プロローグ
時を得た少年 島崎 時斗(しまざき ときと)。
俺の名は島崎 時斗。
ごく普通の高校生であり、最近、奥歯の治療で歯医者に通っている
日々を過ごしている。
奥歯の治療もようやく終わり、家に帰ると変な違和感を感じる。
そう、詰めてる歯が浮いており、スイッチのように押すとカチカチ音が
鳴るのであった。
(何だよぉぉーーーあの歯医者め〜!中途な治療をしやがってぇぇ!)
明日にでも怒鳴り込んで治してもらおうと思ったのだが、何か別の違和感を
自分の部屋に感じてしまう。
音が全て消えた部屋。いや、まるで全てが止まってる感じだった。
窓を開けるとそれは事実として確認できる。
先ほどから小雨が降っていたのだが、その雨粒が空中で全て停止しており、
道路の方も走っている車が止まっていた。
しばらくは頭が混乱してしまったが、時間が経つにつれてだんだんと落ち着いて
考えることが出来た。
理由はわからないが、何かをきっかけに時が止まり、何故かその止まった世界で
自分だけが動くことが出来るのである。
(いったい..どうやって時間を..)
一生懸命、考え込む中、ふいに違和感のある奥歯を噛む。
カチッ..
小さな音と共に全ての時が動き出す。もしやと思って再び奥歯を噛んでみる。
カチッ..
再び時間が全て止まる。どうやら、この奥歯がきっかけで時が動いたり止まったり
するようだ。
奥歯の音を鳴らすたびに時を止めたり、動かしたり出来る。
何だが、わからないが、とんでもない力を手に入れたのは確かだった。
時を自由にあやつる力。
俺はふとしたことから凄い力を使うように出来るようになったのだ。
そして、ここから俺の時をあやつる物語が始まるのである。