「A COVER」
少女はその繊細な指で自らのスカートをめくり上げていた。
なぜ自分がこんな事をしているのか、彼女自身分かっていないのだろう。そのあどけな
さを感じさせる顔からは、容易に困惑が見て取れる。
だが、少女の心を真に占めている感情は無論違う。行為の原因が分からずとも、その結
果は理解できているからだ。
そう、彼女は男たちに自らの手で下着を曝け出しているのだ。
そこから生まれる感情は羞恥。
朱に染まった柔らかそうな頬、まだ幼さを残した顔に浮かぶ玉の汗。それらの反応が、
彼女の心中を如実に表していた。
少女の年は、ちょうど思春期を迎えた頃。最も下着を見られる事に恥じらいを覚える年
代である。
子供のような無邪気さは既になく、しかし大人の余裕はまだ持っていない。性に目覚め
始めた多感な少女にとって、自らの恥部を覆うこの純白の布は決して男に見せてはならぬ
ものである。
それを自分の手で男たちに拝ませているのだ。その恥ずかしさたるや、尋常なものでは
ないだろう。
本来なら顔を背けたいのであろうが、男たちの視線がどこに向けられているのか、若気
の好奇心が顔をもたげる。結果、より深い恥辱を味わう事になると本能が警告を発するも、
少女は男たちと顔を見合わせ続けた。
対する男たちは、そんな彼女の反応を楽しむかのように、ぶしつけに彼女を眺め回して
いる。
少女はこちらに背を向け、顔だけ振り向かせる形を取っている。そのため少女の最も恥
ずかしい部分は観察する事ができないが、その程度の事、男たちにとっては大事無い。な
]ぜなら少女の恥ずかしい姿を見ている事に変わりはないのだから。
少女の下着は一切の飾り気のない純白のショーツ。高級な品ではない事は一目で分かる
が、健康的な色気を滲ませる彼女には良く似合っている。
男に見せるために作られたものではないその下着は、彼女にとって日用的な品なのであ
ろう。既に幾たびも少女の柔肌を包み込んだ白布は、そこから分泌される体液を吸収し続
けているに違いない。男たちは例え洗濯しても決して落ちる事はない、彼女から染み出た
汚れを探すかのように、下着を凝視し続けた。
極限の羞恥の舞台に立たされ緊張の汗をかいたためか、下着はヒップにピッタリと張り
付き、お尻の割れ目すらも浮き上がらせてしまっている。
小振りながらも形の良いヒップは、同じく露出している細い脚と同じく肉付きは乏しい。
しかし女性らしい柔らかさも発現し始めている肢体からは、この年代の少女のみが持ちう
る未成熟な色気が放たれる。
男たちは飽きる事無く青い果実を観察するが、肝心の汚れは見当たらない。それでも男
たちは彼女の下着を、それこそ皺の一本一本を数えるほどに眺め回す。
そんな下着の奥すら見通さんとする執念の末、ついに男たちは一つの発見をなしえた。
少女の下着には、お尻の他にもう一本割れ目が浮き出ていたのだ。
本当にわずか、下着の皺と間違ってもおかしくない一本の縦筋。しかしここまで少女を
視姦してきた男たちが、見間違うはずもない。あの割れ目は、本来なら女の子が一人の男
性にしか見せてはならぬ場所、性器の割れ目である。
少女は下付きなのだろう。男たちにはお尻を向けているというのに、ほんのわずか割れ
目が覗いているのだ。
その事に気づいた男たちの意識は、見る事の叶わぬ下着の前面部へと向けられる。
もちろんいくら集中しようと見えないものは見えないが、かわりに想像は無限に膨らま
せる事ができる。
こちらからは見えないが、あちらから見れば違うのではないか? 小用をした際の拭き
忘れが黄色い点として見えるのではないか? いや、実は少女は見られる事で興奮し、淫
らな蜜すら零しているのではなかろうか? ここからでは陰にも見えるが、あれこそ捜し
求めていた汚れではあるまいか?
なんの信憑性もない、しかし確かめる術がないゆえ否定もできない妄想。それら全てが
まるで真実であるかのような視線でもって、男たちは少女を辱める。
そして少女も男たちの視線の先、そしてそこから想像された思念を感じ取ったのだろう。
少女の身体がより深い羞恥に焼かれる。
それでも彼女は体勢を変える事はしない。最も大事な部分は見せず、しかし隠し切る事
もできない惨めな立ち姿で、男たちの下卑た視線を受け止め続けるしかなかった。
(完)