第三章「神殿」裏3


 そんな…いきなりこんなに大勢の人の前で……なにをするつもりなのよ、みっちゃんは!?――違う、今はミ ント、だっけ。  椅子に両肘を固定され、身動きを取れなくなったあたしに客席でお酒を飲む男の人達に視線が突き刺さる。誰 もあたしの心配などしておらず、その顔にはあたしがこのステージでされる出来事への期待を伺う事が出来る。 しかも…かなり恐い……あたしがここで泣き叫んだとしても、一人も助けてくれないどころか逆に彼らは喜びそ うな気配までしているし。 「あの…本当に酷い事をしないのよね、みっ…ミントさん」  薄暗い客席に何人の人間が据わっているかは歯っきりとはわからないけれど、十人程度…というわけがない。 何十という視線に晒され、怯えと緊張で身を震わせてしまうあたしはすぐそばにいるミントさんにだけ聞こえる 様に小声で囁きかけた。 「大丈夫だいじょう〜ぶ♪ いきなり男の客を取らせたりしないから。――いきなりは」 「その言葉の間はなに!?」 「まぁ、娼婦である以上は見世物ぐらいにはなってもらうけど――女としての基礎知識を教えるのと同時にね」  う〜……物凄く不安だよぉ……ここに来たのは間違い……ううん、自分で決めたんだから公開しちゃダメ。た だ……勧めてくれた本人さんが妖艶というかなんというか、いつもと雰囲気が違って一番恐いぃ〜〜!! 「――さて皆様、このルーミットはこれまで山間の小さな村で暮らしていたのですが」  ほえ? あ、あたしは山間と言うか森の中の小さな村の出身なんですけど……作り話? 「旅先で山賊に襲われ、身包みをはがされ処女まで奪われ……よよよ……」  ――姉ちゃん、不幸な人生に負けんじゃねーぞぉ! ヒック、俺は…俺は応援してやるからなぁぁぁ!  ――初体験が山賊…命を奪われなかっただけでもまだマシだな。処女などいつかは失うものだし。  ――ハァ…ハァ…出されたんだね? 山賊全員に中出しされて妊娠して…ハァ…ハァ… 「はっ…ははは……」  この人達……なんつーか……酔ってる。みんな酔ってる。何故か一斉に騙されちゃってるし! 「そして流れ流れてフジエーダまで来たものの里に帰るお金も無く、立った一つの救いを求めて娼館の戸を叩い たのです。……ですが、ですがこの娘には――!」  あ、ここが盛りあがるところね。なんとなく。 「女としての知識が欠けているのです! このような美貌を持つというのに、家が貧しく働く毎日。男と手を握 った事も無く、ヴァギナもアヌスもクリトリスも知らない身。ああっ、なんて可愛そうな、いやいや可哀想なっ !」  ………なんで「かわいそう」を言い直したんだろう。不思議だ。 「ルーミットはご覧の通り、類い稀なる美貌を持ってはおります。ですがそのような身では娼婦としてお客様を 満足させる事など出来ません。ですので今日は特別に――」  ――と、不意にミントさんは一歩後退さってあたしの視界から姿を消すと、木製の舞台を軋ませて背後に回り ……あたしの胸を両方同時に鷲掴みにしてきた。 「きゃあん!」 「――このルーミットに娼婦として…いいえ、女としての知識をたっぷりと仕込む様を皆様にご覧いただこうと 思います」 「ご覧って…ま、まさかここで!?」 「ええ。まずは……ここ、なんて言うのかしら?」 「んっ! そ、そんなに強く…胸を揉まないで……んあっ!」  肩の上から回されたミントさんの両手にようやくその重さに慣れ始めた大きな乳房を揉みしだかれると、なぜ か不思議な気分になってくる。ゆっくり…優しく…そしてあたしの反応を見て力を込める手の動きは、あたしの 処女を奪った寺田の乱暴的な揉み方とはまったく異なり、下から上へと掬い上げる様に膨らみが動くたびに小刻 みに身体を震わせ、吐く息は少しずつ荒くなっていってしまう。 「あらぁ〜? ルーミット、もう感じ始めたのね。服の上から乳首が丸分かりよ。こんなにくっきり浮かび上が るほど硬くしちゃって…いやらしい」 「んっ!…いっ…あああああっ!!」  