00「星華・お金を手にして決意する」


「だ、ダメだよ、お姉ちゃん、ダメだよォ……こ、こんな場所で、ああ、あああっ!」
 暗く深い森の中、まだ声変わりもすんでいない男の子の悲鳴が木霊する。
 下半身の履物を地面へと脱ぎ落とされ、帯を解かれて下帯も既にない。低い背や丸みを帯びた顔同様、どれだけ勃起しても真っ赤に腫れ上がった先っぽを皮から覗かせるのが精一杯なおチ○チンは、既に相手女性の目の前に突き出されていた。
 年のころは15〜16だろうか。濡れているかのような湿り気のある輝きを放つ長い黒髪を背中になびかせている女性は、男の子の懇願を無視し、未成熟にも程があるショタペ○スへ、ア〜ンと口を開いて舌を伸ばし、分厚い皮と刺激に慣れていない亀頭の間へ舌先をこじ入れる。
「ダメ、それダメェェェ〜〜〜! お姉さん、出ちゃう、また白いのが出ちゃうぅ〜〜〜!!!」
 おチ○チンにたっぷりと唾液を擦り込まれると、先端を覆っていた包皮が根元へ向けて引き下ろされる。紅玉石のように真っ赤な亀頭を無理やり露出させられ、ヒクンッヒクンッと跳ね上がるペ○ス……まだ成長前ではあるけれど将来を期待させる元気のよさを鼻先に感じ取ると、少年よりは年上であるものの、まだこちらも少女の域を出ていない相手の女性は、唾液であふれかえる生暖かい口内へとショタペ○スを迎え入れ、黒髪を掻き揚げながら頭を激しく前後に振りたくる。
「あっ! あっ! お姉ちゃん、出るゥ! ああッ、はあああァん!!!」
 股間を吸い上げられながら、帆の内側に亀頭を擦りつけるような責めに、まだ少年の彼が耐えられるはずがない……だからと言って彼が性行為を何も経験していないわけではない。もし何も知らない初心な少年であるならば、包茎ペ○スを剥かれた痛みで泣き出していただろうし、ネットリと嘗め回されているカリ首にはびっしりと恥垢が溜まっていたはずだ。けれど無理やりフェラされているとは思えないほどに、少年の股間は念入りに洗われており、ペ○スが舌の上へ擦り付けられる度に鼻にかかる甘い悲鳴を漏らし、感じている事を必死に訴えてしまってた。
「ダメだって…言ってるのに……」
「ん………?」
「僕…言ったからね、もうダメだって、何度も、何度もお姉ちゃんに言ったんだから、我慢できないって……いったんだからぁぁぁ!!!」
 それまで着物の裾を握り締めていた少年の手が、不意に女性の頭を押さえつけ、短くて小さくとも雄々しく勃起したペ○スを唇へ根元まで押し込む。そして感極まった声を上げるのと同時に、ヌルヌルとした濃厚な白濁液を少女の口内へと撒き散らした。
「んッ………ゥ………」
「ハ…ァ……ァ………お姉ちゃん、大丈夫?」
「ッ……うん、もう大丈夫です。いきなり喉の奥へ出されたから少し驚いてしまいました」
 口の中に広がる生苦い味わいの体液を吐き出す事無く喉を鳴らして飲み干すと、少女は口元を拭い、少年を見上げて微笑みかけた。
 美しい少女だった。
 旅用の衣服は彩りにかけるものの、薄汚れた白い布地が上等の絹のように見えるほどに、顔を上げた少女の魅力は眩しく輝いていた。暗い森に似つかわしくないその美貌はどこまでも優しく、突然口内射精された件で怒る素振りも見せない。その容姿から良家の姫君かとも思えるけれど、その唇から出る言葉は、上品ではあるものの……
「今日はいっぱい出ましたね。昨晩、街でちゃんと宿に止まったからですか? 初めての時と同じぐらい……いえ、それ以上に射精してましたよね?」
「だ、だって、星華さん、ずっとボクに恥ずかしいことしてきたくせに……き、昨日は部屋にも来てくれなかったじゃないかァ! だからボク、ひ、一晩中、おチ○チンおっきくなったまま戻らなかったんだよォ!」
