第一話


  一恵は、その部屋でいつものように待っていた。  やや茶色がかったサラサラの髪を、少し短めにカットしている。  色白で、瞳の大きな美少女だった。  身につけているのは、今日の相手が指定した、濃紺色のスクール水着である。  わざと少し小さめのものを着させられており、自慢の胸が締め付けられて苦しい。  早く脱がせて欲しいとさえ思えてくる。  そんな事を考えてしまう自分の変わり様に、内心ぞっとしながらも、身体の奥深くを疼かせる、被虐の快感への  予感に、既に胸が高鳴り始めているのを感じていた。  ここは、太平洋上に浮かぶとある島に造られた、総合学園都市である。  国際法上は、何処の国にも属していない。  そこに、生徒数一万人を超える巨大学園都市が形成されているのだ。  全ての学生が、卒業まで共同生活する学生寮、下手な地方都市よりも充実した都市施設、成績に応じて支給される  経済ポイントで、さまざまなものを購入できる商業施設。  学生専用の広大なアミューズメントパーク、一流のアーティストが招かれるコンサートホール。  絵に書いたような楽園の環境で、学生達はさまざまな事を学ぶのである。  学級崩壊、ゆとり教育の反動による学力低下、塾偏重主義、そう言ったもろもろの問題を打破し、新たな国際人の  育成を行う事をスローガンに、この学園は開校された。  スポンサーは、世界有数の大企業だといわれているが、はっきりした事は判らない。  ただ、この学園が開校されて、最初に受け入れた生徒は、その大半が身寄りの無い子女や、難民の子供達だった。  全寮制の理想的な環境で、貧富の差、宗教、イデオロギー、国籍を越えて最高の教育を施す・・・。  この思想にユニセフも賛同し、かくしてこの学園都市は、華々しいスタートを切った。 以来、十年。  各分野に優秀な人材を次々に送り出し、世界的な評価が高まる中で、入学希望者は激増したが、学園側は、厳選な  抽選で、入学者を決定していた。  学力試験ではない。  長期にわたる調査に基づいた書類選考である。  基本的には、編入は許されず、基礎教育課程が始まる六歳未満の候補者の中から選ばれる。    一恵も、そうしてこの学園の生徒となった。  基礎教育課程を終え、専攻課程の進路選択で、一恵はこのクラスに割り当てられた。  そのクラス名は『奉仕者育成コース』。  最高のセックステクニックを身に付け、男性、女性を問わず、至上の快楽を与える専門職になるための秘密  コースである。  表向きは、通常の総合科目コースに所属している事になっており、放課後、このコースを受講する事が義務  付けられている。  何故だか逆らえなかった。  いや、進路相談室に呼ばれ、このコースの事を聞いた時には、誇らしくさえ思ったのだ。  六歳の時に、この学園にやってきてから十年・・・その間に密かに施された深層心理操作によって、一恵は  他人に快楽を提供する事に誇りを憶えるようになっていた。  廊下を歩いてくる足音。  どうやら今回は一人だけらしい。  複数に弄ばれ、何も判らなくなるほどの快感の渦に放り込まれるのもいいが、一対一で、じっくりと可愛がら  れる方が、一恵は好きだった。  ドアが開き、いつものように、顔がわからないようにマスクをした人物が入ってきた。 学園の制服をきちんと  着込んだ少年だった。  一恵とさほど年齢は変わらないだろう。  恐らく、専攻課程でエリートコースに所属しているのだろう。  そうでなければ、彼女を抱ける筈が無い。  テストで上位に入るか、何か功績を上げた生徒に対する褒美として、奉仕者育成コースに所属する少年、少女達  の肉体を味わえるのだ。  少年は、しばらく無言で立っていたが、やがて、壁際にたたずむ一恵の傍に歩み寄って来た。  その視線が、きついスクール水着で圧迫された一恵の豊かな胸に注がれる。 「苦しくない?」  まだ、幼いとすら言える少年の声。 「少し、苦しいです・・・おっぱいが、押さえつけられて・・・」  一恵はそう言うと、かすかに潤んだ瞳で少年を見上げる。 「・・・楽に・・・させて・・・」  恥じらいを込めてそうつぶやき、頬を染めてうつむいた。  睡眠学習で無意識下に刷り込まれた、媚びのポーズ。  一恵自身は、恥ずかしくてそんな事は言いたくないのに、何故だか勝手に言葉が出てきてしまう。  