ミントさんは触れられる気持ち良さで硬くなり始めていた乳首を両方同時に周囲のピンク色ごと捻り上げ、あ まりに突然の胸の痛みにあたしは喉を仰け反らせて悲鳴を上げ、椅子が揺れるほど身体を動かし、身をよじらせ た。  少しして乳首は離してもらえたけれど、容赦無く摘まれた乳首にはヒリヒリとした痛みが残り、けれど涙に滲 んだ視界にはさっきよりも乳首の形がくっきりと浮かび上がっている様に見える。 「痛かったぁ? ごめんね……でもルーミット、あなたがいけないのよ。あたしはこの膨らみがなんなのか訊い ているの。それに答えなかったんだから。――さぁ、もう一度だけチャンスを上げる。ここはなに?」  ―――多分本当に最後のチャンスなのだろう。みっちゃん…じゃない、ミントさんの声を聞いて得体の知れな い恐さを感じたあたしは、弧を描いて揉み回される乳房から視線を逸らせると、囁くような声で、 「お…おっぱい…です……」  ――と、ためらいがちに答えた。 「セイカ〜イ。じゃ〜あ〜、女の子はなんの為におっぱいがついてると思う?」 「なんのためって……そりゃあ…赤ちゃんにおっぱいを上げる為に……」 「ブッブ〜〜、残念でしたぁ。せ・い・か・い・は?」―――ギラッ  一度視界の後ろに下がったミントさんの右手、それが再び現れたときには手に小さなナイフを握り締めていた。 「ひっ…!」  銀色の刃が舞台を照らす照明に照らされて鈍く輝く。  その輝きを本能的に恐れて身を仰け反らせようとしても、木製の椅子は重りでも括り付けられているみたいに ちっとも動かず、ナイフの切っ先は怯えを煽るかのようにゆっくりとあたしの喉元に近づいてくる。 「どうやら分からないみたいね。正解は……気持ち良くなる為についてるのよ」  その言葉が終わると同時に、ミントさんは手に握ったナイフを動かし、あたしは挿される瞬間から逃れる様に 短く悲鳴を上げて目を閉じ合わせた。  ―――しかしナイフはあたしの喉には突き刺さらず、布を引き裂くような……いや、本当にあたしの服の胸元 を切り裂いて、たわわな乳房を露わにしてしまい、ミントさんはナイフをしまうと弾むバストの根元に手を当て て膨らみの中に詰まる母乳を先端に向けて絞り上げる様に両手で握り締めた。 「あっ…あああっ……んっ…!」  手指が少しずつ先端に向かうたびにあたしの唇を甘い吐息が突く。乳房の形が変わり、先っぽの小さな乳首に 血液が押し流されると、乳首の痺れと指の食いこむ部分から感じてしまう疼きに堪えることが出来ず、自由に動 かせる太股を擦り合わせながら声を上げてしまう。 「ほぉら、気持ち良くなってきたでしょ。赤ちゃんに吸わせる期間なんて一年も無いんだもの。一生の内に…胸 を触られて気持ち良くなるのって何回あると思う?」 「そ…そんなの…知らな…いぅん!」 「じゃあな〜んにも知らないルーミットに教えてあげる。娼婦だったら毎日吸われるわよぉ。しかも一日に五人 十人なんてザラよぉ。ルーミットみたいな素敵なおっぱいだったら……ほら、前を見て御覧なさい」  その言葉に従い視線を客席へと向けると、途端に、あたしの背筋に震えが走り抜けた。  見てる……こんなにたくさんの人が…あたしを…あたしのおっぱいを……  薄暗い空間には妙な熱気が満ち溢れていた。ここは南部だから深夜を過ぎても温かい……けれど、この湿り気 と拒絶したくなる雰囲気を持ったいやらしい熱気は観客から放たれているものだ。さっきまではミントさんの作 り話にさまざまな感想を口にしていた男たちなのに、あたしの胸が露出すると水を打った様に静まり返り、まさ に視線に犯されている……光を受けて赤くはれた胸の丸みがその陰影をはっきりさせ、男の持ち物とは思えない ほど巨大な乳房のボリュームがさらに強調されている。  それに服を引き裂いたのも演出だ。ミントさんは娼婦をやっているけれど、本業は聖職者。むやみに人を傷つ ける行為はしないはずだし、こうして服を切り裂く方が暴力的でエロティックなのかもしれない。  でも……そこまで頭が回っても体の震えは逆に激しくなる一方だった。  