最終話 Nightmare and ・・・


「さあ、いよいよ最後の関門、これをクリアすれば、100万円は君達の物じゃ」 私は金沢沙希、高校3年生。そして、一緒にクリアしてきた彼は、剛志。 中学1年生の時からの彼で、今年で6年になる、学校でも認定されたカップルである。 「つよし、絶対100万円取ろうね、がんばろう!」 「よーし、サキ、がんばろうな!」 私達は、たった二人になってしまった会場を奥へと進んでいく。 手をつないで、たった二人で暗い細い通路を進んでいく。 すると、ようやく最後の部屋と思われる会場にたどり着いた。 サンタクロースが上からそりに乗って降りてくる。 「よくここまでがんばったな、あと一息じゃ。最後は二人の本当の愛をためす試練じゃ。」 そう言うと、サンタクロースは再び上昇し私達の立っていたステージが上へと登っていく。 どうやら屋上らしく、天井がゆっくりと開き、星空が広がっていった。 「このステージは、屋上で行うぞ。もっと前へ進むがよい。」 すると、暗闇から、一本の柱が見えてきた。 「このステージは、女の子だけのチャレンジとなる。彼は遠くから応援する事しかできない。」 え?あたしだけ? 「女の子はこの柱にしがみつき、一番上まで登るのじゃ。時間は無制限。しかし、女の子が落ちたところで即失格じゃ。」 この柱は、屋上から15mほどの高さまで伸びており、てっぺんには大きなくす球が吊るされている。 「てっぺんのくす球を割った時点で100万円獲得じゃ。がんばるのじゃぞ。」 しかし、柱の下にはマットもなく、プールもない。ただのアスファルトである。 私は言われるがまま、上下深緑のマフラーに黒いオーバーニーという格好で柱の下にスタンバイした。 「それでは、スタートじゃ。」 そして、ただこの円柱を登り始める。 おかしい・・・最後のステージだというのに、これだけでおしまい?まさか・・・ しかし、既に私は3m付近を通過し、余裕でどんどん登っていく。 「3m通過、それでは最初の難関じゃ」 やはり・・・ すると、横には私と同じくらいの女子高生が10人ほどステージに乗って待っていた。 同じ高校の制服を着ている。よく見ると、全員メガネをかけた、俗に言うオタクのような風貌だった。 「あなた、目障りよ。ふん、なにがカップルよ。落ちてしまええぇ!」 そういい捨てると同時に、私に向かって一斉に白い風船のようなものを投げてくる。 バシィ!パシャッ! 痛っ!!あれ?なにか液体のようなものがついている。 「サキ、気にするな!がんばれ!」つよしが声援を送ってくる。 しかし、一斉に私の体から力が抜け始める。 どうやら催眠作用のような効果があり、意識が朦朧としてくる。 体中に白風船の洗礼を受けながらも、私はひらすら上を目指して登り続ける。 液体は私の体を伝い、胸へと垂れてくる。 「ん・・・は・・・ぁぁぁ」 そして、恥部へと更に続いていく 「くはっ・・・いい・・・・よぉ」 私は、この液体が特殊ローションであることに気がついた。 「サキ、負けるな!がんばれ!」 ペースはさっきの半分くらいまで落ちてしまったが、なんとか登っていく。 しかし、だんだん柱が細くなってきており、恥部に直接触れるようになってきた。 柱からは細かい突起が出ており、細かい刺激が私を襲う。 吐息の混じった息遣いで、なんとか登っていく。下を見ると、かなりの高さまでのぼってきていた。 ここでやっと私は気がついた。したにはマットもプールもない。 男が群れをなして、私が転落するのを待っていたのである。 「下を見るな!!登れ!」 つよしが必死に声をかけてくれている。 わたしの握力にも限界がきはじめている。 はやく登らないと・・・ あと3mのところまでたどり着いていた。 下にいる男達は、私をしたからのぞくように見ている。 はっ!! 「おい、丸見えだぜ。すげえよ」 「へへっ。びしょびしょに濡れてるぜ・・・」 くぅっ。私はマフラーを直そうと、左手をマフラーへ運んだ。 その時!! ズルッ 一斉に体が重力に引っ張られる! そして体力を失っていた私は、悪夢の時を迎える・・・ 「いやああああぁぁあぁぁああ!!」 ドサッ!!! 私はまっ逆さまに柱から転落し、男達の中へと吸い込まれていった。 「サキーーーーーーーーーーーッ!!」 一斉に私の胸、恥部に手を伸ばしてくる男達。 つよしは何かを叫んでいる・・・ しかし、わたしにはその声は届いてこなかった。 気がつくと、わたしの手足は縛られ、十字架にされていた。 ホテルの最上階に晒される私。 つよしも縛られ、身動きが取れなくなっている。 下には例の白いプールが広がっている。 「ざんねんじゃったな。これで君達の愛は終わった。これでサキちゃんの記憶はなくなっていくのじゃ。」 私は泣きながら、つよしに叫んだ。 「つよし!!私、絶対に分かれないよ。絶対に忘れないから・・・負けないから・・・・」 「サキ!!」 そういい終わると、私の体は15mの高さの十字架から開放され、プールへと転落していった。 ザバアアアアアアアアアン!!! 沈黙を引き裂く最後の水しぶき・・・ 私の頭の中では、つよしとの思い出が一気によみがえってくる。 と同時に、私の恥部には痛みとも思える快感が染み込んでくる・・・ 熱い・・・熱いよ、声を出したくても出せない・・・ 1分経っただろうか、私は再びロープにより吊り上げられる。 目の前には、男が一人立っている。 どこかで見たことのある人。 「サキ!!!」 私の名前を呼んでくる。 私はそれに答えようと必死に声を出そうとするが、思い出せない。 それよりも、今回の試練の失敗のショックで頭がいっぱいである。 そう、この男のせいで100万円がとれなかったのだ。 「あんたのせいよ!あんたのせいで、100万円がなくなったんだから!責任取りなさいよ!」 聖夜の星空の下、カップルの姿は一人もなかった。 100万円の代償は大きく、楽しく語る二人の時間は一瞬にして消え去っていった。 そして、また今年も聖夜を迎える・・・ (終)


<終>