看護士さん相手だとますます話がややこしくなる。黙ってよっと。
「もう面会時間は終わってるから行かせて上げられないんだけどさぁ……ナースなら、夜の病院を徘徊しても構わない…そう思わない?」
「――はっ?」
「前に先生にセクハラされてやめちゃったこの服があるんだけど、あなたなら着れそうよね。……うん、話は決まりね」
「な、何が決まったって言うんですか? あたし、一言もOKなんて言ってませんよ!?」
「いいから遠慮しないの。ナース服なんて一生のうちにそうそう着れるものじゃないんだからさ」
「い…いや、あたしはそんなの着たくないぃ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
白衣なら実験の際に何度か着たこともある。けど白衣の天使……ナース服となると話は別だ。あんなの着たらますます男としての威厳が!
「うちの病院のは薄いピンクで可愛いってマニアに評判なのよ♪」
「ますますいやだぁぁぁ〜〜〜!! やめて、いやぁ〜〜ん!」
「はぁぁ……結局着せられてしまった……」
騒ぎを聞きつけ集まってきた美人看護士数名の手によって服を脱がされ、半そでミニスカートのナース服にストッキング、さらにはナースキャップまでしっかりと着せられ、履きなれないローヒールに悪戦苦闘しながら散会にある佐野先生の病室の前までやってきた。
(はぁ……しかたない。ここまでされてここまで来たんだから携帯を取り返さないとやってられないわよね……変なことをされたら大声を出せばいいんだし。それに黙っていれば看護士さんと間違えたままかもしれないし)
とは言え……この格好で佐野先生にあうのはやっぱり抵抗がある。なにしろ――
「う〜ん…やっぱりエッチじゃないかな、この格好……パンツが見えちゃいそうだし……」
この服の持ち主は確かにあたしと背格好は似ていたのかもしれないけれど、男にあるまじきあたしの胸とお尻の辺りはかなりキツい。それにスカートは短く、ぴったりと体に張り付いているものだからかなりボディーのメリハリが強調されてしまっている。デザインは可愛いんだけど……もし男の状態でこの姿を見たら、鼻血ものかな。ああ…なんであたしはこう、体の発育だけはいいんだろう……女のままでいると明日香の視線がキツいのに……
(とりあえず部屋を覗いてみよう。今帰ったらあの看護婦さんに捕まりそうだし……)
「あの……失礼します」
できれば二度ときたくなかった病室の戸をノックしたあたしは恐る恐る病室の中を覗き込む。――きっちり佐野先生は起きていた。ああ…しまった。待ち構えてるし……
「相原さん…待っていたよ。やはり君と僕とは赤い運命の糸で結ばれているようだね。ふ…ふっふっふっふっふっ……」
窓に背を向けベッドの淵に腰掛けているので、佐野先生の表情は見えないけれど、その声を聞くだけでどういう顔をしているのか容易に想像できてしまう。……でも、あたしを見栄怒り出さないだけマシだ。この状況で昼間のように錯乱されたら携帯どころの話じゃなくなるもんね。
「すみません、あたしの携帯がここにあるって聞いたんですけど……」
「ああ、僕が拾っておいたよ」
「返して…もらえませんか?」
「構わないとも。僕があんなひどい事を言ってしまったから二度と来てくれないんじゃないかと心配していたんだよ。さぁ飛び込んできたまえ……僕の胸に!」
「えっと……確か枕元とか言ってたっけ。佐野先生、腕が邪魔」
ずいぶん遅くなったのに、いちいちそんなのに付き合っていられない。今日はキャバクラでもないんだし、あたしは佐野先生の言葉を右から左に聞き流すと大きく広げられたギブス月の腕を横へと押しやり、枕をめくって布団をめくって携帯電話を探し始めた。
「あれ…どこにも無い。おかしいな……」
「ふっ……君はなんて罪な人だ。こんなに君の事を恋焦がれている僕をあっさり無視するなんてね。ああ、僕の心は君への罪の意識で張り裂けそうだよ」
「あたしの携帯、どこに隠したんですか? 急いで帰らなきゃいけないんだから早く出してください」
「そんな事を言わずにのんびりしていくといい。僕は君ともっと愛を語らいたいんだ。あの日、運命の再開を遂げてすぐに僕たちは引き裂かれ、僕もその事を悔やむあまりに君へ八つ当たりしてしまったけれど、それも全て君が悪いんだ。恥ずかしがって僕を苦悩させ、幾度さびしい一人寝の夜をすごしたことか……」
「あの…あたしの携帯……」
「だから一度でいいんだ。もう一度、君の肌の感触を僕に味合わせてくれないか。そうすれば退院まで僕は一人で屋って行ける。そして抱えきれないほどの薔薇の花を持って君を迎えに行こうじゃないか」
「………はぁぁ……それって、あたしとエッチしたいって事ですよね……」
「それは違う。僕は君と愛を確かめ合いたいんだ。………もっとも、君が胸に飛び込んでくると言うのなら、僕は喜んで抱きしめようじゃないか。今は看護婦お姿になってまで僕に愛に来てくれた君との逢瀬を、少しでも長く味わいたいだけなんだよ」
(つまり……簡単に言っちゃうと、あたしとエッチしない限り携帯を返してくれないって言うことか……ああ…よりにもよって、何で佐野先生と………ええい、もうこうなったら我慢よ我慢!)
