■第八話


コートの前がはだけないように抑えながら男の後を歩く。
「んん・・・・」
入れたままのローターが歩くたびに中で転がる。
変な歩き方にならないように意識すればするほど刺激が気になる。
「く・・・ううんん」

駅に着く頃には夕方のラッシュの時間帯になって、人で溢れていた。
いつもはもっと早く帰るのでこれほど混んではいない。

裾が長いので階段は心配ない。さっきのノーパンのミニスカートより余程マシだろう。

男は生徒手帳で住所を確認していたらしく、どの電車に乗るかもわかっていた。
丁度来た電車に男と乗り込む。
「んんん・・・」
歩いていた時も気になっていたローターだが、立ち止まってもやはり気になる。
人が密集しているのであまり声を出すと変に思われてしまう。

と、男が私の着ているコートのポケットに手を入れてきた。
「ひっ」
どうやらポケットは破かれていて中まで手が届くようになっているらしい。
「少し足を上げろ。ローターの本体が付けてある方だ」
小声で囁かれ、言われた通りにする。

カチャカチャと何かしているようだったが、。
(あ・・・ローターが止まった)
男がポケットから手を抜くと乾電池が握られていた。

止めてもらえたことにホッとしていると、男は自分のポケットから新しい電池を取り出した。
(えっ!?)
再び中に手を入れてしばらくカチャカチャといじくっていると、
「ふあああ!」
さっきよりも強い刺激に襲われて思わず声が出る。
周囲の何人かが気付いたようだけど、何があったかは知られることもなかった。

それもそうだ。
裸にコートを羽織っただけの格好でおま○こにローターを突っ込んでいるなんて誰が思うだろう。

強くなった刺激に耐えていると、男は更にお尻の方にも手を入れてきた。
コートの背中部分も切れ目が入っているのだろうか?

「ローション塗ったから大丈夫だ」
「え?」
お尻に何かを差し込まれる感触。多分さっきのバイブだ。
「い、や・・・」
「力を抜いて大人しくしろ。周りにバレるぞ」
今、周りにバレたら・・・よく見るとうちの学校の制服の人も何人かいる。
部活が終わって帰るところなんだろう。

バレるよりはマシと思って、されるがままにバイブを挿し込まれる。
抜けないようにローターと同じような細いベルトで胴に固定された(見えないが多分そうだろう)。そして・・・
カチ
「あ、あああああ!」
電源を入れられてさっきよりも大きな声が出てしまった。
驚いた周囲の人がこちらを見る。
「ごめんごめん。足踏んじゃった?」
男がそう言って誤魔化す。
「い、いえ、大丈夫、です」
なんとかそう言って無理矢理笑った。本当は泣きたかった。

停車駅に着いたが私が降りる駅はまだ先。
人の波に押されて動くとローターが暴れ、バイブが擦れる。
「・・・・っ!!」
もう声を出さないよう必死に耐えた。
降りたのと同じくらいの人が乗ってきて混み具合は変わらない。

ふらふらと立つ私に男が言う。
「ほら、つり革に捕まれ」
「はい・・・」
コートの前がはだけそうになるので片手で抑えて片手で捕まる。
「両手で捕まりな」
「・・・・・・」
いやな予感はしつつも逆らえない。
(じっとしていれば平気なはず。コートは駅に着いたときは抑えれば・・・)
そう思って両手で一本のつり革を掴む。

すると男がそのつり革に手を伸ばし、
キュ、と手首が絞まる感触がした。
「そんな・・・!」
慌てて手を引こうとするが動かせない。コートの袖の部分に紐か何か仕込んであったらしい。
「紐は手で隠しておきな。周りから怪しまれるぞ」
私は両手を挙げた状態で身動きが取れなくなった。


■第九話へ