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『お帰り! 私のお兄ちゃん』 今日は朝から御機嫌でした。どうしてかと言うと、長く外国に行っていた周兄さんが今日、帰国するからなんです。 「服はこれでいいかな? ちょっとお化粧なんかもしちゃったりして……」 鏡の中に映る私はキャミソールタイプの白いワンピースに身を包み、チェリーピンクのリップで唇がツヤツヤ煌(きらめ)いて、自分で言うのも何だけど、大人っぽくてイイ感じ。 「でも……これってやっぱ、目立つかなぁ」 鏡に映る自分の胸元をじっと見詰めてみると、白いワンピースの生地が薄っすらと透けていて、一部分だけ桜色に染まっています。 ……そう。実は何と、大胆にもノーブラなんです。だって周兄さんが…… *****沙智菜の勝手なイメージ******************************* 「空港まで迎えに来てくれるそうだけど、露出狂の沙智菜は普通の恰好じゃ詰まらないよね?」 「透け感の在る服を着て、ノーブラでおいで」 「ショーツは穿いてくれて構わないけど、下の毛は無い方が好みかな」 *********************************************** 今朝になって急にこんなエッチな要求を突き付けてきたんです。……凄く恥ずかしいけど、大好きな周兄さんの命令なんだから仕方ない。 「遠くからなら……見えないよね? ……うん。大丈夫みたい」 鏡から少し離れて、一定の距離を置けば乳首が透けない事を確認した私はバッグを手に持ち、周兄さんが待つ空港へと向かいました。 空港に着き、周兄さんの姿を見付ける為にキョロキョロと辺りを見回していると、背後からポンと肩を叩かれ、振り返ると長い前髪を後ろに流した長身痩躯な男の人が立っていました。背丈はウンと変わったけど、銀フレームの眼鏡の奥から私を見詰める優しげな瞳は変わっていません。この人が周兄さんです。 「久し振りだね、沙智菜」 「お帰りなさい、周兄さん! でも、よくこの人込みで私をすぐに見付けられたね」 夏休みの所為か空港は、行き過ぎる人達に肩をぶつけられる程に酷く混雑しています。 「小さな女の子が空港内でキョロキョロしてたら目立つからね」 言って周兄さんはクスクスと笑い、からかうように私の頭をポンポンと叩きました。 「むっ! これでも160cmは在るんだからね? ……って言うか、周兄さんが身長伸び過ぎたんだよ」 「そうかな? 向こうじゃ普通だったよ? ……まぁ、そんな事はどうでもいいや。こんな所で立ち話しているのも何だし、帰ろうか」 言いながら歩き出す周兄さんの袖を掴んで「小母さん達を待たなくていいの?」と尋ねると、 「父さんと母さんは親戚の家に顔を出してるから、今日は沙智菜と二人で過ごせるよ」 そんな意味深な言葉を返してきました。 ―これって完全、初体験のお誘いだよね!? ……初めてだから少し怖いけど、ヴァージンは周兄さんにあげるって決めてたし……周兄さんに全部任せちゃってもいいよね?― 「ん? どうしたの? 沙智菜。帰らないの?」 立ち竦む私に振り返って手を差し出してくる周兄さんの手を取り、私は初体験を迎える覚悟を固めていきます。周兄さんとだったら怖い事なんて何もないんだって。 「荷物が重いし、タクシーに乗ろうか」 言って周兄さんはタクシーのトランクに荷物を乗せ、後部座席に乗り込みました。続けて私も周兄さんの隣に腰掛けると、目的地を告げた周兄さんの指示で車が走り出します。 車が揺れる度に隣り合う周兄さんの肩と私の肩とが触れ合い、これから初体験を迎えるのだという緊張が否応なしに高まって来、周兄さんの端整な面持ちを盗み見ると、周兄さんの視線は私の胸元へと向けられていました。 ―ノーブラだって、気付かれた? ……って、気付くに決まってるよね。だって、こんな至近距離だもん。でも……そんなにじっと見ないで……。身体が反応しちゃうよぉ……― 思いながら何気に身体を捩って周兄さんの視線から逃れると、 「健康そうな、いい乳首だね」 周兄さんは私の耳元に唇を寄せて、そう意地悪く囁きます。 「い……言わないで、そんな……あっ!」 信じられない事に、周兄さんは私の声の途中で服の上からギュッと乳首を摘み上げてきました。タクシーの運転手さんは振り返りはしなかったけど、私の悲鳴に驚いて、ミラー越しにこちらを窺っているかもしれません。 「や、止めて……。見られちゃう。見られちゃうよぉ……」 運転手さんに聞かれないようにと、声のボリュームを落としてそうお願いするのに、周兄さんはニヤニヤと笑いながら私の乳房を持ち上げ、何かを探るように胸の至る箇所を親指でギュッと押さえ付けてくるんです。 人前なのに……イケナイと思うのに、周兄さんに胸を愛撫される内、私の唇からは甘い声が漏れ始めました。だって、好きな人に触られているんですから、欲情しない訳がない。痛みを感じるぐらいに強く揉みしだかれても、周兄さんに触れられる事が嬉しくて、身体の奥がズキンと熱く疼いてしまいます。 もう声を押さえていられないって所で周兄さんはスッと胸から手を放し、 「沙智菜、家に着いたらじっくりと……君の身体を検診してあげるよ」 言って優しげな笑みを向けてきました。 「け、検診!? 検診って……どんな?」 「健康診断のようなモノ……かな。まぁ、余り心配しないで」 周兄さんは米国で医学部を卒業し、お医者さんになったらしいのですが、何科に所属しているのかは解りません。でも、何科とかって今は関係無いと言うか……それっていわゆる、大人版のお医者さんごっこなんですよね。……多分。 周兄さんが私の身体をどう検診するのかは解らないけど、ハッキリと解っている事が一つだけ在ります。それは、例えどんな事をされても……私は今日、周兄さんにヴァージンを捧げちゃうんだって事。 |
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