「………わかりました。そのかわり……これっきりにしてください。先生も知っての通り、あたしは……」
「わかっている、わかっているとも。さぁ、それでは君の愛を僕に示してくれないか」
どうせ最初からそれが目的だったくせに……そんなあたしの視線をまるっきり理解してくれない佐野先生はベッドへ横たわり、あたしも促されてお尻を先生の顔へ向けるように体を重ねた。
「う〜ん、すばらしい光景だね。ナース姿の相原さんのお尻をこんなに間近で見ることができるなんて」
そう嬉しそうな声を上げながらピンク色のタイトスカートの中へギブスから何とか出ている指先をねじ込ませると、丸々としたヒップを露出させながら下着とストッキングに指をかけてあたしの股間を露出させてしまう。膝を先生の両脇についているために最後まで脱がされはしないけれど、ぴんっと左右に引き絞られた下着とストッキングにある種の拘束感と恥ずかしいカッコウを取らされていることへの羞恥心に、全身が急速に熱を帯びて行く。
「なんて美しいんだ……あれから何年も立っているというのに、君のおマ○コはあの時のまま、処女のように美しい……いや、それ以上だよ。ああ…こんなにも香しい……」
「や…あんまり見ないでぇ……」
暗いといっても、窓から星の明かりが入ってくるのでお互いの体の輪郭ぐらいは分かる。先生の寝巻きの股間のものすごい盛り上がりを見せられながら、鼻息が拭きかかる距離で割れ目を覗き込まれる恥ずかしさは涙が出るぐらいに強烈で、割れ目に湿った息を吐きかけられるとそれだけで言ってしまいそうな錯覚に陥ってしまう。
「あ…は……んんんっ!!!」
「おやぁ、ひと舐めだけで君のおマ○コがヒクついてきたよ。そんなに待ちきれないのかい? なら……」
「ち、ちが…ああっ…あう、くんっ…んん、ひ…ああああああっ!!!」
数日ぶりに味わう佐野先生のクンニリングスはやはり強烈だった。ギブスに包まれた腕で後ろに突き出したあたしの股間を引き寄せると、まだ濡れていない秘所の中心へ舌先をドリルのようにねじ込み、強引にあたしの膣口を押し開くとべろべろと嘗め回して淫裂を瞬く間に唾液まみれにしてしまう。
「ああ、ああぁ、あひっ…!! いや…そんなに激しいの…ダメ……ひゃあぁん!!」
「ダメじゃないか。これは二人の愛の共同作業なんだから……僕のも君のお口で愛してくれないと」
「ハァ、ハァ、ハァ……んっ…ピチャ……んんんっ……」
割れ目どころかクリトリスまで責め立てられて腰を震わせていたあたしは、促されるままに佐野先生のズボンを下ろすと、ビンッとそそり立った大きなペ○スへ右手を絡ませ、顔が映りそうなほど張り詰めた亀頭の先っぽを下でちろちろと嘗め回した。
(ううぅ……臭いが…おチ○チンの臭いがスゴい……何日もお風呂に入ってないから……それに…変な味が……)
それはとてつもない臭いだった。手足が不自由ではここまで綺麗にはできないのだろう、汗と、そして尿と…その二つが混ざり合った濃厚なオスの臭いがペ○スを含む口から胸、鼻の奥にまで通り抜け、充満して行く。あたしは我慢で傷に顔を背けて……普通ならそうだ。こんなものに触れるどころか触るのさえ嫌なはずだ。けれど佐野先生に下の唇へ吸い付かれ、音が立つほど割れ目を嘗め回されると、それは媚薬のようにあたしの体を燃え上がらせ、腰がうねるほどの快感を生み出してくれる……
それに合わせて、あたしのフェラも激しさを増して行った。ペ○スから放たれる臭いで頭の中が真っ白になってしまったあたしはピンク色のナース服に包まれた大きな乳房を先生のおなかに密着させると、両手で玉袋からアナルの付近までくすぐりながら頭を上下に動かし、涎をこぼしても恥ずかしいと思わないほど激しく唇を肉茎に滑らせた。
