\.胸威
「相原くん、あゆみさん、よく来てくれたわね。のんびりしていってね」
部屋に入ると、松永先生は実験器具が並んだテーブルの上に湯呑を並べてお茶の準備をしていた。
はっきり言えばのんびりしたくないです、はい。
松永先生のゆっくりだけど何処か優雅に見える余裕の態度に、さっきのあの光景が本当かどうかは微塵も感じる
事ができない。
ただし真琴さんは別。まるで宿敵でも見るような目つきであたしとあゆみさんを思いっきり睨みつけている。
やっぱり……なにかあったんだ……
まさか真琴さんが……男っぽいとは言え女に走るなんて……いや、走らされるなんて……
「相原くんってば全然来てくれないんだもの。せっかく相原くんのことを心配して来てあげたって言うのに……
薬作るの止めようかしら?」
「ちょ…ちょっと待って!あたしが悪かったです!だからそれだけは!」
「ふふふ……そうねぇ……今作ってる薬が完成したら私に一晩付き合ってくれるって言うんなら考えて上げてもいいわよ?」
「うっ……確か今作ってる薬って……あの……」
「冗談よ。でも相原くんがいいって言うなら……」
そう言ってクスクス笑っている唇に松長先生が小指を当てる。
うう……色っぽい。色っぽいけど、それ以上にあたしの身の危険が……
「その前に」
ゴキゴキ、バキボキ
……な…何かな?この拳の関節を鳴らしてる音は……
その音を聞いた途端、こめかみの辺りを汗が伝い落ちていく。
当然、音の主は怒れる魔人と化した陣内真琴さんだ。
「二人とも……今見た事を忘れてもらおうか……」
「な……何の事でしょう」
「へぇ……タク坊、とぼけようって言うのかい?いい根性してるじゃねえか。そんなに命がいらないんだ、へぇ〜〜……」
「見てません!あたし、何も見てません!松永先生とあんな関係だったなんて、絶対に誰にも口が裂けたって言いませんから!」
「う…うん…別に真琴さんが女の人が好きでも、私は別に構わないの。世界にはいろんな人がいるって隆ちゃんも
言ってたし、二人が愛し合ってるんなら周りはきっと祝福してくれると思うの。だから安心して」
なんだかあゆみさんがメチャクチャな事言ってるぞ。一見普通に見えて絶対混乱してるな。
「……しっかり覚えてるようだね」
あたしは慌ててあゆみさんの口を塞ぐ――が遅かった。ゆら……とただならぬ気配を発しながら近づいてくる
真琴さんは、ある意味さっきまでの声を張り上げて怒っているのよりも、遥かに恐ろしかった。
うわ……近づいてくる…近づいてくるよ……なんか目が血走ってるし……あっ!何時の間にか包丁なんか持ってる!
「ちょっと待った!刃物はヤバい!ヤバいですって!何処から出したんですか!?」
「包丁と料理人は一心同体なんだよ。安心しな。山の奥に捨てりゃ完全犯罪なんていくらでもできるからな……」
「真琴さんは探偵じゃなかったの?」
「知能犯と探偵ってのは紙一重なのさ……」
どう見たって今の真琴さんはキ○ガイか何かと紙一重だぁ!
壁際まで後退さり、真琴さんの包丁の輝きから逃げるように身を抱き合って震えているあたしとあゆみさん。
あぁ……美人薄命って本当だったんだ……今度生まれ変わる時はちゃんとした男の子になりたいな……
「そのぐらいにしたらどう?バストアップなんて誰でもやってる事よ」
………バストアップ?