恥ずかしい……体が熱い……  客席が静まり返るほどにあたしの視線を貫くかのよう名視線が針山のごとく感じられる。みっちゃんの手指の 一つ一つに胸を震わせる様子に唾を飲み、お酒で濡らした唇を舐めまわす男たちのスケベな視線は、桜色に染ま り始めた乳房を「見せなければいけない」あたしの身体を熱く火照らせ、羞恥に蝕まれた身体は吐く息が震えるほ どに視線に快感を感じ始めていた。 「あ…やぁ……」 「さぁ……言ってごらんなさい。あなたのこの大きなおっぱいは……ルーミット、あなたの胸は……何のために ついているのかしら?」  ―――意地悪な質問…しないでよぉ……娼婦の時のあたし…ルーミットの胸は……  十分硬くなった乳首を人差し指でこねくり回すミントの質問に、喉を鳴らして唾を飲みこんで呼吸を整えてか ら、それでもまだ収まらない動悸に顔が熱を帯びて行くのを感じながら…… 「あ…あたしの胸は………気持ち良くなる為についています」 「ふ〜ん…どうやって気持ち良くなるのかしら?」 「それは……あの…触られたり…揉まれたり……あと…す…吸われ…たり……」 「だ・れ・に、吸われたいのかなぁ〜〜?」 「それは…お――」  そこで言葉を区切ると、 「……男の人でも……女の人でも……」  言っちゃった。……でも恥ずかしいけど、これはあたしの本心…なのかもしれない。もし今ここでみっちゃん に…ミントさんに乳首を吸われたら……変な気分になっちゃうから……  ―――でも、もしかしたらそうして欲しいのかもしれない……そんな考えが頭を過る。  けれどミントさんはあたしの心を読んで焦らすかのように、あたしの乳房から手を離してしまう。そして荒い 呼吸を繰り返すあたしの前に歩み出ると、二・三の言葉を客席に投げかける。――残念ながら、身体を折り曲げ て喘いでいたあたしはその言葉を聞き取る事が出来なかった。でもその直後、それまで静かだった観客側から一 斉に挙手と歓声が沸き起こる。 「な…なに、なにが…ええっ!?」 「ちょっと募集かけたの。たく…ルーミットのお相手をね」  あたしのお相手……もしかしてそれって!? 「待って、待ってよ! 男の相手をさせないってミントさん言ってたじゃない。なのにどうして!」 「いきなりは…って言ったじゃない。だから最初は私が気持ち良くしてあげて、次は……そうね、君、そこの歳 が若いくせに夜遅くまでこんなところに居座っちゃってる君!」 「僕…僕ですか?」  だからちょっとはあたしの話を聞いてよ。あたしは本当に男なんだから、おチ○チンを股間に入れられるのは イヤ………えっ…ええええええっ!? まさか…まさかこの男って、もしかしてぇぇぇぇ!?  ミントさんに指差され、客席からステージに呼ばれたのは一人の若者だった。しかも思いっきり見覚えがある ……スライムに戦いを挑んで負けて、あたしの食料を全部ダメにしてくれたあの変な駆け出し剣士―― 「ふ〜ん…見ない顔ね。当店初めてのお客様、よかったら名前を聞かせてくれる?」 「あ…僕は弘二って言いまして、この街へは冒険者になるために来ましたぁ!」  や…やっぱり弘二だ……しかも娼館だって言う事も忘れて自分の名前を大声で叫ぶなんて、世間体とかまるっ きり考えてないでしょ、こいつは……  そう、ステージに呼ばれてミントさんに簡単な自己紹介を含めた挨拶を交わしているのは、フジエーダに来る までの間にあたしが助けた青年剣士の弘二だった。今は鎧や剣は身につけていないけど、あの顔…忘れるもんで すか。  突然の再開に心ときめく……はずも無い。男相手なのに。思い出すのはこいつと出会った後の空腹感。思い出 しただけで腹が立つぅ〜〜!―――とはいえ、どうしてここにいるんだろ? 「宿のおじさんに「童貞だと度胸がつかない」って言われて初めて娼館に来ました」 「ふ〜ん…じゃあ君はルーミットに相手をしてもらって童貞を捨てちゃいたいわけ?」 「は、はい、是非っ!」  あ〜ん、あたしはこんな奴に抱かれるのはいや、絶対にいやぁぁぁ〜〜〜!! 他の奴になら良いって訳じゃ ないけど、顔も知ってるのに、そんな…え〜〜ん!! 