第二話「誕生 伝説の羞恥騎士」


 しばらく歩くと、大きな街が見えてきた。街の真ん中には大きな城も見える。なるほど、姫 というからにはこの城に住んでいるのだろう。しかし、クリスはなぜか城の方には向かわず、 街の外れにある広場のような所へやってきた。そして、そこで行われていることに、私は驚き を隠せなかった。女の人が、裸で立っていたんだ。  いや、女の人というよりは女の子と言った方が正しいと思う。その体はとても幼く(人の事 は言えないけど)、顔もあどけない。私と年は同じくらい。ううん、もっと下かもしれない。 それも、ただ立っていただけではなかった。台のような物の上で、その体を誇示するようにし ている。周りにはたくさんの人が集まり、女の子の裸を見物している。そして、その女の子は ただ彫像のように立っていたわけではなかった。台の上でいろいろな格好をして、その姿を観 賞させていたんだ。小さな胸を強調するように体を反らしたかとおもうと、こんどは台の上で 両足を大きく開いてみせた。そんな格好をしたら、股の間の大切な所が見えちゃうのに。しか も、その態勢のまま両手を足の間に持ってきて自分のあそこを広げてみせた。 「わぁ、まる見え」  ここからだと遠くてよくわからないけど、彼女の周りのすぐ足元にいる人達にはその子の女 の子自身がはっきりと見えているはずだ。女の子のあそこには毛が全然生えていない。それに 大きく広げてるから、そこの構造が全部見えているに違いない。そばにいる男の人がそこを指 差して笑っている。なにを話しているのかは聞こえないけど、Hな事だというのはわかる。そ れに、女の子はただそこを見せているだけではなかった。台の上にしゃがみこむと、その大切 な所を目の前にいる男の人の顔の前に持っていった。男の人は当然の事のように女の子のその 部分に触れる。触られた瞬間、女の子が顔を大きくのけ反らす。さらに別の男の人がそこを触 り、他の人がその膨らみかけの胸を揉む。女の子は顔を真っ赤にして喘ぎつつも、その部分を かばおうとはせず、むしろ触りやすいように突き出してさえいる。 「・・・み、望ったら。ちょっと」  長髪の子、水ちゃんの声で私は我に返る。いけない、思わず見入っちゃった。 「なに、ボーっとしてるのよ」 「ごめんごめん」 「望さん、よだれが垂れてますわよ」  眼鏡の女の子、空ちゃんの言葉に私は顔を真っ赤にして口元を拭う。 「それよりクリス、こんな所に連れて来ていったいなんなの? まさか、あんなストリップシ ョーまがいのものを見せたかったわけじゃないでしょう?」  水ちゃんがクリスに詰め寄る。 「あそこにおられるのが我が姫、エロード様だ」 「えっ、あそこってもしかしてあの女の子?」 「そんなわけないでしょ。きっと、観客の中に紛れてるのよ」 「いや、あの御方がエロード姫だ」  クリスの言葉で再びそちらを見ると、今度は子供達がその周りを囲んでいた。その女の子、 エロード姫は台の端に足を開いて座っている。相変わらずあそこを両手で広げていて、中の様 子を子供達の視線に晒している。子供達はみんな手に棒の付いた細長いキャンディみたいな物 を持っていた。一人の子がその飴を姫の股間に持っていくと、広げてさらけだされている女の 子の穴にそのキャンディを挿れた。そしてニ、三度飴を前後させると、それを抜き取り、ぺろ ぺろと舐める。他の子も同じように飴を姫のそこに挿し込んでいる。姫が大きく息をしている のがここからでもわかる。やがて、最初の子がまた同じようにキャンディを挿し込んで、また 舐めていた。そうか、キャンディに姫の恥ずかしい液、愛液を付けているんだ。キャンディに 味付けをするために。だから、みんなすこし舐めるとすぐにまた姫の穴に挿れるんだ。そして また舐めてまた挿れて…。飴が無くなるまでそんなことがくり返されるに違いない。  って、いけないまた見入っちゃうところだった。水ちゃんたちに気付かれる前に話しに加わ ってと。 「で、なんでお姫さまがあんなことしてるわけ?」 「そういうご趣味があるのですか?」  空ちゃんが真顔のままとんでもないことを言う。 「それに答えるには最初から全てを話す必要があるだろう」  クリスはそう言って語り始めた。 「この世界において、全てを決定するほど大きな力を持つものがある。それは心の力だ。この フェアリーナでは、心の強さこそがなににも勝る。その者の能力は、肉体的な力よりも心の力 によって決まると言ってよい」 「心の力が、全てをですか?」 「そうだ。そして、その中でも一番強く反映するものがある」 「それって、なんなの?」 