お茶を入れ終わった松永先生は、そのうちの一つに口をつけながらのんびりとそう言った。
そしてその言葉は同時に、真琴さんに焦りを見せ始めた。
「先生!誰にも言わないって約束だったろ!!」
「いいじゃない。二人には見られちゃったんだし、いまさら気にする事は無いわよ」
「あの……バストアップってもしかして……」
恐る恐る全てを知る人物、松永先生に尋ねてみる。
「タク坊!あんたは黙ってろ!」
「実は真琴さんから相談されたのよ。「胸を大きくする方法は無いか?」って。だからバストアップマッサージを教えて
上げてたの。服の上からじゃ教えにくいから少し我慢してもらって……ね」
「ははぁ…なるほど。それで真琴さんの胸を揉んでたんですね」
「納得するなぁ!!」
ざっと室内の女性の胸を見回す。
一位・妊娠中のあゆみさん、二位・ナイスボディー松永先生、三位・元男で現在女のあたし、四位・板前の真琴さん。
あたしも三位とは言え、最近大きくなってきた90cmのボリュームがブラウス越しに突き出ている。でも真琴さんは……
「……すみませんでした、真琴さんがそんなに悩んでたんですね。全然気づいてあげられなくて……」
「私も……相談してくれれば一緒の考えてあげられたんだけど……ごめんね、真琴さん」
「同情すんなぁぁ〜〜!!胸の大きなお前らになんか!お前らになんか……胸が…おっきな………胸………」
あ、落ちこんだ。
急に怒気が失せたかと思うと、真琴さんは部屋の隅に行って畳の伊草の数を数え始めた。
「いいんだよ……どうせあたしの胸は小さいんですよ……男のタク坊にだってあんなに引き離されちゃってさ……いいんだよ……どうせあたしのおっぱいは
一部のマニア向けのプチパイって言われたっていいんだよ……もう成長期だって過ぎちゃったんだよ……なんだよ、たかが胸じゃないか、脂肪の塊じゃないか、
あったって肩がこるだけなんだよ……そうさ、胸なんてさ、邪魔なだけなんだよ……うらやましくなんか無いもんね…絶対うらやましいなんて思うもんか……
寄せて上げて胸の谷間なんか作ったってさ……いーもんいーもん……自分で揉んでいつか絶対に大きくなってやるもん……」
なんだかすっごく久しぶりのような気がするな、真琴さんがいじけてるの見るの。落ちこみ度合いもなんだかスゴいし。
「それでどうしたの?私のところに来るなんて何処か具合でも悪くしたのかしら?」
「あ、そうでしたそうでした」
松永先生の言葉にあたしとあゆみさんは真琴さんを見つめるのを横に置いといて、立ってるのも辛いから座布団を
出して三人とも畳の上にお尻をついた。
「それで具合が悪いのは相原くんとあゆみさんのどちらかしら?」
「あの…なんだかたくやくんがおかしくって……」
……あたしがおかしいの?
「あゆみさん、言葉が足りてませんって」
「え?……あ…あの…ごめんなさい……」
まだ混乱から抜けきってないみたい。そりゃ、包丁持って殺されそうになったんだからね……
「ふふふ、まぁ、これを飲んで落ちついてください」
そういって松永先生がお湯のみを差し出してくれる。
ずずず……はぁ……
あぁ……お茶が美味しいなぁ……
お茶のふんわりとした優しい香りと、緊張で乾いた唇と喉を湿らせていく温めのお湯の喉越しが、疲れきっている心と
身体をリラックスさせていく。
「それで?どう言った具合に具合が悪いのかしら」
息をついて一段落した所で、松永先生がタイミング良く話しかけてくる。
「えっと……そんなに調子が悪いわけじゃないんで、この間の栄養剤をもらえたらな…と思って」
「だめよ。医師の端くれとして症状も分からないのに無闇に薬を出す事はできないわ。ちゃんと診察して上げるから
服を脱いで」
う……やっぱりそう来ますか。
松永先生は自分の鞄を引き寄せると、中から聴診器とかペンライトを取り出した。
「ほんとに大丈夫ですって。たんに疲れてるだけなんですから。あ…あはは…あはははは……」
あたしは自分の胸を服の上から押さえつける。今は…今だけは服を脱ぐわけにはいかない。
「疲れてるとしても、歩けないぐらいなんだからちゃんと視てもらった方がいいと思うの。じゃないと仕事も大変だよ」
「そんなにひどいの……やっぱり診察しましょう。主治医として放っておくわけにはいかないわ」
何時からあたしの主治医になったんですか……
それでもあたしが胸を押さえて固まっていると、
「相原くん」
「……はい」
「脱ぎなさい」
「…………はい」
脱ぐしかないのよね、この状況じゃ……シクシクシク……
弱みを握られている松永先生に、思いっきり心配してくれているあゆみさん、真琴さんは置いておくとして……
二人に見つめられながら、あたしはメイド服の首のブローチを外してネクタイを緩めると、上から順に紺色のブラウス
のボタンを外していった。
「……見ても驚かないで下さいよ」
ボタンを外し終えた後、そう言ってからあたしはブラウスの前を左右に開いた。
「あら?なかなか素敵な下着ね」
「うわ……たくやくん、大胆……」
え〜ん、やっぱり恥ずかしいよ〜〜!
