「羞恥都市・ケーキショップ」前編


「それでは今日はこちらの“スポンジケーキ”を使って、皆さんに美味しいケーキの作り方を勉強してもらいたいと思います」
「くぅ……んっ…んむゥん………!」
 装着したヘッドホンから脂ぎった中年男の声が聞こえてくると、春香は湧き上がる怒りと恥ずかしさとで、猿轡をかまされた唇からくぐもった声を漏らす。


 葉塚学園の一年生である渡来春香(わたらい・はるか)は、葉塚市外から編入してきた特待生だ。
 市外から推薦を受けて入学しただけあって、美少女の多い葉塚学園の学生の中でも腰に届くほどの長く艶やかな黒髪とひときわ目を引く美貌、そして抜群のスタイルとを併せ持っている。
 108センチのJカップ。暴力的なまでのボリュームのとても学生とは思えないほどにたわわに実りすぎたその膨らみは、まさに爆乳と呼んで差し支えない。しっかりとした肩紐のブラに支えられてはいるものの、鍛えられた背筋に支えられた膨らみはほとんど垂れていない。むしろ若さゆえの張りも相まってロケットオッパイと呼ぶにふさわしい紡錘形をしており、大きく前に突き出された爆乳は「見てください」と言わんばかりの存在感を示していた。
 しかし制服の上からでも判るふくよかな膨らみではあるが、彼女自身は決してぽっちゃりとはしていない。幼い頃から親の影響で続けてきた剣道のおかげで腰回りには余分な脂肪は付いておらず、身長172センチという高身長ということもあり、むしろ学園でもっとも豊満な乳房でありながら均整が取れているといえた。葉塚学園指定の短いスカートからは健康的で張りのある太股がスラリと伸びる春香の肢体は、さながらスーパーモデル並みに貫禄のあるプロポーションである。
 そんな春香はもちろん葉塚市の好色な男性たちに手を出されないはずが無い……と思いきや、回数はともかく、経験した人数自体は同年代の女子に比べてそう多くない。
 その理由は、彼女の目つきの鋭さにある。
 もともと恥ずかしがり屋で、自室にはゲームセンターで取ってきたものだけでなく自分でも作ったという可愛らしいヌイグルミで溢れ返っている。しかしながら、恥じらいを懸命に堪え、口をつぐむ彼女がまとうのは、さながら寄らば斬る、触れれば斬れるという日本刀さながらの鋭い雰囲気だ。圧倒的に男性上位社会である葉塚市であっても、不良よりも恐ろしい彼女の視線にひと睨みされただけで萎縮してしまう男性は数多い。そもそも、春香は胸の事もあって男性を苦手としている。その分、拒絶の眼差しにも力がこもり、他の女性よりも強力な“壁”を作り上げてしまっているのだ。
 けれど先にも述べたように、春香のイヤらしい身体は“オトコ”を知っている。決して難攻不落ではなく、むしろそんな彼女だからこそ辱め、屈服させ、優越感に浸ろうとするケダモノのような男性が多いにも羞恥都市なのである……


