おまけ


二日後…… 「んん〜〜〜!よく寝た!」 目を覚ますと上半身を起こして身体を伸ばす。 ん〜〜!背骨がコキコキ言ってる!起きてるって感じ! 両手を上げて汗でパジャマに張り付いた大きな胸を反り返らせると、固まっていた関節が音を立ててほぐれていく。 結局あたしは風邪をさらに悪化させて、もう一日寝こんでようやく全快した。あの後がきつかったからな〜〜 あたしは重くなった布団を押しのけてベッドから抜け出すと、まずはガラリと窓を開ける。 三晩連続で降った雪は見事に積もって一面の銀世界!妙に熱く重たい部屋の空気が肌を刺すほど冷たい空気と 入れ替わる。 「す〜〜…は〜〜…う〜〜ん、気持ちいい!」 胸の奥まで冷たい白色の空気が染み渡り、寝ぼけた頭がはっきりと目を覚ます。 さて!今日からがんばろう! ……と思ったんだけど…… 「明日香〜〜、お粥が出来たよ〜〜♪」 冬服のブレザーを脱いで代わりに白いエプロンをつけたあたしは、湯気を立てるお粥の載ったお盆を持って、 暖房をつけて温くしてある明日香の部屋に入った。 「……なんだかとっても嬉しそうね、たくや……ケホ、ケホ」 「ん〜〜…なんでだろ♪明日香の気のせいじゃない♪」 あたしたちが何度の肌を重ねたベッドの中からジト目を投げつけてきた明日香に、あたしはサラッと答える。 明らかに嬉しそうです、あたし。だって、明日香の看病なんて生まれて初めてなんだもん♪ 本日宮野森学園は臨時休校。先生・生徒が八割も休んじゃって、もう授業どころじゃなかった。特にあたしの 教室なんて、朝のホームルームになっても教室にあたししかいなかったんだから。あれは寂しかった…… だから今日は早く帰ってきて、確実にあたしから移った風邪で寝込んじゃった明日香を看病してあげてるの♪ 自宅には同じように苦しんでる両親もいるけど、そんなの放ったらかし。一応薬とお粥は準備してきたけど。 でも不謹慎かな。人が病気のときに喜んじゃって。でもなんだか嬉しいんだもん、看病するのって。 しょうがないよね。 普段こんな弱々しいところを見せないから、あたしが全部面倒見てあげるのって……ね♪ 「珍しいよね。明日香が風邪引くなんてさ。小学校以来じゃない?あの時は無理して学校まで来て保健室に 担ぎ込まれたんだっけ」 「もう……思い出したくも無いことを……放っといて」 あたしが昔の話を口にすると、明日香は寝返りを打って熱で赤らめた顔をあたしと反対側に向ける。 ふふふ、明日香ったら。 あたしはお粥をテーブルに置きながら、そんな困った顔の明日香に向かって…… 「だ〜め。ほら、お粥が冷めちゃうじゃない。早くこっち向いて。ふ〜ふ〜して食べさせてあげるから♪それとも……」 あたしはイタズラっぽく自分の指を唇に当てて いっぱいの愛情を込めて 「口移しで食べさせてほしい?」 「この……バカたくや」


<完>