あたしの胸を隠しているブラは、午前中までつけていたブラとは一味違う。箪笥の一番下の段にいろんな玩具と一緒に
放りこんで封印していたモロ大人チックなブラジャー。
薄いブルーのハーフカップブラで、胸元の柔らそうな肌が大きく露出している。布地には華美にならない程度に細かい
装飾が施され、形よく盛り上がった双乳と谷間が上品に引きたてられている。
しかもあたしは気付いてないが、胸を隠そうと思っても隠せず、どうしようもなくて行き場の無い腕を胸の下で組んで
いるせいで、さらにボリュームが増して見えている。
「よく似合ってるわ。相原くんもやっと下着のおしゃれに目覚めたのね」
「違います!これは…その…たまたま……あんまり下着の数が……」
この旅館に来てからあたしの下着は盗まれたり、取られたり、破かれたり、いろんなひどい目にあって数をかなり
減らしている。
さすがにあと一枚になったブラジャーを見て、さんざん苦悩した挙句、どうせ誰にも見られる事は無いんだからと
このブラジャーをつけてみたんだけど……え〜ん、神様の意地悪!なんであたしはこんな目にばっかり遭うのよ!
「ふ〜ん……下着の数が…ねぇ……」
う……なんだか松永先生が探るような目つきであたしの顔を見てる。
もしかして気付かれたかな?
「まぁ、いいわ。今度来る時に相原くんに似合いそうな下着をいっぱい持ってきて上げる。その時に下着のおしゃれに
ついてちゃんと教えて上げるから楽しみにしててね」
それよりもあたしは早く男に戻りたいんです、シクシク……
「それにしても、相原くんの胸、また大きくなってるんじゃないかしら?」
「そ…そんな事無いですよ。前にサイズを測ってから一ヶ月も経ってないんですよ。急にそんなに大きくなる筈無い
じゃないですか。ブラジャーのせいで大きく見えるだけですよ、きっと」
「そうかしら……一応診察の前に測っておきましょう。薬の作用で急成長してるのかもしれないし」
「……どうしてもですか?」
「どうしてもです。これは相原くんの身体に関する事なんだから、さぁ、早くブラを外して」
「はぁい……」
仕方が無い。ここは諦めるか。どうせ一番恥ずかしい下着も見られちゃったんだし。
あたしはため息を一つついて、背中に手を回してブラのホックを外した。胸が戒めから解かれた瞬間、ぷるんと
震えて露わになる。
「……きれい」
「ちょ…ちょっと、あゆみさん何言ってるんですか!まさかあゆみさんまで変な趣味に走るんじゃないでしょうね?」
「あ…ごめんなさい。たくやくんの胸が綺麗だったからつい……」
「その気持ち分かるわ。相原くんの胸って本当に綺麗な形してるもの。大きいんだけど、垂れたり形が崩れたり
全然してないから」
ふえ〜〜ん、二人の目が恐いよ〜〜!なんだかあゆみさんまでジッと見てるし……え〜〜ん!!
