第29話「男子社員たちは見た!」


 4月中旬に入ってから結愛子は屈辱の勤務を繰り返していた。そう、最 強のイジメOL、伊持による執拗な嫌がらせを受けているからだ。  ただ、酷い嫌がらせをして結愛子がすぐ辞めても面白くないので、徐々 に辱めの度合いをあげながらいじめているらしい。  結愛子も川阪の借金帳消しのために、多少の嫌がらせぐらいで辞めるわ けにもいかず、とりあえず我慢の限界がくるまで耐えて頑張るつもりだ。  この伊持の性的イジメがあまりにも有名なせいか、社内のあちらこちら で結愛子の悲惨話が飛び交っていた。  特に喫煙ルームでは結愛子の話ばかりとなり、男子社員たちがタバコを 吸いながら自分たちが見た結愛子の恥辱シーンで盛り上がっていた。 「また今日もどこかで桜野さん、いじめられてるんだろーな」 「それにしても、今度は伊持が動くとはな〜。新人の桜野さんは何でこん なにひどい目に遭うんだろうな?そろそろ、マッパ勤務させる噂もあるみ たいだぜ」 「それってマジかっ。さすが最強のイジメOLだな〜。けど、どうやって そこまでやらせるつもりなんだ?」 「まあ、俺たちには全く見当つかねーが、1つだけ言えるのは伊持を動か したわがままお嬢を敵に回さないことだな。これが男子社員だったら、最 果ての地まで飛ばされるぞ。っていうか、どっかの国に飛ばされた奴がい るし..」 「男なら異動で、女なら辱めか..まあ、一番最悪なのは中條だな。相当 やつれたようだぞ。あの矢頼内課長の手ほどきを受けてるからな。怖っ」 「ああ、俺なんて紺のツナギ姿を見かけただけで逃げ出すよ。けど、中條 の奴、やつれてはいるが必死で耐えてるな..」 「初めの頃はすぐ辞めると思ったが、何かあったかもな。途中から目の輝 きが戻っていたからな」 「それにしても、桜野さんの方が辞めそうだぜ。マッパ勤務って..俺が 女だったら、即辞表だすな」 「それがな〜、桜野さんって意外と我慢強くてな〜。裸にされるぐらいの 嫌がらせで辞めるのは社会人失格だと思ってるらしいぜ。だからマッパ勤 務させられても辞めないんじゃないかなぁ〜」 「おいおい、それはないだろ〜。マッパだぜ。女が辞めるにゃ十分すぎる 理由じゃねーか」 「俺もそう思うけど、何度か社内でマッパにされてるしな」「本当か?」 「俺は見逃してしまったが、すでに何人か桜野さんのマッパシーンを見て いるよーだぜ」「えっ?もっと詳しく言えよ」 「もしかして、更衣室のプレートを替えられたやつか?男子更衣室で着替 えた際にショーツ下ろしたところをモロに見られたんだよな?」 「いや、あれはすぐに股間隠したって聞いたから、完全なマッパじゃない だろ〜」  しかし、この更衣室の件では結愛子のおっぱいは何人かの男子社員には っきりと見られていた。それも3日連続で同じ事を繰り返してるので明ら かに社内いじめの1つであることは明白だった。 「プレート交換なんて..学校の悪戯かよ!桜野さんも騙されたフリして 着替えるんだから可哀想にな..」 「でも、それぐらいなら研修の時のイビリよりマシじゃねーか?」 「いや、他にもあるぜ。屋上での脱衣バレーなんか、完全に脱がされたぜ」 「確か、その事件の翌日も食堂で社服切られてマッパにされたよな〜」 「何だよっ、それ!毎日裸にされてる感じじゃん。他にはあるのか?」 「俺が聞いた話だと、食堂事件の翌日は男子トイレで全裸立ち小便させら れたってみたいだぞ」 「うおっ、誰か桜野さんの立ちション姿を見たってことかぁぁ〜」 「いや、見た奴はいねーよ。あの伊持や腐れOLたちが一緒に居るんだぜ! 