■最終話
何人かの男子が投げ捨てられたシャツやスパッツに群がっている。
「なにやってんのよ! あんただって裸でしょうが! どうするの!?」
「私はぜんぜん平気。元々露出狂だもん」
はい?
浅野さんは騒ぐ男子の前でポーズをとりはじめた。
「放課後は一人で出かけてるって言ったでしょ? 少し遠くの繁華街でよくやってるの。
たまに警察とかに追っかけられることもあるから、逃げ足には自身があるよ」
私は唖然として、見られているのも忘れて立ち尽くす。
「杉原さんが教室に入ってきた時、もしかしてお仲間かと思ったんだけど、違ったみたいね」
見せつけるように腰をくねらせ、自分の胸を揉んでいた。
「どう? 見られた気分は。病み付きになりそうでしょ?」
そう言って私の後ろに回り、羽交い絞めにした。
「え? あっ、イヤ!」
ようやく自分の状況を思い出して抵抗する。
「ほらほら、もっとさらけ出しちゃいなよ。キモチイイよ?」
そのままフェンスに押し付けられる。
胸が金網に潰されてぐにゃぐにゃ形を変える。
「やだ! 気持ちよくないから! 痛いってば離してよ!」
「でも濡れてるよ」
嘘!
股間を一撫でした指を見せ付けられる。そこには確かに雫が・・・
「・・・って、さっきプールに落ちたんだから当たり前でしょ!」
「ねー、この状況じゃあ濡れてて当たり前だよねー!」
「変な言い方するなっ!」
必死にもがいても中々抜け出せない。力も結構強いのね・・・
暴れている内に、浅野さんは私の股の間に足を滑り込ませてぐいっと開いた。
「いやあ!」
そして私の両手を纏めて片手で抑え、もう片方の手を股間に・・・
「やだっ! やめてやめて! お願いだからそれだけは!」
「はい、皆ちゅーもーく!!」
そう言って私の割れ目に二本の指を添えて、
「やめてぇぇーーーー!」
思いっきり秘裂を開いた。
男子の群から歓声が上がる。
何人もの視線が突き刺さり、シャッター音が連続して響いた。
恥ずかしい部分を全部見られて頭が真っ白になり、力が抜けてその場に崩れ落ちる。
「私のも見てってねー!」
横では浅野さんがストリップのように踊ったりポーズを取ったりしている。
男子達はワイワイ騒いでそれを見ていた。
脱力した私はしばらくそこから動けずに、体を隠すのも忘れて即席ストリップを眺めていた。
しばらくして女性の教師が来て、男子達は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
私の鞄は近所の公園で発見されて学校に届けられていた。
体操着と水着もちゃんと返された。
・・・・・・・・
私は勝手にプールを使用していた事で一週間の停学処分になった。
心を落ち着ける意味もあったんだと思う。
浅野さんは風紀を乱したということで退学処分になった。
私も十分に乱していた気がするけど、被害者扱いという事でそこはお咎めなし。
水泳部の活動も続けていいとのことだった。
一週間後、停学が解けて学校に行くと、男子達が私の顔を見てひそひそ言っている。
教室に着くと友達がいろいろ教えてくれた。
あの朝の事が学校中で噂になっていること。
撮られた写真が男子生徒の間でやり取りされていること。
担任の先生は、騒ぎを大きくしたくは無いが、居辛いならすぐに転校の手続きを取ると優しく言った。
でも顔が赤く、まともに私の目を見ようとしない。
私はこの先生が野次馬に混じって見ていたのを知っている。
転校は面倒だったので断った。
どうせ皆すぐに飽きるだろう。
それに・・・
飽きなかったとしても、それはそれでイイかもしれない。
今日は部活が無い。学校が終わると私は一旦家で着替え、電車に乗って少し離れた繁華街へ。
「やっほー、待った?」
そこに待ち合わせの相手、浅野さんがいた。
「ううん。約束の5分前」
「じゃあ行こうか」
「うん!」
私は今、下着をつけていない。
スカートをめくれば丸見えだ。多分浅野さんも。
シャツやスカートも脱ぎやすい物を選んできた。
「今日はどの辺にしようか」
「あっちにしよう。いい声のストリートミュージシャンがいて人が集まってるの」
停学で学校を休んでいる間、私は浅野さんと繁華街に繰り出して露出を楽しむようになった。
ちょっと悔しいことだけど、彼女の言った通りに病み付きになってしまった。
浅野さんは元々学校で露出してから退学するつもりだったらしい。
「杉原さんが切欠をくれたおかげで、思っきり見せ付けられたわ。本当にありがとう」
それから私達は、歓声を浴びているミュージシャンの横で、更に大きな歓声を浴びた。
<完>