第1話「イッターチーム選抜試験」


 「いかん!止めるんだ、恭子!」  棹止博士は、無理やり出撃して敵と交戦中の娘、恭子に無線で呼びかけていた。 「しかし、お父様、私が戦わないと、日本中の女性が爬虫人類に犯されてしまいます!」 「プロトイッターでは敵のエロザウルスにはかなわない!引き返すんだ!」  恭子はその声を無視して、試作型のイッターロボ、プロトイッターで敵に挑んでいた。   敵の戦闘メカは、恐竜と陵辱器具を合体させたエロザウルスと呼ばれる強力な兵器だった。  並みの対戦車兵器では傷一つつかない装甲と、凄まじい力を持っていた。 「くうう・・・私がやらなきゃ、私が・・・」  歯を食いしばり、頬を羞恥に染めながら戦う恭子の全身を、金属光沢を持った触手が嬲っていた。  触手はコクピット内の至る所から生えており、くねくねと動いては、ヘルメット以外は一糸も  まとわぬ恭子の裸身を好きなように這い回り、突付き回していた。  しかし、恭子の秘裂はまだ無事だった。触手は何度も挿入を試みるのだが、そのたびに見えない力場に  よって跳ね返されている。  その力場は、恭子が唯一身に付けているヘルメットから発生していた。  しかし、触手を跳ね返しているのは股間の部分のみで、胸や太腿、引き締まった腹部には、容赦ない触手  の責めが施されていた。  先端でつんつん突付き回されて勃起した乳首を、ぐりぐりと豊かな胸の中に押し込むようにされたり、  脇腹と太腿を羽毛のようなタッチで何度もなぞられたり、乳房に巻きつかれて、ぐにぐにと揉み搾られたり・・・。  その触手は、イッターロボの動力源であるイッター線によって、コクピットの壁が変質した物だった。  謎の宇宙線であるイッター線は、生物の快感、特にエクスタシーを高める性質を持ち、収束して放射する事で、  無生物に性欲を持たせる事もできるという、ちょっとエッチな宇宙線だった。  その研究の第一人者である棹止博士が最初に作り出したのが、イッター線の平和利用テストの為の移動型  イッター線収束機であるプロトイッターである。  セーラー服(夏服)姿の可憐な少女の姿をしているが、機体色はなぜかモノクロだった。どうやら塗料を  買う金が無かったらしい。  そのテスト中に、最近、世間を騒がせている爬虫人類の襲撃を知り、戦いを挑んだのだが、もともとテスト用  のロボットに十分な戦闘能力がある筈も無く、敵の猛攻を受けて追い込まれていた。 「あああっ!」  エロザウルスの尻尾の先に付いたバイブが、プロトイッターの胸を、股間を責めるたびに、その機体は分解  しそうにがくがくと痙攣していた。 「も、もう・・・だめぇ!」  コクピットの中と外からの二重の責めを受けて、恭子はついに屈服していた。  ヘルメットから発生していた羞恥シールドの力が弱まり、一本の触手が、つぷり、と、浅く恭子の秘裂に  潜り込んでいた。 「ああああああっ!」  恭子の口から、恐怖と快感が半分ずつ入り混じった悲鳴が漏れる。  にゅるっ、と、既に滲み出していた甘酸っぱい体液の助けも借りて、さらに深く触手が挿入され内部で  くねくねと動き始める。 「あああっ!い、い、イっちゃううううううっ!」  その声とともに、無数の触手が彼女の身体を包み込んでいた。                  (1)  「次は、棹止研究所前、棹止研究所前、棹止研究所へはこちらで降りると便利です」  物凄く当たり前のアナウンスを聞きながら、坂本 茜(さかもと あかね)は、降車ボタンを押していた。  くりっとした大きな目と、健康的に日焼けした顔が印象的な、ショートカットの美少女だった。少し大ぶりの、  合宿用のダッフルバッグを持っている。  茜は、研究所入り口から続く、長いトンネルの入り口で、郵送されてきたIDカードを守衛に見せ、そのまま  奥へとどんどん歩いて行った。  百メートルほど進むと、受付があった。  