「それは恥ずかしいと思う心、つまり『羞恥心』だ」 「しゅ、羞恥心?」 「そう、『羞恥心』こそがこの世界で最も大きな力を持つ。『恥らう心が力となる』、それが この世界の原理だ。この世界そのものもその力によって形造られている。そして、その世界を 支える役目を我々は一人の人間に託している。その人物の事を、この世界では柱と呼んでいる が」 「その柱というのが、エロード姫さんだというのですね」 「その通りだ。柱はこの世界を守る為に常に羞恥心を感じていなければならない。大抵、柱の 役目に若い女性が選ばれるのも羞恥心が強いためだ。姫はその役目のために、連日ああして恥 態を晒しているのだ」 「毎日あんな事をしてるなんてお姫さまも大変ね」 「だが、その姫を狙う者が現れたのだ。奴の名は神官マラード。元々は姫の側近だった男だが、 反旗を翻し、己の欲望の為に姫を手中に収めようと目論んでいる」 「この世界を形造っているのがエロードさんならば、その方を手に入れればこの世界は思い通 りになる、ということですね?」 「そんなこと、許せない」 「許せないって言ったって、わたしたちにはなにもできないわよ」 「いや、おまえ達にこそ、その役目を担ってもらいたい」 「えっ!」 「そのために、姫は異世界からおまえ達を召喚したのだ。姫を守り、マラードを打ち倒す力を 持つ、伝説の羞恥騎士として」 「私たちが伝説の騎士?」 「でも、どうしてわたしたちが?」 「姫が召喚の儀式を行った時、おまえ達3人から強い羞恥心を感じた。おまえ達こそ羞恥騎士 に相応しい者たちだ」  私はそれを聞いて頬を染める。あの時、オナニーしてたから、だから…。見ると水ちゃんも ちょっと赤くなっている。空ちゃんは・・・、よくわからない。 「おまえ達しか、この世界を救える者はいないのだ。力を貸してくれ」 「わたしたちにしか、か。悪くない気分よね」 「私はやる。自分の欲望のために、みんなに迷惑をかけようとするような奴をほってはおけな い」 「この世界から戻るためには、またエロードさんの力を借りなければならないのでしょう?  選択肢は一つしかありませんわ」 「礼を言う。それではおまえ達に・・・」  クリスがなにかを言おうとした時、遠くから男の人が走って来た。 「クリ○リスさまー」 「馬鹿者! その名で呼ぶなと言っているだろう」 「すいません、クリ○リス様」 「おまえ、私に喧嘩を売っているだろう?」 「め、滅相もありません。クリ・・・ス様」 「ふう、まあいい。それよりいったいなんの用だ?」  クリスがあきれたように言う。 「あっ、そうでした。姫さまが尿意をもよおされたので」 「そうか、わかった。すぐに行く。おまえたちも来ると良いだろう」  クリスはそう言うと、先に歩き出した。 「クリ○リスって…」 「クリトリス、陰核のことですね。女性の尿道出口の前方にある小突起のことで、男性の陰茎 に相当するものです。性的興奮により充血し勃起するらしいです」 「空ちゃん、詳しいんだね…」 「ええ。広○苑に書いてありましたから」 「あっ。そ、そうなんだ」  私が答えに困っていると、水ちゃんがこっちに向かって手を振る。 「ほら、早くしないと置いてくわよ」 「あっ、すぐ行く」  私たちはすぐに後を追う。それにしてもクリスの本名があんなだったなんて。隠す気持ちも わかる気がする。  私たちはエロード姫のいる広場までやってきた。相変わらず、姫は裸を周りのにいる人に見 せつけている。クリスと共に私たちは台の真ん前まで進む。近くで見るとすごい迫力。クリス は台の上に上がって、姫の足元に小さな壷のような物を置いた。姫はその壷の上にしゃがみこ み、自分の性器、オマ○コを再び指で大きく開く。近くで見ると、本当にそこが丸見えなのが わかる。中の小さいびらびらまで開いていて、女の子の穴までしっかりと見える。姫のその穴 は、さっきキャンディを突っ込まれていたせいか、べとべとになっていた。その上におしっこ の穴があって、さらにその上にさっきの話のクリ○リスがあった。そこは真っ赤になっていて、 しかもちょっと膨らんでいるみたい。『性的興奮により充血し勃起する』。私はさっきの空ち ゃんの言葉を思い出した。エロード姫は興奮、しているのかな。そして、その上。女の子の丘 の所にかすかな剃り跡があるのを見つけた。最初から生えていないんじゃなくて、剃っていた んだ。おそらく見やすくするために…。でも、その剃り跡は本当に少しで、たぶん元々そんな に生えていなかったんだと思う。  しばらくそのままの姿勢でいた姫が、突然『うっ』と叫んだ。そして、それと同時に姫のあ そこからおしっこが流れ始める。