第一話その2
「るんるん♪ るるるんるん♪ はぁ…相原君と二人っきりで温泉に入れるなんて…休みを取って会いに来た甲
斐があるわ。ふふふ…♪」
な…なんなのよ、この松永先生の浮かれっぷりは……今までこんなのを見せた事なんてないのに……
「心のケア」と言う名目で温泉に連れていかれるあたしの前を歩いている松永先生は、学園では見せた事がない
ほどの喜び様だった。鼻歌は歌うし、軽くスキップするし、まるで年若い乙女のような――あ、違うの。別に松
永先生が歳を取っているって言う意味じゃなくて、先生はすっごく綺麗だしスタイルもよくて若々しいけど、今
まで抱いていたいつ何時でも冷静沈着な大人の女性って言うイメージと少し合わなくて……そんなにあたしと温
泉に入るのが嬉しいのか……もしくは……
――物凄く不安だ。先生の今までの行動から見て、ここまで喜ぶって言う事は……
「先生…温泉で何するんですか?」
口に手筒を添え、後から先生の耳元にそっと問い掛ける。
「ふふふ、相原君もその気なの? いいわ、だったら教えてあげる」
上機嫌なおかげで先生の口はいつになく軽かった。チラッとあたしを振りかえって妖しく微笑むと、何故か唾
液で濡れ輝いている唇を開く。しかし放たれたその内容は――
「まず、全裸で温泉に入ったら男たちに汚された相原君の全身を隅々まで洗ってあげるの。タオルなんて無粋な
物は使わないわ。私の口と指、それと胸でね」
「………ほえ?」
そ…それはひょっとして、噂に聞く泡踊りというやつなのでは……
あたしの不安は……100%的中していたみたい…だけど、その後に続く言葉はあたしの拙い想像なんかを遥
かに凌駕していくことになるのを、この時はまったく気づいていなかった……
「最初は私の体に泡立てた石鹸で指の一本一本まで綺麗に磨いてあげるの。相原君の白い肌に私の胸が形を変え
るぐらいギュッと押し付けて、何度も何度も上下に擦りつけて……そのうち硬くなった乳首で指の間まで。ハァ
…考えただけでも濡れてきちゃう。あんなにオナニーしたのに…まだ火照りが収まらないわ」
両手を頬に当て、いやんいやんと頭を振った松永先生は、まだ廊下の途中で、あたしがすぐ近くにいるという
のに――いや、いたからなのかもしれないけど…――ピッチリ合わさった浴衣を少し開き、後ろからはよく見え
ないけど、あたしよりもさらに豊満な胸元に右手を差し入れ、ゆっくりと揉みまわし始めたのである。
「はあぁん……んんっ! お、オナニーなんて最近全然しなかったのに……指が…勝手に動いちゃうわ……相原
君と今からお風呂に入るのかと思うと……あ…アソコが熱くて……お豆が、コリコリに……!」
なんて淫靡な光景だろうか……きっとあたしが部屋に行くまで、温泉で何をするかを考えながら、込み上げる
疼きに耐えきれなくなって一人で慰めていたに違いない。荒く、そして熱い吐息の吐き出されるリズムに合わせ
て揺れる体の動きに見ているだけでも興奮してしまいそうな雰囲気を纏わせながら、より強く、時折短い悲鳴を
上げてしまうぐらいに自分の手で教師とは思えないほどの巨乳を揉みこみ、さらには空いていた左手で股間の前
を押さえ、手首から先を太股の間に沈み込ませている……
「ああああっ…道具なんていらない……初めての時みたいに…私の花弁で相原君のアソコをグチャグチャと音を
立てながら擦りたてて、真っ赤になるぐらい感じさせてあげる……んんっ…指で相原君の暖かいおマ○コから潮
を何度だって噴かせてあげる。失神だってさせてあげるわ。その可愛い顔が二人の涎と愛液でビチャビチャにな
って、泣きそうに歪むのを見ながら私も…はあぁぁぁ…!」
ちょっと、松永先生…ものすっごい妄想が垂れ流しになってますよ……
こちらに背中を見せて、とうとう立ったままオナニーをし始めた松永先生の独り言は過激という以外に表現の
しようがなかった。想像だけど、よくもそこまであたしを凌辱できるものだと思うほど、次から次に淫らで卑猥
でスケベでエッチで、その上に具体的で表現力も豊か。後ろで聞いているだけなのに、もしこのまま温泉に連れ
こまれたらそんな目に…なんて考えてしまって、ついつい下半身に込み上げてくる疼きを紛らわせるために腰を
ゆすり、ミニスカートをひらひらさせてしまう。
はうぅ……もし今あんな目にあったら……あたしは…あたしはぁぁぁ……!!
