「悪魔の契約書」後編
山上咲智は自分の部屋で泣いていた。
私は犯された・・・・。彼氏の友達に・・・・。ゴムも付けずに・・・。もう死
んでしまいたい・・・・・そうだ・・・・シノウ・・・・シンデシマエバイイン
ダ。
そう思い立ったとき、沈黙を破る機械音が聞こえてきた。今のプリンタだ。今、
自分以外誰もいない家でプリンタを使う人間などいない。奇妙に思い、居間へと
むかった。すると、一枚のプリントが印刷されていた。
咲智が近づくと、ちょうど印刷が終了しガーーッと出てきた。私はそれを手にと
ってみた。契約書のようにみえる。するといきなり文字が頭に直接ながれこんで
きた。
・これは悪魔の契約書である
・相手が署名したときにかぎり、書かれた契約は相手の意志に関わらず実行され
る
・この契約書を渡された相手は署名を拒否することが出来ない
なぜだかわからないがそれらの言葉を疑いようのない事実としてそれらのことを
受け入れた。それも悪魔の契約書の性質なのかもしれない。
私はすぐに契約書を書いた。
契約書
藤堂真理は山上咲智の命令に服従する
山上 咲智
あとは藤堂にサインさせるだけだった。
次の日、一時間目の授業が始まる前に、藤堂たちがたむろっている場所へとむか
った。
写真部部室、ここが彼女らの城だ。もともと、廃部寸前だった写真部に藤堂たち
が寄生して部費をせしめている。先生達は一切手を出そうとしない治外法権の場
。
部屋に入ると藤堂をあわせ四人の女生徒がいた。昨日と比べたら幾分と少ない。
「なにしにきたの〜??あそこがうずいてやられにきたの〜??」
「あの快感がわすれられないの〜みたいな?www」
周りの人間が囃したてる。藤堂が私に話しかけて来た。
「あんたちょうどいいところにきたね。今昨日の写真を元にホームページ作り終
わったとこだからwこれからあっぷしようとしてたんだ(笑)」
藤堂真理に手まねかれパソコンを見ると、アダルトサイトにしかみえないページ
が開かれていた。タイトルは『見せたがり屋女子高生☆山上咲智の部屋』昨日の
写真がバーッと載せられ、ひとつひとつにいやらしいコメントが書かれていた。
さらに、住所、携帯の電話番号、学校、クラス、携帯アドレスなど様々な山上咲
智の個人情報までもがのっていた。
「このボタンをクリックしたら、このホームページが全世界の人にみられちゃう
ってこと(笑)はい、それじゃ〜・・・!」
「待って!!!」
「なによ?」
「お願いします。それだけは・・・やめてください!!!!」
「そんなお願い通じると思ってるの?」
「せめて、これを見てからにしてください!!」
「なによ、それ?」
藤堂が契約書を受け取った。
「それにサインしてください」
「はぁ?私が服従する?わけわかんな・・・・・え?」
藤堂はいきなり近くのペンを持ち、契約書にサラサラと名前を書いた。するとい
きなり契約書は緑の炎を出して消えてしまった。契約完了だ。
藤堂真理はもう私のおもちゃでしかない。耳元で彼女に囁いた。「あなたのお友
達をすぐに教室に行かせなさい」
彼女は戸惑いながらもすぐに行動に示し、部室には私と藤堂の二人きりとなった
。
「今のは何?!!私に何をしたの?!!」
「ただあなたと契約を交わしただけ。」
「ふざけないで!自分の体が勝手に動いたのよ!!」
藤堂真理は動揺しきっている。「悪魔を介しての契約ってとこかしらね」
「わけわかんない!!もういい!!あんたの恥ずかしい写真をアップして、恥ず
かしくて生きれなくしてやる!!」
「止まれ」
藤堂真理は動かなくなった。いや、動けなくなった。
咲智はゆっくりと藤堂が座っている椅子の後ろへとまわった。「よくもまぁ、昨
日はやってくれたわね。こんなホームページまでわざわざ丁寧につくってくれて
さぁ」
私は固まったままの藤堂真理の横から手をのばしカタカタとキーボードを打ち、
