その7「羞恥な都市伝説?・・・そして催眠」
「・・・んぁ・・・」
姫子はいつものように、ベッドの上で目覚めていた。
淫夢界での絶頂の余韻で、まだ身体が重い。
麗裸に浴びせ掛けられた、『聖水』の熱い感触が、まだ肌に残っていた。
「・・・はっ!あのSM女あああああっ!」
姫子は叫びながら飛び起きると、枕元にあった携帯を掴み、リダイヤルボタンを押していた。
「・・・はい」
数回の呼び出し音の後、少し眠そうな麗子・・・仮面ファイター麗裸の声がする。
「麗子さん!アタシ怒ってるんだからね!憂さ晴らしにアタシにあんなエッチな事して!おまけに・・・お・・・
おしっこかけるなんて最低っ!」
姫子は思いっきり大声でまくし立てていた。
「・・・いきなり電話してきて朝っぱらからうるさい娘ねぇ。あなたが弱いのがそもそもの原因じゃないの!危うく
私も二重遭難する所だったわ。もっとしっかりしてよね!」
突き放すような麗子の声と同時に通話が切れた。
姫子は呆けた表情で、しばらく硬直していた。
「あ!・・・逆切れされて、あっさり切られちゃった・・・」
再びかけ直しても、おそらく軽くあしらわれてしまうだろう。
「ううぅ・・・美貌でも、色気でも、エッチテクでも、口喧嘩でも、恐らく・・・っていうか、確実に収入でも
麗子さんに負けてるよぉ・・・」
ポジティブなのが自慢だった姫子は、強烈に落ち込んでいた。
のろのろとした足取りでシャワールームに入った姫子は、身体に残る愛撫の感触を洗い流すかのように熱いお湯と
冷たい水を交互に浴び、髪を整えて出勤準備をする。
昨日の晩、取材した麗子の店、『ビーハイブ』の取材テープを会社に届けなければならない。
姫子も参加した淫らなお仕置きプレイを収めたテープは、家に置いてあった。
会社に提出するのは、その後で取材した、差し障りのない内容のテープである。
「おはよーございます・・・」
姫子はグローバルビデオジャーナル社のオフィスに出勤していた。
精一杯元気な声を出したつもりだったが、やっぱり気持ちが声に出てしまう。
「おや?今日も元気がないなぁ・・・どうした?寝不足か、コーヒー飲んでしゃっきりしろ」
おやっさんこと、立花社長が、自慢のコーヒーを勧めてくれる。
「あ・・・ありがとうございます・・・いい香り・・・」
「キャップ、姫子ちゃんも女の子なんですから、人に言えない事で元気がない事も有りますよぉ。ねっ、姫子ちゃん♪」
副社長にして、姫子以外では唯一の女性社員である由美子は、そう言ってにゅっ!という感じの、人懐っこい笑みを
見せる。
「ははは・・・ええ・・・まぁ・・・」
苦笑いしながら姫子はコーヒーをひとすすり。
その正面のデスクで、滝と一文字が雑談を交わしていた。
「そうそう。で、さっきの続きなんだが、昨日もやってたらしいぜ、あの、エロエロの特撮番組。確か、シュウキって
娘がやられまくってるの」
「ぶうううううううっ!」
滝の言葉に、姫子は思いっきりコーヒーを噴き出していた。
「うわわっ!何だよ姫ちゃん!」
霧状のコーヒーシャワーを浴びた滝が驚きの声を上げる。
「とっ!特撮って!エロエロって!羞姫って!はぁぁぁぁ・・・」
いきなり立ち上がって怒鳴りまくった挙句に、軽い貧血を起こして倒れそうになった姫子を、本郷が支えてやった。
「姫ちゃん、いったいどうしたんだ?・・・とにかくそこのソファーに寝かせよう」
仮眠用にも使われているソファーに、姫子は寝かされた。
「あ・・・悪夢だ・・・放送されてたなんて・・・」
誰にも聞かれないように、小さな声で姫子はつぶやいている。
「おい、滝。姫ちゃんにはそういう話はNGだって、前にも言っただろ。花も恥らう乙女なんだぜ」
本郷はそう言いながら、滝にタオルを放り投げてやる。
「姫ちゃん、大丈夫?きつかったら、休んでもいいからね。・・・二日目?」
「はぁ?・・・いえ、女の子の日じゃなくって・・・ちょっと疲れてるだけです」
