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もうひとりの自分 (2)

れいな

第6話

彼は私をうつ伏せに転がした。手を縛られ、身体を支えることもできず、お尻だけを突き
出したような死ぬほど恥ずかしいポーズをとらせた。
****************************************
「さて、玲子ちゃん。どう、嵌められたいの?」
彼は勝ち誇った顔で、言葉で責める。お尻をゆっくり撫で回す。明るい部屋の中であられ
もない姿を曝け出すのは初めての事だった。
ベッドに顔を押し付け、お尻だけが高々と上げられた姿勢のまま、足を広げさせられてい
る。
「あららぁ。玲子ちゃん。愛液が太股にまで垂れてるぜ。」
「こんなに濡らしちゃってさぁ、やっぱり根っからのマゾなんだよね。」
「ほぉらぁ、おま○こがヒクヒクしてるぜ。」
彼は耳に息を吹きかけながら言葉での嬲りを続ける。
男性に抱かれる事は決して初めての事ではなかった。しかし、こんな明るい中で眼にする
のは未だかつて経験がなかった。
明るい中で抱かれる事を嫌い、必ず明かりを暗くするように願った。その願いが聞き届け
られなかったことはなかった。
何よりも、感じている自分の表情を見られるのが嫌だった。いまだかつて誰にも見られた
事のない秘所を剥き出しにして弄ばれている屈辱に心が震えていた。
にも拘らず、身体は蕩け始めていた。彼の容赦ない責めは続いた。
彼は私の前に仁王立ちになり、ゆっくりとジーンズのベルトをゆるめた。自らトランクス
を脱ぎ捨て全裸になった。
「ほおらぁ、よく見ろよ。玲子。」
「今からこれでイカせてやるから。」
彼はニヤニヤ笑いながら彼自身をしごいた。
彼自身は弾けるように天を向いていた。こんな明るい部屋の中で男性自身を眼にしたのは
初めての事だった。
彼自身のものは、今迄自分が目にした事のない大きさだった。あんな物が自分の中に入っ
てこれるのだろうか? 想像するだけで恐ろしかった。
「玲子ちゃんはどんな嵌められ方をしたいのかなぁ?」
「明るい中で悶える顔を見られながらイキたい? それとも雌犬のように四つん這いにさ
れて後ろから嵌められたい?」
「最初だから玲子ちゃんのお願いを聞いてあげるよ」
  「いやぁあああああああああ。やめて! やめて下さい。」 
隆々となった男性自身を、これ見よがしに目の前に突きつけた。思わず顔を背けて逃れよ
うとしたが、彼が許すはずもなかった。容赦なく私の髪を掴み、彼は顔を彼自身に引き寄
せた。
「駄目だよぉ。逃げたりしちゃぁ。」
「ほらぁ、さっきのように素直にお願いしてごらんよ。ほしいんでしょ?」
「言わないならいいや。前と後の両方でイカせてあげるよ。」
  「いやぁっ……。」
「口では嫌がっても、おま○こはベチョベチョだよ。」
せせら笑いながら、彼はいきなり秘裂に彼自身の先端を押し当てた。
瞬間、身体中に甘美な電流が走った。と同時に一刻も早く奥まで受け入れたい。そう願い
始めていた。身体も心も。
そう願いながら口から出た言葉は、僅かに残っていた理性の言葉だった。
  「うぅっ…いっ…いやぁ…。」
「なに嫌がってんだよ。おま○こ、グチャグチャにしておきながらさぁ。」
「嫌がっても、先っぽは入ってるぜ。」
いきなり身体をひっくり返されて、仰向けにされた。抵抗など出来ないまま、いきなりの
しかかって、いきり立った彼自身を秘裂に押し込んできた。経験した事のない大きさに痛
みを覚え、めりめりと音を立てて裂けていくように入っていく。
  「あっ…きゃぁあああああ! いやっぁあああああ! やめてぇえええええええ!
