性獣の家 最終回

沼 隆(ヌマ・タカシ)

登場人物

丸岡 美利 美容師  稔の新妻
塩津由紀江 美利の母

丸岡  稔 自動車修理工
丸岡  晋 稔の父 農業
丸岡 絹子 稔の母

寺前 悠斗 電気学校生 美利のいとこ
寺前 良江 悠斗の母 由紀江の妹


(1) ムスコの甦生

黒井町のヘアサロン《コックス》
まだ、午後8時だというのに、駐車場に、稔の車がある。
今夜は、淫水寺町のソープ街には、出かけないのだろう。
午後7時に閉店し、店の中は真っ暗だ。
2階の由紀江の部屋に明かりがついている。
そして、店の裏側にある、浴室にも、人の気配がする。
バスタブに湯をはる音、何か準備でもしているのか、
窓の磨りガラスに映った人影が、動いている。
昼間は美容師、夜はソープ嬢に変身した美利が、
個室特殊浴場のセッティング中なのだ。

稔は、2階の部屋でごろごろしている。
そして、階段を上がってくる足音。
ふすまが開いて、ソープ嬢がお迎えに来る。
男がそそられる服装、
濃いメイク、
インナーは、いかにも、のエロ下着。
ソープ嬢そのままである。
ふたりは、階段を降りていき、
ソープ部屋に入り、
ソープ嬢の濃密なサービスが始まる。
スケベ椅子も、ソープマットも使って、
フルコースのセックスプレイ。

セックスレスの新婚夫婦は、
美利がソープ嬢に変身することで、
セックスありの夫婦になった。
稔は、父親の晋が、
手取り足取り美利に手ほどきしたことは、知らない。
稔には、そんなことは、どうでもいいのだった。
ただ、いずれにしても、稔は、
《コックス》の2階に帰ってきた。

そして、美利が身籠もった。

(2) タブー

稔は、妊娠した美利とのプレイを疎ましく思い始めた。
再び、ソープ街に通い始める。

「稔さん、美利に、優しくしてやって」
と、由紀江が言った。
「何言ってるんだ、腹ボテの嫁を、オレは大事にしてるだろうが!」
「でも、稔さんは、ソープに通ってる」
「あん? ソープに通ったら、いかんて言うんね?」
「美利のそばに、いてやって欲しい」
「なあ、お義母さん、美利が妊娠している間は、
 セックス、ガマンしろ、言うんね?」
「ガマンていうか」
「オレ、ガマンできん!」
「ちょっとくらい……」
「無理なこと、言わんでくれ」
鼻先でせせら笑いながら、稔は、
「あんただって、セックスなしじゃ、つらかろうもん」
「え?」
「知っとるよ、あんた、信用組合の、
 アカミネいうやつと、不倫してるやないか」
「……」
「あんたかて、セックスしたくてたまらん時があるんやろ!」
「……」
「オレたち、夫婦のことに、口出さんといてくれ」
由紀江には、返す言葉がなかった。
「あんたが美利のかわりしてくれてもよかよ」
「稔さん、あんた、なんてこと、言うの!」
「怒ること、なかろうもん」
「あんたが、ひどいこと言うからやないの!」

由紀江は、いきどおる。
いくらなんでも、義理の母親に、なんてことを……
恥知らず!

稔のソープ通いが続き、由紀江はある日、稔に言った。
「この間、あんたが言ったことだけど……」
「ん?」
稔は、にやりとする。
「ソープ行くの、やめてくれる?」
「あんた次第や」
「わかったわ……どうすればいいの?」
「わかっとろうが」
「……うちの風呂は、いやよ」
「ああ、かまわんよ」

ヘアサロンが休みの日、
稔は仕事をさぼって、由紀江を迎えに来た。
由紀江は、後ろめたい。
美利にすまないと思う。
稔が、美利を大切にしてくれるなら、と
決心したことなのだけれど。
義理の息子と、買い物にでも出かけるように装って、
張り詰めた気持ちで、稔の車の助手席に乗り込んだ。
車が商店街を抜けると、ほっとする。

