最終話「配られたハンカチ、そして終演」
絶頂寸前まで追い詰められた少女ですが、しばらく放って置かれたため、いくぶん落ちつい
たようです。しかし、最後までいけなかったのがもどかしいのか、腰を小さく揺らしています。
再びハンカチを手にした魔術師は、そのハンカチに現れた少女の生殖器の真っ赤に充血し濡
れそぼった姿を、性交の準備を十分に整えたその姿を観客達に見せびらかしました。そして、
もう片方の手に持つシルクハットから小さな壷のような物を取り出します。どうやら、これが
次のショーの小道具のようです。
「せっかくハンカチがあることですし、少しこれを磨いて綺麗にしますか」
黒崎はとんでもないことを言い、そしてそのハンカチで壷をこすり始めました。もちろん、
少女の秘部が写された方を押し付けるようにして。
「うぅ、うぁ」
少女は呻き声を上げます。当然でしょう。彼女にとってみれば己の性器を直に擦りつけてい
るのとなんら変わりはないのですから。マジシャンはそんな彼女のことなどお構いなしに、普
通のハンカチを用いるのと変わらない様子で壷を磨いていきます。表面を、入り口の輪の部分
を、取っ手の部分を。少女の愛液を塗り付けられ、壷全体がぬらぬらと輝き始めた頃、魔術師
はやっとその行為を終わらせました。ハンカチが離れる時、壷との間に糸が引くのがここから
でもわかります。女性の大切な部分を無造作に扱われているのにも関わらず、少女の性感は高
まっているようです。そして、魔術師の少女に対する女性器嬲りはまだまだ続くようです。
今度彼が取り出したのは、肩こり等をほぐすためのマッサージ器。先端の半球状の部分が振
動しそれがこりをほぐすといった代物ですが、そこに当てられるのは当然肩ではありません。
マジシャンはマッサージ器のスイッチを入れると、それをハンカチに、少女の秘部に押し当て
ました。
「うぅ、ふぅん、……はぁっ」
少女の喘ぎ声が一際高いものへと変わります。小刻みな振動を受け、少女は再び高みへ昇ろ
うとします。彼女の快楽が極限に達しようとするのを見て、魔術師はまたしても意地悪くその
マッサージ器を離します。二度もお預けを食らい、少女は恨めしそうに黒崎を見つめます。そ
の目は酔ったようにトロンとしていて、自分の立場もここが何十人もの観衆が注目する舞台の
上であることも忘れて、ただ快楽を求めているかのようです。彼女の全身は噴き出す汗でべと
べとに濡れ光り、陰部はそれとは違う粘性の強い濁った液によってさらに濡れそぼっています。
はだけきった性器をひくつかせ、全身を汗に濡らし、胸を大きく上下させながら荒い息を吐き、
快感のみを求める全裸の美少女。性的偶像として、これほど興奮を呼ぶ素材はそうそうないで
しょう。少女の体にほとんど触れることなく、ここまで彼女を嬲りぬいた魔術師に驚愕さえお
ぼえます。
マジシャンは快感に震える少女を前にして、シルクハットから新しい道具を取り出しました。
それは、真っ赤な天狗の面。この面が本来の目的で使われるものではないであろうことは、誰
しも想像がつきます。今後の展開を予想してか、客席全体がシーンと静まり返っていました。
魔術師はその面の鼻の部分にハンカチ上の少女の性器を擦りつけ、彼女自身の愛液で全体を
べとべとに濡らします。そして、鼻の先端を開かれた少女の恥部の、剥き出しの膣口に当てま
した。遂に来た瞬間に、観客全員が息を呑むのがわかります。でも、彼女は処女のはず。黒崎
は少女を本気でこんな物で汚すつもりなのでしょうか。しかし、彼はなんの躊躇も見せずに、
面を少女の中に突き入れました。次第にハンカチの中に消えていく天狗の鼻、もちろんその裏
側には何も現れません。ハンカチ上の少女の孔がその全てを飲み込んでいるのですから。
生まれて初めてそこに物を入れられた少女は、一瞬苦痛の表情を見せますがすぐにそれが甘
くやわらかいものへと変わりました。水飴をこねる時のような粘着音をたてながら、天狗の鼻
が前後に抽送されます。そして、その動きに合わせて少女は腰を大きく揺らし、快楽の声を発
していました。客達はこの卑猥なショーをただじっと見つめています。なかには自らの手を股
間に持っていっている者もいるようです。そんな観客の興奮に合わせるかのように、マジシャ
ンは抽送の速度を速めます。前後に動かすだけではなく、大きく回したりといった動きも加え
られると少女はさすがにもう持たないのか、感極まった声を上げました。そんな彼女にとどめ
を刺すように、魔術師はさらにその面の動きを激しくさせました。
「あぁ、わた……もう、うぅん、だめ……うはぁ、あぁぁぁ!」
少女の最後の喘ぎは、静まり返った会場に異様なほど大きく響き渡りました。少女はがっく
りと力を落とし、肩で大きく息をしています。その表情は喜びに満ちており、引き際の余韻を
味わっています。手元の鏡には、絶頂に達したばかりの陰部の姿がありありと映し出されてい