「ふふふ、それじゃあ胸囲を測りましょうか。相原くん、腕を上げて動かないでね」
もう観念したあたしは言われるがまま腕を横に上げる。松永先生の身体がいい香りを発しながらあたしの身体に
接近して、背中にメジャーを回す。
ん……やっぱりくすぐったい……
薄く、冷たいメジャーの感触が背中から脇を通って胸の上へと登ってくる。そして少し胸を寄せられる感触と共に、
乳首と乳首の間でメジャー同士が交差する。
鼻をくすぐる松永先生のいい香りと相俟って、なんだか変な気分…………前に測られたは、この後保健室のベッドで
いろいろされたんだよね……
「えっと……91cm。やっぱり大きくなってるわ」
「うそ……本当ですか?少し緩めに測ってるとか……」
「そんな事無いわよ。ちゃんと測ってます。相原くんのバストは間違い無く91cmちょうどよ」
「一ヶ月も経ってないのにそんなに大きくなるんですか?こまったな……大きくなっても困るだけなのに……」
ぷにょんと重たい右胸を持ち上げてみる。中身の詰まっているそれは手にずっしりとした重みを感じさせながら、
多少形を変えるだけで持ちあがる。
これ以上大きくなったら下着も買い換えなきゃいけないし、何より、Hの時に揉まれて、吸われて、弄られて……
「はぁ……やだなぁ……」
なんとなく憂鬱になるなぁ……まぁ結構自慢ではあるんだけど……
「たくやくん…その…あんまりそう言う事…言わない方が……」
「え……どうしたんですか?そんなにあわてて?」
「あっち♪」
松永先生が指差した方向に顔を向けてみると……
「タ〜〜ク〜〜坊〜〜〜〜!!」
そこには真琴さんが憤怒の表情で立っていた!
「一ヶ月で2cmだと……そんなにいらないんならこいつで切り落としてやろうか?あぁん?」
「ちょっと待った!両手に包丁握って何する気ですか!まさか本気で……」
「ふっふっふっ……タク坊は男なんだろ?胸なんかいらないんだろ?いらないよな?ペッタンコでもいいんだよな?
だったらさ、あたしがその胸もらってやるよ……」
「ま…真琴さん……本気じゃないですよ…ね?」
「ふ〜〜っふっふっふっふっ!」
真琴さん…目がイっちゃってるよ……これはヤバいかも……
とっさに胸を押さえ、立ちあがって逃げようとしたけど、
べしゃ
例によって例の如く、立ちあがろうとした瞬間に顔から畳にダイブする。
「相原くん、それってなんの遊びかしら?」
「いえ……足腰が……ちょっと……じゃなくて助けてください〜〜!!」
「あら?そっちの方だったの?最初からそう言ってくれれば、すぐにお薬あげたのに」
いまさらそんな事言うか〜〜!絶対分かってたはずなのに〜〜!かわいい生徒で遊んでる〜〜!!
「松永先生、そんな事言ったって……」
「たくやくん!後ろ!」
何故か部屋の隅に移動しているあゆみさんが慌てたように叫ぶ。
後ろって……
「タク坊〜〜!!!」
振り返った瞬間、真琴さんがあたしの上に圧し掛かり、背中側からあたしの胸を鷲掴みにした!
「い…いたい!真琴さん、いたいですって!」
「ちくしょ〜〜!なんでタク坊やあゆみにこんなに胸がついてるのにあたしだけ〜〜〜!!」
真琴さんが泣きながらあたしの胸を掴んで、引っ張るからかなり痛い!胸には真琴さんの十本の指が深々と食い込み、
絞り上げていく。
「え〜〜ん!気持ちいいじゃないか〜〜!柔らかくて、ぷにょぷにょで、ムチムチで……えーい、ちくしょ〜〜!!」
「真琴さん、ほんとにやめて!いたい、いたいです!お願いだから離して〜〜!!このままじゃお嫁に行けなくなる〜〜!!」
行く気だったのか、あたし?
