第4話その4


「いやああああああぁぁぁああああああああああああっ!!!」 「へぐはぁ!?」  狭い空間にあたしの力一杯の悲鳴が響き渡る。  けれどこれが幸いした。ゾンビを間近で見た恐怖で体がすくむよりも先に反射的に手が動き、突き出た胸の先 が触れるほど密着していた相手を手加減無しに突き飛ばした。  なんだか変な声出した様な気がするけど、そんな事を気にしてる暇なんてない! とりあえず逃げる!!  ゾンビが倒れたのとは反対側、通路の進行方向とは逆の、今さっき歩いて来た方へと体を反転させる。後は足 を動かすだけ。 「ちょ…ちょっと待て…今のはもろ鳩尾に……」  うわぁああああっ!? ゾンビが喋ってる、変なこと口走ってあたしを死の世界に誘惑してるぅぅぅ〜〜〜! !!  そんな言葉に耳を貸す気はない――と言うよりも、続けざまに現れたゾンビに完璧に錯乱したあたしは聞いた 事さえ理解も出来ない。そんな頭が体に出す命令はただ一つ。 「もうこんなところいやだあああぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!」  でもスカートに手を入れてパンツを直すのは忘れずに。  足を走る歩幅で数歩踏めばそこには人ひとりが通れる幅の真っ暗な通路。いつもならこんなに暗くて狭いとこ ろなんて入ろうとも思わないけど、そこまで考える余裕はゾンビに襲われた恐怖で埋め尽くされた頭にはこれっ ぽっちもなく、迷う事無く突き進む。  暗いとは言っても、もう二十分か三十分ぐらいこんな所にいれば目だって闇に慣れてくる。細い通路を右に折 れ、左に折れ、そして――  ――ゴツン! 「あたっ!…ったああぁぁぁ〜〜〜! もう、何でこんな所に壁なんかあるのよっ!」  確かもと来た道を戻っていたはずだったんだけど、暗いせいで何処かで道を間違えたのか、突然前に現れた真 っ黒い壁に頭から突っ込んで鼻を思いっきりぶつけてしまう。  勢いを弱める事もせずにぶつかったのでかなり痛い。血は出てないみたいだけど鼻の骨の奥にまで衝撃が突き ぬけていて、両手で押さえた下から伝わるジンジンと痺れるような痛みに目から涙がポロポロとこぼれる。  ううう…痛い……曲がり角を曲がったその先が壁だなんて、一体どう言う構造になってるのよ。それよりも、 他に道は――  と、振り向いた視線の先に、それはいた。  暗闇の中で、まるで薄っすらと輝いているような白いモノが…… 「ゆっ…幽霊っ!?」  その単語が思わず口をつき、それを最後に呼吸が詰まる。  通路を塞ぐ様にして立っているそれは、身長はあたしと同じぐらいで頭から白い布のような物を被り、全身を 覆い隠していた。  見た目はテレビや漫画に出るような幽霊そのまま。頭に毛が三本あれば某Qそっくりだけど、のっぺりとして いて人間的な特徴がまったくないその姿はさっきまでのゾンビやお化けとは異なり、まったくと言っていいほど リアリティーにかけるものだけど、あたしはなぜか嫌な感じしか感じ取れない。 「へぇ…こんなところにも人がくるんだ。道を間違えたの?」  小さく、けれどはっきりと耳に届く声を聞きながら、幽霊が前に出てきた分だけ後ろに下がろうとする――け ど、そこはあたしがぶつかった壁。一歩も下がらないうちに背中と踵が平らな壁に触れるとそれ以上下がること ができなくなり、あたしと幽霊の距離は徐々に狭まっていく。 「あっ…あっ……」  幽霊の静かな歩みはあたしの眼前に来るまで止まらなかった。その様子を見つめるあたしの足は大事な部分を 守るようにぎゅっと閉じ合わさってはいるけれど、自分の体を支えることができないほど痙攣している。後ろに もたれ掛かり、両手で必死に体をかばうけど、それを無視して幽霊の手があたしの胸へと伸びる。 