麻耶の黒い下着(修正版) 第20回

沼 隆

登場人物  堀越由佳 大学生 明菜のクラスメート
      野口明菜 由佳の同級生 麻耶の妹
      坂下浩平 麻耶の義理の息子

(1)

堀越由佳(ほりこし・ゆか)は、
野口明菜(のぐち・あきな)といっしょに
天神コアでショッピングをした。
〈ピンク・ギャルズ〉でアウターを買って、
〈セシル・マカフィー〉でコスメを買った。
地下鉄天神駅に向かって歩いていると、
向こうから若い男がまっすぐ近づいてきて、
「よっ、明菜」
と、声を掛けてきた。
からかうような呼び方だった。
明菜が、不愉快そうな顔をした。
若い男は、そんな明菜をみて、
にやっとしたのだった。
明菜を馬鹿にしている。
「なんか、用?」
明菜は、きつい声で、返事をした。
「いや、べつに」
「呼び捨てにしないでよ」
心の底から、むかついている明菜である。
由佳は、ふたりのやりとりを、おもしろがっている。
好奇心むき出しで見ている。
「そんなに、つんけん、すんじゃねぇよ」
と、男が言うと、
「ふん」
と、明菜は、返す。
そんな明菜に、男は
「ばかじゃねぇの?」
と、悪態をつく。
明菜は、由佳の腕を引っ張って、男のわきを通り抜ける。

由佳は、地下鉄の駅に向かう明菜と別れて、
地上に出る階段を上がっていく。
天神1丁目から西新行きのバスに乗るのだ。
あの、若い男が、由佳の後を付けてくるのに、気がついていた。
地上に出ると、由佳は立ち止まって、振り向く。
男が、すぐそこに迫っていた。

「明菜の、元カレ?」
「そんなんじゃ、ないよ」
「でも、仲、悪いんだ」
「あいつが、おれを嫌ってるんだ」
「なぜ?」
「さあな」
「ふふ」
女は、好奇心をむきだしにしている。
2つ、3つ、年下の男の子、結構、イケテル、と思っている。
「きみ、かっこいいね」
と、由佳は言った。
男は、そんな由佳の目を、じっと見つめる。

浩平は、女の表情が気に入っていた。
自分より頭一つ小柄な女。
上目遣いに浩平を見つめる目。
ぽっちゃりとした唇は、わずかに開いて、
男を誘うときのお得意の表情。
「うちに、来ない?」
女は、浩平を自宅に誘った。

大手門のワンルームマンションに、女は住んでいた。
エレベーターに乗る。
女は、9階のボタンを押す。
振り向きざま、浩平にからだをすり寄せる。
妖しい目つきで、浩平を見つめながら、唇を突きだした。
「キス、しよっ!」
浩平は、女を抱き寄せながら、唇を吸い、舌をからませていく。
ごと、ごと、かすかに振動しながら、
エレベーターがゆっくり上昇していく。
女の指が、浩平の肉棒を触ってくる。
だらりと垂れ下がった肉棒の大きさを確かめるように、
女の指が、這いまわる。
狭い廊下の先に、女の部屋があった。

ピンク色の部屋は、女のニオイがした。
ベッドと、チェストと、小さなテレビ。
女は、エアコンのスイッチを入れた。
それから、ダウンのジャケットを脱いで、ハンガーに掛けた。
ピンクのセーター、チェックのミニスカート。
胸の膨らみ。
浩平は、女の様子をじっと見ている。
女は、浩平のジャケットを脱がせる。
それも、ハンガーに掛けた。
それから、浩平にカラダをすり寄せて、
胸を浩平に押しつけた。

浩平の腰に両腕を回し、
唇を求める。
「あふん」
小さなあえぎ声は、浩平を誘っている。
浩平が、女のセーターをたくし上げようとすると、
「あせっちゃ、だぁめ」
浩平を、じらす。
唇を重ねる。
舌を差し入れると、女は舌をからませてきた。
すじゅ
ずじゅ
互いに、舌を舐め合う。
だ液が溶け合い、あふれ出る。

セーターを脱がせる。
ショッキングピンクのブラジャーが、乳房を包んでいる。
浩平は、女の背中のフックを外し、ブラジャーをはぎ取った。
浩平は、乳房をすわぶる。
「あううん」
女は、カラダをのけぞらせながら、甘いあえぎ声をだす。
じゅばっ
じゅぱっ
浩平は、音を立てて乳房を吸う。
(いい、かたち、してるぜ)
レギンスの下には、ブラとおそろいのパンティをはいていた。
下着姿になった女は、
「きみも、脱いで」
と、言った。
浩平は、ショーツ姿になった。

ふたりはベッドに上がった。
浩平の肉棒が固くなって、
ショーツの前が、モッコリとふくらんでいる。
女は、いきなり触ってきた。
ショーツの上から、手のひらで包み込むように。
「固いよ」
といった。
「すっごく、固い」
そういう言い方をしたら、男が喜ぶ、と思っているのだ。
浩平が、どう反応するか、待っている。
浩平は、黙ったままである。
女の出方を待っているのだ。

