第16話「陰健課長、動く」


 奈緒の怪しい計画が着々と裏で進む中、結愛子は何も知らずに仕事に集 中する日々が続いていた。  結愛子が誕生日を迎えてからは、奈緒の嫌がらせは本当に無くなってお り、やっといやらしい嫌がらせから開放されたんだなとホッとしていた。  だが、今度は別の恥辱な危機が迫っており、出番を待ちかねたかのよう に1人の男が動き出した。  その男は結愛子が所属する食品部食品課の課長、陰健 太郎(いんけん たろう)。  甲高い声でセクハラ発言を連発し、おでこが思い切りハゲたブロッコリ ーヘアーに出っ歯で毛虫まゆ毛が特徴の女子社員や男子社員からもいやが られる男、陰健課長。  けど、ごくわずかな男子社員からは支持されている。それは狙った女子 社員を確実に辱しめられる手腕の持ち主だからだ。  刮目すべきは、女性をどんどん堕としていく数々の罠を仕掛けられる事。  この罠にかかったら真面目な女性でも淫らになっていくらしい。  それも相手の女性が堅物であればあるほど、罠が巧みとなって相手の身 体を蝕んでいく。それは「陰健課長の淫乱方程式」と囁かれるぐらいだ。  そんな陰健課長が今、狙ってる女性は結愛子であり、すでに幾つかの罠 を出せるとこまで来ていたのだ。 (ふ〜ふっふふ、やっと私の出番が来たか。あの小便お嬢(奈緒)の生ぬ るい責め方にはウンザリしていたとこだったし、やっとこれで思い切り私 の方程式を見せられるな) 「とりあえず、菊谷の報告を待ってから作戦を練ることにするかぁ〜」  どうやら課長は今、菊谷という社員に何か指示を出しているようだ。  この菊谷 充(きくたに みつる)は課長が側近とも呼べるほどの忠実 な部下2人のうちの1人であり、5月に行なった社内のボウリング大会で優 勝したエロ男子社員であった。  優勝した際、彼は課長の命令でバドガール姿で参加していた結愛子のチ ューブトップを下ろして、おっぱいポロリを成功させている。  まあ、代償として結愛子に強烈なビンタを公衆の面前でくらってしまい、 すっかり結愛子には嫌われてしまった。  が、この状況をいつか変えてやろうという野望を持ちながら課長の手足 となって動いている社員なのだ。  そんな菊谷が課長の指示を終えて戻ってきた。 「課長、奈緒様への報告終わったっす」「ご苦労。で、お嬢からゴーサイ ンはもらってきたか?」「バッチリっす。課長の好きな風に進めていい っすよ」 「そうか..それじゃ、まずは軽めの手でいくとするか。ところで菊谷、 桜野くんの新しい情報は何かあるかね?」 「そうっすね。先週、お宝を入れたってとこっす。結愛子ちんらしくない 派手な服と水着が幾つか手に入ったっす」 「相変わらずゴミ集めとは、下衆な奴だ。が、そんな君を私は気に入って いる!」 「ありがとうっす。そうっす、1つ言い忘れたことがあったっす」 「言い忘れたこと?何だそれは」 「まだ確証はしてないっすが、奈緒様が言うには結愛子ちんは衣類を捨て る時、写真に撮ってから捨ててるみたいっす。つまりはボクがもらったあ の水着の股布には結愛子ちんのおま●こが触れたってことっすよ!」 「それは面白い情報だな。これが本当なら大いに利用できそうだな。いや、 あういう真面目な性格だから、撮ってるのは間違いないだろう」 「課長、そんな写真があったら喉から手が出るほど欲しいっす。何とか手 に入れることが出来ないっすかね〜」 「そうだな。機会があったら手に入れておこう。それよりも、お前に頼み たいことがある。そう、明日の祝勝会の話だ」 「また何かやる気っすね〜。今度は是非、素っ裸にでも剥いて欲しいっす」 「おいおい、一応表向きは先週の料理勝負の勝利を祝うものだから、そん なことは出来ないよ。まあ、お前には物足りないものになるがそこは我慢 してくれよ」 「そうなんっすか。それは残念っす。まあ、ボクはそんなジリジリ責める 課長が大好きっす」「おいおい、好きだからって私の使ったものは集めな いでくれよ」「大丈夫っすよ。ボクが集めるのは結愛子ちんの物だけっす」  こうして菊谷を上手く使って翌日の祝勝会で何かを企む課長だった。  翌日、罠があることに気づかないまま、定時であがった結愛子は川阪と 一緒に祝勝会を行なうビアガーデンへ向かった。 「新橋駅の近くのビルの屋上だから、もうすぐですね」 「ああ、そうだな。それにしても祝勝会をビアガーデンでやるなんて課長 は何を考えてるんだ。まだ桜野さんは社会人と言っても未成年なのに」 「私なら大丈夫ですよ。