■ストーリー■


一人の男が己の野望を達成した。 男の名は伊締 大好(いじめ だいすけ)・・・・・・かつては天才の名を欲しいままにした科学者である。 彼の頭脳は一世紀先を行くと言われ、20歳で発表した論文は世界の話題を席巻したほどだった。 ・・・・・・しかし・・・・・・ 彼は突如として世界の表舞台から姿を消してしまう。この謎の失踪劇は限られた人間以外知る事は無かった。 当時の日本政府及び世界中の国家がその事実をひた隠しにしたからである。 何故ならば、彼の頭脳は余りに素晴らしく・・・・・・それ故にとても危険な物だったからだ。 どこかの国によって拉致されたとの見方が有力で、お互いがお互いの国を疑いあったのである。 各国の諜報機関の懸命な調査にもかかわらず、彼の行方はついぞ知れなかった。 やがて世界は彼の存在を忘れていく。 ・・・・・・そして12年の歳月が流れ・・・・・・ 伊締大好は日本のとある場所にいた。 葉塚(はづか)市・・・・・・某県内にある人口20万人程の都市である。 二方向を山、一方を海、そしてもう一方は川に囲まれた・・・・・・ちょっとした陸の孤島にあたる都市だった。 外部との連絡路は川に掛かった一箇所の橋のみである。 本来なら、このような交通の便が悪い地域に大きな都市など生まれない物であるが、葉塚市は近年異例な程の 成長を見せていた。それは、伊締大好が影で暗躍したからである。 彼は、葉塚市を巨大な実験場として着々と作り変えていったのだ。 その実験とは、 ・・・・・・集団マインドコントロール・・・・・・ 都市の人間全員を誰にも気付かれる事無くコントロールするというものである。 理論が完成したのが23歳の時・・・・・・彼はすかさずその姿をくらまし、最適な実験場としてここ葉塚市を選ぶと、 誰にも気付かれないように研究を続けた。 あらゆる洗脳方法を試し、現在も数種類の方法を併用している。 その中で核となっているのがナノマシンを用いた方法だ。 葉塚市では、市の北方にある葉鷹山(はだかさん)の豊富な水源を利用して飲み水としていたのだが、彼はその水に ナノマシンを混ぜる事で都市の人間全員を洗脳する事に成功する。 それは、わずか2年の結果だった。 ・・・・・・だが・・・・・・ その結果は彼にとって満足できるものでは無かったのである。ナノマシンによってコントロールされた住民たちは、 単なるロボットに成り下がってしまったからだ。 彼にはある性癖があり、この実験も初めからその為に行っていたのである。 ・・・・・・女が羞恥に震える街をつくる・・・・・・ 彼は、恥ずかしさで悶える女に欲情する性質だった。 だからこそ、ロボットでは意味が無い・・・・・・彼の研究は更に続けられていく。 それからは、彼の人生の中でも最大の苦難の連続だった。失敗に次ぐ失敗を繰り返し、彼は人生で最初の挫折感を味う。 ・・・・・・8年後・・・・・・ 失敗、敗北、挫折、無為の日々・・・・・・全てを乗り越え、彼は勝利者となった。 最終型ナノマシンが完成したのである。 すぐに彼は行動に移った。当初から行っていた葉塚市の外部からの孤立化とそのカモフラージュから始め、街の整備 など彼がやるべき事は山積みである。だが、それらは全て取るに足らないことだった。 何故なら、最も困難な作業は既に終わっていたのだから・・・・・・ ・・・・・・そして・・・・・・ 4年で葉塚市は生まれ変わった。彼の意図した街へと・・・・・・ ・・・・・・女が羞恥に震える街へと・・・・・・


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