「う、嬉しいよ。相原さんが、僕のものをこんなに…うおっ…!!」
(来る……先生の精液が……あたしの口へ……こんな臭いのする濃厚なのが……)
顔を背けられない……唇にペ○スから確かな脈動が伝わってくると、逆にあたしを行かせようと先生の長い舌がズルルッとあたしの膣内へ入り込み、蜜を滴らせ始めた肉壷を何度もかき回す。そして溢れる蜜を淫肉ごと吸い上げるようにズルルッと音を立てると、クリトリスへ下あごの鋭い歯先を滑らせる。
「これが僕へのお薬かい? ああ…まさに甘露だよ、君の僕へのラブジュースは。一口すするだけでどんな怪我も病気も感知してしまうそうだよ」
「んっ、んんっ、んぐぅぅぅ〜〜〜〜〜!!!」
「さ、さぁ、一緒にイこうじゃないか。僕の精液が…うっ…き、君の唇へと注がれるかと思うと……うっ、うおっ!!」
(そんなのいい……喋らないで、あたしのアソコ…もっと、もっと舐めてぇぇぇ〜〜〜!!!)
上り詰めようとしていたところで愛撫を中断され、涙を流して腰を振ると、あたしは汚いペ○スに舌を絡めて恥垢を舐め取り、亀頭と裏筋とが繋がっているポイントを痙攣する舌の腹で舐め上げる。
「うっ……出るよ、相原さん、僕の愛が、おうっ、おうっ、おうっっっ!!!」
「んんん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」
ビクッと痙攣するのと同時に膨張したペ○スから精液がドクドクと噴射される。その量と粘度は……あまりにもスゴすぎて、喉の奥に何度も半ゲル状の物体を叩きつけられてむせたあたしが口を離すと、醜悪なペ○スから放たれた白い粘液はあたしの顔どころか髪の毛やナースキャップにまで飛び散り、誘引生活で溜め込まれた性欲であたしはドロドロに汚されてしまった……
「相原さん…ほう……やはり君は僕の天使だ。こんなにも献身的に僕のものを……感激だよ」
「うっ……あ、あたし……」
「でも君をイかせてあげることはできなかったね。じゃあ…次は僕の番だ」
顔中を精液で覆いつくされた汚辱間に言葉を発せず呆然としていると、佐野先生は体をあたしの下から抜くようにベッドへ身を起こすと、先生のクンニですっかり濡れそぼった割れ目へと射精してもいきり立ったまま…いや、今も時折精液を先っぽから溢れさせている肉棒を押し当てる。
「んんっ!!」
「むっ……さすがに手を使えなければ……この、ええい、相原さんの恋の病を治す注射だというのにっ!」
(そんな注射、いらないのに……だけど…あ、あたし…何しようとしてるのよ……)
お尻を高々と上げさせ、蜜の滴る割れ目の下へ佐野先生は自分の分身をそそり立たせて入れようとするけれど、ギブスが邪魔してあたしの体やペ○スの位置を上手く調整することができずにいる。でも……それはあたしにとって助かっているはずだと言うのに、腰がぶつかるたびに挿入されたと勘違いしてしまうあたしは満たされることのない膣肉をその痙攣が全身に響きそうなほどヒクヒクと震わせ、トロトロと濃厚な蜜を垂らして佐野先生のモノが挿入されるのを待ち続けていた。
「くぅ……!」
(また入れてもらえない……覚悟を決めているだけに、こんな状態でおチ○チンを叩きつけられるだけだなんて……)
初めて着たナース服……胸元は顔から滴ったザーメンで汚れたピンク色の服の下で、あたしの体は信じられないぐらいに疼いている。目を閉じればあたしの体から立ち上る淫臭に病院特有の薬の臭いが混ざっていて、それがえもいわれぬ興奮を呼び起こしていた。
(やだ……本当に変なこと考えてる……………もう…あたしの方が我慢…できなくなっちゃうぅ……)
「………佐野…先生ぇ……あたし……」