  「いっ…痛い! いたぁーーーぃ! いやぁあ! 抜いてぇぇぇぇ!!!」
「今更、遅いよ。もう入っちゃったぜ。」
「ほらぁ。入ったのがわかるでしょ?」
抵抗など出来ぬまま、彼自身は秘孔の奥を目指して突き刺していた。ゆっくりと出し入れ
を始める。
  「痛い!痛いの。お願いです。抜いて、抜いて下さい。」
彼から逃げるように、動けないながらも身体が必死に上にずり上がる。
彼は卑猥な笑みを浮かべながらくびれた腰に手を回し、引き寄せる。既に後ろ手に縛られ
ている体勢で身動きの出来る状態ではなかった。彼はズボズボと腰を使って出し入れを続
ける。
私の身体は痛みの声をあげた。
  「ぐっ…。いやぁっ。」
「何言ってんだよ。初めてじゃぁあるまいし。」
「今にさぁ、嵌められる事が病みつきになるぜ。」
「自分からケツをつきだして「いれて下さい。」ってお願いするようになるんだよ。」
言い終わると、彼は肩を掴み一気に深く貫いた。痛みを感じていたはずの身体が変化を始
める。子宮が締め付けを始め、愛液がとめどなく溢れ始める。身体は火照り、素肌は汗ば
んでくる。頭がくらくらとしてくる。
  「あぁ…変になっちゃいます。いやぁ…あはぁ…」
彼は耳元で囁く。
「ほぉーら。雌犬の顔になってきたぜ。」
「明るいからよく見えるよ。淫乱になった玲子の顔が。本当にスケベそうな顔をしてるよ
なぁ。」
「おま○こも、玲子の愛液でグチャグチャだぜ。音が聞こえるぜ。」
「そろそろイキたいだろ?」
「今日は最初だから、いかせてやる。ただし、イク時にはちゃんと「イキます」って言え
よ。」
彼は耳たぶを甘噛みする。喘ぎ声が激しくなり、自分で喘ぐ事を止める事が出来ない。
  「あぅ…ぅぅ…。」
  「あっ。あぁ…駄目ぇ。いやぁ。変になっちゃう。」
「ほら。イケよ。」
身体がトロトロに融ける。骨までとろけるような甘美な刺激が身体中に広がっていく。
  「駄目!だめぇ。あぁ…イキます。いっちゃいます。」
  「はぁ…。我慢できません。いっ…イクうぅ…。」
今迄経験した事がない、途方もない快感の波が押し寄せる。身体が痙攣し、目の前がまっ
白くなっていた。

第7話

ふっと目が覚める。寝返りをうった瞬間、身体が軋んだ。
「痛い!」
時計を見ると既に13時を回っていた。15時間以上も眠りこんでいた。
「身体中が痛い…。そっかぁ…昨日の事は、夢じゃないんだ。」
「シャワー浴びなきゃ。汗、かいちゃった。」
身体中に倦怠感が広がっている。結局、昨日はあれから何度も絶頂まで押しやられた。
ラブホを出てから軽いアルコールと夕食を共にした。
ごく普通に、さっきまでのことが嘘のような、何事もなかったかのように友達として
いろいろな会話をした。不思議な感覚だった。
今しがたの事が嘘のよう。そう、夢見ごこち。
夢のような出来事だった。彼とかわした会話の内容は殆ど記憶になかった。
どこをどう帰ったのか…。
帰宅し、シャワーを浴び、そのままベッドに直行した。
昨日の事が、走馬灯のように思い出される。散々、彼に嬲られ、辱められた。
けれど…。
けれど、感じていた。恥かしいと思いながらも、抗う事は出来ずに甘受していた。
別れ間際に投げかけられた言葉。
「週末、電話してこいよ。」
二度と会わない。最初で最後。心に誓う。
一方で、絶頂に追いやられた記憶が鮮やかに蘇る。
「あんなに感じた事はなかった……」
素直な気持ちだった。身体がめちゃくちゃ、けだるかった。彼の言葉が思い出される。
私の心を掻き乱す。
「玲子。イキたかったら言えよ。玲子は貴方の奴隷になりますって。」
「誓えよ。イカせて貰う為には何でもする奴隷になります。嵌めて下さいってお願い
しろ。」
「ほらぁ、腰を使えよ。嵌めたいんだろ。自分で腰を振るんだよ。」