こんなジメジメした暑い時なんですもの。みんな 思い切り飲みたいはずですし、悪くないと思うわ」 「桜野さんがそういうなら構わんが、よりによって新橋で噂のビアガーデ ンで祝勝会とは馬鹿課長らしいよ」 「噂のビアガーデン?噂が立つほど何かあるんですか」 「まあ、よくある夜のショーを見せるビアガーデンなんだ。男は嬉しいが 桜野さんや女子社員も参加することを良く考えて欲しいぜ」 「そうなんですか..」(夜のショーって..確かに最悪かも)  そう、これから祝勝会を行なうビアガーデンはエッチなショーを見なが ら飲む場所であり、女子社員たちにとっては苦痛となるかも知れない。  が実際に祝勝会が始めると、女子社員たちもショーを見て楽しんでおり、 口では課長の文句を言いいながらも、ショーを面白がってる感じだった。  そんな中、1人で苦しんでいるのは結愛子だけであり、顔を真っ青にし ながらショーを見ないようにしていた。  その結愛子に親友の美亜子が酔っ払いながら声をかけてきた。 「ひっくぅ〜、相変わらす顔を真っ青にしてるわね。ゆっちゃん」 「・・・美亜子は楽しんでるみたいね。よくみんな平気で見れるわね」 「いや〜。こんなビアガーデン、エロ課長が誘ってくれない限り行けない からね。エッチなショーと言っても、おっぱい出して男にパフパフするぐ らいだし〜。大したことないわよぉ〜、ヒック」 「いや..十分エッチだと思うんだけど..女性の私たちは場違いじゃ..」 「ひっくぅ〜、そんなことないよ〜。結構、女性客いるし〜、ショーも陽 気だから場違いじゃないよぉ〜」 「そうかな..まあ、美亜子の言うとおり、女性客は結構いるわね..」 「ゆっちゃんは真面目すぎ。ほら、少しは羽目を外さないとぉ〜。それに 今回は全て課長のおごりなんだし〜。タダ酒サイコォォー」 「はぁぁ〜、私も美亜子みたいにはじけたいわ..また気持ち悪くなって きたわ」 「飲んでないのに気持ち悪くなるなんて難儀な体質ね〜。いっそ、エッチ なショーが気にならなくなるほど飲めばいいんじゃない?」 「私、まだ未成年なのよ。新人歓迎会の時は仕方なく飲んだけど、20歳に なるまで飲むわけにはいかないわ」 「いや、私もゆっちゃんと同い年なんだけどぉ〜。下戸じゃないみたいだ し、せっかくの祝勝会だから飲もうよ♪お酒、本当は好きなんでしょ?」 「・・・そりゃ、お酒は美味しいけど..」 「じゃあ決まりっ♪ほら、まずは駆けつけ3杯よ。いっきいっきぃぃ〜」 「ちょっとぉ〜、これジョッキじゃないの〜。3杯なんて飲めるわけが..」 「いいから、いいからぁ〜♪飲んだのんだぁぁ〜」 「んもぉぉ〜、わかったわよ。1杯だけよ」  ごくごくごくっ〜。嫌々ながら飲む割には、まずは一気に1杯飲み干し た結愛子だった。 「さっすがぁ〜ゆっちゃん。いい飲みっぷりだね〜。ほらほら、まだ2杯 分あるわよぉ〜♪」 「美亜子ったら、強引過ぎるわよ。あと1杯だけよ..そんなに飲めるわ けないんだから」ごくごくごく〜。  どうやら結愛子はお酒を勧められると、どんどん飲んでしまうタチらし く美亜子の駆けつけ3杯が終わると、今度は他の社員のお酌まで受けてし まう羽目になった。  言うまでもないが、飲み続けた結愛子は1時間後にはすっかり出来上が ってしまい、見事なまでに酔っ払っていた。 「ヒック..ここ暑いわぁ」パサッ、パチンパチンッ  ほろ酔い気分の結愛子がジャケットを脱ぎ、ブラウスのボタンを1つ、 2つと外した。  ボタンを外したことで、ノースリーブのフリルブラウスには深いV開き が出来、結愛子の綺麗な鎖骨が現れた。  すぐに「うおぉぉっ」と叫ぶような男子社員たちの喜びの声が湧いた。  あともう1つボタンが外れれば、胸の谷間が拝めると確信した男子社員 たちは次々とピリ辛のおつまみを頼み始め、結愛子の目の前に置いていく。  狙いが見え見えの行動だったが、酔っていた結愛子は何も気づくことな くピリ辛のおつまみを食べていった。 「ヒック..あついぃ..あつい..」  大量の汗をかき始めた結愛子を見て、男子社員たちがガッツポーズを取 る。何故なら結愛子の手がボタンに伸びていたのが分かったからだ。  パチンッ。結愛子は暑さに負けて3つ目のボタンまで外した。いや、ま だ手はブラウスから離れていない。 「うおっ!ラッキー」って叫びたくなる行動を結愛子が取った。  そのまま4つ目のボタンまで外して、黄緑色のフロントホックブラジャー の谷間が露になった。 