黒井川沿いにあるラブホテル《パープル・ラビア》に入った。
赤峰直紀と来るときには、ときめくのに、
稔とでは、気持ちが沈む。
エレベータに乗り込む。
稔は、由紀江を抱きしめ、唇を求めてくる。
由紀江は、ためらう。
稔は、強引に舌を差し入れてきて、
舌を絡ませる。
(だめ……いけない……こんなこと……)
後ろめたさで、カラダがこわばる。
稔の指が、由紀江のカラダをなで回す。
そして、スカートをたくし上げ、
パンティの上から尻タブをつかむ。
「だめ、だめよ……」
稔の手は、由紀江の尻の弾力を楽しんでいる。
「だめなもんね」
エレベータは、ゆっくりゆっくり上昇する。
「だれも、見とらん」
ブラウスのボタンを外してしまう。
「いやっ、こんなところで……」
稔は、容赦しない。
ブラジャーに手を突っ込むと、乳房を引き出す。
「いやっ、やめてっ……」
稔の腕が、由紀江の腰をしっかり捉えて離さない。
稔が、乳首をしゃぶる。
「だめよっ……」
エレベータが停まり、ドアが開く。
稔は、乱れた服を直させない。
稔に抱かれて、通路に出る。
ブラウスははだけ、
ブラジャーから乳房がこぼれだした格好で、
通路を進む。
「ね、人に、見られる……」
「心配するな」
「でも……」
「だれも、出てこねぇよ」
「こんなこと、だめぇ」
「うるせぇな」
稔は立ち止まる。
「ここにはな、人の邪魔をするやつなんて、いねぇんだよ」
そう言うと、由紀江のスカートのフックを外して、
スカートを引き下ろした。
「いやっ!」
「でかい声、出すんじゃねぇよ、
 ほかの客がびっくりするだろうが」
由紀江は、足下に落ちたスカートを、
はこうとする。
「やめろ、由紀江、はくんじゃねえ」
「いやよ」
「スカート、拾え」
由紀江は、腰をかがめてスカートを拾い上げる。
「それでいい」
エレベータから部屋まで、10メートルほどなのに、
由紀江には、とても遠かった。

浴室にはマットが備え付けてあり、
稔は由紀江にローションプレイを仕込んだ。
セックスの間中、由紀江は美利にすまないというキモチで、
打ち解けなかった。
「くそ婆、マグロ抱きに来たんじゃネェよ」
稔が毒ついた。
「くそおもしろくもねぇ」
「ご、ごめんなさい」
「二度とごめんだ!」
「……」
「オレが、ソープに行こうが、どうしようが、二度と口出しするなよ」

一週間後、稔の携帯に、由紀江から電話があった。
「迎えに……来て」
ヘアサロン《コックス》の休業日。
「何の用?」
「もういっぺん、チャンスをちょうだい」

ラブホテルのエレベータの中で、
稔のキスに、由紀江は積極的に応えた。
ワンピースの下には、大胆な下着を着けていた。
ショッキングピンクの縁取りがついた、
紫色のブラとハイレグパンティ。
下着姿でエレベータを降りて、部屋まで歩く。
稔は、由紀江の変わりように、興奮が高まる。
マットプレイはぎこちなかったが、
新人ソープ嬢なのだから、仕方がない。
ベットでは、熟女のテクニックで、稔は翻弄される。
稔は、由紀江の膣に、3回射精した。

(3) 黒井川

夏が来た。
美利は、春に生まれた娘を育てながら、
母、由紀江の店ヘアサロン《コックス》で
美容師として働いている。
稔は、娘の夜泣きがうるさいと言って、
谷影集落の実家で暮らしている。