そして、その言葉が発せられると、感情がそれに引っ張られて動いてしまうのだ。  耳まで真っ赤にしてうつむいたその姿が、少年の中からためらいを吹き飛ばしていた。  「脱がすよ・・・おっぱい、楽にしてあげるからね・・・」  かすれた声でそう言うと、薄暗い照明の下でも白く輝いて見える一恵の肩に手を伸ばす。  左肩のストラップに、少年の指がかかり、ずり下げた。  一恵は恥ずかしげに唇を噛んで、かすかに身じろぎする。  続いて右側。  細く華奢な少女の肩が、剥き出しになる。  一恵は胸を腕で隠すようにしてうつむいている。  そのせいで、余計に豊かな胸の谷間が強調されてしまう。 「嫌なの?」  少し心配そうに、少年が問う。  結構気が弱いらしい。 「いっ・・・いいえ!・・・続けて・・・下さい。おっぱい、楽にして欲しい・・・」  また勝手に言葉が出てくる。  そして、一瞬後には、それが自分の正直な思いであった事を、一恵は悟っていた。  少年は生唾を飲み込みながら、一恵の着ていたスクール水着をずり下げていく。  一恵は胸を隠していた腕をゆっくりと下げていた。  濃紺の布地がずり下げられていくに従い、ミルク色の素肌が形作る、柔らかな半球があらわになってゆく。  一恵は少し困ったような表情で、自分のおっぱいが少年の視線の前にさらけ出されてゆくのを見ている。  やがて、プルン!と音がしそうな勢いで、一恵のおっぱいが飛び出していた。  85センチのサイズにもかかわらず、全く垂れ下がらずにつんと上を向いた、見事な美乳だった。  乳輪の色は淡い桜色、乳首は小ぶりで、先端に浅い切れ込みがあった。  それが余計に、淫靡さを掻き立てる。  痛いほどの視線を乳首に感じる。 「んぁ・・・吸って・・・」  また、勝手に声が出た。  自分の声とは思えない、甘く蕩けた声。  少年の中に残っていた、最後のためらいを蕩けさせる声だった。  少年が軽く身をかがめ、一恵の胸に顔を寄せる。  マスクの口の部分は開いているので、キスやオーラルプレイには支障が無い。  ちゅっ、という音と共に、右の乳首が熱い口腔内に吸い込まれた。  吸われた乳首が、一瞬で硬く勃起する。 「ふわぅっ!」  身体を貫く愉悦に、一恵は思わず少年の頭を抱き締めていた。  少年は逆らわずに、顔全体を温かく、柔らかな一恵のおっぱいに沈み込ませる。  凄く柔らかいのに、押し返してくる弾力も強かった。  不思議な心地良さを持った感触に、少年は酔いしれる。  舌先で乳首を転がしながら、軽く吸い上げると、立ったままの一恵の身体が小刻みに震え始めた。  自分が吸った事で一恵が感じてくれている・・・。  そう思った少年の愛撫は、次第に熱を帯びたものになっていく。  一旦唇を離し、唾液に濡れて勃起した右の乳首と、まだつつましく乳輪に沈んでいる左の乳首を見比べる。  言い様の無い満足感が背筋を駆け抜けた。 「こっちも起たせてあげる・・・」  かすれた声でそういうと、左側の乳首も口に含む。  今度はいきなり吸ったりせず、舌先でじっくりと乳輪をなぞり、その中心で乳首が次第に勃起してゆく感触  を確かめる。 「ふぁぁ・・・もっと舐めてぇ・・・舐められるの、好き・・・」  一恵の声に、既にはちきれそうになっていた少年の勃起がビクンと疼く。  まだあどけなく見える少女だが、既にかなりの快楽を知っているのだ。  今まで一体、どんな事をされたのだろう・・・自分はどんな気持ちいい事をしてもらえるのだろう。  少年の頭の中を、淫らな妄想が駆け巡る。  さっき、早漏防止のクリームを塗ったというのに、乳首を吸っただけで、もう暴発しそうになっていた。  少年は、セックスは今回が始めてである。  総合科目テストで、上位十人に入ったご褒美として、奉仕者課程の実習生とのセックス権が与えられたのだ。  今まで奉仕者課程の少女を抱いた先輩や同級生から、聞いているだけで暴発してしまいそうな自慢話ばかり  聞かされていた。  成績優秀者へのご褒美は、その時によって違う。  ある時は、経済単位の増額であったり、またある時は、海外への視察旅行であったり。 テストを受ける時点では、  何が与えられるか知らされていないのである。  学園では、性教育の水準も、世界トップレベルで進んでいる。  