「君…相原たくやだよね? 昨日の舞台に出てた……うん、そうだ。あのきれいな娘」  そう言いながら、布を下から押し上げるように突き出てきた幽霊の指先がシャツの上からあたしの左の乳首を 捕らえた。 「んっ!」 「うわぁ…こんなに大きくて柔らかそうなおっぱいなのに、ここだけコリッとしてるよ。反対側もそうなのかな ?」 「ひあっ!!」  右側もつままれた。こんな暗闇の中で的確にあたしの乳首を挟んだ指先はくりくりと両方をいっぺんにいじり ながら、あたしを壁に押し付けるように手を乳房にめり込ませてくる。  声からして男――幽霊男の手はまるで幼子のように小さく、同年代の女の子よりも明らかにボリュームのある あたしの乳房に押し付けられるとまるで細いの棒の様。乳首を体の内側に押し込まれ、まるで乳房を膨らみの内 側から責められるような刺激を感じてしまう。 「くっ…ふあっ…!」  さっきゾンビ相手にお尻を鷲づかみにされ、散々弄ばれてしまった快感が胸の神経にダイレクトに送り込まれ るような痺れに再び鎌首をもたげる。  ブラウスの下でぐりぐりと豊乳をいじられるたびにあたしの唇からは鳴き声のような喘ぎが漏れる。上下に左 右に深深と突き刺さった指先がうごめくたびに、いっしょに陥没させられている乳首にまるでペ○スが勃起した 時にも似たムズムズ感がこみ上げ、乳房が押し返すように張りを増すたびにそれこそ射精直前のようにビクンッ と大きく震えてしまう。  拒まず、ただ涙を流しながら耐えるあたしの様子を楽しむように幽霊は指を動かし、そのたびにあたしは顎を 反らせて声をあげ、快感が飛び火して熱くなっている股間にきゅっと力をこめてしまう。  やだぁ…こんなところでおっぱい揉まれて……股間が濡れてる……ううぅ……こんなのって……  胸からの疼きに堪えるようにまぶたを閉じて唇を引き結んでも、ひときわ弾力を増して震えている股間の割れ 目から愛液が溢れるのはどうしようもない。恐いせいもあっていつもよりも力を入れているおマ○コの奥からは にじみ出たお汁がヒクンヒクンと震える大陰唇から流れ出て、太股をよじり、組替えるたびにグチャリとなんと もいやらしく粘っこい音が背筋を這い登ってあたしの羞恥心を刺激してしまう。  当然、その音はあたしとこの幽霊男しかいない狭い袋小路にも響き渡っていて―― 「へぇ……君みたいな綺麗な子がお漏らししてるの?」  や、やっぱりばれてる……あぁ〜ん、もうやぁ!! はっ…はぁぁ…!!  最後に一度、敏感な突起に指をねじ込まれ、あたしの意識が一瞬真っ白に焼け染まってしまう。強烈過ぎる刺 激が女になってから散々揉みしだかれてきた乳房の中で暴れてうねり、灼熱の疼きを感じたあたしは目を見開い て体を伸びあがらせる。 「あっ、はぁ…あああああっ!!」  イ、イくぅ!! やっ、おっぱいで、おっぱいでイっちゃうぅ!! そんなに、中で指を動かしたら、おっぱ い、おっぱいが壊れるうううっ!!! 「あああっ!! いっ…やぁ、だめ、だめ、だめっ! んあっ、あっああああああああっっ!!」  全身の筋肉と言う筋肉が緊張していく。立ったままでも手足がぴんっと伸びて、床に触れるつま先と壁に触れ る頭とでブリッジするように胸と腰を突き出して大きな涙声を恥ずかしげもなく上げてしまう。  涙を流しているのは瞳からだけじゃない、アソコからも体の脈動に合わせて愛液がほとばしっている。軽い絶 頂だからそれほど量は多くないけれど下着はすっかりびしょびしょに濡れていて、スカートの中では肉付きのい い股間や太股が生暖かい液体に覆われ、身をよじるたびにぬるっとした感触をお互いに触れ合わせている。  