そうか、尿意をもよおしたって言っていたっけ。あの壷はそ のための物だったんだ。姫のおしっこは滝のように勢いよく壷の中に吸い込まれていく。周り の人達は、それを見てから喝采を上げた。姫は恥ずかしそうに顔を真っ赤にして背けるけど、 一度始まったおしっこは止められなかった。やがておしっこが終わると大きな拍手が起こる。 姫は赤い顔のまま肩で息をしていた。その目に涙のようなものが見えた気がしたけど…。 「エロード姫、羞恥騎士たちをお連れしました」  クリスはそんな姫の様子に構わず話しかける。 「よく来てくれました、異世界の少女達よ」  姫はこちらを見てにっこりと微笑んだ。 「勝手にお呼びしてしまって申し訳ありません。実はあなた方に頼みがあるのです」 「その事ならクリスから聞いたわ」 「私たちに任せてください」 「そうですか。それではマラードの事、よろしくお願いします」  姫はそう言って、少し遠い目をした。 「それでは、そろそろ行くぞ」  私たちはクリスに連れられ、さらに恥態を晒しつづける姫を見ながらそこを後にした。  再び街の外れに戻ってくる。 「さてと、さきほど言いかけたが、おまえ達に防具を与えよう。その格好のまま旅はできんだ ろう」  その言葉で自分がパジャマ姿のままなのを思い出した。今までこんな格好で歩き回ってたん だ。ちょっと恥ずかしい。 「ではいくぞ」  クリスの右手の杖が光り、私たちの服が消え失せる。やだ、裸にと思ったのも束の間、すぐ に新しい物が私たちの体を覆った。しかし、その防具というのは…。 「ちょっと、これってただの水着じゃないの」  水ちゃんはブラの部分を持ち上げながら文句を言う。私はその胸の大きさが気になった。水 ちゃんの胸は中学生にしては結構大きい。ちょっとジェラシー感じてしまう。 「いえ、そうでもないみたいですよ。ほら、ブラの真ん中に宝石が付いていますし、ボトムの 両脇には鎧垂れもあります」  そういう空ちゃんはすらりとしたきれいな体型だった。年が同じなのになんでこんなに違う んだろう。 「でも、どう見たって、ビキニの水着よ」 「水着みたいな鎧というのは、ファンタジーの基本ですから」 「えっ、基本なの?」  私は意外に思い、空ちゃんに尋ねた。 「ファンタジーの女戦士は、なぜか防御能力のあまりなさそうな露出度の高い防具を用いる事 が多いんです」 「ふーん、そうなんだ」 「ちょっと、そこ。なに偏った事を教えてるのよ」 「あら、そうでしたか?」  空ちゃんはそう言って微笑む。やっぱりこの子、よくわからない。 「こら、文句を言うな。それが羞恥騎士の正装なのだからな。それにその鎧には見た目ではわ からない力があるのだ。例えばその宝石は様々な物をしまっておける。旅に必要な物も全てそ の中に入っている」 「へえ、まるでミセえーもんのバケツみたいだ」 「それに動きやすそうですし、よろしいのではないのですか?」 「はあ、もういいわよ」 「それと、この剣を持っていけ」  そう言ってクリスが出したのは3本の剣。 「見た目の割には軽いんですのね」 「これならわたしにも振り回せるわ。それ、いくわよ望!」 「ちょっと、やめてよ水ちゃん」 「あと、おまえ達に教えておかなければならんことは・・・。おい、ちゃんと話を聞け」  その時、私と水ちゃんは騒いでいてクリスが話している事に気づかなかった。 「仕方ない。空、おまえに話しておくからあとで2人に伝えておいてくれ」  この時、クリスがなにを話したかはあとでわかるのだが…。  しばらくたって、やっと私たちは話に戻る。 「まったく、おまえたちは…。まあいい、それよりも最後に伝えておくべき大切な話がある。 おまえ達の旅の目的はもちろんマラードだが、その前にやるべきことがある」 「やるべきことって?」 「それはこの地に眠る3体の乙女を復活させることだ。乙女達の力がなければ、到底マラード に勝つ事はできんだろう。そして、それができるのは真の羞恥騎士だけだ」 「その乙女さんのおられる所はわかるのですか?」 「その剣が導いてくれるだろう。それでは頼んだぞ、羞恥騎士達よ」  クリスはそう言って、私たち一人一人を見た。 「わかった。必ずマラードを倒してみせる」 「羞恥の心がある限り、力はいつもおまえ達と共にある。旅の無事を祈っているぞ」  クリスはそう言い残し、街へと戻っていった。これからは私たちだけで歩いていかなければ いけない。少し不安だけれど、でも必ずこの旅を成功させてみせる。そう、この世界の明日の ために。


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