そこには気の弱そうな少年が座ってマンガを読んでいた。  タイトルは、『恥辱奴隷さやか』・・・どうやらエロマンガらしい。 「あのー・・・」 「どわわわわっ!ご、御免なさい、御免なさいっ!」  いきなり話し掛けられた少年は、物凄い慌てようで本を隠し、狼狽しながら茜を上目遣いに見た。 (へえ、結構美少年じゃないの・・・)  心の中で、茜は品定めをしていた。茜は今年中学三年生。少年は、それよりも一つか二つ年下だろう。 「あ、・・・な、何か御用でしょうか?」  まだ動揺が隠せない様子の少年に、送られてきたIDカードを見せると、ようやく彼の態度が落ち着いてきた。 「ああ、候補生の方ですね、僕は、棹止 道夫(さおとめ みちお)所長の息子です」  そう言って、道夫はぺこりとお辞儀をした。  その様子が妙に幼児っぽくて、茜は吹き出してしまう。  道夫は笑われたのを気にしたのか、顔を真っ赤にしてうつむいている。  結構、恥ずかしがりやのようだ。 「そ、そこのエレベーターで六階に上がってください」  道夫の指示に従い、茜はエレベーターに乗り込んでいた。  事の始まりは、一週間前、いきなり届いた一通の手紙だった。  そこには、政府からの依頼状と、IDカード、出頭場所の指定があった。  父母には前もって連絡されていたらしく、何も言わずに送り出してくれた。  同封されていた書類には、『国防活動への協力』という内容がなにやら難しい言葉を多用して書かれていた。 (キャンペーンガールでもやるのかな?)  自分のルックスには少し自信がある茜はそう思っていた。 「あ、やっぱり・・・」  エレベーターを出た所で、茜は確信していた。  そこは、二百人ぐらいならゆとりを持って収容できる広さのホールになっており、数十人の少女たちが居た。  みんなほとんど同年代で、可愛いタイプの子が多かった。 「・・・ねえ、これって、何かのオーディションだよね?」  茜は、すぐ脇の壁にもたれて腕組みをして目を閉じているすらりとした長身の少女に尋ねていた。見事な黒髪を  ポニーテールにした少女は、切れ長の目を開き、茜を一瞥し。 「多分ね」  それだけ言って、再び目を閉じた。 (無愛想な奴・・・) そう思いながらも、その少女の発する妖しいオーラのような物を、彼女は感じていた。 「・・・間もなく審査を開始いたします。IDカードに記された番号の順に着席してください」  茜は、自分のカードの裏を見た。 「六十九・・・結構大勢呼ばれたんだね・・・」  少女達の人数は、合計七十三人だった。数名の欠席者が出ているらしい。  しばらくして、やや肥満体で、ぼさぼさ頭にヒゲ面の、どちらかといえば小汚い感じの中年男性が、演壇前に姿を  あらわした。 「皆さん、今日は遠路はるばるようこそ。今回の極秘選考会においで下さいました。私が所長の棹止です。  これから皆さんには、ちょっとしたテストを受けていただきます」  棹止の『テスト』という言葉に、少女達はざわめいた。  彼女等の嫌いな言葉の一つだった。 「あ、いや、テストといっても、ペーパーテストではない。まあ、一種の適性検査だから・・・じゃあ、早速  始めようか、君達、体操服は持ってきたね?じゃあ、早速それに着替えなさい・・・さあ、どうぞ」 「あ、あの・・・ここで、ですか?」  少女達の一人がおずおずと聞いた。 「そうだよ。ここで、今すぐに着替えてください」 「・・・博士が居ると恥ずかしくて着替えられません」  別の少女が言う。そうだそうだという声があちこちからあがった。 「じゃあ、こうしよう。私は後ろを向いているから・・・」 「・・・」  棹止が後ろを向くと、何人かは着替えを始めた。  茜はまだ踏ん切りがつかなかった。向こうを向いていても、ちょっと振り向いたら見られてしまう。  それは凄く恥ずかしかった。  着替えをためらっているうちに、一分ほどが過ぎ、棹止がいきなり振り向いた。 