心配そうな表情の由美子にそう言うと、姫子はゆっくりと起き上がった。
「無理するなよ。今日の取材予定はそんなに多くないから、俺と一文字で回れるからさ」 本郷が優しい言葉を
かけてくれた。
「いえ、本当に大丈夫です。・・・あの・・・滝さん。さっきの特撮番組って?」
「おや・・・NGじゃなかったの?いや、実は・・・」
滝が話してくれた内容は、ちょっと聞いた限りでは、都市伝説の類みたいな物だった。 深夜、ブロードバンド
放送の空きチャンネルで、物凄くエロエロの特撮番組が放送されている。
亀甲縛りにされ、仮面を被った少女が、モンスターや、同じ仮面姿のSM女王みたいなお姉さんに、散々責め
抜かれるという内容なのだが、特殊なプロテクトがかかっているのか、録画も、受信履歴の保存も出来ないらしい・・・
その、仮面の少女の名前がシュウキなのだという。
(うう・・・モロ、アタシだよぉ・・・どうしよう・・・見られちゃったよぉ・・・)
あの恥ずかしい戦いは、あくまでも当事者しか関与していない物だと思っていたのだ。 それが、まさかブロード
バンドで流れていたなんて・・・。
姫子は顔が燃えそうなほど赤面してしまっていた。
「おいおい、姫ちゃん真っ赤になっちゃってるじゃないか!あまり刺激的な話をしちゃだめだぞ!」
コーヒーカップを片付けて戻って来た立花が、軽くたしなめるように言う。
「いや・・・これでもかなり抑えた内容で話してるんですよ。実際はもっとすごい事をしちゃってるらしいんです。
例えば・・・」
「わーっ!言わないで言わないで言わないでええええええっ!!」
姫子は絶叫しながら耳を塞ぐ。
「わっ、判ったよ・・・姫ちゃん・・・ちょっと変だぞ・・・」
姫子の剣幕にたじろぐ滝。
「はいはい、色っぽい話はそこまで!さて、仕事仕事!」
立花のその声で、その場は治まっていた。
「そうそう。姫ちゃん、『ビーハイブ』の取材テープは?」
由美子が言う。
「あ、これです・・・あまりできは良くないけど・・・」
そう言いながら、姫子はテープを差し出す。
内容は、お店の女の子の自己紹介と、施設の紹介がメインである。
『好きなプレイはローションマッサージです♪』なんて、自分と大して歳の違わない女の子があっけらかんと
言うのを聞いて、ちょっとカルチャーショックを受けた姫子であった。
「うふっ。お疲れさま〜。姫ちゃんにはちょっと刺激が強すぎる取材だったかな?」
早速テープをハードディスクに取り込みながら、由美子は言う。
「ええ・・・まぁ・・・社会勉強になりました」
まさか自分も参加して、他の女の子の乳首を弄り回したなんて言えない。
「あのお姉さんとは仲直りできた?」
「えっ?・・・麗子さんとは・・・まぁ・・・それなりに・・・住む世界が違いますから、友達ってわけには
行かないけど・・・」
何とも複雑な思いを抱きながら、姫子は言う。
麗子には、二回もイかされたのだ。
一人エッチの絶頂感など比べ物にならないほどの、深く、長い絶頂感だった。
姫子は、同じ『イく』のでも、深さに違いが有るのだという事を、彼女によって教えられたのである。
編集作業に入った由美子に一声かけ、姫子は取材に出ていた。
今日の取材先は、江楠田市立たんぽぽ幼稚園である。
催眠術を使った、画期的なおねしょ治療を行う保母さんがいるというので、その取材だった。
色々な遊具が並んだ園内では、幼児達が楽しそうに遊んでいる。
話題になっている保母さんは、彩釣 瞳という名の、二十四歳の女性だった。
家庭的な雰囲気の美人である。
「催眠術で直せるのは、おねしょだけじゃないんですよ」
彼女はそう言って微笑む。
「食わず嫌いを直したり、アトピーやアレルギーの症状を軽減したり・・・トラウマとか、コンプレックスとか、
心の傷も癒せるんです。子供達は純粋だから、治療も楽ですよ」「へえ・・・凄いですねぇ」