セックスは禁忌するものではなく、正しい知識を持ち、相互理解の上で行うなら、特にとがめられたりしないのだ。 「ちゅぷっ・・・全部・・・脱がすよ」  もっと乳首を吸っていたいのを我慢して、少年は一恵の水着を脱がせ始める。  暴発だけは避けたかった。  一恵は笑ったりしないだろうが、男としてのプライドが許さなかった。  少し焦りながら、少年はスクール水着を引き降ろしてゆく。  一恵はなすがままになっていた。  きゅっと引き締まった脇腹からおへそまでが剥き出しになったところで、少年は一旦手を止めた。 「可愛いおへそだね・・・ちゅっ」 「あんっ!」  意外な所にキスされて、一恵は声をあげていた。  少年は、ちろちろとおへその周囲を舐め回し、舌先を縦長の可愛い窪みに挿入してかき回す。  かすかな汗の味も、今の少年にとっては甘露だった。 「あんっ!おへそ・・・そんなに舐められるの・・・初めて・・・んっ・・・気持ちいいよぉ・・・」  一恵はマスクに覆われた少年の頭部を掻き抱くようにしてのけぞり、震える。  開発され尽くしたと思われていた一恵の身体に、未開拓の部分を発見した少年は、狂ったように一恵のおへそを  舌でかき回した。  クチュクチュという音とともに、唾液がおへそから溢れ出すほどの激しさだった。 「ああんっ・・・ねえ・・・そろそろ・・・下さい・・・」  一恵の方から、挿入をお願いしていた。  少年は立ち上がり、慌しくズボンを脱ぎ捨て、下半身だけを剥き出しにする。  一恵はおへその所で止まっていたスクール水着をずり下げ、全裸になった。  白い肌の中で鮮やかなコントラストを見せる股間のかげりが、鮮烈に少年の目に焼き付き、勃起がヒクン!と  大きくしゃくりあげる。 「ベッドに横になってください・・・」  一恵のリードで、少年は部屋の隅に置かれたベッドの上に仰向けになって寝ていた。  天井には青い色のスライド式のカーテンがかかっている。  ベッド脇のリモコンを操作すると、それが開き、鏡張りの天井が現れる仕組みなのだ。 一恵は、少年が今にも  弾けそうになっているのに気付いて、一旦インターバルを取る事にした。  優しい手つきで、少年の制服の上着を脱がせてゆく。  少年は、さっきとは逆になすがままになっていた。  全裸になった少年の身体は、何となくひ弱に見えた。  顔を隠すマスク(学園内でのプライバシー保護のためである)が、結構カッコいいつくりなので、余計に華奢に  見えてしまう。 「今夜は楽しんでいってくださいね・・・」  そう言うと、一恵は少年を暴発させないように、細心の注意を払いながら愛撫し始めた。  薄い胸板をソフトに撫で回し、少年の唇を優しくついばんでやる。  しばらくソフトなキスを続けた後、唇を優しく舌先でなぞり始めると、堪らなくなった少年がディープキスを  仕掛けてきた。 「んふっ・・・ちゅっ・・・くちゅっ・・・」  少年と舌を絡め合いながら、一恵はタイミングを計っていた。  萎えてしまう事は無いだろうが、あまり焦らせても可愛そうだった。  しばらく好きなように舌をしゃぶらせた後、一恵は口を離していた。  二人の唇の間を唾液の線が繋ぎ、切れる。   「もう、我慢できないんです・・・下さいね」  一恵はそう言うと、少年の上にまたがるような格好になる。  ガチガチに勃起して下腹にくっついているペニスに優しく手を添え、既に潤んでいる秘裂にいざなう。 「あ・・・あぁ・・・」  少年は女の子のような声を出して、身震いした。  放出しそうなのを、必死に堪えているのが判る。  一恵はゆっくりと少年を飲み込んでいった。 「んあぁぁ・・・入ってくる・・・ふぁ!」  精神操作の結果なのか、あるいはもともと性感が豊かなのか、ペニスを受け入れただけで、一恵の身体を軽い  エクスタシーが襲っていた。  自分では制御不能のわななきが、少年のペニスを締め上げ、こね回す。 「うぁぁ・・・ダメだぁ!」  声を裏返らせて叫んだ少年のペニスが激しく脈動し、弾けていた。 「くうぅぅぅぅぅんっ!」  胎内に熱い迸りを受けて、一恵は本格的に絶頂を迎えながら、無意識のうちに少年の勃起の根元を指先で押え、  射精の快感を長引かせていた。  指先に伝わる力強い脈動が、とても愛しいものに感じられた。


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