「雌犬には、腰振りはお似合いだろ?」
次々と投げかけられた言葉の数々。思い出すだけで顔から火が出そうになる。
「二度と彼とは会わない。電話もしない。」
心に誓った。
月曜日。身体中の軋みは消えてなどいなかった。
「会社を休もうかなぁ……。」
そんなこと出来る筈ない事は、自分が一番良く分かっていた。仕事、優先。
一日休んだら仕事が溜まるだけ。
「ほらぁ。玲奈らしくないなぁ。」
「こんなことで休もうなんて考えないの!永井玲奈、ファイトでしょ!」
自分に言い聞かせる。鏡に映った自分を見て、両手で頬を軽く叩き、気合いを入れる。
「おはようございまぁーす!」
  「おはよぉー! 玲奈。」
  「なんかさぁ、疲れた顔してるけど?」
「えっ!そう?そんなことないよ。休み中に寝過ぎて顔がだらしなくなってるだけよ。」
社内の友達とかわす何気ない会話。そこには、休み前とは違っている自分がいた。
そんなことに関係なく、いつもと変わりない日々が始まる。
  「山下君。このサンプルの分析はいつ終わるの?」
「えっ。これですか? ちょっ、ちょっと待ってて下さい。えぇっと……。」
「これですか。予定では今日分析が終了する予定です。報告書は明日になります。希望は
金曜日と言う事でしたので十分間に合うと思います。」
「そう。それじゃぁ永井君、よろしく頼むよ。」
「…すいません。山下さん。差し出がましいとは思いましたが。」
「いやぁ、助かったよ。谷本主研は気が短いから。機嫌を損ねなくてよかったよ。」
「ねぇ、ねぇ、玲奈ぁ。まったく山やん、つかえないよね。スケジュール管理なんて
さぁ、リーダー の仕事じゃん。それも把握してないなんてさぁ。いっつも玲奈を頼り
にしてさぁ、ムカツクよね。」
同僚の葉子が声を掛けてくる。彼女は私より入社が早いが、同い年で職場も同じ、気が合
う友人である。
「仕方ないよ。」
「まったくさぁ、いつもやさしいんだから。」
「ところでさぁ、この報告書ってさぁ、どう書くの? これでいいの? 教えてよ。」
「玲奈だけが頼りなんだからぁ。」
「どうせさぁ、山やんに聞いても自分で調べてよって言われるだけだもん。」
「はい、はい。見るからそこに置いておいて。期限はいつまで?」
「期限をポストイットで書いておいてね。忘れちゃうから。」
いつもと同じことが繰り返される。何ら先週と変わりない。自分に起こった出来事以外は。
いつもと変わりなく仕事をこなしていても、何かの拍子で身体が軋む。
週末の出来事を無理矢理思い出させる。
仕事に打ち込みながらも、心のどこかで週末のことを思い出していた。
何気ない拍子にフラッシュバックする。
「玲子。今日からお前は俺の奴隷だ。わかっているよなぁ?」
「……。」
「何やってんだよ。早く言えよ。奴隷だって。」
「今更、遅いよ。さっきあれだけイキまくってたくせにさぁ。」
「奥まで突っ込んで下さいってお願いしただろ?」
「卑らしく、ケツを振りながらさぁ。」
「いやぁああ!言わないで。聞きたくない!」
「何?何が嫌なの?玲奈ぁ?」
「どうしたの?突然?」
「えっ?」
「あっ…あぁ…ごめんなさい。ちょっと考え事をしてたの。」
「嫌な事を思い出しちゃった。」
「大丈夫? 疲れてるんじゃないの?」
「しっかりしてよぉ。玲奈に休まれたら困るんだからぁ。」
「山やんなんか役に立たないんだからさぁ。」
「はい。はい。大丈夫よ。ちょっと考え事をしてただけだから。安心してね。」
いけない。こんなことじゃ、駄目。仕事、しなくちゃ。週末の事は忘れるの。
自分に言い聞かせる。言い聞かせても身体中に週末の痕跡が残ってる。
忘れる事など出来るはずがない。思い出すだけで身体の中が疼きだす。
そう。あまりにも衝撃的な出来事を忘れられる事など出来るはずがない。
自分が一番よく分かってる。