「こんな胸…こんな胸…無くなればいいんだーー!!おっきな胸は敵だーー!!」
ムニュムニュモミモミグニグニムギュムギュ!!
「あん……やめて…そんなに揉んだら…あぁっ……だめ…だめぇ!」
やだ……まだ感じやすいままなのかな……
真琴さんの荒々しく、あたしの痛みなんかこれっぽっちも考えてくれていない手の動きに、なぜかあたしの身体は徐々
に反応し、口から色っぽい息が漏れ始める。
「タク坊の胸なんか握りつぶしてやる〜〜〜!!!」
ギュゥゥゥ〜〜〜!!
「ひっ!あ、ああぁぁ〜〜!!」
だ…だめ!そんなに胸を揉んじゃ…ダメェ!
胸の中心まで揉み解すような真琴さんの愛撫(?)に、ついにあたしは歓喜の嬌声を上げてしまう!
そして――
「それ以上揉むと相原くんの胸がもっと大きくなるわよ」
ピタッと止まる。
「はぁ…はぁ……真琴…さん?」
「先生……ほんとか?胸を揉めば大きくなるって……」
「ええ。相原くんは大きくなりやすい時期なのかもしれないけど、普通の人でもちゃんとマッサージすれば大きくなるわよ」
「……ほんと?」
「本当よ。本人の資質にもよるけれどね」
「そうか……あたしだって揉めば……揉みさえすれば……」
真琴さんはそう言いながら、浮遊病者のような足取りでふらふらしながら部屋から出ていった。
「た…助かった……」
真琴さんの姿が見えなくなってから、ようやくあたしの身体が緊張から解放された。
「あゆみさん、相原くんのことはいいから真琴さんに付いていてあげて。大丈夫だとは思うけど、一応念の為にね」
「はい、分かりました。たくやくんの事、よろしくお願いします」
真琴さんが出て行くと、松永先生に促されて、あゆみさんも後を追うように部屋を出ていった。
見ると、あたしの胸には真琴さんの指の痕が真っ赤になって残っている。
うぅ……痛いよう……あんなに強く握るなんて……本当に本気だったんじゃ……ははは…まさかね……いくらなんでも
そんな事………
さっきまで自分に襲いかかっていた恐ろしい現実に、いまさらながら背中を冷たい汗が流れていく。
……真琴さんの前で胸を見せるのは止めとこう、うん。
「さて、それじゃあ、ちゃんと診断しましょうか」
う……松永先生を忘れてた。
明らかにさっきまでとは違う、どこか男性も女性も誘うような艶を含んだ声に、さっき冷や汗の流れ落ちた背中が
再びゾクリと震えあがる。
「………胸はもう隠していいんですよね」
「もう……せっかく気持ちよくして上げようと思ってたのに……」
やっぱり……そんな事だろうと思った。
「でも、念の為に触診しておきたいから、まだ服を着ちゃダメよ」
「うう……松永先生のエッチ」
「あら、エッチなのは相原くんのほうでしょう?今度はひどい目には会ってないようだけど、午前中は誰と腰が抜ける
までSEXしてたのかしら?」
ギクッ!!
