第4章「−?」第6話


 ガチャ――――バタン  扉を開け、そして閉める音が、やけに大きくリビング内に木霊する。  啓子さんがお風呂から出てきた………え? 何かさっきの音、変だった様な……  音はあたしがジッと見つめていた、啓子さんが消えていった扉の方から聞こえたんじゃなかった。それは別の 方向――玄関へとつながる扉のある方から響いてきた。  さっきまでお風呂に入っていたはずの啓子さんが何も言わずに外へ出ていくとは考えにくい。それに玄関から リビングまでの廊下の左右には扉はトイレや台所に通じる物しかなく、あたしのいるこの場所を通らずに玄関に 行けるはずがなかった。  ―――イヤな予感がする。  啓子さんが出掛けたのでなければ、後は誰かがやってきたと考えるしかない。でも玄関の鍵は男たちが帰った 後でちゃんと啓子さんがかけてたのをちゃんとあたしも見ている。ただし、チェーンはしてないんだけど……  オートロック――それに過信して空き巣にはいられたと言う事件が防犯の特番で取り上げられているのを見た 事がある。  自慢じゃないけど相原家にはオートロックなんてついてない。泥棒に入られて盗まれるような高価なものはな い。それでも母さんもいるし、今はあたしも女になってるからと、それからは戸締りはきちんとするようになっ た。  けれど「今」はどうだろうか? 啓子さんはオートロックへの過信がどれだけ危ないかって知ってるんだろか?  それにこの部屋には――  ………足音が聞こえる。侵入者が誰なのか、男たちといさかいを起こしたばかりの、あたしと啓子さんしかい ないこのタイミングで――少し考えれば分かる事だ。だってあいつらはあたしたちが帰ってくる前に既にこの部 屋に入っていられたんだから…! 「おや? お前一人しかいないのか。啓子のやつはどこ行ったんだ?」  あたしがソファーから立ちあがって玄関に向かう扉に向かって身構えるのと、その扉からあたしを押し倒した あの真珠入りの男が現れたのとはほぼ同時だった。そしてその後ろからさらに二人……三人の男たちはどこかで お酒を飲んできたのか、ここを出ていった時よりもさらに顔を赤くし、目に危険な光を灯して帰って来たのだ。 「な、なんであんたたちがここにいるのよ。帰ったんじゃなかったの!?」 「帰れるわけないだろ、バ〜カ。今日は朝まで犯り狂うって話だったから他の女も抱かずに精液貯めこんできた んだぜ。せめてあの高慢ちきな女のマ○コに一発ぐらい出してやらないと気がすまないんだよ」  ………顔は結構いいのに、ものすごい事言うのね。そりゃ確かに、あたしも明日香とエッチする約束してて急 にダメって言われたらおさまるものもおさまらなかったけど……でも、だからって不法侵入までして犯しに来る ? 「――へへへ……それにしてもいい身体してるよな……あいつに負けないぐらいに胸がデカいじゃないか」 「ちょ…やだっ! ど、どこ見て言ってるのよ!!」 「決まってるだろ。オッパイだよ、オッパイ。それだけデカいんじゃ隠しようもないだろ? だからついつい目 が行っちゃうんだよね」 「そうそう。そんな巨乳、隠してたら勿体無いじゃない。もっとよく見せろよ」  な…何なのよ、こいつら〜〜! バイト先の酔っ払いオジさんでもこう露骨に胸なんて見ないのにぃ!!  他人に胸を見られる事は結構あるけれど、顔のいい彼らに一斉に見つめられるとおもわず羞恥心がこみ上げて しまう。それにあたしの胸、今は啓子さんとのエッチへの期待と興奮で痛いぐらいに張り詰めちゃってるから、 三人分の視線にさらされただけで固く尖った乳首がジンジンと痺れてしまうのだ。  それを気付かれまいと、あたしは両腕で胸を隠しながらソファーとテーブルの間を抜け、男たちから遠ざかる 様に後退していく。対して男たちは逃げる兎を追い詰める様に左右に広がり、あたしを取り囲む様に迫ってきた。 「………なぁ、最初は俺に犯らせろよ。啓子よりもこいつの方が好みなんだよ」  壁際にまで追い詰められたあたしの正面、あの真珠男はそう口にするとベルトに手をかけ、恥ずかしげもなく ズボンとトランクスを脱ぎ下ろす。 「―――っ!?」  すると、その下から押さえつけられていたペ○スが勢いよく姿をあらわし、背鰭の用に小さな瘤を並べた異形 の先端を脅えるあたしへと差し向けた。  