その12「四人目の仮面ファイター、その名は菊刺」
「…あれが、四人目の仮面ファイター…」
かすれた声で羞姫はつぶやいていた。巨大な浣腸器で薬液を送り込み、相手を弾けさせるとは物凄い攻撃である。
(あのファイターって、菊花先生なんだよね…)
昼間に病院で出会ったちょっと高慢な感じの女医の顔を思い浮かべた。
「……あの…」
羞姫はちょっと緊張しながら黄色い仮面のファイターに声をかけ、歩み寄っていた。
「あら、遅かったじゃないの。淫魔はさっき倒しちゃったわよ」
細く引き締まった裸身に黄色のTバックと同色の手袋、ブーツというスタイルの仮面ファイターは、ゆっくりと
羞姫のもとに歩み寄って来た。
「この姿では始めまして。私は仮面ファイター菊刺。菊に刺すと書いて菊刺よ」
「はぁ…あの…エクスタシースフィア、持ってきました。これを渡せばあなたとの停戦協定は成立ですね?」
「ええ。いい娘ね」
笑いを含んだ声でそう言った菊刺は、細くたおやかな手を羞姫に向けて伸ばす。その手のひらに白いビー球
みたいなエクスタシースフィアが乗せられた。
「ありがとう…早速試してみるわ」
「試すって?」
「スフィアの挿入よ」
菊刺はそう言うとヒモパンツをずらし、ためらう事無くスフィアを秘裂に挿入していた。「んっ……よし…子宮に
入ったわ………妙ね、何も起こらない…あんっ!」
菊刺がちょっと色っぽい声をあげた次の瞬間、その股間から白いスフィアが勢い良く排出されてきた。
「…どうやら自分で倒した敵のスフィアじゃなきゃダメみたいね…というわけで交渉決裂。戦いましょ♪」
全く緊張感を感じさせない口調で言った菊刺は、いきなりピストル型の注射器をその手に召還して発砲していた。
「きゃぁっ! そんなぁ! 酷いですよぉ!」
黄色い粘液状の薬液を紙一重でかわした羞姫は叫ぶ。
「私は遊びで戦っているわけじゃないのよ。あなたのエクスタシースフィアをいただくわふふっ、心配しなくても
すぐに気持ち良くしてあげる…」
薬液銃を連射しながら間合いを詰めてくる菊刺から羞姫は逃げ回っていた。薬液銃はいわば一種の水鉄砲なので
射程はそんなに長くない。薬液のスピードも銃弾と比べれば遅いので、逃げ回ればそうそう当たらなかった。
「操妃との戦いの時もそうだったけど、逃げ足が速いわね…逃げ回るとあなたのためにはならないわよ」
「ひゃっ! それはっ! どういうことですかっ!」
前転、側転、バク転を交えて薬液を避けながら叫ぶ羞姫。
「だって、このままじゃあ本気になっちゃいそうだもの…ファイナルエクスタシー! 召還! 鋼鉄院長!」
菊刺が叫ぶと同時に、空から何かが降ってきて、彼女の真横に着地する。それは身長三メートル近いロボットだった。
何本もの腕を持っており、その先端には筆やバイブ、吸盤や浣腸器といった「責め道具」が付いている。
「うわぁ! それは反則なのでは?」
「反則なものですか。これが私の必殺技よ! くらえっ! アクメタイフーン!」
叫び声と同時にロボットの胸が開き、金属質の触手がわらわらと伸びだして羞姫を捕えようとする。
『羞姫! 絶頂剣で触手を迎撃するんだぁ!』
「えっ! そんなのいきなり言われてもムリだよぉ! ひゃぁぁ!」
亀の言葉に答えながら逃げ回っていた羞姫の足首に金属触手が絡みついてきた。
「ふふっ、捕まえた♪」
「やあぁぁっ! 捕まっちゃったよぉ!」
触手が一気に引き戻され、羞姫の身体は鋼鉄院長に拘束されてしまう。
「ひゃぁ! ねえ、やめましょうよ、こういうの…」
「ダメよ!」
「そんなぁ! どこかのドクターみたいなマッハダメ出ししないで下さいよぉ!」
「何言ってるの? 私だってドクターよ、さあ、嬲り開始っ!」
「うへぇぇ…ドクターってこういう奴ばかりなのぉ!?」
羞姫のあきれ返った声と同時に嬲りが始まった。