「な…なんの事でしょう?あたしには何が何やらやらさっぱり……」
言ってる言葉とは裏腹に、あたしの心中はあせりまくっていた。
「隠したってダメよ。そんなに男の人の臭いをさせてるんだもの。誰だって分かるわよ」
「え?うそ?そんなに臭ってます?」
胸を隠していた腕を慌てて鼻に押し付けて、クンクンと臭いを嗅いで見る。
「相原くんは本当に引っかかりやすいわね……いまどきこんな手に引っかかるなんて」
「あ……だましましたね!?」
「冗談のつもりだったんだけどね。でも遙くんとしてたんでしょ?」
「なっ!!なんで知って……あっ」
両手で口を塞ぐが、もう遅かった。
見ると、松永先生はあたしの反応を面白そうに見ながら、いつものように微笑んでいる。
「でもやっぱり相原くんでも大きさはキツかったみたいね。まだ小さい子供なのにアレは普通じゃないわ。私も
混ざればよかったかしら……」
「ちょっと待った!なんで遙くんのお…おチ○…チン…の大きさを松永先生が知ってるんですか!?」
「実はね、昨日の夜、息抜きがてらに相原くんの部屋を覗きに行ったのよ。そしたらもう真っ最中。ドアを開けても
全然気付かなかったでしょ?」
「み…見てたんですか!?」
「だって相原くんがあの子に襲われちゃうんじゃないかって心配だったんですもの。そしたら相原くんの方が襲ってる
みたいだったから驚いちゃったわ。まさか相原くんからなんて……」
「あ……あう……あうあう……」
「でも工藤くんの事もあるから、相原くんって幼い感じの男の人が好きなのかしら?って思ったの。それでどうだった?
可愛い男の子にいろいろと教えて上げるのは。自分色に染めていくって言うのかしら……こんな小さい男の子を従順な
ペットにするのってゾクゾクしてこない?それにあの子、すっごく大きいでしょ?あぁ……私も教えて上げようかしら……」
「……………」
言葉も無い………前々からこう言う先生だって分かってたはずなんだけど……目の前でうっとりとこう言う話をされると……
どう言えばいいのやら………
「ねえ、相原くんもそう思わない?」
「え?……はぁ………」
ちょっとあきれたと言うか、ある意味感心したと言うか、少し松永先生に対する考え方をどうしようかな、て考えてたら
話を聞き逃していたらしく、まぁ、適当に相づちを打った。
「それじゃあ決まりね。今晩二人であの子をかわいがって上げましょ。あぁ……早く夜にならないかしら……」
「なんですかそれ!?なんでそんな話になってるんですか!?」
慌てて問いただす。
「だって相原くんもいいって言ったじゃない?それとも3Pは嫌いかしら?そんなにあの子を独り占めにしたいの?」
「違います!そんなんじゃないです!そんな事より診断!診断はどうなったんですか!」
あたしがこの話をうやむやにするように大きな声で話を中断させると、松永先生は面白くなさそうに鞄の中から
二種類の薬を取り出した。
「はい。これを一錠ずつ飲めばいいわ」
「あ…あの……怒っちゃいました?」
「いいえ。相原くんにこんな話をしてもダメだって思ったの。ごめんなさい、相原くんの気持ちも考えずに。今日も
隣で一晩中してるでしょうから、私一人で行くわ。親御さんと一緒に4Pするのもたまにはいいわ」
「は…はぁ……」
うう……なんだか悪い事しちゃったかな………あたしのために一生懸命頑張ってくれてる松永先生にあんな口聞い
ちゃって…………
でもちょっと待って。
松永先生が真一さん、栄子さん、遙くんとHする。
その三人は今晩、あたしの部屋にやってくるって言ってる。
ということは………結局あたしもいっしょにする事になるじゃない!
ただでさえあの二人にHな事されて身体中ガタガタなのに、夜には松永先生も加わって………本格的にヤバいかも……
まじで……
「そ…それじゃあ、あたしはこれで……あとでまた来ますから」
「そう?腰のマッサージとかしなくてもいい?楽になるわよ」
「いい!いいです!それじゃあ失礼しました!」
あたしは急いで服を着て、差し出された薬を受け取ると、手をつきながらもできる限り急いで松永先生の部屋から
逃げ出した。
今晩どうしよう……何処かに逃げなくちゃ……うえ〜ん、あたしはいったいどうしたらいいのよ〜〜〜!!!
「ふふふ……待ってるわよ、相原くん♪」
].睡眠へ