恐ろしくて近寄れねーだろ」「それじゃ、立ちションした証拠がねーじゃ ないか?」 「それがな〜、たまたま個室でウンコしてた奴が遭遇してな。息を殺しな がらドアの隙間から桜野さんの立ちションを見たらしいぞ」 「噂じゃ、その日桜野さんは女子トイレで用を足すのを禁止されたらしく て5回ほど男子トイレでしたらしいぜ」 「ひでぇ話だな..俺だったら次の週から会社行く気しねーな!桜野さん、 よく今週来れたよな〜。土日の休みで苦悩したんじゃねーか?」 「それがよ〜、土日も伊持の個人いじめがあったって聞いたぞ」 「マジかよぉぉ〜、けど土日は休みで2人とも会社来てねーよな」 「どうやら伊持の小旅行に付き合わされたって話だぜ。行き先は那須塩原 で混浴強制巡りを2日かけて10箇所以上やらされたってことだ」 「うおっ、混浴かよ。俺も行きたかったぜ」 「行ってから言うなってことだよな〜。これってワニ男だけ得してんぜ」 「だな..でも伊持と2人って嘘くさい気もするがな..」 「一応、これも証言っぽいのがあるぜ。ワニ男で有名な奴がツイッターで ”那須塩原で、すげー美乳の女がおっぱい丸出しなう”とつぶやいてたぜ! 意地悪そうな女が一緒に居たってことだから、伊持と桜野さんじゃねーか」 「う〜ん、そう言われるとマジっぽいな..」  いまいち信じられない様子の男子社員たちだが、この話は本当であり、 結愛子は伊持に誘われて女2人での混浴めぐりをする羽目になった。  それも伊持が全身タオルを巻いて完全にガードするのに対して、結愛子 にはフェイスタオル1枚しか持たされておらず、どの混浴でもワニ男たち の視線が集中した。  が、結愛子はワニ男たちのガン見状態の中で律儀に掛け湯をし、身体を 洗い、湯船には一切タオルを入れずに入浴した。  そんな結愛子の姿を伊持は「ワニ男って最低ぇ〜」と文句は言うものの、 何の行動もせず、結愛子の恥部が晒されることをクスクスとあざ笑ってい た。 (もっと見られたらいいわ。明日は素っ裸のままで足湯をさせてあげるわ。 ワニ男共に貴女のおま●こをたっぷり堪能させてやるわぁ〜)  おそらく2日目の混浴では、もっと思い切り晒されることになりそうだ が、この仕打ちに対しては結愛子はそんなに苦痛ではなかった。  元々、湯船の中にタオルを入れたり、身体にタオルを巻いたりするのに 抵抗があったので、伊持がもし何の命令をしなくても結愛子は自分からタ オルを外して素っ裸で入ってきただろう。  伊持の方はその事実に気が付いてないらしく、時たま見せる結愛子の悲 痛な表情に満足していたようだ。  もちろん、この結愛子の悲痛な表情は意外なことに伊持に対して向けた ものだった。 (伊持さん..タオル巻いたままで温泉入って恥ずかしくないのかしら? ここは温泉なんだから裸は当然だし、混浴だからって変に意識するほうが 何かいやらしく感じちゃうわ..そりゃ、見ず知らずの男性に裸を見られ るのは恥ずかしいけど、相手も裸なんだから見られるのはお互い様よね..)  そう、温泉の常識を守らない伊持の姿の方が結愛子にとって、ものすご く破廉恥な姿に見えたのだ。  それは禁煙場所で煙草を1人で堂々と吸ってるようなもので、タオルを 巻いてる方が恥知らずであると結愛子は思っている。  例えば海やプールでの水着は恥部を隠すのが当然なので、ビキニなど恥 部をわざとギリギリまで出すのは結愛子にとっては気持ち悪くなって耐え 切れない。  けれど、温泉で裸になることや、混浴に男性がいることは当然であり、 それを承知して入ってきたので、裸を意識せずに堂々と入る方が結愛子に とっては”常識”であった。  