読切「イザーク、華と散る」


「ディアッカ、何故裏切ったぁ!?」 「女(ミリアリアと巨乳艦長とラクス様)がいるからだ!!」  ――女がいるからだ!!         ――いるからだ!…                ――からだ……  お…女だと!? ディアッカの恋人ができたって言うのか!?  エリート部隊であるクルーゼ隊のアイドル四人組(最初は五人いたんだが…まぁいい)の内、アスランはラクス と婚約していやがるし、ニコルは童顔なのをいい事に年上にもてて早々に済ませちまいやがった(何を?)から、 俺とディアッカは相手よりも早く卒業する(だから何を?)のに必死だったのだ。  クルーゼ隊の影のリーダーを自負する(人望ないもんね)俺としては相手より上に立つためにどんな勝負にも負 けるわけにはいかなかった……  なのにこいつは…こいつは連邦に捕まって死んだと思って油断した俺を差し置いてこっそり裏切り地球主義者 の使いっ走りになって、その上女作ってガキまでこさえただとぉぉぉ(そこまで言ってない)!!  おのれ、おのれ、おのれぇぇぇ! 許さん、許さんぞディアッカ! ザフトを裏切ろうがどこでのたれ死のう が知った事じゃないが、俺よりも早く経験するなど、断じて許さん!  いっそこの場でこいつを原型がないほど叩き殺してくれようか。デュエルで踏み潰せば人間ミンチのできあが り……クックック、スイッチ一つで完全犯罪の完成だぁ(どこが完全だ)!  だが、こいつが俺との勝負(自分で一方的に思っていただけ)に勝った事に代わりはない。もし勝ち誇ったまま 死なれたら、俺は一生勝つことができないじゃないか。だめだ。こいつに完膚なきまでの敗北を認めさせてから でなければ、俺の勝利にはなり得ない! そういうわけでここは………………………(かなり長い苦悩の時間、 コンマ2秒)………………………ハッタリかますしかない(要は嘘ってことね)!!  今はハッタリでも、後で艦に戻るなり基地に戻るなりして、どこぞの女を俺の超絶テクニックで(童貞が何を 言う)メス犬にしてしまえば(そう言う考えがもてない原因だろう)、事後承諾と言う事で万事OK! なぁに、 コーディネーターの俺にとっては朝飯前。それにジュール家跡取の名前を出せばどんな女だろうと喜んで尻を振 るわぁ(だから君は落ちついて…)!!  しかし…変な女に手を出せば後で認知だ手切れだで揉めて俺の輝かしい経歴に傷がつくのも困るし(負け続け で輝かしいかぁ?)、かと言って、目の前の相手はつい最近まで一緒の部隊にいたディアッカだ。待機中に色々 話をしているから、身近な女の名前を出せばすぐにばれてしまう。  さて……どうするか……どこかに手ごろな女は………いた、いたじゃないか、ちょうど都合のいい女が! ク ルーゼ隊長がアラスカで拾ってきた牝犬が!!  あの女、確か名前は……フレイとか言っていたな。てっきりクルーゼ隊長が「美少年を集めてハーレム部隊を 作っている変態親父」というデマを払拭するために連れてきた捕虜だと思っていたが、どうやら手をつけてない らしい。  好都合だ。あいつならディアッカが抜けた後に来たから名前を知られてないし、体だって十分に俺の許容範囲 だ。我侭を言えば(これ以上言うのか?)もっと胸がデカい方が揉みがいがあって好みだが、これから徹底的に揉 みまくればすぐに成長するさ。それでダメなら豊胸手術だ(人体改造かい!)。それに今は先を越して勝ち誇るデ ィアッカの鼻っ柱を叩き折ることが先決だ。その後で隊長からあの女を頂いて、用が済めば捨てればいい…クク ク…女の捕虜とは実に便利な道具だなぁ! よし、次から女パイロットは美人オンリーで命だけは助けてやろう じゃないか! 「おいディアッカぁ! 女の一人や二人できたからなんだって言うんだ! 俺なんか連邦の女を捕虜にして毎晩 毎晩失神するまで犯しぬいて……って、あいつどこに行った?」  ちっ…ディアッカめ、俺に勝利宣言されるのが恐くて逃げ出したか。だったら今は艦に戻って早速あの女でさ っさと忌まわしいものとおさらばだ。