もちろん、そんな気持ちを彼も十分わかっているはず。
わかっているから、わざと余韻が残るように仕組んだ気がしてならない。
そう考えずにはいられなかった。
その考えが間違えてなかったことは、後日、嫌というほど思い知らされた。

第8話

 「玲奈ぁ!今日、飲みにいかない?」
 「今日?う…ん…。」
 「何?何か先約でもあるの?」
 「別に用事はないけど、今週はちょっと疲れたから。しんどいかなって思って。」
 「だからさぁ、飲みに行こうよ!ぱぁーっとさぁ。」
 「ごめん。やっぱり止めとく。こんな日に飲んだら悪酔いしそうだもん。」
 「なんだぁ…残念。」
同僚の葉子の誘いを断って家路につく。いつもの通り、軽く夕食をし、入浴する。
輸入物の入浴剤を入れ、ゆったりと1時間半かけての入浴。1週間を振り返る。
大好きな薔薇の香り。いつもなら…穏やかな気持ちになるはずだった。
気分がすっきりと晴れない。理由はわかっていた。
お風呂から上がり、ビールを口にする。自然に受話器に手が伸びる。
受話器を握り、耳にあてる。発信音が聞こえる。けれど受話器を置いてしまう。
そんなことを何度も繰り返す。
 「電話しないの?」もう一人の自分が問い掛ける。
   「出来るわけないでしょ?」
 「どうしてなのよ。本当は電話したいくせに。なに我慢してるのよ!」
   「だぁって…」
 「だってなによ。彼に抱かれて、あれだけ感じたくせに。」
   「やめてよ!そんなこと言わないで!」
 「なに気取ってるのよ。馬鹿じゃない。」
もう一人の自分が受話器をとり、電話をかける。
トゥルルゥ……発信音が響く。誰も出ないで! 出て! 思いが交差する。
 「はい。」
懐かしいと思える声が聞こえる。
 「もしもし?」
   「……」
 「もしもし、玲子でしょ?」
   「……はい」
 「どうだった?今週は?」
   「えっ?何が?」
 「玲子の身体がどうだったか聞いてるんだよ。」
   「……」
 「あれだけ土曜日に嵌められてイキまくれば身体中、ボロボロだったろ。」
 「そう簡単に何事もありませんでした。ってことにはならなかっただろ?」
冷笑を浮かべる彼の顔が目に浮かぶ。
彼のいきなりの発言に、電話をしようかなどと迷っていた気持ちはどこかに吹き飛んでい
た。
 「どうなんだよ?」
 「思い出して、我慢できなくて、会社のトイレでしたんじゃないの?」
   「なっ! そんなことしません。するわけないでしょ!」
 「そうなの? 全然平気だったわけ?」
 「へぇ〜。そうなんだ。まぁ、いいや。今に俺が命令すればどこでも自分で嬲るように
なるさ。」
 「玲子は、なんでも俺の命令には従うM女になるさ。」
   「そっ、そんなことしません。出来るわないじゃない。」
 「そうかなぁ。」
彼が鼻先でせせら笑う。
 「まぁ、そう思うならさぁ試そうじゃん。」
 「明日、会おうぜ。」
   「えっ!」
 「何か大事な用事でもあるの?」
   「いきなりそんなこと言われても…。買い物に行こうかと…。」
 「いいじゃん。そんなの日曜日で。」
「お前が俺の思うような女なのか、そうでないのか試そうぜ。」
「お前はそんな女じゃないんだろ?」
   「はい…」
「じゃぁ、いいじゃん。会えるだろ?」
   「それはそうだけど…。」
「そうだけど何? それともやっぱり自分に自信がないわけ?」
「やっぱりさぁ、身体が疼いて会社でオナるような女なわけ?」
   「違います!そんなことありません。私はそんな女じゃないです。」
「じゃぁ、別に問題ないということで決まりだよね。」
「明日、会おうぜ。」
有無を言わせない言い方。私が引くに引けなくなるような話の持っていき方。
この人、私より一枚も二枚も上手。そう思わずにはいわれなかった。
全て計算づく?