弘二のバカぁぁぁ〜〜〜!! 「実は…ルーミットさんって僕の愛する人とそっくりなんです。ですからルーミットさんとだったらたくやさん も許してくれるんじゃないか、そう思って手を上げたんです♪」 「……うっ」  ま、まだそう言う事を言って……でもまぁそこまで言ってくれるのはうれしくないわけじゃないかも。要は慕 ってくれているって訳なんだし、娼婦としてはつれない態度を取るわけにもいかないもんね……でも抵抗感ある なぁ。しかもあたしの名前まで出すし……うわぁ、ミントさんがこっち見て邪悪な笑みを浮かべてるし! 「ふ〜ん、そっかそっかぁ。そんなにその人が好きなんだぁ。――でも今日はルーミットの初舞台だから、君は お手伝いだけ。いいわね?」 「はぁ……それで僕は何をすればいいんですか?」  きっと弘二の頭の中はあたしの事――いや、正確にはたくやとルーミット、あたしという二人の存在のことで いっぱいなのだろう。椅子に拘束されて隠す事も出来ずにさらけ出したままの乳房の膨らみを食い入る様に見つ めたままミントさんの言葉に何気ない返事を返している。――けど、さっきの「お手伝いだけ」って言う事場がや けに引っかかるのよねぇ……  そんな疑問を抱えているあたしを無視し、弘二のそばで指を鳴らすミントさん。すると、 「ひゃああああっ!?」  前触れも無く椅子の背もたれが消失し、誰かの手によって両脚を持ち上げられたあたしは上から下へと急速回 転する世界に驚きの声を上げながら、いつのまにか仰向けに寝かされた。  どうやら背もたれに仕掛けがしてあったらしい。水平よりも少し上で止まった背もたれに寝かされると顔を少 し下に向ければ客席を見る事が出来た。そして……最初に椅子を運んできた黒子の三人が再び姿を現すと、椅子 の斜め前方にサスマタ付きの棒を二本立て、あたしの脚はそれの上に乗せられてしまい、客席に向けて股を開く ような姿を強制的に取らされてしまったのだった。 「こ、こんな格好イヤぁぁぁ!! いったいあたしをどうするつもりなのよ!」  あたしの言葉にミントさんからの答えは無い。ただ笑みだけを見せてあたしのスカートを腰までめくり上げる と弘二をあたしのそばに招き寄せる。 「じゃあルーミット。今度もさっきと同じ、触られた場所の名前を答えるの。それでは弘二君、触ってみて。最 初はさっき言った場所を……」 「はいっ! ルーミットさん、行きますよぉ〜〜…」  真剣な顔しないでよ……そんな顔をされたら拒絶しにくいじゃない。スケベな顔だったら殴ったり出来るのに ……  言葉は明るく元気があったけれど、緊張しているのは指先の震えを見れば分かる。客席からは「兄ちゃん頑張 れよー!」「犯せ犯せ犯せ犯せ犯せぇ!!」「早くしろ童貞小僧!」などと急かされているのに、空気を撫でるよう な手つきであたしの身体へ手を伸ばし、あたしからは見えづらい下半身を…… 「んんんっ……!」  よりによって……なんでそこに触るのよぉ……下着の…ちょうど真上なんて……  弘二が手を置いたのはあたしのパンツの上、小さな布地に何とか覆われながらも端が太股の付け根に食い込ん でいる股間の真上だった。おチ○チンを失い、今は割れ目の左右にふっくらとした膨らみがあるだけの場所だ。  男の身体でも女の身体でもそこが一番恥ずかしい場所には変わりない……そんな場所を弘二の手指に包み込ま れてグッと力を込められると何も生えていない股間にムズムズとするくすぐったい感覚が芽生えてしまう。 「さぁ…ルーミット、弘二君が触れている場所はなんて言うのかしら?」 「えっ…と……あの……」 「なにかしらぁ〜? 大きな声で言わないと聞こえないわよ、ふふふ…♪」 「そんな…んっ!……あ…あたし……」  だって……名前なんて知るわけ無いじゃない。あたし…男の子なんだから……  それを知っているはずなのにミントさんは意地の悪い笑みを浮かべてあたしが口を開くのを待っている。