筆の付いたアームが数本、回転しながら裸身をくすぐる。
脇腹、内腿、脇の下、お腹、背筋から腰のライン、うなじ…くすぐったい部分を的確に責めてくる。滑らかな肌を、
まさに羽毛のような繊細なタッチで回転する筆がしゅりしゅりと攻め立てて赤い縄で亀甲縛りされた若々しい裸身
を激しくわななかせた。
「きゃははははああああっ! やめ…やめえええええっ! あひゃひゃひゃひゃあああああっ!」
猛烈なくすぐったさに羞姫は激しく身悶えしながら引きつった笑い声を上げている。
刺激に身体が慣れてしまわないように巧みにポイントをずらし、リズムをつけながら回転する筆が這い回る。
「そのくすぐったさがじきに快感になるのよ。ほら、自慢の感じやすいおっぱいもくすぐってあげましょうね」
菊刺の声と同時に人の手そっくりの形をしたマニピュレーターが二本、羞姫のバストをじっくりと揉みこね始めた。
素晴らしい弾力の双球がフニフニとたわみ、ゆっくりと円を描くようにこねまわされる。刺激に反応したピンクの
乳首がすぐにプックリとしこり立って震え始めた。
「あひゃひゃひゃひゃあぁぁぁぁっ! それはだめれへへへへえぇぇぇぇっ!」
「まだまだこんなもんじゃないわよ! さらに、指先バイブ攻撃!」
今度はマニピュレーターの指先がブーンと音を立てながらうなり始めた。細かく振動する指が、しこり立った
乳首をつまんでクリクリといじる。強烈なむず痒さをともなった振動が乳首の快楽神経を震えさせ、たまらない
快感を呼ぶ。
紅潮した肌に浮かんだ甘い香りの汗がバイブの振動で細かな霧状に飛び散る。
「うはぁぁぁぁ! らめれへええええぇぇっ!」
くすぐり責めと同時に敏感な乳首に強烈なバイブ攻撃を受けた羞姫はくすぐったさと快感の板ばさみに悶え狂う。
乳首から伝わる痺れるような刺激がすぐさま快感に変換され、それに引きずられる感じでくすぐり責めの疼き
が徐々に快感に変り始めた。腰の奥が熱く疼き、それ以上に刺激で収縮し、細かくわなないている腹筋に圧迫
された膀胱が激しい尿意を送り込んできた。いきなり結界寸前の尿意が沸き起こり、羞姫はなすすべもなく
追い詰められていく。
「やぁぁぁぁっ! これ以上くすぐられたらはひゃぁぁぁっ! もっ…漏れちゃうううううっ! ひゃああああ
あああんっ!」
切羽詰った声で叫んだ羞姫の身体が大きくのけぞって硬直した。プシュッ! と音を立ててその股間から耐え
切れずに漏らした失禁の迸りが赤い縄を濡らした。
秘裂に深く食い込んだ縄で尿道口も圧迫されているため、一気に迸らせる事ができない。そのせいで失禁は異様
に長く続いていた。
「あ・・・あぁぁ…ふああぁぁぁ…」
恥ずかしいお漏らしの体液をちょろちょろと滴らせながら、羞姫は切れ切れにうめいている。筆責めは一時的に
中断していた。
「あらあら、お漏らししちゃったのね。ふふっ、一休みしたらイくまで嬲ってあげるわ」「それはまた今度の機会
にしなさいな!」
いきなりかけられた声に振り向いた菊刺の目の前に、漆黒のマスクの仮面ファイターが立っていた。
「あなたは…仮面ファイター麗裸! 邪魔をするならあなたも鋼鉄院長の餌食にするわよ。ふふっ、エクスタシース
フィアが一気に二個…」
「邪魔する気はなかったんだけど、自分では何もしないあなたのやり方が気に入らなくってね。嬲りは自分の手で
行ってこそ! あなたこそエクスタシースフィアを抜かれないように気をつけなさいね…」
二人の仮面ファイターは無言で見詰め合う。
「ふぁぁ…どうでもいいけど助けてよぉ…」
羞姫の言葉に全く耳を貸す様子もなく、麗裸と菊刺はお互いの隙をうかがっていた。
続く
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