 −*−


「くゥ……ん…んぅぅぅ……!」
 ショーウィンドウの中で、春香は猿轡を強く噛み締め、苦悶と羞恥に満ちた呻き声を漏らしていた。
 そこは普段、道行く人にケーキを作るところを見せているオープン形式のケーキショップだ。味も良く、種類も豊富なため、いつも店内は女性客で賑わうほどの繁盛ぶり。まさに葉塚市で一番のケーキ屋さんと言えた。
 事のきっかけは、春香が一人暮らしをしている部屋のポストに、このケーキショップのアルバイト募集のチラシが入っていた事だ。
 パティシエになるとまではいかなくても、ケーキ屋で働くのは乙女にとって憧れでもある。しかも春香自身、恥ずかしいのを我慢して何度も通ったケーキショップ。さらに言うと、女子店員の制服がとても可愛くて、ケーキを買うのも忘れてしばし見ほれてしまったこともある。
 葉塚学園特待生であり、衣食住の保障がされているとはいえ、家事と勉学と恥辱の日々ではあまりに彩りが無い。そこで休日でもあったしバイトの面接に応募し、その日のうちに採用が決まり……春香は“ケーキ”として、椅子に座らされて拘束され、足を伸ばせばつま先が届きそうな距離のショーウィンドウのガラスを前にして布地の小さいマイクロビキニを着せられた姿を曝け出すことを強要されたのだった。
「ふ…ッ……! ん……んんゥ……クゥん! んん、んッ、んっ、んふっ、んっ、んっ、んんんゥ……!」
 口には猿轡を噛まされ、目隠しをされ……けれどこの目隠しは、決して何も見えないわけではない。黒い布地は薄く、明かりの差し込んでくるショーウィンドウ側に誰かいれば、それが黒い影になって捉える事が出来てしまう。
 いっそ何も判らなければ……頭の後ろで組まされた両腕は椅子の背もたれに縛り付けられ、右の膝が手すりに乗せられ、こちらも拘束されていた。そんな彼女の身体をわずかながらに隠す赤い布地のマイクロビキニは、さながら、春香の豊満な胸の先端と股間を隠す三つのイチゴだ。それが春香の肌の白さを際立たせ、それゆえにピンポイントに恥ずかしい場所の“赤”に視線が誘導されてしまう。
 仮にもしこれが外であれば、春香の身体には瞬く間に無数の男性たちの手が伸びていた事だろう。だが幸いな事に、ショーウィンドウのガラスは通りと“ショーケース”を遮断しており、学生には不釣合いな爆乳に荒くなる鼻息が聞こえることも無く、逆に春香が漏らす恥じらいの声も聞かれはしない。
 けれど返ってそれが、春香の恥じらいを強めることとなる。
 目隠しに映る影は三つ、そして今、四つ、五つと増えていく。ガラスには幅があるので人影の間にまだ隙間が開いている。でも、その隙間が埋まっていくたびに、春香の身体に震えが走り、マイクロビキニの下で、まだ顔を見せていない乳首がピンッと張り詰める。
「んっ……くゥ………!」
 両手と右ひざを縛られたまま、唯一自由な左足を使って身体を隠そうと身をよじる。けれど恥らうほどに魅惑のロケットオッパイはプルプルと悩ましく重たげに震える。
 そんな女学生の姿を目にすると、通行人たちは誰しもが一瞬ギョッと驚いてしまう。
 身体を隠すのに何の役にも立っていない真っ赤な小さい水着だけを身に付けたあられもない姿。目隠しをされ、猿轡を噛まされ、決して望んで恥ずかしい姿を曝け出していないのだと気づくと、葉塚市でも並ぶものはそういない豊満なバストに股間を硬くしながらネットリと視線を絡みつかせる。
 襲われはしない。けれど、瑞々しすぎる春香の身体は名前どころか顔も姿も判らない男たちに視姦され、熱い火照りを帯び始めていた。
 いや……男だけではない。
 春香が訪れた事があるように、ケーキショップは男性客よりも女性客の割合のほうが大きい。じゃあ今、肌を露わにした春香の姿を見ている人の中には女性も混じっている可能性が高い。
「んうゥ!」
 反射的に、春香は自由に動かせる左ひざを跳ね上げ、身をギュッと強張らせた。
 春香が座らされている椅子は立て付けが悪い。じっとりと汗ばんだ肌を少しでも隠そうと身をよじり、左ひざを動かせば、椅子がガタつき、淫らな乳肉が悩ましく弾む。
 その姿が彼女を見つめる男たちの欲望を掻き立てる。空間を隔てられた向こう側で生唾を飲む音が鳴り、硬く透明なガラスに邪魔だといわんばかりに盛り上がった股間を押し付け、かぶりつくように春香の痴態を凝視する。
「ん……ふぅ………」
 ガラスに誰かが触れるたびに、そのわずかな音が春香の身体を震わせる。
 まるで発情期のトラかライオンの檻の前で肌を晒しているような恐怖が全身を貫く。……だというのに、
「くゥ……!」
 椅子を軋ませ、春香の身体が跳ねた。
 大勢の目の前で痴態を晒している事を意識させられると、春香の脳裏が羞恥で真っ赤に燃え上がった。
 身をよじるたびに、膣の奥で卑猥な音を奏でる蜜。いつしかそれはキュッとすぼまった膣口から溢れ出し、お尻の谷間に食い込む水着の紐に沿って垂れ落ちていく。
 人の視線への意識を払おうと、長い黒髪を揺らして頭を振る。それでも、必死に噛み締める猿轡の向こう側には今にもこぼれそうなほどに嬌声が込み上がり、吸い取りきれなくなった涎が唇の端から伝い落ち、豊満な膨らみの上へ滴り落ちた。