「はい、そこまで!着替えが終わった方、着替え中の方はここに残ってください。着替えなかった方は、  私についてきてください」  少女たちが上げる悲鳴も聞こえぬかのようにそう言うと、棹止は部屋を出て行った。 (何だか変なの・・・私、不合格なのかな・・・)  何だかわけがわからないままに、茜は棹止の後をついて行った。  この時点で、少女達の数は半分よりやや多い程度になっている。 「さて、ここが第二会場だ、ここではある本を朗読してもらう」  そこは、学校の視聴覚室を思わせる部屋だった。デスクの上には、一冊の文庫本と、マイク付きのヘッド  ホンが置いてあった。  ヘッドホンはDJや、ミキサーが使用する本格的なもので、小説は・・・。  その表紙には『ロリータ四十八手外伝、肛虐編』と、書いてあった。 「さあ、これから五分間、その小説のしおりがはさんである所を朗読しなさい。ヘッドホンをかぶってもらうから、  他の人の声は聞こえないからね」 (な、何なの!このテスト!)  そう思いながらも、茜は席についたが、本には手も触れられなかった。  そういうエッチな小説がいっぱい出回っているのは知っていたが、そのタイトルさえ目にするのは恥ずかしかった。  朗読などできる筈が無い。  茜は五分間、何もせず、黙って座っていた。これで不合格なら、それでも良かった。 「はい、終了!」  いきなり、ヘッドホンから棹止の声が聞こえ、茜はびっくりして飛び上がっていた。 「頃から呼ぶ番号の方は、この部屋を出て七階に上がってください・・・四番、十一番・・・」  茜は自分が呼ばれる事は無いと思っていた。 「六十九番」 「えええっ!?」  思わず叫んでしまう。  人数は七人になっていた。 「個室でしばらく休んでいなさい、試験が始まる十五分前には放送で知らせます」  そう言われた七人は、一人ずつビジネスホテルの一室を思わせる個室に通された。 「何なんだろ、このテスト・・・」  いすに腰掛けて、窓の外に広がる森を眺めながら、茜はつぶやいていた。  合格か、失格かもわからない。何の為のテストなのかもわからなかった。 「うふんっ、あんっ、あああんっ!」  いきなり聞こえたエッチな声に驚いて振り向くと、ベッド脇のテレビに凄い映像が映っていた。  女の人が、自分で自分のあそこをいじっている映像だった。エッチな声を上げながら、ベッドに横たわった  女の人が股間で指を蠢かせている。  茜はそれ以上見なかった。反射的硬く目を閉じ、テレビのスイッチを手探りで押していた。が、チャンネルも  変わらなければ、電源も切れなかった。  エッチな声は尚も続き、クチュクチュという音も聞こえていた。  電源コンセントはベッドの裏側あたりにあって手が届かない為、茜は目を閉じ、耳をふさいでドアの方に向かう。  ドアノブを回したが、びくともしなかった。 「やぁ、こんなの、見たくないよぉ・・・」  茜はドアにもたれたまま、硬く目を閉じ、耳をふさいでいた。  彼女は、エッチな事に対して異常な羞恥を感じる少女だった。  だから、他の同級生達のように、エッチにあこがれたり、遊び半分でやってみたりしたいと思った事は無かった。  そういう話を聞かされただけで、顔が真っ赤になってしまう。  テレビから流れる生々しい『女』の声に、物凄い恥ずかしさを感じた茜は硬く目を閉じ、耳をふさいだままドアに  背を預けていた。  いきなりそのドアが開き、思い切り後ろにひっくり返ってしまう。 「おめでとう。合格だよ」  そこには優しい笑みをたたえた棹止博士が立っていた。  合格者は三人だった。茜と、最初に茜が話し掛けたすらりとした長身の少女、そして、茜よりもさらに日焼けした  活発な雰囲気のショートカットの少女。 「じゃあ、自己紹介をしてもらおうかな、君からお願いしよう」  最初に指名されたのは、長身の少女だった。 