でも、本当のほとばしりは、絶頂の波が収まった後に、遅れてやってきた。 「んっ……はぁぁぁ……」  ――ピュル 「ヒッ!? あっ…うそ…漏れる……だめ、だめだめだめっ! おしっこが…だめええええっ!!」  長い緊張の時間からの開放。残っていた体力のすべてをさっきの絶頂に奪われてしまったあたしの体は全身が 脱力し、未だにヒクリヒクリとひくついているおマ○コからの圧力を少しずつ溜め込んでいた膀胱の緊張まで緩 めてしまう。  そして……股間に力をこめるよりも早く、愛液と同じぐらいに熱く煮えたぎった小水が、ヒクンッとひと震え した小さな窄まりから堰を切ったかのように放水されてしまう! 「やだぁ、こんなの…まだ、まだ出るぅ…ひゃ……とまって…早くとまってぇ…!」  スカートを押さえても太股を閉じ合わせても、一度ほとばしったおしっこは途中で止まる様子はまったくない。 それどころか、お化け屋敷に長時間いたせいでいつもより多く溜まっていたおしっこはあたしの恥じらいに比例 するようにその勢いを増し、下着の中で渦巻くように割れ目周辺に張りついている粘液を洗い流し、お尻の窄ま りに触れるぐらいパンティーに充満してから外へと溢れだし、太股の内側から脹脛、足首へと伝い落ちていく。 「うっ……ひっく…こんなのって…いや…い…やあぁ……」  ぴちょん…ぴちょん……水たまりに水滴が落ちるような音が通路に響く。けれどこの音は膝や股間から滴り落 ちたおしっこの水滴が奏でる音だ。その証拠に…音はあたしの足元から聞こえてくる……  暗闇のせいで色はわからない。けれど、どこか酸っぱく、どこか甘いような匂いが周囲に充満していく。  鼻を通り、頭の天辺まで痺れてしまいそうな、いろんな物が交じり合った芳醇と言えなくもない香り……まる であたしの羞恥心を刺激し、その一方で興奮の度合いを高めるための媚薬のような……  その香りを荒い呼吸で胸に吸い込むたびに、頭に靄がかかる。それまで必死に恐いのと恥ずかしいのに耐えて いた理性はその靄が広がっていくに連れてかすれて弱まり、お化け屋敷の中で無理やりイかされて、お漏らしを してしまったことへの羞恥の強さに、我慢できずにすすり泣いてしまう。 「すごいなぁ。女の子の立ちションなんて初めて見たよ。でも、パンツもスカートもびしょびしょだね」 「やぁ…言わない…でぇ……も…許してぇ……」  涙で潤んだ瞳をわずかに開く。するとぼやけてはいるものの、幽霊男の白い姿があたしの間近に、上からあた しを覗きこむように立っていることはすぐに見て取れた。確か身長は同じぐらいだったはずだと言う疑念を抱い ても、男の口にした言葉にあたしは顔をうつむかせ、いまさらながら両手で生暖かいおしっこで濡れたスカート を握り締めるしかなかった。 「昨日の舞台での姿もかわいかったけど、今の泣き顔もそそるよね。ねぇ、服を脱いでよ。それでやらせて」 「――!?」  あまりにもあまりな直接的な物言いに理解が一瞬遅れるけれど、その言葉を聞いたあたしは泣いているにもか かわらず顔を振り上げて、幽霊の姿を見上げてしまう。 「そ、そんなの――」 「やらなきゃ、たくやちゃんはお化けが恐くてお漏らししたって言いふらすよ?」 「………ひどいよ」  そう言われたら、もう返す言葉がない。ほんのいくつかの言葉で抵抗するすべを奪われたあたしは唇をきつく 噛み締めると、恐さと恥ずかしさ、そして理不尽な要求に対する怒りで細かく痙攣している指先で、わずかに涙 の湿りを帯びたブラウスのボタンをはずし始める。 「うわぁ、直に見るとものすごいおっぱいだね。ブラがキツキツだよ」 「んっ……」  あたしには相手の様子もよく見えていないと言うのに、向こうはあたしの姿が見えてるんだろうか――ボタン をいくつかはずし、喫茶店の仕事用にと着けてきたスポーツブラが外にまろび出た瞬間、あたしの耳元にそっと ささやかれる男の声。  