はっきり言いましょう。あたしは今現在、エッチな事はもうこりごりだと言う心境だった。
なにしろ、この旅館で働き始めたその日から今から行こうとしている温泉で一晩中オジさん三人に輪姦された
のを皮きりに、レイプされるし媚薬盛られるし変な爺さんに体をまさぐられるし巨根幼児の童貞奪っちゃうし、
最後には……もう一年か二年分(一生分とは言わないけど…)は犯されていて、体の心まで疲れきっている。それ
なのに、もし松永先生のお相手を一晩中させられたら……
妙な熱気を帯び始めた下半身を覆うスカートを必死に下に引き伸ばしながらも、ピンっと反りかえった背筋に
モゾモゾと尺取虫が這いまわるような寒気とツツツッと伝い落ちる冷や汗の冷たさが……
―――逃げた方がいいかも……
そう思った直後、まるであたしの心を読んでいるかのように松永先生がしっとりと興奮の汗が滲んだ顔を振り
かえらせ、少し遅れて体の方もこちらに向けられた。
あっ…帯紐がほどけて、前が……
「ふふふ…ごめんなさい。昨日徹夜したのに昼間は刑事たちの事情聴取でしょ? だからちょっと疲れていて、
性欲が抑えられないのよ」
わっ、わっ、わっ!! だ、だったら大人しく寝ててくださいよっ!! そんな胸寄せ上げて突き出したりし
ないで、あたしの顔を見て舌なめずりしないでぇ!! ええぇ〜〜ん、もしかして、今この場で襲われるかもぉ
!!
胸元からお臍、そしてアソコの茂みまで、女性の恥ずかしい場所を縦一直線にさらけ出しているのに、松永先
生は隠すどころか恥ずかしがりもせず、隙間からなめかましい太股をさらけ出すように足を踏み出してあたしの
方へと近づいてくる。
あの浴衣の下にはどれだけ豊満な肉体が隠されているんだろうか…腰紐がほどけ落ち、ウエストのくびれや乳
房の先端が見えないだけに、接近してくる先生を見つめているうちにその下側を想像してしまう……
クチュ…クチュ…クチュ……
先生は下着を一切身につけていない……そのせいか、先生が顔を火照らせながら近づいてくるにつれて、まる
で蜜のような甘い匂いが太股の擦れ合う時に奏でられる愛液の音と共にあたしのところに届いてくる……それは
エッチな事で疲れ切っているあたしが避けるべきものの前触れでもあり…どうしても避けがたい、まるでそれそ
のものが少し嗅いだだけでも鼻の奥からじんわりと染みこんでくる媚薬のようでもあった……
「ねぇ……相原君……」
さっきまで男だったら誰でも一度はかぶりつきたいと思うほどの美巨乳を揉みまわしていた右手の指がスッと
伸ばされ、あたしの首筋を頬に向かって撫で上げていく……
「んっ……!」
身がすくむ。指の一本や二本が肌に触れただけなのに、あたしはスカートを掴んでいた手をたまらず離してし
まい、まるで脅えるかのように身を竦めてしまう。
でも…それなのに、犯されすぎたせいでまだまだ赤く張れていて、その内側は潤ったままの花弁の奥からゴプ
ッと一塊の愛液が溢れ出して股布へとこぼれ出してしまう……
期待……もしかすると、あたしは松永先生にそうされる事を待ち望んでいるのかも……
そう思うと、一度はずしてしまった視線を再び上げて先生の顔を見る事なんかとてもできない……紺色のブラ
ウスに包まれた乳房を守るように曲げた腕にギュッと力を込めながら、あたしは見る見るうちに熱く火照ってい
く顔を俯かせ、そのまま後退さっていく…が、クスッと小さな微笑む声が聞こえたかと思うと、今度は両頬に手
を添えられ、途端に力が抜けてしまったあたしは難なく顔を上げさせられてしまう。
「脅えなくてもいいのよ。全部…私に身を任せてくれれば……」
「で、でも…あの…あたしは…明日も朝が早いから……」
違う…心にもない事を……
「いいじゃない。今は私がお客様なんだから…言う事を聞くものよ」
「せ…先生……」
「ふふ…学園じゃないんだから……啓子って呼んでもいいのよ……」
「あっ……」
これは汗なんだろうか…しっとり濡れているように見える先生の黒髪から、さっき嗅いだ匂いがより濃密に漂
ってくる。
その香りに意識を奪われながら、あたしの唇もまた、先生によって奪われようとしていた……
「でも…お客だからとかそんな事じゃなくて……相原君だから……」
「んっ……」
だらしなく開いたままだった唇を、先生の顔が視界一杯に迫ってくるのに合わせて閉じ合わせ、目蓋を塞いで
覚悟を決めてしまう……
「だから……今、この場で可愛がってあげるわ…ふふふ……」
―――やっぱり、いやあああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!! 絶対、絶っっ対に弄ばれるううぅぅぅ!!
言葉の裏に隠された松永先生の真意に気づいても、もう遅い。先生の熱い吐息が吹きかかるほど接近した唇か
ら逃れる術はなかった……あたしには……
でも、この山野旅館の神様はあたしを見捨ててはいなかった!
「ああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜、お姉ちゃん、やっと見つけたぁ♪」
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