姫子はその話を聞きながら、(もしかしたら、催眠術でアタシの弱点も直せるかも・・・)等と思ってしまう。
『愛のあるエッチでないと感じない・・・』という暗示を与えておけば、淫魔に嬲られてイってしまう事もないだろう。
「・・・もし、何か悩みがあるのなら、試しにやってみませんか?」
絶妙のタイミングで瞳がそう言ってくれた。
「えっ!・・・いや・・・悩みなんて・・・」
いくらなんでも、初対面の女性にそんな恥ずかしい事は頼めない。
「そうですか?・・・悩みがありそうな顔をしてるわ、あなた・・・さあ、恥ずかしがらずに話しなさい」
姫子の目をじっと見詰めながら、優しい声で瞳は言う。
姫子は瞳の目から視線が離せなくなっていた。
(この人になら何でも話せる・・・)
そういう思いがどんどん強くなる。
「・・・アタシ・・・敏感なんです・・・だから・・・無理やりされてもすぐにイっちゃって・・・」
自分が物凄く恥ずかしい事を口走っているのはわかっていたが、なぜか止められなかった。
「そう・・・具体的に話して聞かせて」
口元に淫靡な笑みを浮かべ、瞳は更なる告白を促す。
周囲で元気に幼児たちが遊び回る昼前の幼稚園で、姫子は更に淫らな告白を続けた。
「・・・乳首が・・・凄く感じるんです・・・感じ過ぎちゃって、乳首だけでイっちゃうんです」
虚ろな表情のまま、つぶやくように姫子は告白を続ける。
「そう。乳首が感じるのね、・・・ねえ、ここで弄って見せて」
「えっ!?・・・ここで・・・」
まだかすかに残る姫子の理性が、幼児達の目の前で、乳首を弄ってオナニーする事に抵抗していた。
「そう。どのくらい感じるのか判らなければ、治療できないわ・・・」
瞳はそう言うと、妖艶とも言える笑みを浮かべた。
普段の物静かで優しい彼女の姿からは想像もできない淫らな笑みだった。
「・・・はい・・・」
姫子はそう言うと、来ていたチェックのシャツのボタンを外し始めた。
ボタンを外し終えると、シャツを左右に割り開き、シンプルなデザインのブラに包まれたFカップのおっぱいを
剥き出しにしていた。
「お姉ちゃん、なにやってるの〜」
とか
「あのお姉ちゃん、おっぱい大きい!」
とか、幼児からの露骨な声が耳に飛び込んでくる。
ブラを外そうとした姫子の手が止まっていた。
「ほら、気にしちゃダメよ。これは治療なんだから、ちっとも恥ずかしくないのよ」
瞳の声に促されるままに、姫子はブラのストラップをずらし、白日の下に見事な美乳をさらけ出していた。
白く透き通るような肌と、淡い色の乳輪、パールピンクの乳首が陽光に輝く。
幼児達の視線が、剥き出しになった姫子のおっぱいに注がれる。
「お姉ちゃんがおっぱい見せてる〜」
「ママより大きい〜」
「お姉ちゃんエッチ〜」
遠慮の無い幼児達の声が浴びせ掛けられた。
姫子の身体が、羞恥と、言いようの無い興奮にブルッ!と震える。
白く輝くような肌がぱあっと桜色に染まった。
「大きくて綺麗なおっぱいね・・・さあ、敏感乳首触って見せて」
魔性の声に、姫子の指が乳首に伸びる。
「ふぁ!」
指先がちょっと触れただけで、姫子の身体がビクン!と反応した。
乳輪の周りを触れるか触れないかの微妙なタッチでくるくると撫で回すと、たちまちのうちに勃起した乳首が
おっぱいの上で屹立し、更なる愛撫を求めるかのように震える。
やや濃い桜色に染まった乳首を、姫子の指がやや強めに摘んでいた。
「ひゃうううっ!」
ビクン!と身をすくめて敏感な反応を見せた姫子の様子に、周囲で遊んでいた幼児達が驚いて逃げ去る。
「続けて・・・」
少し興奮した声の瞳に促され、姫子は強く摘んだ乳首をグリグリと捻り回すようにして自らを追い込んでゆく。
「んぁ・・・はぁ・・・ひんっ!・・・ふぁ!」
今まで淫魔や麗裸によって責められた愛撫を再現しながら、姫子は幼児達の前で禁断の絶頂へと疾走していた。
続く
その8へ