男はそのまま上半身の服も脱いで全裸になったが、あたしの目は彼の股間に吸い寄せられる様にそのペ○スを 凝視してしまう。  あんなの入れられたら…あたし、どうなっちゃうんだろ……あの瘤がアソコの中に引っかかるのよね?  その大きさと形にショックを受けたあたしは男が近付いてきても身動きの一つも取れなかった。全身を硬直さ せ、今にも柔かな恥丘にあれを捻じ込まれるんじゃないかと……… 「別にいいぜ。けど壊すなよな。後で俺たちも輪姦(まわ)すんだからよ」 「啓子はどうせ風呂かどこかだろ。俺たちはそっちを先に犯してくるぜ。あの女、泣くほど犯してやるぜ、へへ へ…!」 「――――!?」  あとの二人が啓子さんを犯しに行く?―――ダメ、そんなのダメッ!!  仮にも松坂先生なんだから男二人に無理やり犯されたからってそれほどショックを受けたりしないだろう。そ れどころか、新鮮なSEXだって喜んでいるところまで想像できてしまう………けど、それでも今の啓子さんを こいつらに汚して欲しくなかった。あたしのせいであんなに落ちこんだり恥ずかしがってた啓子さんだから…… だから、あたしは思わず声を放っていた。 「待って! 犯すなら…啓子さんを犯すならあたしから犯しなさいよ!!」  ………  ……………  …………………  ………………………  ……………………………………  …………………………………………… 「………もしかして……あたし、とんでもない事を言っちゃった?」  コクコクコク  ああああああっ!! やっちゃった、やっちゃったぁぁぁ〜〜〜〜!! 違うの、さっきのはあたしの本心じ ゃなくてドラマでよくある「あいつを殺る前に俺を殺れ!」って感じの言葉で、エッチして欲しいって言う意味じ ゃないんです〜〜〜〜〜!! 「顔に似合わず淫乱なんだな」 「啓子のヤツに仕込まれたんじゃないの? あいつ見境ないからよ」 「お姉様のためならってか? んじゃ俺たちの言う事聞いてお姉様を助けろよ?」  それまで恐がっていただけの理性は自分の言葉が意味する事への恥ずかしさで一気に白熱し、混乱にパニック が覆い被さってどこまでもこんがらがるあたしの頭に、さらに追い討ちで男たちのスケベそうな声が聞こえてく る。  けど……これは考え様によってはチャンスなのかもしれない。 「………うっ…わかったわよ。あ、あたしが抱かれるから……だから、啓子さんには手を出さないで。それでい いんでしょ?」 「ああ、いいぜ。ただし、ちゃ〜んと俺達の言う事を聞いてくれたらだけどな」  あたしの行動は啓子さんをかばうと言う意味では上手くいっていた。啓子さんを探しに行こうとしていた二人 もあたしの突然の台詞に足を止めているし、全裸であたしの前に立つ真珠入りの男だって驚いて動きを―― 「じゃあまずは何をしてもらおうか。愛しいお姉様の為に、お前は今から俺たちの奴隷になったんだからな。し っかり御奉仕してもらおうじゃないか」  ………ちょっと甘かったのかもしれない。もしかしたらあのまま無理やり抱かれてた方がよかったかも……  他の二人はともかくとして、どうやらリーダー格らしい正面の男はあたしが顔を肯く様子を余裕たっぷりの笑 みで見つめている。もしこれが欲望に目をギラつかせていたのなら、メチャクチャに抱かれるのを我慢すればよ かったのかもしれないけれど、速攻で全裸になった男は襲いかかってくるどころかあたしから離れてさえいる。 一歩下がり、さっきまであたしが座っていたソファーの手すりに尻を乗せる。それは逃げる事が出来ない獲物を いたぶる獣のような態度だった。  それに…ちょっとぐらい隠して欲しいんだけど……  あたしだって「男」なんだから別の男のおチ○チンを見てどうのこうのと言うわけじゃないんだけど、恥らうこ となく膝を開き、真上に向かってそびえる真珠入りのペ○スを見せ付けられると、男としての自身がちょっぴり 欠けちゃうのと同時にアレに突き入れられる恐怖心が粘着質の悪寒となって全身を駆け巡った。 「っ――――」 「そんなにおびえるなよ。ちゃ〜んといい子にしていれば啓子には手を出さないって」 「………本当でしょうね?」 「大丈夫大丈夫。俺達はかわいい子にはやさしいんだからな」  あたしの視界から消えていた二人もそういいながら全裸の男の後ろ、テーブルを挟んで置かれている一対のソ ファーにまるで観客だと言うような態度でゆったり深く腰を下ろす。  