「まあ……もしかして期待されていたんですか? でもダメですよ。行きずりで同行している私と、寝具の上できちんと肌を合わせたいなんて思うのは。そう言うのは本当に大切な人が出来た時まで大切に取っておくものです」
 それに―――と、“星華(せいか)”と呼ばれた少女が言葉をつなげようとすると、茂みが音を立てて揺れ、その向こうから数人の男が姿を現した。
「へへへ、見せ付けてくれるじゃないかよ、お嬢ちゃん。ガキ同士でこんな森の中でお楽しみなんてよォ」
「………黄巾党」
 星華の視線が男たちの頭に巻かれた黄色い布に向けられる。
「そうよ、俺たちは地公将軍・張宝様の配下の―――」
「ああ、建前は要りませんよ。聞きたくもありませんし、何度も聞かされていますから覚えてしまいました。言う必要はありません」
 男たちが胸を張って自慢げに口にした言葉を笑顔一つでさえぎった星華は、体格の良い男たちに囲まれても怯んだ様子をまったく見せずに立ち上がり、少年を背後にかばった。
「私は柴桑(柴桑)に居を構える星華、字(あざな)は遼原(りょうげん)と申します。私が用があるのは、そちらの―――」
 星華が指を差す先にいるのは、頭に黄色い布を巻いているだけでなく、腕にも刺青を彫っている男だった。
「ええ、間違いありません。そちらの方の首をいただきに参りました。こちらのお父君を殺された少年からの依頼を受け、仇討ちを引き受けさせていただきましたので」
 帯に差した環首刀の柄尻についた刀環に手を置き、星華が優しく微笑みかける。
「はァ……あなたを探し出すのは苦労しましたよ。建業から成都、長沙と国内を西から東で南にめぐり、やっとここ、小沛にいる事を突き止めたんです。あなたの腕に彫られた刺青を追いかけて」
「は…ははは……そうか、後ろにいるのはあの時のガキか。確かに見覚えがある。仇が俺だってのも間違いないだろうぜ。そうかそうか、あの親父を殺る時に見られてたのかぁ―――だがなァ!」
 男が右腕を上げると、黄巾党の男たちはそれぞれが剣を抜き、手にした槍を構えて星華たちを取り囲む。
「女ァ、お前見たいな極上のメスは俺たちの慰み者だ。ガキは奴隷商人に叩き売って俺たちの酒代だ!」
「あら……素直に仇討ちされるつもりはありませんか?」
「だ〜れが殺されてなんかやるものかよ。俺はあの時の金で今の地位を手に入れたんだ。それだけでも十分なのによ、こんないい女まで連れてきてくれるなんて、そこのガキには感謝しないとな、アハハハハッ!」
 笑い声が森に響き、一番最初に星華をモノにするために男たちが一斉に飛び掛ってくる。
 一見してごろつきなのだが、漢軍との戦で身につけた連携は見事なもの。多方向からの同時攻撃に鎧も兜も身に付けていない星華は、剣も抜かずにただ立ち尽くす―――が、その代わりに爪先が跳ね上がり、足元の背の低い茂みに隠していたものを跳ね上げる。
 眉尖刀―――細長く鋭利な刃を持つ長刀だ。
 空中に浮いた愛用の獲物を眼前の高さで手にすると、一閃。星華と少年を中心に銀色の弧を描いた刃は、迫る刀を跳ね上げ、槍の穂先を切り落とす。
「な……ヒッ―――!?」
 金属の刃同士がぶつかり合う甲高い音が連続して響いた直後、襲い掛かった黄巾党の男たちはすべて地面に叩き伏せられていた。
 そして全ての攻撃を迎撃した眉尖刀を頭上で旋回させた星華は、目標を追って跳躍。仲間が全員気絶した直後に逃げ出そうとした仇の男の前へと回り込むと、眉尖刀を構え、切っ先を鼻先に突きつける。
「―――成敗させていただきます。地獄で閻魔様がお待ちかねですよ」