ヘアサロン《コックス》が休みの日、
由紀江は、朝食の後片付けを済ませると、
大胆な下着に着替え、出かけていく。
美利は、最近、母親が生き生きとしていることが、うれしい。
信用組合の赤峰直紀とは別れたみたいだけれど、
別の男とつきあっているようだ。

美利は、赤ん坊を抱いて、
《寺前電器商会》に行く。
美利のいとこの悠斗が店番をしている。
「ユウくん、泳ぎに行かない?」
赤ん坊は、悠斗の母、良江が預かってくれる。
《コックス》が忙しいとき、良江が赤ん坊を見てくれるのだ。

黒井川の河原は、子供連れの家族が、遊んでいる。
美利が、水着になった。
悠斗には、美利がまぶしい。
4つ年上の美利に、この一年半、いろんなことがあった。
悠斗は、美利の部屋の天井裏に仕掛けた盗聴器で、
美利と由紀江の身に起こったことを、知っている。

濡れた水着のまま、《コックス》に戻ってくる。
夏の日差しは強く、暑い。
美利は、
「お風呂、はっていけば?」
と、悠斗を誘う。
「いいの?」
「いいよ、支度するから、店で待ってて」
美利は、美容室のエアコンをつける。
悠斗は、客用のソファに座って、待つ。

「ユウくん、お風呂、はいろ」
美利が呼びに来る。
美利は、着替えていた。
キャミソルにショートパンツ。

悠斗が、新しくなった浴室に入るのは、初めてだ。
ヘンな造りだと、思った。
入ってすぐ、脱衣場の一角に、ベットがある。
ここで、カラダを冷ますのだろうか。
そして、その奥の浴室。
不釣り合いに広い洗い場。
「ユウくん」
美利が、ささやき、キスを求める。
「美利」
「キスして」
「ああ」
唇を重ねる。
美利の甘い吐息。
抱きしめる。
美利の乳房の感触。
肉棒は堅くなっていて、
美利の下腹部に触れている。
「もっと、キスして」
「うん」
ふたりの唾液が溶け合い、溢れる。
悠斗は、飲み込む。
美利は、悠斗のシャツを脱がせ、
それから、悠斗をベットに座らせる。
悠斗の前にしゃがむと、
恥じらいを見せながら悠斗を見つめて、
それから、悠斗のパンツに手を伸ばす。
悠斗が腰を浮かせる。
美利の手で、悠斗の下半身が、むき出しになる。
「ユウくん!」
美利は、目を大きく見開き、
勃起した肉棒を見つめる。
「すごい! ユウくんのおちんちん」
そして
「すごい!」
と言いながら、くわえ込み、しゃぶり始める。
「う!」
悠斗は、うめく。
股間で、美利の頭部が上下する。
悠斗は、美利の後頭部に手を添える。
ずじゅ、ずじゅ。ずじゅ
美利は、溢れてきた涎をすする。
じゅぼっ
美利は、いったん口から出すと、愛でるように肉棒をしごく。
悠斗は、美利のキャミソルを脱がす。
黒いブラジャー。
美利をたたせて、ショートパンツも脱がす。
黒いパンティ。
悠斗が、ネットで見る風俗嬢の画像そのまんま。
それも脱がせて、そのままベットに倒れ込む。
美利の肉壺は、たっぷり潤っていて、
悠斗の肉棒をするりと受け入れる。
「すごい!」
「ん?」
「おっきい……」
「そお?」
「うん、感じる……」
「そか」
「ね」
「ん?」
「動いて」
「うん」
「そう……ああ、キモチ、いい……」
「おれも」
「ユウくんも、キモチ、いいんだね……」
「ああ」
「うれしい……」
「……」
「もっと……突いて……」
「ああ」
「もっと……もっと……」
悠斗は、美利の表情が変わっていくのを、見つめている。
頬が朱色に染まっていき、
目がうつろになり、
鼻腔が広がり、
唇からは、ハァ、ハァ、ハァ、吐息が漏れる。
(ずっと、こうしたかったよ……美利)
夜中、美利の寝室を盗聴しながら、
何度そう思ったことか。
稔に嫉妬し、
美利を奪った稔に怒り、
美利を粗末に扱う稔に殺意を抱いたりした。
いま、美利は、オレのもの……
悠斗は、稔に対する敵愾心を燃やしている。
あの、クソ野郎に、負けないぞ……
美利は、オレを欲している……
こうして、オレを誘ったんだ……
美利、稔に負けないからね……