行く寸前で放置された状態のあたしは手を付いて肩越しに後ろを振り返ると、焦り捲くって汗だくになっている佐野先生と自然と目が合った。それでも言葉を発さず、苦笑を浮かべて挿入できなかったことをごまかそうとする差の先生のペ○スを、足の間から通した右手で掴んだあたしはそのまま上半身を起こして真上を向いたペ○スの上に膝立ちになった。
「先生は…動かなくていいから……あたしが…あたしが入れてあげます……」
あたしは佐野先生の存在を忘れつつあった。明日香に隠れてみたアダルトビデオの中の看護婦を想像し、今の性欲を持て余している自分とを重ね合わせると、ヒクつく割れ目を左手で割り開き、ごくりと喉を鳴らして唾を飲むと、自然に口元へ笑みが浮かぶのを感じながら、腰を下ろした。
「は、入っ…たぁぁぁ!! スゴい……あっ、あたしの中…こんな……」
「ふ…ふふふ……まさに君は僕の天使だ。こんなにナース服が似合っているのに、いやらしくて、僕のものをおいしそうに飲み込むなんて」
「だって、おチ○チンが気持ちいいのぉ! ズンッて、奥に来ちゃって、だからあたし、うふぅ、あッ、ううぅん…いい? おチ○チン、気持ちいい?」
「最高だとも。僕のものを吸い上げるような……おおうっ!!」
「あたしも、あたしもいいのぉ!! 先生のお注射が、子宮に、ごんごん当たってるのぉ!! あたし、アソコが熱い、もっと、もっとぉぉぉ!!!」
パイプベッドがあたしの激しい腰のリズムに合わせてきしむ音を立てる。ここが病院であることも忘れ、ナース服を張り詰めさせるほどに膨張した乳房を上下に弾ませながら佐野先生の上で腰を振ると、あたしの膣内に包まれたことを悦ぶようにヒクつくペ○スと肉ヒダとが擦れて快感が沸き起こる。
佐野先生のモノは根元まであたしの中に埋まっている。膝に力を入れて半分以上膣口から吐き出すと背とお尻とをくねらせながら腰を下ろし、おマ○コ全体で強烈なまでにおチ○チンを締め上げてしまう。
「あ…うぁ……ダメだ、あ、相原さん、僕は、リードを取られるのが好きでは……」
「ダメ…先生、動いちゃ…あたしがしたげる、だから…んんっ! ああ、ああん、あ…あっ、んあああっ!!」
子宮口に張り詰めた亀頭を押し当てたまま腰をうねらせている途中で全身に痙攣が走り、あたしは結合部からブシャッと派手な音を立てて淫汁を撒き散らしながら絶頂へと上り詰めた。――でも、我を忘れ、完全に淫欲の虜になっていたあたしは、白濁まみれのナース服の上から乳房を子ね、片手を股間に伸ばしてクリトリスを弄びながら狂ったように恥骨を佐野先生にこすり付けた。
「ま、待つんだ、このままでは僕が……」
「先生、あたしに、あたしにいっぱいちょうだい。先生のいやらしいお薬、濃いの、たまってるのいっぱいちょうだい!!」
連続して自分で子宮を突き上げ、オルガズムの波が頂点に達したあたしのヴァギナが膣奥から大量の愛液を噴出しながら収縮する。--そして同時に、あたしの子宮口を割り開いた肉棒の先端から、さっきフェラであれだけ射精したにもかかわらず大量に迸ったドロドロの特濃ザーメンが流れ込んできた。
「アッアッアッアッアアッアッッッ!! ンアアアァァァアアアアアアアアアアッ!!!!!」
喉から絶叫が迸るのと同時に、クリトリスを摘んでいたあたしの手に絶頂液が勢いよくしぶいてきた。ナース姿の体を硬直させて身をのけぞらせ、痙攣が走るたびに弾力を増すクリトリスをもみこみながら二度三度と佐野先生の上でオルガズムに突入し続ける。
「あッ、アッ、だめ、もうダメェェェ、やあああっ、イク、おあっ…いあああああああああっ!!!!」
――――きゅぽん
「はうっ!………あっ……抜けちゃった…………ほう…おなか…すごいのぉ……」
「あ……あうあうあうあうあう……はぅぅ……」
(………ん? あたし……なに、してたんだっけ…………あれ?)