その 間も弘二の指先はおずおずとではあるけれど割れ目を上下になぞる様に動き出し、盛りあがりの形を確かめて股 間から染み出した液を吸って湿りを帯びた股間の布地に指先を押しこんでくる。 「きゃうっ! あっ…はあぁぁぁ……!」  だめぇ……そんなに押しこんだら…敏感な部分が擦れちゃうぅ…! 「早く言いなさい、ルーミット。じゃないと興奮したチェリー君にもっとスゴい事されちゃうわよ」 「あっ…あっ…んんっ!……あ………わ…割れ目……」 「いやぁん、割れ目って言い方、イヤらしぃん♪――だけどハズレ〜〜♪ そんなわけで弘二君、下着を脱がせ てルーミットの割れ目ちゃんに直接触っていいわよぉん♪」 「いいんですか!!?」 「ダメェェェ!! そんなの、絶対にダメなんだから!」  喜ぶ弘二の声と拒絶するあたしの声とが交錯する。けれど手足を拘束されているあたしにはどうする事もでき ず、弘二の手が腰の左右で結んだ紐を解き、なんとか股間を隠してくれていた下着を荒々しくむしり取られて股 間を覗きこまれても、声を震わせるだけだった。 「す…すごい…こんな形をしてるんですね……」  は、鼻息がアソコに…くすぐったい……はぁぁ……もっと離れて…見ないで、見ないでぇぇぇ〜〜〜!!  弘二の吐く息はあまりにも荒く、そして熱い。犬の様に股間の前に座り込み、目を見開いて食い入るようにあ たしの股間を覗き込み、膨らみにそって指先を滑らせる。  その行為は一層あたしの羞恥心を煽りたてた。唇を噛み締めても爪の先が触れるだけでもれてしまう喘ぎ…… あたし自身でさえ見たことの無い割れ目の奥を覗き込まれるような感覚……そして男に触られているのにそうや って恥じらいも嫌悪も無く身悶えしてしまうあたし自身の敏感さ…それらすべてがあたしの中で混ぜ合わさって、 気付いた時には唇を喘がせ、震える割れ目の奥からトロッ…と蜜の固まりをこぼしてしまっていた。 「ハァ…ハァ…女性のここって柔らかいんですね。スゴい、スゴいですルーミットさん。僕…ものすごく感激し てます!」 「ダメ…だめぇ……! もう…許して…突っつかないで……やめてぇぇぇ〜〜〜!!」  弘二は一本の指しか使わない。それにアソコの膨らみの周囲をなぞるだけで少しずつヒクヒクと息づき始めて いる唇の奥には触れ様ともしない。―――それが触れて欲しい…寺田に犯されたときの様に、みっちゃんの指先 を突き入れられたときの様に、アソコの奥にまで触れて欲しいという気持ちの裏返しだと言う事に、あたしはま だ気付けていなかった…… 「ダメじゃない」  その時、それまで傍らで傍観していたミントさんが声を上げた。 「そこに座ると客席からルーミットの割れ目が見えないでしょ。あくまでも君はお手伝いなんだから」 「だ…だって、横や上からじゃ詳しく見えないじゃないですか」 「坊やには分からないかもしれないけど、娼婦の体はお金で買うのよ。見るのも有料、触るのも有料。そんな事 も分からないんなら……選手こ〜た〜〜い♪ やっちゃって良し!」 「えっ…ええええええ〜〜〜!? ああ、ルーミットさぁぁぁ〜〜〜ん!!」  三度、いきなり姿を現した三人の黒子は弘二の両腕を抱えるとズザザザザッと客席まで引きずっていくと、空 いていた椅子の一つに座らせて何処からとも無く取り出したローブでぐるぐる巻きにしてしまう。  そうして一息突けたあたしの横にはミントさんが代わりに立ち、こちらを見下ろしながらチロッと小さく突き 出した舌で右手の指を舐め上げる。  も…もしかして……あのときみたいにあたしのアソコを…あっ…やあぁぁぁ……  みっちゃんの……昼間は僧衣に身を包んでいるミントさんの指の感触はまだ克明にあたしのアソコに残ってい る。思い出すだけで身体の奥に痺れが走り、身体が怯える様にピクッと震えてしまう。 「さぁ……もう一度だけ訊いてあげる。答えられたら天国を見せてあげる。答えられなかったら……分かってる わね? それじゃあ……ここ、なんて言うのかしら?」 「んっ!」  ズンッと重たい快感が走り抜ける。