 時は184年、中国大陸、後漢末期。
 様々な英雄たちが現れた黄巾の乱以後の時代を、後世ではこう呼んだ。
 「三国志」―――と。
 この物語は三国志と言う広大な舞台を駆け抜ける、一人の少女の物語………のはずである。







 星華と言う女将を一言で表すとすると、多くの人が「絶世の美女」と言う言葉を用いる。
 武に長け、知に長け、神が二物も三物も与えた多彩な才能はそこいらの凡百の武将など比べ物にならない。柴桑の町で面倒な依頼が起きれば星華に任せればよいと言われるほどに、信頼も厚く名声もある。
 だがそのどれもが、星の輝きや華の彩りよりも勝る星華の美貌の前には色褪せてしまっていた。
 背中に流れる艶やかな黒髪は天に流れる星の川よりも輝き濡れて、着物の下の決め細やかな肌は神の手により生み出された芸術品かと思えるほどに、バランスを保ちながらも起伏に富んでいる。
 彼女が笑えば誰もが心奪われ、彼女が涙を流せば多くの人が慟哭に暮れる。そこまで人々を虜にする美貌は、ある種の魔性とも言えるだろう。

 都を彩る美姫たちも、星華の前では美しさが霞んで見える……だが星華本人にとっては、注目を浴びる美しさも、誰もがうらやむ豊か過ぎる乳房も、学問にも武芸にも役に立たないので邪魔だと思う事の方が多かった。普段は激しく動いてもあまり揺れないようにサラシで締めているが、キツすぎれば呼吸は苦しいし、ゆる過ぎれば着物の下で弾んで意味を成さない。
 現代風に言えばGカップ、そして未だ成長を続ける胸を星華が良いものと思い始めたのは、男と肌を重ねるようになってからの事だった。

 戦国の時代に置いて、女性の武芸者が一人で腕を磨く事は常に死と隣り合わせであるのと同様に、凌辱の辱めを受ける危険性も多いに孕んでいる。
 珍しい女将であるだけでなく、星華は特に美しすぎた。その美貌を、美しい肢体を、蹂躙して弄び、骨の髄まで汚してしまいたいと思うのは、多くの命が次の瞬間には散っていく世界に置いては当然のことと言えた。
 そんな理を知ってか知らずか、星華もまた、男性を受け入れることに嫌悪感をそれほど抱いてはいない。むしろ、腕を競い合わせた相手と肌を重ね、尊敬する相手と盃を交わした後に身も心も蕩け合わせる……それは星華にとって至福の一時でもある。

 だからこそ、星華は誰のものになるでもなく、一人で生きてゆく事が出来ていた。
 あるがままを受け入れ、誰の色にも染まる事無く、自分の心の命じるままに混迷の時代の中を流れていく。
 それこそが、本当の星華の強さなのだろう―――






「おお、おお、星華様、よくぞあの子の仇討ちを成し遂げてくださいました。これはささやかですがお礼です、本当にありがとうございました」
 酒家の主が差し出した袋は意外と重い。……が、その金は数日もしないうちに全て酒へと化けて星華に飲み干されてしまうだろう。
 男性社会の後漢では仕官なんてままならない。いくら武芸や学問の能力があっても、男女雇用機会均等法などない時代では女性を採用するところは皆無といっていい。それどころか採用面接に着た星華の美しさに目を止めて、腕を見る前に後宮に入れとか愛人になれと言われることもあった。
 そんな宮仕えに嫌気が差し、星華は在野でよろず揉め事を請け負い生活する道を選んでいた。もっとも、十歳に毛が生えたようなころの星華ならばいざ知らず、多くの経験を踏まえてきた今の星華に仕官したいと思わせるだけの君主なんてそうそういないし、その日暮らしの放浪生活もそれなりに気にいってしまっていた。
 四ヶ月に及ぶ一人の少年と国中を巡った旅は、金銭面よりも精神面で星華を満ち足りさせていた。
 長い時間を一人の男性と過ごし、口と胸だけとは言え、幾度となく肌まで重ねてしまったのだ。その上、黄巾党にもぐりこんだ仇の男をおびき出すための誘引の計とは言え、森の中での淫行は十日にも及び、最後までたっぷりと愛し合って胸の谷間や口の中へ少年の熱い迸りを受け止めて……満足度はかなり高い。まぶたを閉じれば初々しく悶えなく少年の顔が思い出され、ゾクッと来るモノが込み上げてくる。
 星華にとって仕事は、お金よりも遣り甲斐が大事だった。
「はぁ……分かれるのは寂しかったけれ、その日暮らしの甲斐性無しでは、いくら身寄りのない男の子でも養えませんものね……」
 柴桑にある星華の自宅。
 たいして大きいわけではないが、星華一人が書を読み、武芸を鍛えて暮らすには十分な広さがある。
 街に戻ってからは酒家へ報告にいくのが先立ったので、帰ってきたのは約五ヶ月ぶり。男の子との野宿も良かったけれど、やはり自分の家での落ち着きぶりは感慨深いものがあった。
「もっともホコリは困りものですけど……ケホケホ」
 やっと帰ってきたのに、休む前に掃除から始めなければならないのか……五ヶ月ぶりの我が家では、ご飯の材料さえない。休む前に掃除と買い出し、その後で料理をして、ああ、その前に布団を干して……やらなければいけないことを指折り数えていくと、その分だけ星華の頭がキリキリと痛くなってくる。
「面倒くさいですね……せっかくまとまったお金があっても、あまり意味はありません」
 召使いでも雇えば別なのだろうけれど、一人暮らしには贅沢すぎる話だ……が、“まとまったお金ができた”と言う事実は、何をするにしても役に立つ事だろう。
「さて……今日の私は、何をして過ごすんでしょうね……」



 それが、後に中国全土に吹き荒れる嵐が世に出る前触れであったなどと、この時だれが気付けたであろうか………







次回
「星華、強いやつに会いに行く」の事

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武将データ

名前:星華・遼原(せいか・りょうげん)
性別:女
武力:91(+1)
知力:95
魅力:99
所持:眉尖刀・環首刀
趣味:酒盛り・強い人との一騎打ち・読書


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