プロローグ
とある社内ミスコン。会場の歓声が盛り上がる中、優勝者の女性が
笑顔を見せながら手を振っていた。
「ありがとうございます。まさか優勝するとは思いもしませんでした。
今後も会社の為に頑張っていきますのでよろしくお願いします」
桜野 結愛子(さくらの ゆあこ) 19歳。
彼女が今回、国内でも大手に入る崎長食品会社の社内ミスコンで優勝
した女性であった。
容姿端麗・スタイルも抜群。その上、胸もDカップの美乳の持ち主で
ある。
社員としても有望であり、今は開発部に所属して、パートナーの男性
社員と日々いろいろなヒット食品を生み出してきた。
まさに才色兼備と言わんばかりの女性であり、彼女の将来は明るく素晴
らしいものだと保障されてると言っても過言ではなかった。
だが、こんな彼女を妬む女性がいた。
社内ミスコンの裏手で優勝を悔しがる女性、崎長 奈緒 20歳。
何と彼女は崎長食品会社の社長令嬢であり、去年までは社内ミスコンで
連続優勝していたのであった。
「く・くやしい・・・あの女・・・私の彼を取っただけでは飽き足らず、
今度はミスコンまで奪うなんて・・・」
実は桜野 結愛子が仕事でパートナーを組む男性社員は彼女の憧れの
男性であり、自分が告白しようとした時には、すでに桜野 結愛子と
付き合っていたのであった。
「ゆ・許せない・・・あの女、いつしか彼が嫌うような女に陥れてやる
んだから・・」
嫉妬と悔しさに燃える女、崎長 奈緒。
この彼女を怒らせたせいで今後、桜野 結愛子の運命が大きく変わろう
としていた。
数ヵ月後、桜野 結愛子はいつもの通り、パートナーの男性社員の川阪
隼人と一緒に新しい食品を開発している日々を過ごしている。
パートナーの川阪は普段、ぐうたら社員と言われてるが、こと料理に関
しては、比類ない才能を持っていたのであった。
そんな川阪と今日はある食品会社と料理勝負をする為に2人してテーマ
の鍋物について最後の仕上げを行っていたのであった。
「桜野さん。どうだい?今度のこの味は?」
「!!ん!な・何これ・・・口の中で香ばしさが増してくるわ?」
「ふふっ。少し工夫をして香りづけをしたのさ」
「こ・こんな鍋物は初めてよ。こ・この前よりもずっと美味しいわ」
「ああ、味覚で舌を、視覚で目を楽しませ、触覚で口の中で心地よい噛み
を与える」
「で、香ばしさで嗅覚ってわけね」
「ああ、そして食欲を一層高める音さ。そう聴覚も楽しませてるんだ」
「す・すごいわ。それにこの多彩な具なのに味もおかしくないわ」
「ああ、ちゃんと6味をバランスよく抑えてるからな」
「6味、そうか。甘さ・辛さ・酸っぱさ・苦さ・しょっぱさ・旨味が全て
味わえるわ!」
「そうさ。この鍋物ならあいつも何も言えまい。そうだろ?」
「ええ、これなら問題ないわ。今日は私たちの勝ちよ」
「ああ、じゃあそろそろ準備するか」
「はい」
2人は勝負会場に行く為の準備を始めた。
そう、この日まではごく普通な何にも変わりない生活だった。
ところが、これからあの事件が起こってから2人の運命は大きく変わって
いくのであった。
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