ワニ男たちも誰1人としてタオルを巻いておらず、伊持1人だけが違う格 好をしている状況だ。  さらに遠くの方で入浴している数組の熟年夫婦もタオルをつけていない ので、結愛子自身としては伊持の方が恥ずかしく見えて仕方ない。 (やっぱり伊持さんの方が恥ずかしいわ..みんな裸なんだから、裸でい る方が当たり前だわ)  意外と結愛子は今みたいに割り切って考えるところがあるので、ワニ男 たちの前でも全裸で掛け湯をすることが出来たのだろう。  が温泉に入ると羞恥心が無くなると言う訳ではない。一緒に裸で入って いる男性には見られても平気だが、遠くから温泉覗いてくる男性や仕切り 壁の隙間から覗いてくる視線には結愛子は敏感に反応して恥部を急いで隠 して見られないようにしてきた。 (!ちょっと覗かないでよっ。ああっ、おっぱいが少し見られちゃったわ。 あそこは見られてないよね?あそこを見られたと思うと気持ち悪くなって きたわ..恥ずかしい..んもぉ〜覗きなんて最低っ!)  男性には何とも理解しがたい結愛子の行動だが、見せたがりや裸に無頓 着ではないことが分かる。  まあ、女性の裸目当てのワニ男たちは絶対に理解できず、「覗かれる心 配よりも俺たちの視線を気にしろよ。こっちからは、おま●こ丸見えだぜ」 と覗きの連中の視線から逃れようと正面を向けてくる結愛子の姿に失笑し ていた。  そんなワニ男たちも、チンポがビンビンに勃起すると人目(特に伊持の 視線)が気になるらしく、見続けたい心を押し殺してビンビンチンポを両 手で隠しながらそそくさと出て行った。 「うっふふぅ〜、情けないクズ男ばかりねぇ〜。見せ付けるぐらいの度胸 は無いのかしらぁ〜。まあ、明日もあることだしぃ〜。今日はこの辺りで 勘弁してあげるわぁ〜」  こうして1日目の混浴を無事に乗り越えることが出来、2日目の足湯や畳 風呂の仰向け寝も結愛子は難なく裸でこなしてしまった。  この混浴話を聞いた男子社員たちにとっては過酷ないじめと捉えたが、 当の結愛子本人は温泉で疲れが取れてすっきりしたみたいだ。  これでまた月曜からの屈辱のいじめに立ち向かう結愛子であり、伊持の 新たな社内いじめが襲い掛かってきた。  それを目撃した男子社員たちが、いつまでも煙草をふかしながら自慢げ に話しの続きをしてくるのであった。 「そういや、週初めからの社内いじめも凄かったみたいだぜ。まあ今週は 俺たちに晒すのが少なくなったかな..」 「そりゃ俺たちが伊持の思う通りに動かないからじゃないか?ただ女子社 員たちだけで行なういじめの方が過激らしいぜ」 「過激って..いったいどんなことされたんだ?誰か聞いた奴いるのか」 「俺の彼女から聞いたんだが、月曜は資料室の書庫に押し込められたみた いだぞ」 「おい、それってもしかして資料室に増設された観音開きの書庫か?火曜 から資料を入れて良いって連絡がきたが、月曜は桜野さんが入ってたわけ かよっ!」 「ああ、表向きは半日資料室の雑用仕事だったが、実際は半日、裸で書庫 に居たってことだ」 「そりゃ、すげーな。けど先週のいじめに比べればマシじゃねーか?」 「いや、何か手足をX字に固定し、目隠しされた状態で放置ってことだぜ。 1時間ぐらい、わざと開けっ放しにしたようだぞ」 「おいおい、俺その時間っ!資料取りに行ったかも..5人ほどで行った んだが、端の書庫が開けっ放しになっていたぞ!近くに棚板が全部取り外 されて置いていたから変だと思ってたが..まさか桜野さんが中に居たっ てことか?」 「勿体ねー奴だな。見に行かなかったのかよ?棚板外されてて気にならな かったのかよ?」 「仕方ねーだろ。