「ふっ……ふッ………んゥ………」
 潤んだ瞳は目隠しの向こう側に、血走った目で自分を見つめる男たちの姿を幻視する。その見えていないはずの視線に貫かれると、背筋に絶頂の前触れを告げる震えが駆け上ってきてしまい……ビクンと大きく身体を弾ませたその瞬間、仰け反る身体を支えきれず、椅子がゆっくりと後ろへ傾きだしてしまう。
「ッ………!」
 数秒後に来る衝撃に身をすくめるはるか。だが不意に彼女の身体を支えた女性の手によって、その予想は外れる事になった。
「ンッ………!」
 アルバイトの面接のときに会ったケーキショップの経営者は脂ぎった中年だ。あの太い指先と好色的な目に身震いしただけに、自分の身体に触れている手指があの男のものでない事はわかる。
 だとすれば誰が……お店の女性店員の誰かかと思っていると、細い指先が春香の黒髪を遠慮がちに掻き揚げ、左の耳に触れてくる。
「んふぅうぅぅぅ……!」
 視界が塞がれて鋭敏になっているのか、耳をなぞられただけで甘い声をあげてしまう。
 けれど女性の指先は春香の耳に小さな通信機を取り付けただけで離れていく。
『それではお客様もお待ちかねです。特別製のケーキ、早速調理に取り掛かりましょうか』
「!?」
 通信機から聞こえてきたのは経営者の男の声だ。まるで耳をナメクジが這いずられているようなおぞましさに背筋を震わせたその瞬間、芯から火照っていた乳房のふくらみに冷たい液体が垂れ落とされた。
「くゥウぅぅぅん……!」
『通行人にスケベな目で見られて、ずいぶんと感じたようですね』
「んっ、んんんぅ!」
『否定はしてもずいぶんと張り詰めさせてますねぇ……しかし、うわさで聞いていた以上に立派なモノをお持ちだ』
「クうゥン!」
 乳房に垂らされたのはシロップだ。火照った肌に熱せられて甘い匂いを立ち上らせる粘り気のある液体が、耳から聞こえる声とは別の、先ほど春香を支えた女性の手が後ろから伸び、乳房へ塗り広げていく。
「んんっ、んッ、クゥゥ……!」
 シロップに濡れ輝く膨らみの揺れ様は、ケーキというよりも特大のプリンを思わせる。
 大きく開いた女性の手が蜜にまみれた春香の乳房を横から下へ、そして下から先端へと絞り上げる。かと思えば、わき腹から下へとしなやかな指先を滑り落とし、胸の谷間から垂れてきたシロップをウエストから太股へと塗り広げていく。そして指先が敏感な場所をくすぐるたびに弾む100センチを越えるバストの弾み様と、緊縛された美少女が悩ましく身悶える様子に、ガラスの向こう側では幾度となく生唾を飲む音が鳴り、けれど決して手を出せないこの状況に異様な雰囲気が漂い始めていた。
「んムッ! んイッ! クウゥ、ンうッ、んフぅうぅぅ……!」
 そうとは知らぬままに、ショーウィンドウの中では、名前も姿も分からない女性の手で、春香の身体から粘り気のあるイヤらしい音が鳴り響く。猿轡の奥からこぼれる息は次第に熱さを増してせわしなくなり、遂には、
「くぅうううううううううううンッ!!!」
 トンッとクリトリスを叩かれただけで戒められた身体を大きく反り返らせてしまっていた。
『胸が大きいだけのお嬢さんかと思いきや、なかなかにドスケベの素質を秘めていますな。クックックッ』
「ウッ…ウゥウゥゥゥ……!」
『今、あなたはどんな顔をしていると思います?』
「ぅ………」
『ガラスの向こう側で、あなたのイヤらしい牝の貌(かお)にどれだけの男性が興奮していると思います? あの人たちを店内に招き入れたら、あなたという極上のケーキにどれだけ群がる事やら……』
「ッ―――――――――!!!」
 脅迫めいた男の言葉。だが、あれほど嫌いな男たちによる陵辱を脳裏に思い描いた途端、春香の身体にひときわ大きな震えが駆け巡り、股間を窓のほうへと突き出すようにして椅子から腰を跳ね上げさせた。
 どうしてこんなに動揺してしまうのか……春香は決して犯されることを望んでいないのに、汗とローションにまみれた瑞々しい肢体は、自分に突きつけられた何十本と言う肉棒を前にした想像の中で、異様なまでに括約筋を締め上げ、股間をわずかばかりに覆う赤い水着では防ぎようの無いほどに大量の愛液を搾り出してしまう。
「ふっ……んゥ……ンっ………!」
 逃げたい。
 今すぐにでもここから逃げ出したい。
 だというのに、春香の意識は蕩けるような愛撫の快楽にいつまでも浸り続けたいという衝動も湧き上がっていた。
「んウゥ……!」
 猿轡を噛み締める唇からはダラダラと涎が滴り、羞恥と興奮の狭間で熱のこもった呻き声を上げる。
 そんな中、女性の指先がシロップをたっぷりと吸ったビキニに触れたかと思うと、
『それではケーキの醍醐味……上に乗った立派な“イチゴ”を皆さんに品定めしてもらいましょうか』
 グイッとビキニをずり下ろされ、、見事な張りとボリュームを誇るロケットオッパイの先端の鮮やかなピンク色の膨らみを露わにした。


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