唾液で濡らしたみっちゃんの指があたしの割れ目をなぞり上げ、粘液を掻 き出す様に割れ目に軽く入りこんだ指先がクチュクチュと音を立ててアソコを掻き回しているのだ。 「ミ、ミント……だめ、ダメだってば…んあっ…!……ハウゥ…!」 「言いなさい……じゃないとぉ…本当に物凄い事をしちゃうわよぉ……」  いまでも十分恥ずかしくてスゴいのに…これ以上はちょっと……でも、本当に名前は知らないし…… 「あ…アソコとか股間じゃ……ダメ?」 「ダメ〜。はい、ついでに時間切れ。ルーミットには…今からたっぷりと悶絶してもらうからね……」  ううう……ミントさん酷い………わざと答えられないような問題を出すんだもん。最初からこうするつもりで あたしを舞台に上げたのね…… 「それじゃあルーミット、ここがなんて言うかを教える前に目隠しをしてもらうからね」  自分の不運というか考え無しにこんな舞台に上げられた事を嘆くあたしの前に差し出されたのは黒い帯状のも の―――ラバー製の目隠しだった。 「な、なんで目隠しなんか……やっ、ちょっとイヤ、やめてぇ!!」 「いいこと、ルーミット。客の顔は見なくてもいいの。ただ…敏感に感じればそれでね……」―――クチュ 「んああああああっ!!」  目隠しを例の黒子達によって無理矢理つけさせられた直後、あたしの割れ目にミントさんの指がねじ入れられ、 余りの唐突過ぎる快感にあたしは胸を突き上げる様に背筋を反りかえらせた。 「うあっ! ああああっ!!」  完全に光を遮断され、あたしの視界は黒一色。――ミントさんも観客の姿はまるっきり見えはしない……けれ ど、どう言うわけか身体の方は前以上の反応を見せてしまう。 「早速教えてあげるわ。ここは膣って言うの。だけどね、普通はヴァギナとかおマ○コって言うわ。ほら、ルー ミットも忘れない様に繰り返して。お・マ・○・コ…さぁ」  グチュ、ズチュズチュ――― 「いっ!! はっ…はい……オ…オアッ!」  あたしが口を開こうとしているのもかかわらず、ミントさんの指はあたしのアソコを掻き回し、乳房の先端で ヒクついていた乳首を摘み上げる。――でも変だ。おかしすぎる。なんでこんなに……声が我慢できないぐらい に反応しちゃうのよぉ…… 「ほぉら…おマ○コでもぉ、ヴァギナでもぉ、ちゃ〜んと口に出来たら指を抜いてあげるわよ。だけど…ルーミ ットちゃんに言えるかしら? こんなに大勢のお客さんの前で、「おマ○コ」なんて言う恥ずかしい言葉……だけ ど言わないと……」 「クゥ! ウ…ウアアアッ、アアアァァァァァ!!」 「ここがクリトリス、ここが尿道……そしてここがGスポット。ザラザラしてるでしょ? ここをこうやって擦 られると女の子はたまらないのよ」 「やめてぇ! いやあっ!! おマ○コ、おマ○コぉ!! おマ○コです、あたしが弄られてるのおマ○コだか ら、ああっ、ああっ、ああああ――――――っ!!」  指が、指があたしの中で…ダメェ!! そこ、そこ擦られると…いっ、いいいいいっ!! 舐めちゃダメ、そ のコロコロしたのを転がさないでぇ〜〜〜!!  ビクビクとあたしの体が痙攣する。ミントさんの細い指先がおマ○コの天井を激しく擦りたてられて、同時に あたしのお腹に覆い被さっておマ○コの上端でヒクついていたクリトリスと呼ばれた突起をもう片方の手で摘み 上げて舌先でちろちろと擦る様に舐めたてられる。  ミントさんのタッチの仕方は寺田なんかとは比べ様が無い。女のみ出始めて味会わされた娼婦のテクニックに 耐えきれなくなったおマ○コは内側に捻れる様に収縮し、それでもなお責めたてられ、筋肉の痙攣は太股にまで 広がって高く掲げられたつま先がピンと伸びていく。 「んあぁ、んあああああっ! 言ったのに、おマ○コって、おマ○コって言ったのにぃ!! もうやめて、いや、 これ以上はいやあああぁぁぁぁぁ!!」 「あたしも言ったわよ。ルーミットには悶絶してもらうって。だからね……」 ―――その言葉の直後、周囲から全ての気配が消え去った。


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