女は、体を起こした。
浩平のショーツに指を掛け、すっと、引き下ろす。
肉棒が、むきだしになった。
女は、いきなり、フェラチオを始めるのだった。
ずぽっ
ずぽっ
フェラチオをする女の横顔。
亀頭を、ほおばって、しゃぶる。
だ液が、あふれてくる。
ずじゅ
と、飲み込んだ。
肉棒から口を離す。
右手で、肉棒をしごく。
「キモチ、いい?」
指先には、力を入れないで、
手のひら全体で包み込むようにして、しごく。
「キモチ、いい?」
女が、もう一度聞いた。
「ああ」
親指の腹を使って、亀頭の張り出しをこする。
「なんか、出てきたよ」
女が、言った。
(なんなのか、知ってるくせに)
と、浩平は思う。
「イッて、いいよ」
(おい、おい、手マンかよぉ)
女は、浩平が、簡単にイクと思っている。
手マンでイカせるつもりなのだ。
(手マンなんかで、イクかよ!)
と、浩平は、醒めている。
浩平が、イキそうにないと、女はわかった。
肉棒をくわえ込んで、しゃぶりだす。
(くちに、出せってか?)
女は、唇と、舌と、指を使って、肉棒を攻める。
(なんでだよぉ! なんで、イカないんだよぉ!)
女は、いらだっている。
あれだけ手マンをしてやって、これだけフェラチオしてやってるのに……
いきり立った肉棒は、精液を噴き出しそうにない。
女が、いぶかしそうに浩平を見た。
「なんで? どうして? 出したくないの?」
不満そうに言った。
女は、手の技にも、フェラの技にも、自信があるのだ。
これだけやって、出さない男は、初めてだ。
「なんでだよぉ!」

浩平は起き上がり、女を仰向けにして、覆い被さっていく。
ブラジャーをはぎ取る。
こぼれだした乳房を、浩平は揉みはじめる。
「んっ」
女は、うめく。
乳首を吸う。
「んんっ!」
喜悦のうめき声。
浩平は、いきり立った肉棒を、女の腹にこすりつけた。
パンティに指を掛け、剥がそうとしたとき、
「そこ、だめっ!」
女が、言った。
パンティを脱がせないようにするつもりなのか、
浩平の手首を押さえようとする。
浩平は、ためらわず、パンティをむしり取る。
「やめてよっ!」
浩平は、無言だった。
「だめだって!」
女は、腰をひねって逃げようとする。
浩平は、女の両膝を左右にグワッと開き、
抵抗する由佳の肉穴に、強引に突き刺した。
「ぎゃっ!」
女は、悲鳴を上げた。
「いたいっ!」
でも、そこは、たっぷり潤っていた。
角度がまずかっただけだ。
浩平は、女の腰をがっちり支えながら、
肉棒を推し進める。
「ああっ!」
女の尻が、ぶるっと引きつる。
それから、浩平は、ゆっくりと、腰を使い始める。
ずいっ……ずいっ……ずいっ……ずいっ……
「ああっ……っ……っ……っ……」
女の?が、さくら色に変わっていく。
じらして、抵抗して見せた女が、
浩平に肉棒をはめ込まれて、
その部分からわき上がってくる快感に、
悶えだす。
「あうっ……あうっ……あうっ……」
目は、焦点を失っている。
鼻腔が、広がり、
唇から、生臭い息を吐きだす。
その吐息は、浩平の腰の動きと、シンクロしている。
突くたびに、「あうっ……」とうめくのだ。
女は、腰をヒクヒクさせた。
もっと、もっと、突いて……
女の腰が、そういっている。
ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ……
浩平は、少しピッチを上げる。
「あうっ、あうっ、あうっ、あうっ……」
突きと、あえぎが一致して、浩平は、笑い出したいくらいだ。
女の乳首が、飛び出してきた。
しっとりと、汗ばんできている。
浩平も。
浩平は、左の腕で、女の右ひざを抱きかかえた。
女の腰が、よじれて、
肉棒が、突く場所を変える。
「うはあっ」
肉棒の先端が、固いものを突き上げる。
「うえっ」
低い、うめき声。
女の表情は、苦痛なのではなく、快感なのだと、示している。
女の左膝を、右の脇腹に抱え込んだときだった。
ぐぐぐぐぐぐっ、と突き上げる。
「うおおおおっ!」
女は、大声を上げて、のけぞった。
激しく腰を突きだし、海老ぞりになって、
腰を振り立てる。
穴が、肉棒を、ぐいぐい締め付けてくる。
痛いほど……
そして、結合部を見下ろした浩平は、見た。
肉棒が埋め込まれた穴から、
びゅぅぅぅぅぅぅぅっ、と液体がほとばしる。
肉棒の付け根から、浩平の下腹部に降り注いで、
ぐしょ濡れにして、
女の尻の割れ目をつたって、したたり落ちた。
さらさらした、透明の液体。
匂いは、ない。
女は、気がついていない。
浩平に、射精させないまま、先にイッた。

女は、我に返った。
尻のあたりが、ひんやり冷たい。
「いやっ!」
うろたえながら、起き上がる。
シーツには、大きな染みが広がっている。
「いやっ」
女は、うろたえていた。
「これ……あたし、おしっこ……したの?」
(なにが、おしっこだよ、小便臭くねぇだろうが!)
浩平は、これが、潮吹きか、と思っている。
「お、しっこ、じゃ、ないよ、ね?」
女は、浩平に、ちがうよ、と言って欲しいのだが、
浩平は、「さあね」と答えた。
「いやだぁ」
女は、シーツに広がった染みを、指でなぞるのだった。
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