三人の視線が正面からあたしにそそがれる。そうなると気分は見世物か、ステージに立つストリップ嬢だ。 「そうだな…まずは名前を教えてもらおうか?」 「名前って…あたしの?」 「ああ。これから一緒に愛し合おうって言うのに名前も知らないんじゃ命令できないじゃないか、なぁ?」  愛し合うって言う割りには命令するのね……でも、ここで下手に逆らって機嫌を損ねるわけにもいかないし… … 「………相原、たくや」  まぁ…男たちの反応は予想通りだった。あたしのような美少女に似合わない男っぽい名前――いや、あたしは 男なんだけどね――に怪訝そうに眉をひそめる三人だけど、そんな些細な事よりもあたしと言うおいしそうな女 の肉体をむさぼりたいのだろう。 「――じゃあ次だ。次はたくやちゃんがどれだけ俺達の言う事を聞いてくれるか、教えてもらおうか」  き、きた……絶対にエッチな命令されると思ってたんだ。それに今のあたしって―― 「スカート、俺がいいって言うまで持ち上げてな」  ―――ノーパン…なんですけど……  こう言う状況に陥ってしまった以上、いつかは気づかれると覚悟していたけれど、そのときは想像以上に早く、 一番最初にやってきたようだ。  でも…やっぱり恥ずかしいよ……さっきまで啓子さんとのことを考えて…ちょっと濡れちゃってるのに…… 「おい、早くしろよ。今になって恥ずかしくなったのか?」 「わ、わかってるわよ! 恥ずかしいんだからちょっとぐらい待ってくれてもいいじゃない!」  言い返すあたしの声は大きいけど端々が震えている。  肉付きのよい太股の表面には緊張と羞恥心からびっしりと汗がにじんでいる。内股の谷間にはそれに加えて股 間から溢れ出した愛液が滴り落ちていて、スカートの中はいい感じの群れ具合だ。  こ…これも啓子さんのためだもん……それに、どうせあたしがめくらなくたって、三人がかりで押し倒された ら……  キュッと、アソコの中が収縮する。太股をもじもじと擦り合わせ、スカートをギュッと握り締めた両手は一向 に上がろうとしない。濡れているアソコを自分から見せると言う恥ずかしい行為に頭がクラクラしているせいだ。  ―――でも、あたしの局部では鈍い快感が疼き始め、脚に力がこもるたびに蜜がジュン…と奥から押し出され るように流れ出てくる。  あんなに急かしていた三人だけど、いつのまにか口を閉じ、あたしの動きを無言でじっと見つめている。しか もその視線はあたしがスカートの上から押さえている恥丘に集中して突き刺さり、まるで眼差しに圧力でもあっ て割れ目を愛撫されているかのように、あたしのアソコはグウゥ…とうねってしまう。 「っ………は…ぁ……」  そんなあたしはいったいどんなに悩ましい表情をしているのだろうか……キュッと引き結んだ唇からはときお り熱く湿った吐息が漏れてしまい、そのたびに背筋を這い登る快感に顔を歪めてしまう。   膝が前後に組み合わせて脚を密着させても溢れ出す液体は抑えられない。逆に力を入れれば入れるほど閉じ合 わさった二枚貝の隙間からこぼれる濃密な女の体液の感触を敏感に感じ取ってしまう。  こんな……さっきまでエッチな事を考えてたからって……どうしてこんなに感じちゃうの? あたし…そんな に淫乱じゃない…けど…だったらなんで…なんで……! 「―――そろそろ動いたらどうだ? 恥ずかしがってるだけじゃなんにもならないぜ」 「だ…だって……あたし…その……」 「濡れてんだろ? 隠したい気持ちはわかるけど、こっから見たって丸分かりだぜ。とっくに膝まで滴ってんだ からな」 「う…嘘よ、そんなの!!」 「だったら自分で確かめろよ。ちょっと下向きゃ分かるんだからさ」  そんな事、言われなくたって、見なくたって分かってるわよ……  銭湯で大勢の女性の注目を浴びながらイかされたり、バスの窓に胸を押しつけられて後ろから犯されたり、年 下の男の子に体をいい様に弄ばれたりと、今までにも何度か恥ずかしい目に会ってきているあたしの体は、スカ ートを自分の手でめくって下着を身に着けていない下半身をさらけ出さなければならないと言うこの状況に鋭敏 に反応しているらしい。内側に快感の火が灯った体は神経をチリチリと炙る熱気で男たちからは何もされていな いと言うのに小刻みに震え、気を抜けばへたり込んでしまいそうなほどに膝からは力が抜け落ちていく。  