見られている――その意識は、もうこれ以上ないと言うぐらいに高ぶっていたはずの羞恥心をさらに煽り立て、 指の動きが少し止まってしまう。 「ふぅん、そこでとめちゃうんだ。だったら残りは脱がせてあげるよ」 「あっ!?」  とめる時間も抵抗する隙もなく、幽霊の白い布に包まれた両手が左右のカップの中に入り込み、膨らみを圧迫 しながら乳房が外へと引っ張り出される。先の乳首への押し込みで触れるだけでも電気が走るほど敏感になって いたバストが震えるたびに湧き上がる疼きに身を硬くしているうちに、男の手はあっという間にスカートへ。そ して腰紐に手をかけたと思った瞬間にはナイロンの下着は足首にまで引き下ろされてしまっていた。 「やめてっ! これ以上…これ以上ひどい事しないでぇ!!」 「へぇぇ、もうグチョグチョだね。これならいきなり入れても大丈夫だよね」  スカートはまだ小水の滴る股間にギュッと押さえつけているはずだった。それなのに、幽霊男の手はそれをす り抜ける様にあたしの割れ目に指先を触れさせ、その細く尖ったような先端でグルグルと円を描いて膣口を割り 広げていく。 「あああっ!!…はっ…はうっ!!」  あたしがどんなに腰を揺すっても指は吸い付いた様に割れ目から抜け落ちず、少しずつ、少しずつ、愛液でぬ める蕾にめり込んでいき、その度にあたしは丸いバストを腰を屈めて先端を下に向けてプルプルと揺らしてしま う。  こんな状況であるにもかかわらず感じてしまう自分に困惑を覚えながらも、あたしの局部は徐々に愛液の量を 増やし、だんだんとスムーズになっていく指先に内壁を抉られ、掻き回される事を望んでしまっていた。もっと 強く、もっと深く、心の隅でそんな事を考えながら振動がビリビリと伝わってくるクリ○リスを大きく充血させ、 ここがお化け屋敷である事など忘れて快感に没頭し始めてしまう。 「はぁ…はぁ…んっ……くぁ…」 「もっと足開いて。たくやちゃんだってその気になってるんでしょ?」 「………」  その言葉にあたしは返事を返さなかった。その代わり、言葉通りに太股から力を抜き、必死に隠そうとしてい た股間を男の目の前に自らさらけ出してしまう。  相手があたしの下半身を覗きこんでいてこっちの顔など見えていないだろうけど、いつの間にか涙も収まり、 代わりに急速にほてり出した顔を横へと背ける。 「そんなに恥ずかしがらなくてもいいよ。お互いに気持ちよくなるだけだしね」 「……やっぱり見えてるの?」  あたしがそう聞き返しても、おしゃべりな幽霊男からの答えはなかった。その代わり、あたしの股間の前にあ った人の気配が離れていき、前に向けたあたしの視界に白いその姿を再び露わにした。 「………ねぇ、これが見える? 俺の方もすっかり準備できてるんだ。そろそろいいよね、入れても」 「い、入れるって……そんな……」  目を下に落とすと、うっすらとながら男の下半身の布が盛りあがっている。それほどは大きくないだろうけど ……やっぱり抱かれる事には抵抗がある。 「あの…やっぱりダメ。こんな場所でするのも恥ずかしいし、それに――」  あたしは男なんだから。  そう言えば大抵の男の人は引いてしまうだろう。過去にもナルシストの佐野先生とかはこれを知って病院送り になったし、目の前にいる幽霊に扮した男が寺田先生並に下半身に人格がないとは思えないし――  けれど、その決定的な言葉を口にするよりも先に、あたしの運命を決める言葉が目の前のシーツを頭から被っ た男の口から放たれる。 「そうか、いやなんだ。じゃあいいよ。――勝手にやらせてもらうから」


第4話その5へ