そして次に合間見えた時にその時の自慢話をたっぷりと――んっ、なんだ この紙切れは?  乾いた風が俺の足元に一枚の紙切れを運んでくる。普通なら見向きもしないがその表面に文字が書いてあるの が目に入り、気になって手にとって見る。  これはディアッカの字か。え〜〜、なになに? 『童貞イ"サ〜ル"は分厚い皮(アサルトシュラウドの装甲ね)弄ってオナってろ。俺のは固くて長くて強い(バス ターの事ね)からな。あばよ、包茎イザーク。早漏直せよ』 「ディ…………………………………………………ディアッカああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ !!!!!」  一方その頃―― 「お願い助けて! 私、鍵、戦争を終わらせる鍵を持ってるんです! うっぷ、なによ、このポッド! さっき からぐるぐる回ってばかりじゃないの! 目も回って気分も悪くなって頭も痛くてもう最悪ぅ!! ねぇ、聞こ えてるんでしょ? 早く私を助けてよ! じゃないとこの鍵を外に放り捨てるわよ! いいの? いいんだ、そ れじゃ捨ててやるぅ!!――ああっ、ごめんなさぁぁ〜〜い! そんな事しない、助けてくれたらお礼にフェラ でもアナルでもマングリ返しに二穴責めでも、何されたっていいから助けてよぉ!! 通信だけじゃ分からない と思うけど、私って着やせするタイプで胸も大きくてアソコだってばっちりなんだからね。感度だっていいし締 まりもいいし…あぁ〜ん、お願いだから誰か返事してぇぇぇ!! このままじゃ私、寂しくって死んじゃうぅぅ ぅ!! いやぁん、私は死ぬ時は好きな人の腕に抱かれてって決めてるのぉ!! お金持ちでぇ、顔もよくてぇ、 身長だって高くないとイヤなんだからぁ!! あ、でもぉ、キラみたいに母性本能を刺激されるタイプもいいか も…ああぁん、フレイ、迷っちゃうぅん♪ でもでもぉ、サイとの事はもうきっちり関係清算したしぃ、ふられ て気落ちしている私の前にパパみたいなしぶいおじ様が現れたら…きゃは♪ それでね、それでね――」 「………いやですねぇ、最近の若い子は。慎みも恥じらいも、な〜んにもなくて。どうします? 敵の罠かもし れませんし撃っちゃいますか?」 「そ、その……一応"アレ"は私の知っている人間なので……できる事なら救助を…」 「おやおや、名門軍人の家系であらせられるバジルール艦長にあんなお下品なお友達がいらっしゃるとは思いも しませんでしたねぇ。いったいどのような間柄だったのやら、クックック…これは失敬」 「くっ…カラミティ、彼女にそれ以上喋らせる前にさっさとポッドを回収しろぉぉぉ!!」 「美人のヒステリーって恐いですねぇ。けれどその顔もまた美しい、はっはっはっ」 「くうぅ…(いつかミサイル発射管に積めこんで打ち出してやる…)」  こうして、頼りにしていたフレイは連邦に送られ、旗艦も破壊されたディアッカの○○卒業はまたまた先に伸 びたのである。  そうして―― 「いいかぁ! お前たちジュール隊は俺の命令には絶対服従だ! 俺が脱げと言ったらコクピットの中だろうが 人前だろうが全裸になって足開けぇ! 分かったか、畜生っ!!」  半泣きになってそう叫ぶイザークの言葉を聞きながら、そこに整列した部下たちは全員思った。 (誰が聞くか、そんな命令!)  女の子も混じった小隊の隊長になったイザークだが、クルーゼ隊長への不信と一人取り残されたと言う思いか ら、焦りに焦りに焦りまくって欲望丸出しになり、部下からの信頼を得られず、隊長と女パイロットと言う甘い ラブロマンスも絵に描いた餅となる。  その代わり―― 「聞いたか? ジュール隊長って若い男に股開かせてるらしいぜ」 「知ってる知ってる。何でも自分が女に持てないから男に走ったらしいぜ」 「だったら受け? 責め? それとも両方ってヤツぅ? キャハハハハハハハ!」  イザーク・ジュール、そのホモ疑惑はマザコン疑惑と共にザフト軍どころかプラント全域に広がり、女が寄り つかなくなって、最後は本当にその道に目覚め始めたとか。  めでたしめでたし


<完>