ベットに仰向けになった悠斗の肉棒を、
美利はいじっている。
「ユウくんのちんちん、大人のちんちん……」
「なんだよぉ」
「こんなに、大きくなってるなんて、びっくりだよぉ」
「……」
「ふふ、ちゃんと、剥けてる」
「美利のおかげだよ」
「あはは……あん時、めちゃ痛がって……」
「ほんとに、痛かったんだからな」
遠い、昔の出来事のような、ついこの間のことのような……
「お風呂、はいろ」
「うん」
バスタブの中で、抱き合い、いじり合う。
美利は、悠斗の視線がマットを見ているのに気がついて、
「マット、する?」
と聞いた。
悠斗がうなずく。
「待ってて、準備する」

美利は、全身を使って、悠斗を快楽に導いた。

悠斗のカラダのローションをシャワーで洗い流しながら、
美利は、寂しい。
悠斗のセックスは、物足りなかった。
悠斗のセックスに、満足していない。
(何で……?)
わかっている。
悠斗は、美利を優しく扱ったのだ。
悠斗の優しさが、美利は大好きなのだが、
心優しいセックスでは満足できなかった。
稔の荒々しいセックス。
カラダの奥底では、そういうセックスを求めている。

「ユウくん、よかった?」
「うん」
「うれしい……」
それは、本当のキモチ。
大好きなユウくんが、気持ちいいセックスができて、美利はうれしい。
でも……

(4) 性獣

この浴室には、窓がない。
タイル張りの壁に、音が反響する。
しかし、他人に遠慮はいらない。
そのための場所だ。
「どうした?」
男が、言う。
「ん? マ●コが、どうした?」
女は、両足をM字に広げ、
両手で、肉穴を広げている。
そして、おねだりするように、腰を振る。
「あぅっ、マ●コが……」
と女が言う。
「ん? マ●コが?」
男は、肉棒をしごきながら、女の言葉を待つ。
「マ●コが、あたしの、マ●コが……」
「ドスケベマ●コが、どうした?」
「おチ●ポ、入れて、欲しい……」
女は、男によく見えるように、
ここに、入れて、と言うように、
広げる。
朱色に染まった肉襞は、蜜でジッポリ濡れている。
「チ●ポが、欲しいってか?」
「あぃ」
「マ●コ、どうなってる? 言ってみろっ!」
「マ●コが、びしょびしょに……」
「チ●ポが、欲しくて、涎垂らしてるってか!」
「ああっ……入れてっ! じらさないでっ!」
「バカ野郎! ドスケベ女が」
「いやぁ……」
「ドスケベマ●コがっ!」
「お願い……ドスケベマ●コに、おチ●ポ、ください」
女は、涎を垂らしながら、哀願する。
男は、女がほしがるモノを、
女に見せつける。
「何が、欲しいってか!」
「ミノルさまの、ぶっといおチ●ポを
 ユキエの、ドスケベマ●コに……」
男が腰を上げると、女はうつぶせになり、
イヌのポーズで尻を突き出す。
「イヌ畜生みたいに、ハメたいか」
「あぃ、ハメて!」
男は、女の背後に回る。
肉棒を握る。
「お願い、ぶち込んで、ユキエのマ●コに、
 チ●ポを、ぶち込んで……!」
女の叫び声が、狭い浴室に響く。
「ああああああああっ! いいいいいいいいいっ!」

2014/9/19 沼隆
戻る