『プロローグ』
通学路の途中、私は思った。
私の学校の連中は頭がおかしい。
中学に進級した私、真夜原知華(まやばら ちか)を待っていたのは地獄だった。
私はクラスメイトにいじめられている。
主犯格はクラスのリーダーである姫慈姫(ひめじ ひめ)だ。
姫慈の親は相当な権力の持ち主らしく、この学校で姫慈に逆らう者は教師を含めて誰もいなかった。
いったいなぜ私が姫路に嫌われ、いじめられるようになったのか、その理由を私は知らない。
むしろ、そんなものは今や姫路本人もどうでもよくなっているようだった。
今はただ面白いから私をオモチャにして遊んでいるだけ。
そんな感じだった。
もっとも、幸か不幸か、私が受けているいじめはテレビなどで取り上げられるような血なまぐさいものではない。靴を隠された事はないし、椅子に画鋲を置かれた事もない。無視された訳でもないし、殴られる訳でもない。
だから、それ故に私は、自分が受ける仕打ちを誰にも相談できないでいた。
私が受けるいじめは、性的なものに限定していた。
休み時間に胸を触られたり、乳首をいじられたり。下着を捨てられたり、スカートを捲くられ、頭の上で縛られたり。姫路が持ってきた大人のオモチャと呼ばれる物で弄ばれたりする。
ただ、姫慈が規制でもしているのか、男に犯された事は一度もなかった。
何度か身の危険を感じた事はあるが、その一線を越える事を姫慈は嫌っているらしく、全力で妨害していた。
あいつらはただ、私の性感帯を刺激して、私が恥ずかしがり、悶える姿を楽しんでいるのだ。
そうして考えている間に、私は学校に到着してしまった。
生徒達の間でロリコンと噂されている校長が湿ったあいさつをしてきた。
私は、それを全力で無視した。
また、私の地獄が始まる。
つづく
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