ホームページのタイトルを変えた。『見せたがり屋女子高生☆藤堂真理』へと。
「んじゃ、私の写真を全部あなたのにさしかえなきゃいけないんだから写真撮影
しよっか。昨日私にやったことを自分でやりなさい、笑顔でね」私は昨日やられ
たことをほぼ全てやりかえした。いや、無理矢理、自分で、やらせたのだ。服を
脱がせたところなかなかいい体をしていた。胸もでかくウェストは細くお尻もぷ
りんとしていて、性格を除けば男がほっとおかないだろう。
そして、藤堂真理が自分の卑猥な写真をとるために自分でカメラをセットし、ポ
ーズを決めて、笑顔をつくって写真を撮っていく。全裸の写真撮影を見ながらお
もしろいことを考えた。
私はパソコンをいじり、YouTubeを開きラジオ体操の動画をだした。
「これやってよ、今ここでw全裸のラジオ体操なんてなかなか見れないしねwww」
ビデオカメラを四方にセットし、彼女の真下にもおいた。
「カメラは踏まないようにね、じゃあスタート!」
小学校の夏休みによく聞いたメロディが流れ始める。体操とともに胸がぶるんぶ
るん揺れる。基本的にラジオ体操は足を開いて行う動作が多いため真下のカメラ
はさぞかしいい画がとれているだろう。そうこうかんがえているうちに体操が終
わった。私は早速真下のカメラを藤堂の前で再生した。
「うっわ〜、やっらっしぃ〜、見てよこの『開いて閉じて閉じて♪開いて閉じて
閉じて♪』のとことかあそこがパックリ見えちゃってるよ??」
藤堂は顔を真っ赤にして黙っている。普段の彼女からは考えられない羞恥の顔。
それが加虐心をせきたてる。
「じゃあ次は質問に答えてね、今一番したいことは?」
「この状況を終わらせたい・・・」
「ふ〜ん、誠意をみせてくれたらやめてあげてもいいかなぁ、自分の意志で土下
座して、昨日のことを謝ってよ」
真理はこの状況が終わるならと必死に額を床にこすりつけた。
「昨日は調子にのってすいませんでした。ごめんなさい、許してください、ごめ
んなさい・・・・・・」
何度も何度も謝った。
「やっぱ許すのや〜めた。昨日誰かさんが親切に人を汚すことで鬱憤をはらせる
ってことを教えてくれたしね。」
一通りやり終えて、ホームページの写真の差し替えも終わった。涙を目に浮かべ
、自らの手で編集作業を全裸で行った藤堂真理。
「さて、これで後はアップするだけなんだっけ??」
「やめて・・・おねがい・・・・やめて」
編集を命じられ体がパソコンにむいたままで、私に懇願してくる。でも許す気な
どさらさらない。
「じゃ、カウントダウン続きから始めようかwさ〜ん、にぃ〜、い〜ち、ぜろ〜!」
掛け声とともに真理が自分でマウスをクリックする。アップ完了。
泣き崩れる藤堂真理。私は追い撃ちをかける。
「じゃあ、せっかくつくったんだから、ホームページの宣伝しよっか☆このサイ
トにアドレス送っといて」
そういって開いたのはうちの学校の裏サイトだった。悪口や学校の情報があつま
っていて、利用者はおそらくは生徒の半分以上にのぼるだろう。
「おねがい!!やめて!!やめさせて!!」
泣き叫ぶが、体は言われた命令をこなしていく。そして作業が完了した。明日には
全ての男子生徒が真理の恥ずかしい写真を持つことになるだろう。
ようやく私の溜飲が下がったような気がした。
「これでよし。まぁ、今日のところはこれでいっか。また明日遊んであげるから
、それまで好きにしてていいよ」
藤堂はめそめそと泣いていた。昨日の勇ましい姿など見る影もなく。
私は藤堂真理に背をむけドアを開けて通路に出ようとした。
ドガッッ!!!
鈍い音が部室に響く。
椅子をもって軽く息切れする藤堂真理。
私は背後から藤堂真理に椅子で頭を殴られたのだ。
床が私の血で染まっていく。薄れゆく意識の中で私は反省した。
『私を傷つけてはいけない』となぜ命令しなかったのかと。
(後編)完
<完>