「おいおいフロントかよぉぉ〜」男子社員たちの誰もが見たい結愛子の美 乳を開放できるフロントホックが無防備に晒されていた。  もし、あれが外れれば結愛子のおっぱいポロリは確実だろう。  誰でもいい!あのホックを外してくれる猛者はいないのか?男子社員た ちはお互いの顔を見合わせ、お前が行けよとけん制し合ってった。  そんな中、酔いが回ってフラフラになった美亜子が結愛子の近くにやっ てきて余計なことを言ってきた。 「ひっくぅ〜、こらぁ〜ゆっちゃん。そんなハシタナイ姿したらダメらよ〜」 「えっ?私ってハシタナイ格好なの?」 「ゆっちゃんは酔っ払うとだらしなくなるんだからぁ〜。私が直してあげ るわよぉ〜」「ヒック..ありがとぉ〜美亜子」  服を直そうとする美亜子に向けて、すぐに男子社員たちの怒りの視線が 集中した。が、そんな彼らに向けて美亜子が人差し指を立ててちっちっち とやってきた。  パッチン〜ッ♪次の瞬間、美亜子は服を直すフリして結愛子のフロント ホックを外してきた。 「ゆっちゃん、ちゃんと直しておいたよ♪」ボタンを留めることもなく、 全く逆のことをやった美亜子が堂々と嘘をついてきた。 「ヒック..ありがとぉ〜美亜子ぉ」結愛子の方もホックが外されたこと に気づかないまま、美亜子に礼を言ってきた。  この後、美亜子は席を立ち男子社員たちからの惜しみない喝采を浴びな がら他の場所へ移動した。  一方、何も気づかない結愛子はブラから開放されたDカップの美乳を左 右へぶるんぶるんと揺らし、男子社員たちの興奮を高めていった。  まだ、おっぱいポロリはしてないがノースリーブのフリルブラウスの中 ではブラは思い切り外れており、大量の汗で透けてるブラウスに見事なポ ッチが浮かんできた。 「うひゃぁ、結愛子ちゃんの乳首が透けてんぜ」 「透け乳首ぐらいで喜ぶなよ。よく観察しろよ!見る角度によって生乳首 がチラチラ覗けるぞっ」 「それに結愛子ちゃんって酔うと結構、無防備になるんだぞ。さっきなん てブラウス持ってパタパタ風を仰いでたぞ。俺、悪いけどおっぱい見させ てもらったよ」 「ちくしょぉ〜、俺も何とかして生パイ拝ませてもらうぞぉぉ〜」  男子社員の誰もが、無防備になった結愛子のおっぱいショットを狙う中、 課長だけは何故か静観していた。  どうやら、頭の中では姑息な考えを巡らしており、結愛子自身が心の葛 藤をしてることも見抜いたらしい。 (くくっ、おそらくホックが外れてることを知ってるな。きっと酔ってる 自分を何とかしようと頑張っているのだろう。まあ、無駄な行為だがな〜)  そう、結愛子は自分のおっぱいが覗かれてるのを知りながらも乱れた服 を戻すことが出来なかった。 (ぁぁ..早くボタンをつけなくちゃ..みんなが私のおっぱいを必死に 見ようとしてるわ..)  課長の読み通り、結愛子は酔っていながらも自分の置かれた状況を分か っていた。だけど、酔ってるせいか自分の手を思い通りに動かせない。  いや、まるで酔ってる自分がおっぱいを出そうとしてる気がしてならな い。(どういうことなの..私って酔うと脱ぎ癖があるの?ううん、そん なことは絶対にないわっ!)  必死に酔いをさまそうとする結愛子だが、どんどん追加のお酒を飲まさ れているのがわかる。すでに下半身の方も酔いで足が開き、その奥から悩 ましい匂いが漂ってきた。 (えっ?わ・私、まさか濡れてるの?いや..これは汗よ..汗だわ)  相変わらず、男子社員たちが結愛子のおっぱいに注目してる中、ひっそ りと結愛子の足が開きはじめ、スカートを捲り上げていく。  ついには黄緑色のパンティーが丸見えになったが、おっぱいに夢中にな ってる男子社員たちにはあまり注目されなかった。  が、もし注目したら大変なことになっただろう。パンティに大きなシミ が浮かんでおり、それは明らかに愛液で濡れた跡だった。 (このシミは汗よ..汗なのよぉぉ〜。濡れてなんかないわ..きっと私、 お酒で頭が変になってるのよ..だって、この手でブラウスを思い切り捲 りたくなってるし..ぁぁっ..それだけはやっちゃダメよっ!)  結愛子は自分が馬鹿なことをしないように必死で理性を奮い立たせてい た。少しでも気を緩めたら、お酒の勢いで裸にでもなってしまいそうな気 がした。 (何でこんなにいやらしいことをしようとしてるの?ち・違うっ、私はそ んな破廉恥な女性じゃないわっ)  今、お酒の力が結愛子を少しずつ狂わしていく。かって新人歓迎会で泥 酔した時には野球拳をしてしまった失敗があっただけに、このままだと何 をしでかすか分からない結愛子だった。