「俺さぁ、蒲田に住んでいるんだけどそこまで来れる?」
「玲子の住んでる場所ってよくわかってないんだけど。」
   「蒲田に行けばいいのね。」
「そう。駅に着いたら電話してよ。」
「取り合えずさぁ、この前と同じ格好してきてよ。」
   「えっ!」
「同じ格好だよ。忘れちゃった?」
   「わっ、忘れるわけないでしょ!なんであんな格好をしていかなくちゃいけない
の!」
「そうだよね。忘れるわけないよねぇ。」
電話口で彼の笑い声が響く。
「ノーブラにTバックに生足ね。」
「覚えてるでしょ?そんな格好でこの前、会った事。」
   「……。」
「そう簡単に忘れられるわけないよね?」
「普通の女だったら、そんな格好しないしねぇ、そんな格好で濡らすわけないもんね。」
「この前は滅茶苦茶濡らしてたもんね。」
「どうしようもないくらい、ぐちゃぐちゃでさぁ。」
忘れようと必死で思っていたことが鮮やかに蘇ってくる。
忘れたかったこと、忘れられなかったこと。
彼の一言で、いとも簡単に思い出される。
この人なら…自分が変われる?変わることが出来る?
漠然と、心のどこかで堕ちたいと願っていた願望が叶えられる?
会社での自分と違う自分になれる?
「まぁ、いいや。明日、蒲田に着いたら電話してよ。」
「出来れば午前中から来いよ。」
   「行かないかもしれないわ。」
「来るよ。必ずね。」
   「……。」
「じゃぁ、また明日ね。」
その夜は眠れなかった。どうしたらいいのか…。
結論はわかっていた。ただ、自分を納得させる理由を探していた。
自分はそんなことをする女じゃない…。
私の中にいる「玲子」、彼女が勝手にやっていること。
永井玲奈には関係ないこと。
そう、私の中の「玲子」彼女がやっていること。
勝手な理由。自分でも十分にわかってる。
自ら、二重人格になろうとしている。別の自分を作り上げて。
でも、そんな愚かな理由をつけなければ踏み出せない自分。
愚かな……。
夜は明けていた。

第9話

結局、熟睡など出来ずにうつらうつらと朝を迎えた。
目覚めたのは、永井玲奈ではなく、玲子だった。
それが一晩かけて出した答えだった。
一体何を着ていこう…。何を着ていくか迷っていた。
この前と同じ格好、ノーブラにTバックに生足。これが彼の指定した格好。
パンツスーツ?それともロングのスカート?
でも同じ格好って言われた。じゃぁ、ミニスカ?