それでもこうして立って踏みとどまっていられるのは、目の前の男たちの視線にさらされているからだった。 彼らの目に浮かぶ興奮の度合いは時間がたつに連れて増していき、さながら、植えた野犬を前にしておびえてい る美少女のような心境だ。特に正面の男は、あたしがいつまでたっても動こうとしないのにニヤニヤした笑みを 浮かべているけど、股間のペ○スは脈動の間隔が大きく早くなり、今にもあたしに襲いかかってきそうだった。  だけど……こうやっていてもあたしの運命は先延ばしにされるだけで、その結末はどうあっても変える事など 出来はしない…… 「そのおびえた顔、見ててなかなかそそるんだがいいかげん次に行ってもらおうか。じゃないと啓子がどうなる か分かってるんだろ?」 「…………………」 「最初に言ったよな。俺達の命令は聞くって。早く言う事聞かなきゃお前も啓子も酷い目にあうだけなんだぜ?」 「…………………」  そう、拒否や抵抗する権利なんてあたしには最初っから与えられていない。それがわかってるから男たちはあ せる事無くあたしが恥じらう様子を見つめていたのだ。  もう…ここまで来たら…見せるし…か…………我慢。啓子さんをかばうためなんだから…ものすごくいやだけ ど…こんな奴らに見られるなんて…… 「……わかり…ました。今から、めくるから……」  なんでそんな言わなくても良い事まで言って雰囲気盛り上げちゃうんだろ……後ろの二人、あからさまに身を 乗り出してきた……バカ、あたしのバカァ……  見られる事にこれほど不快感と、隠すことができないほどの興奮を覚えた事はなかった。恥ずかしさをグッと 飲みこむ表情やほのかに熱を持った首筋には肌を伝い落ちるほどの歓喜の証がにじみ出ている。  もう…どうしたって否定なんてできない。あたしは……あそこを見られると言う恥ずかしい想像だけでイって しまいそうなほど感じてしまっている。  そして、えんじ色のスカートを腰まで捲り上げ、三人の視線が勃起したクリ○リスに、薄布をまとう事無く愛 液を滴らせている局部へとそそがれる。  ………感じてる。あたし…見られただけでこんなに…感じ…ちゃって……  あたしの手は見たいならいればいいという感じにスカートをおなかにまで引き上げる。けれど腰は少し引けて しまい、視線を感じない様にと自分の目を強く閉じ合わせる。  それでも…歓喜の震えは止まりはしない…… 「―――ん……んんっ!!」  スカートと言う最後の防波堤がなくなって冷えたのか、下半身がブルッと痙攣すると膣道を押し広げる様に一 際多く愛液が漏れていく。太股はもうすっかりヌルヌルになっていたけれど、その雫が膝を越えてふくらはぎま で、どんな些細な刺激でも敏感に感じ取ってしまう張り詰めた肌の上を伝い落ちていく。  陰唇を晒している時間は一分にも満たない。けれど見られている事よりも、お漏らししたかのように濡れてい る股間を晒している自分の行為が羞恥心を刺激し、短く、それでも長すぎる時間があたしをとことんまで責め苛 ませる。  あたしの膣内から子宮へと響くジュプジュプと言う愛液の音と鼻を突く自分自身の香りに、体の奥深いところ がビクンッと勢いよく跳ね上がり、そして―― 「あっ……んんんっ〜〜〜〜〜!!!」  あたしの頭の中は真っ白。男たちに見られているのになんて言う動揺を感じる暇もなく、内太股からお尻と股 間に快感の波が走りぬけ、秘唇とアナルが断続的な痙攣を繰り返す。先端がツンッと硬く尖った乳房は背が仰け 反るのにあわせてプルンと弾んで重たげに揺れる。  イっちゃう。 「やっ…んふぅ!…んっ…はぁぁぁああああああっ!!」  こんな事は初めての経験だった。立ったまま、それも誰にも触られる事なくイっちゃうなんて……  立ったままと入っても体はくの字に折れ曲がり、震えるお尻を後ろに突き出す姿勢で熱湯の様に熱い愛液を床 に向かって解き放つ。 「いっ! ハッ…んんっ!! いや、見ないで! こんな、こんな恥ず、かしいの…見ないで! 見ないでぇぇ ぇ!!」  恥ずかしさのあまり、目尻から涙が伝い落ちる。だけどあたしの絶頂は弱いけれどなかなか波が収まらず…… あたしは床の、愛液が飛び散った絨毯の上へと崩れ落ちてしまった………


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