肩で息をしながら潰れた蛙のような声が聞こえる背後を見やると、佐野先生の魂が抜けた。
「………へ? ちょ、え、えええええっ!? やだ、あたし、よりにもよって……」
一生の不覚……その事を悔やむ前に、あたしはやるべきことをやらないと。
そういうわけで佐野先生の胸倉を掴み上げ、脱力しきっている佐野先生の体をガクガクと揺さぶる。
「先生、あたしの携帯! もうやっちゃったことは仕方ないけど、気を失うならあたしの携帯を返してからにして!」
―――と、自分で骨抜きにしたのも忘れ、寝巻きの胸ポケットから携帯電話が零れ落ちるまで人形のように揺れる頭を振りたくった―――
そんなこんながありまして――
「それじゃお先に失礼しま〜〜す」
キャバクラでのバイトを終えたあたしは急いで着替えると、もう一着の着替えが入ったかばんを肩にかけ、夜道をバス停へと走った。
ただし、バスで向かう先は家ではなく、先日訪れた病院だ。あたしはそこで深夜のアルバイトをしているのだ。
「―――これでよし。うん、制服の乱れ無しっと」
胸の高鳴りを押さえながら締め付け間が気持ちのいいナース服へと身を包むと、あたしは三階の病室へと向かった――
「おお、看護婦さん。また来てくれたんだな」
「だって……みんなの、スゴく濃くって、まだ味と臭いが口の中に残ってるんだもん……」
あたしが訪れたのは六つのベッドが並んでいる大部屋の病室だ。電気をつけていない薄暗い室内にはあたしより年下の学生から歳が三倍以上も違うお年寄りまで……けれどみんながみんな、長い入院生活と他人への気遣いとで性欲の捌け口を持たない男の人ばかりだ。
「じゃあ…まずはおじさんからね」
この部屋で一番スケベなおじさんへと近づいたあたしは、ニヤニヤ笑う中年のおじさんへ熱を帯びた笑みを向けると、寝巻きの上から逞しい肉棒へ手を滑らせた。
「あっ………やっぱりすごい。もうビクビクしてる……あたしが来ない間も溜めててくれたんだ……」
手の中から伝わってくる力強い脈動だけで、あたしのアソコにはジィンと疼きが広がって行く。ストッキングの下は要望の多かったノーパンで、暗い病室だと言うのに足を骨折した男性や鼻息を荒くして覗き込んでくるのが分かる。
「はぁぁ……♪」
(ほんと……ここのアルバイトって…いい……♪)
多額のバイト代と女になってしまったあたしの体の精密検査、それに加えて普通では味わえない溜まりに溜まった性欲をぶつけられる激しいエッチ……当然お医者さんの先生とだって楽しめる、女であることを受け入れたら夢のようなアルバイトだ。しかも男性の病人は何十人もいるので、一人が満足しても休む暇無くあたしを犯し続けてくれる……佐野先生に抱かれた後、ナースの人たちに誘われた饗宴の虜になったあたしは、このナース服を着るたびに淫らな女へと変貌してしまっていた……
「今日はお泊りだから……みんなをちゃんと満足させてあげるから……ね♪」
これがあたしの天職なのかもしれない……男に戻る薬ができるまでの間だけ、そう心の中で説得力の無い言い訳をすると、むせ返るほど汗と尿と、そしてオスの香りを放っている肉棒へと唇を寄せ、舌を絡ませた……
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