ミニスカと指示されたわけではない。しかし、本能的にミニスカでなければならない。
玲子はそう感じていた。心のどこかで気付かぬうちに、すでに彼におもね始めていた。
ノーブラにTバックに生足って言われたけど…
でも、ミニスカって指定はされなかった。迷っていた。
しかし、指示されてもいないのにミニスカを身に付けることは完全に彼に屈したことにな
る気がして理性が許さなかった。
永井玲奈が完全に眠っていたわけではなかった。
結局、ロイヤルブルーで胸元でリボンを結ぶ形のブラウスと、膝上15cmとなる黒のキ
ュロットを選んだ。
リボンは大きくなるように結べば、胸の突起部が隠れるようになる。
キュロットは巻きスカートのような感じになっていて、前から見ればキュロットだという
ことはわからない。一見、ミニスカに見えてしまうものであった。
これならミニスカに見えて、彼も気分を害することはないだろう。
会って間もないし、これで十分通用する。
万が一、彼が気分を害しても膝上15cmならなんとか言い逃れが出来る筈、その時はそ
う思った。
そのことが自分の考えの甘さと、彼に対する認識を大きく変えることになった。
しかし、その時には知る由もなかった。
彼の指示通り、ノーブラにTバックに生足で自宅を出た。
自宅を出る前、何度も鏡の前に立ち、ノーブラであることが他人にわからないか確認した。
自宅を9時半に出た。
京浜東北線に乗り込み蒲田を目指す。
車内は空いていた。もちろん座席に余裕もあったが、座らずドアにもたれ掛かった。
窓の景色を眺めながら、思いを巡らしていた。
これから何が起こるのか。どうなるのか。
誰かにノーブラがわかってしまうのでは?
こんな格好をしている自分が恥ずかしい。
不安と期待が入り混じり落ち着かなかった。
けれど、自分の身体はそんな思いとは裏腹に潤み始めていた。
どうして? 何故?
こんなに不安な気持ちでいるのに、自分の身体は気持ちを裏切り始めている。
怖かった。そんな気持ちのまま、電車は蒲田に着いた。
蒲田に降り立つのは初めてだった。ホームでは蒲田行進曲が流れていた。
蒲田だから蒲田行進曲? お決まりすぎて思わず笑いが込み上げてくる。
その気持ちとは逆に、一方では緊張感が走る。
とうとう蒲田まで来てしまった。
階段を登り公衆電話を探す。
階段を登り終えた改札の手前に公衆電話があった。
メモ書きをした紙を見ながらプッシュホンを押す。
受話器を握り、耳にあてる。発信音が聞こえる。トゥルルゥ…
 「はい。」
 「もしもし、玲子?」
  「……はい……。」
 「今、どこ?」
  「蒲田の駅からです。今、改札の前にいるんです。」
 「そうなの。じゃぁさぁ、改札の前で待っててよ。」
 「今から迎えに行くから。」
  「はぃ…。」
改札を抜け、彼を待つ。
 落ち着くのよ。彼が来るまでに時間があるわ。
出掛ける前に何度も確認したけど、もう一度チェックしなくちゃ。
 身元がわかるようなものは何も持ってこなかったわよね?
 バッグを開いて、もう一度確認する。お財布の中も大丈夫。
 カードも何も持っていない。大丈夫よ。
私が永井玲奈だという身元を保証するものは何もない。
 「よぉ!」
彼が手をあげ、近づいてくる。
無遠慮に、ジロジロと私を頭から足元まで眺める。
 「待たせて悪いな。」
 「言われた通りの格好をしてきたみたいじゃん。」
 「リボンが大きすぎて、残念ながら立ってる乳首がわかんないけど。」
彼は口元に笑みを浮かべた。
最初の出会いのときと同じように、彼はごく自然に私の右手を握って歩き始めた。
私は彼に従った。
駅前の商店街を歩いていく。ごく普通に彼は商店街の説明をしながら私を導く。