「・・・名前は、桂 葵(かつら あおい)・・・よろしく」  ちょっとぶっきらぼうな挨拶だった。 「私は坂本 茜、えーっと、女子サッカー部の主将をしています。一応、全国大会で優勝しました。  趣味は、ぬいぐるみ集めです」 「あたしは西郷 緑(さいごう みどり)趣味は水泳で、夢はシンクロでオリンピックに出る事です。  あと、好きな食べ物は、とりあえず何でも食べます。よろしくっ!」  見た目どおりの元気な子だった。 「さて、自己紹介がすんだところで、今回の募集の目的を明らかにしておこう。君達には私が開発した  戦闘ロボに乗って日本を守ってもらう!」  みんな無反応だった。いきなり飛躍した話になっていて、何だか妙に嘘っぽかった。 さっきのテストもわけがわからなかったし、あんないいかげんでエッチなテストと戦闘ロボに乗って日本を  守るという行動が結びつかなかった。 「・・・何だか場が寒いんだが、格好良くなかったかな?」 「うん。おっちゃん格好悪いよ」  緑がずばりと言う。 「そ、そうか・・・いや、問題はそこじゃなくて、君達はパイロットとして選ばれたんだ、おめでとう!」 「はあ・・・」 「ふっ、そういう事ですか、わかりました。その依頼、お受けいたしましょう」  何時の間にか、部屋の隅で壁にもたれて腕組みしていた葵がクールな口調で言った。 「え、葵さん、さっきのテストの意味がわかったの?」  茜の問いに。 「そう言うあんたはわからなかったようだね、あのテストそのものには意味は無い。何故なら、わたしはあの  ホールでさっさと体操服に着替えたのに、ここに居るんだからね」  そう、葵は服の下に、既に体操服を着込んでいたのだった。 「葵君の言ってる事は半分だけ正解だ。テストは被験者の羞恥心を煽るように出来ている。その数値をチェック  させてもらって、君達三人が選ばれたんだよ。 「それであんなエッチ小説朗読させたり、エッチな映像見せたりしたんですね・・・って、それが戦闘ロボと  どういう関係があるんですか?」  茜にはまだ全く理解できていなかった。 「それは、君達が乗る戦闘ロボには、羞恥心が高い事が不可欠だからだよ。あれには、イッターロボにはずば抜けた  羞恥心を持った純な乙女しか搭乗できないのだよ」 「イッターロボ?名前も変だね、ネーミングセンスゲロ悪!」  緑はきつい事をさらりと言ってのけた。 「うっ、そういう事ばかり言ってると、不幸が君を襲うぞ・・・と、とにかくだね、君達はその羞恥心の高さを存分  に発揮して、憎きエロザウルスどもを撃滅して欲しい」 「エロザウルスって、あの、変な形をした怪獣?自衛隊でも勝てないのに、そのイッターロボで本当に勝てるんですか?」  茜の問いに。 「勝てる!君達三人の羞恥と、ワシのイッターロボがあれば、奴らを・・・我が娘、恭子の仇をきっと討てる!」 「娘さん・・・亡くなられたんですか?」  ちょっとブルーな感じで訊ねた茜の言葉にかぶりを振った棹止は。 「いや、幸い、命は助かった、が、もう、あの子は戦えない。一度、犯される快感を知ってしまった者は、もう二度と  イッターには乗れないんだよ」 「・・・」 『犯される快感』という言葉が出た時点で、茜の脳はシャットダウンしてしまっていた。「つまり、その、何?エッチが  好きな子は乗れないメカである、と?」  言いにくそうに聞いてくる葵の言葉に棹止は頷く。 「そういう事だ。君達にはこれからしばらくの期間、訓練を受けてもらう。イッターマシンの操縦訓練を」  そして、三人の恥辱に満ちた戦いの物語が始まった。 つづく  次回予告:三人を待っていたのは、訓練という名の恥辱プレイだった。さらされる柔肌、のたうつメカ触手、  無垢の少女達はその責めに耐えられるのか?  次回、「イッターチーム出撃せよ!」


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