ました。全体が赤く大きく膨れ上がり、最初は慎ましやかに閉じていた小陰唇がめくれ上がっ
ています。その膣口は海洋生物の口のように収縮を繰り返していました。そして、黒崎が再び
こちらにやって来ます。
「ふう、これでとりあえずメインのショーはこなせました。あとはスペシャルイベントを残す
のみです」
「なにか、言いたそうですね」
「いや、おっしゃらなくてもわかりますよ」
「こんな形で処女を奪うなんてひどい、とそうおっしゃいたいのでしょう?」
「でも、それは心配しないで下さい。彼女はまだヴァージンですから」
「レプリカは所詮レプリカだってことですよ。その刺激は彼女にダイレクトに伝わりますが、
結局伝わるのは感性だけだってことです」
「触感や破弧の痛みは伝わりますが、実際には彼女の性器はなんともなっていないんですよ」
「処女の身で挿入感を味わえるなんてお得だと思いませんか?」
うーん、納得できるようなできないような説明ですね。直接処女を奪った訳ではなくても彼
女が汚された事には変わりはないような気もしますが、それはあまり考えないようにしますか。
客席を見ると、スタッフが観客一人一人になにか小さな布のようなものを配っているのが見
えます。
「ああ、あれですか。あれはこいつと同じものですよ」
と、黒崎は笑みを浮かべながら例のハンカチを見せます。
「どうせならお客様全員に楽しんでもらおうと思いましてね」
「もちろん、機能もそのまんまですよ。ただ、無茶をするお客様がおられるかもしれないんで、
あまりにも強い刺激は伝わらないように細工はしてありますがね」
「スペシャルイベントは来ている方全員で彼女のそこをいたぶろうって企画です」
「これが本当に最後です。彼女が乱れる様をゆっくりとご覧になって下さい」
黒崎はそう言い、舞台前方へと進みます。そして、今こちらに告げた事と同じ内容のものを
客席に向かって高らかと宣言しました。客席が一瞬どよめきます。みな、なかなか手を触れら
れずにいますが、一人の若者がそっと陰核をなぞり、そして少女がそれに反応を示すと一斉に
手を触れ始めました。好奇心旺盛な若い男が、好色さを隠そうともしない中年男性が、興味津
々な若い女性がそれぞれの好みで秘部を弄びます。陰唇を引っ張る者、クリトリスをこね回す
者、陰部を舐め回す者、なかには自らの陰茎を取り出し挿入を試みる者さえいます。女性達の
グループは、それをサンプルのようにいじりながらその色や形状についてしきりに議論してい
ます。昇りきり、一度は快感の波が引いた少女の体に再び官能の火が灯るのに、さほど時間は
かかりませんでした。数え切れないほどの手にいたぶられ、いくつもの刺激を一度に受けて少
女の体は狂ったように跳ね回ります。ほどなく、彼女が再び絶頂に達するとマジシャンは大き
く両手を広げながら観客達に挨拶しました。
「みなさま、姫君も再び昇り詰めたようですし、とりあえずそこまでにして下さいませ」
魔術師の声にみな名残惜しそうに、しかし舞台に目を向けます。
「これをもちまして黒崎マジックショー、閉幕とさせていただきます」
「みなさま、最後までお付き合いいただき誠にありがとうございます」
「手元のハンカチはお土産ですので、ぜひお持ち帰りくださいませ」
「みなさま、本日は本当にありがとうございました。ぜひこの次もお誘い合わせのうえ、当マ
ジックショーに足をお運び下さいませ!」
黒崎がそう言って深々と礼をすると、場内には割れんばかりの拍手が広がりました。幕がゆ
っくりと降り、そして舞台は客席と隔離されました。黒崎は少女の体から剥ぎ取ったものを次
々と元に戻し、固定されていた体をやっと開放すると、快楽に気を失っている彼女の体を静か
に寝かせました。
「さてと、この娘はあとでちゃんと送り届けておかなければいけませんね」
「そうそう、あなたにもお礼を言わないと」
「今日は、本当に良いステージでしたよ。全てはあなたのおかげかもしれません」
「えっ、ハンカチですか?」
「あなたも細かい人ですね」
「あれは大丈夫ですよ。半刻ほどで効果が切れてただのハンカチにもどりますから。もっとも、
写し取った物は普通のプリントとしてずっと残りますけどね」
「あと、あなたがもう一つ聞きたいことにもお答えしますよ」
「最初、私が彼女を舞台に上げた時にあの娘の耳元でなにを囁いたかってことでしょう?」
「あれはこのマジック最大のタネなんで普通は外部には漏らさないものなんですけどね。あな
たには特別にお教えしますよ」
「彼女にはこう言ったんですよ。『このショーで、あなたが普段から想い描いていることがか
ないますよ』ってね」
「さて、全てのタネが解けたところで、そろそろお開きとさせてもらいますか」
「本日は最後までご覧いただき本当にありがとうございます。また、ぜひ遊びに来て下さいな。
その時にはまた新しいネタを仕入れておきますよ」
−幕−