彼の説明を聞きながら、私は初めての町を眺めていた。
これから起こるであろう出来事に高鳴った心臓を抑えるために、必死で自分を落ちつかせ
ようとしていた。
途中、商店街の中にある酒店に立ち寄った。
 「おまえさぁ、ワイン飲む?」
  「飲むけど…。」
 「何がいい? 赤? 白?」
  「出来れば白がいい。甘口よりも辛口のシャブリが好きだけど。」
 「おっ!気が合うじゃん。俺も白の辛口が好きなんだよ。」
 「じゃぁ、シャブリにしようぜ。」
彼は冷蔵ショーケースから冷えたシャブリを選び取り出した。
支払いを済ませ、再び歩き出した。彼の部屋は、踏み切りを越えて直ぐだった。
ドアを開け、私に中に入るように勧めた。
彼に促され、部屋に入る。玄関を入ると直ぐにキッチン。その奥に彼の部屋があった。
開け放たれたカーテン。窓からは線路、距離をおいて古ぼけたアパート、建設中のマンシ
ョンが見えた。
タバコの匂い。それが部屋に入った時の第一印象だった。
私の背後から彼の声が飛ぶ。
 「なんだよぉ!ミニスカじゃないじゃん!マジかよ。」
  「えっ!」
 「なんだよ。これじゃぁ、詐欺じゃん!」
 「俺さぁ、この前と同じ格好って言ったじゃん。」
 「それがなんでキュロットなんだよ! ムカツクなぁ!」
  「あっ。ごめんなさい。」
  「ミニスカって具体的に言われたわけじゃなかったから。」
  「でも、キュロットでもかなり短めだし、一見ミニスカに見えるからいいと思ったの。」
もしや…そう思っていたことが実現となった。
やっぱりミニスカにすれば…一瞬の戸惑いが心を過ぎる。
 「おまえさぁ、ミニスカじゃなきゃマズイかもってわかってたんだよなぁ?」
  「えっ?」
 「わかっていながら、ミニスカを穿いてこなかったんだよなぁ?」
  「えっ……あっ…あの…そういうわけじゃ…」
 「わかってたんだよなぁ?」
  「あっ…あぁ…っ。ごめんなさい。」
 「わかっていてミニスカ穿いてこなかったんだよね
 「まぁ、最初が肝心だからな。二度とそんな反抗的なことをしないようにしないとね。」
  「えっ?? どういうこと?」
 「お仕置きだよ。」
  「ぇ…えっ?」
 「そのさぁ、目障りなキュロット脱げよ!」

第10話

「聞こえなかった?」
「脱げ!っていったんだけど?」
 「あっ…あのぉ…」
「早く脱げよ。」
「脱ぐ気がないなら帰れよ!」
「おまえが帰ったところで、俺は全然構わないけど。」
「二度と電話もかけてくるなよ。俺の命令を聞けない奴隷に用はない。」
「今日はお前は淫乱なマゾ奴隷だってことを十分自覚させてやるよ。」
彼は冷たく言い放つ。いきなりの言葉に頭から水を浴びせられたようなショックを受けた。
私が…私が奴隷??この私が奴隷なの?
予想だにしていなかった言葉だった。頭の中で何かが弾けた。
今まで、そんな言葉を私に浴びせた人なんかいない。
とっさに何を言われたのか理解できなかった。
信じられない…
プライドが崩れ始めていた。
気持ちとは裏腹に、身体は彼に従い始めていた。ゆっくりと、彼の命令を実行に移そうと
していた。
今なら…今なら引き返せる。
わかっていた。頭の中では十分わかっていた。
けれど…けれど…帰ることなど出来なかった。
既に私は玲奈でなく、もう一人の私、玲子だった。
彼の奴隷と言う言葉が、玲子には甘美な誘惑だった。
彼の命令に従うことを玲子は選んだ。
選ぶというより、既に彼の言葉に逆らうことが出来なかった。
震える両手でファスナーを下げる。ゆっくりとキュロットを足元から脱いだ。
黒の総レースのTバックを身につけただけの下半身が現れる。
キュロットをたたんで、床に置く。
その様子を彼は無言でベットに腰掛け、眺めていた。