その時は急いでて確認なんか出来なかったし、俺たちの 他にも男子社員が大勢出入りしてたけど、全然騒いでなかったぞ」 「要は桜野さんがツイてたわけだな。まあ本人は生きた心地しねーよな.. 一歩間違えたら何人かに犯られてるし..」 「そーだな。4・5年前にも同じいじめがあった時は、10人ぐらいに犯され たって聞いたぜ。資料室のような密室じゃ犯り放題だしな」 「女子社員のイビリってマジで怖ぇな..けど、逆に言えば桜野さんって 相当悪運強いってことか?」 「だな..大体、あの中條にも犯られてねーし、こんだけ危機を乗り越え るってことは悪運が強い証拠じゃねーか」 「俺もそう思う。月曜は資料室の書庫で火曜は集中コピー室で全裸されて も無事なんだからな」 「!それ初耳だぜ。集中コピー室で全裸ってどういうことだ」 「お前知らないのか?ほら、水曜に続いた例のシュレッダー事件だよ」 「俺の彼女の話だが、桜野さんが伊持や先輩OLたちに難癖つけられて集 中コピー室で裸に剥かれたそうだ」 「そうそう、それも2台のコピー機の原稿台に寝かされてカラーコピー取 ったようだぜ。まあ、その場にいたのは女子社員ばかりだったから、どこ まで本当か分からねーが」 「でも丁度、乗せた場所がおっぱいとおま●こみたいで、何十枚もカラー コピーされたんだってよ」 「おいおい、そのカラーコピーはどうしたんだ?」 「それがよ〜。3階の大型シュレッダーがある廃棄書類置場に翌日の朝ま で普通に置かれたようだ..惨い仕打ちだよ」 「まさか、そんなお宝が廃棄書類置場にあったなんて..じゃあ、翌日そ のコピーしたものを..」 「ああ、水曜日に桜野さん本人にシュレッダーさせたんだが、あいつら大 型シュレッダーの危険性を教える時に桜野さんの社服や下着を入れたらし いぜ。袖が巻き込んだら大怪我してしまうって感じでな〜」 「だからって、全裸でやらせるのもどうかと思うが..じゃあ、昨日の夕 方からゴミ置き場で男子社員たちがいっぱいいたのはそのせいか〜」 「ああ、桜野さんの恥ずかしいシュレッダーの噂を聞いた連中が必死に紙 くずを漁ってたみたいだ」 「だから、シュレッダー事件なのか..でもな〜、マジで恥部をコピーし たものがあるのかよ?噂話が大きく広がっただけでねーか?」 「いやいや、ほれっ!俺のお宝を見ろよ。一見、ただの紙くずだが、一部 分だけピンクだろ?これ、乳首のとこだと思うぜ」「おおおっ!」  そう、シュレッダーのゴミを漁った一部の男子社員たちが、お宝として 結愛子の恥部の一部分を手に入れたようであった。  噂では無数の破片を大量に手に入れて復元を試みる馬鹿も居るとか.. 「それにしても桜野さんって裸にされまくりだよな。カラーコピーなんて、 ひどくねーか?よく辞めないで頑張ってるぜ。今日もどっかで裸にされて るんだろーな」  そう、男子社員たちの予想通り、結愛子は恥ずかしい姿で雑用をさせら れていた。結愛子への社内いじめが日常化したせいなのか、行き先掲示板 には「雑用業務中」と書かれた文字と一緒にブラとショーツが生々しくぶ ら下がっていた。  言うまでもないが、この下着は結愛子が数時間前まで身につけていたも のであり今、ノーパン・ノーブラで雑用をしてるということだ。  このまま社内いじめが悪化したら、結愛子がマッパ勤務をする日もそう 遠くはないだろう。


(最終更新:2011年4月1日(前編修正)いじめ部分追加
      2011年4月2日(後編)温泉いじめ等追加)
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