私は、恥ずかしさで露になった下半身を少しでも手で覆い隠そうとした。
身体が熱く火照り、赤味を帯びているだろうことが自分にもわかった。
「後ろを向いて、俺の前に立てよ。」
 「えっ?」
「早くしろよ!」
 「はっ、はい。」
恥ずかしさが込み上げてくる中、のろのろと彼に背を向けて立つ。
「ケツを突き出せよ!」
 「えっ!」
「聞こえない?」
「ケツを俺に突き出せ!って言ったの。はやくしろっ!」
 「えっ…あっ…あのぉ…」
ビッシッ!お尻に熱い痛みが走る。
 「きゃぁあああああああ!」
「なにトロトロやってんだよ!」
「突き出せってって言われたら、早く突き出せよ!」
 「あっ…ぁっ…。はぃ…。」
恥ずかしさに耐えながら、おそるおそる、少しだけ彼にお尻を突き出す。
身体に震えが走る。
「足を開けよ!」
 「えっ?」
「ケツを突き出したまま、足を開けって言ってるんだ。」
「俺の言ってることがわからない?」
 「ぃっ…いぃぇ。わかります。」
「わかるんなら、言われたとおりにしろよ。」
震えながらゆっくりと、少しずつ足を開いていく。
緊張のあまり、つま先に、お尻に力が入る。
「ちゃんとしっかり開けよ!」
足の間に出来た隙間に、彼の手が差し込まれる。
太腿を掴まれ、無理やり足を開かされる。
腰をつかまれ後ろに引きずられた。身体がよろける。
「ほらぁ!こういうふうに足を開いてケツを突き出すんだよ!」
「淫乱な雌犬にはお似合いの格好だろ?」
「今にさぁ、よがり始めてケツを突き出したまま、俺の前で腰をくねらせるんだよ。」
Tバック1枚の下半身を彼の目の前に曝け出す格好となった。
恥ずかしさで、このまま消えてしまいたい感情に駆られる。
彼の手が、ゆっくりと下半身の大事な部分に伸びてくる。
彼はTバックに手をかける。ゆっくりと股布の部分を撫で上げる。
「あれぇ?なんかさぁ、パンティ湿ってるぜ?」
「どうしたのかなぁ?玲子ちゃん。」
「なんでこんなに湿ってるのかなぁ??」
さっきとは打って変わって、やさしく、わざとおどけた調子で言葉を掛ける。
「きゃぁああああああ!ひっ、ひぃぃぃいいいいいい!」
彼がいきなり両手でTバックを引き上げた。Tバックの股布部分が、敏感な部分に食い込
む。
「なにかなぁ?そんな声出しちゃってさぁ。どうしたのかなぁ、玲子ちゃん?」
彼はニヤニヤしながら、両手でTバック引き上げたり、緩めたりを繰り返し、敏感な部分
に食い込ませることを続ける。
更に指で、Tバックの上から秘唇をなぞる。
 「あっ…あぁん!」
「どうしたの?甘い声なんか出しちゃってさぁ?」
「もしかしてさぁ、こんなことされて感じちゃうわけ?」
「そんなわけないよねぇ?」
「こんな恥ずかしいことされてさぁ、感じたりなんかしないよねぇ?」
言葉で嬲りながら、彼の手は更に激しく秘唇を嬲り続ける。
しつこすぎる責めに、私の身体は快感に身を任せ始めていた。
やがて彼の手は、Tバックの隙間を割って入り、蜜壷へと延びた。
蜜壷の中で、自由自在に指でかき回す。
耳元での言葉嬲りは、更に激しさを増す。
 「あぁぁ…あはぁん…あっ…。」
「どうした?あぁん?」
「そろそろ、ちん○が欲しくなってきたんじゃないの?腰がくねってるぜ。」
「おま○こはグチャグチャだしよぉ。」
「ほぉらぁ、聞こえるだろ?ま○汁の音が?」
「まったく淫乱な身体だよなぁ。」
「会って2回目の男の前で足を広げてケツを突き出してさぁ、腰をくねらせてるんだぜ。」
「まとまな女のやることじゃないよなぁ?」
静まり返った部屋にびちゃびちゃという音が響く。
わざと音が出るように彼は蜜壷をかき回す。
「ほらぁ、ちん○欲しいんだろ?」
「欲しいって言えよ。」
進む