どっきりアイドル桐愛 −序章− 読切


鞠永 桐愛(21歳)…かって清純アイドルと呼ばれた人気アイドル。            絶頂時にヘアヌードを1度だけ出して日本中を            話題に巻き込んだが今では人気が殆どない。  −プロローグ− 1度脱いだアイドル  鞠永 桐愛(まりなが きりあ)。かって清純アイドルNO1と言われ 数多くのCMにも番組にも出てた彼女だが18歳の人気絶頂時に大物写真 家によるヘアヌードで多くの話題を取ったアイドルだった。  しかも、カラーの全裸写真を大手新聞の全面広告に掲載したので、世間 は大騒ぎとなった。  だが、それは彼女なりの計算があり、彼女は20歳前に芸能界を引退す る気持ちでの最後の話題作りであり、また大物写真家に一番綺麗な時の姿 を撮って欲しい願望もあった。  そして彼女の計算とおり、大きな話題ともなり逆に1度全てを見せてし まったと言う事から清純アイドルとしての価値も消えあっさりと19歳の 時に引退する事が出来た。  しかしここまでの地位を得た彼女がなぜこうも早く引退したかったのは 女性ならばの理由があった。  そう実は彼女は3年間つきあっていた彼氏がいてその人と早く結婚した いという恋心がここまで彼女を動かしたのであった。  今までは清純アイドルとしての立場からほとんど会えなかったかもうこ れからは遠慮なく一緒に暮らせると思ったのだ。  だが世の中全てがうまくはいかなかった。実際一緒になってみると相手 の欠点が次々と見えてしまい理想とのギャップが出始めてしてしまった。  また彼女自身今まで男性経験が乏しい世界の女の子だった為、意外と結 婚までは純潔を守ると言う昔ながらの考えを持っていた。  それに比べて彼氏の方は性欲盛んな年齢であり一緒に住みながらも肌1 つ見せてくれない彼女にイラつき始めていた。  ましてや純潔を守ると言っても1度は日本中の男たちに全てを晒してい るのであって納得いかない点も多くあった。  当然こういう2人の不一致が次々と出てしまいわずか3ヶ月で別れてし まったのだ。  まあ彼女自身は別れた事には後悔はなく今後は平凡なOLでもやってゆ っくりとしようと思ったのだが...  そう世間は今や不景気の嵐でましてや彼女は芸能界を10年近く集中し てやっていた女の子の為、学力もなくとても採用試験などに受かるはずは なかった。  結果、彼女はしばらくは稼いだお金でゆっくりと考えるしかなかったが、 ある番組を境に彼女は違った道で有名になっていくのであった。  −1− かってのアイドルストレス  気が付くと桐愛は21歳となり、芸能界を引退して2年が過ぎた。  この2年間はどんなオファも断り一切ブラウン管の前に現われる事はな かった。  そう意外にも倹約家の彼女は貯めたお金がほとんど残っておりその気な らあと10年ぐらい無職で生きれるぐらいのゆとりがあった。  けど彼女自身はそういう堕落した生活は好まず、ある事に必死にチャレ ンジしていたのであった。  それは意外にも”お笑い”であり彼女は実は芸能界に入った時からいず れはそっちの方に行きたいと思っていた。  だが彼女の容姿と優しい声がその道を完全に絶たれてしまい清純アイド ルとしてのレールしか用意されていなかった。  また所属プロダクションもまじめであり落ち目になったアイドルを転向 させるなどしない所だった為、彼女はあっさり引退できたのであった。 「あーあ。やっぱ今からじゃだめね。お笑いって言っても才能ないし..」  恋愛からすっかり覚めた桐愛は再び芸能界の道を歩こうとしていろいろ 考えていた。 「はあ、でも清純アイドルはもう御免よ。あれははっきり言ってストレス が溜まっていくし、変なおたくには付きまとわれるし、ばっと脱いで引退 して良かったのかも」  そう彼女はもう清純アイドルとしての未練はなく逆に違った世界での芸 能人になりたかったのであった。 「出来ればバラドルもいいけどあれも何かアイドルっぽくてやっぱ耐え切 れないわね。どうせならコント役の脇で充分なんだけどね...」  かってトップアイドルにまで登りつめた彼女にとってもはや上の世界に は感心はなく脇役でも長続きする芸能人を狙っていたのであった。  もうあのストレスや過密スケジュールは味わいたくなく今の自分相応な 役さえあれば充分であった。  そんな時だった。とあるプロダクションから変なオファが来たのは...  −2− 変なオファ  ある日、彼女に変なオファが来たのであった。  それはそこそこ有名な弱小プロダクションからのオファであり、そこの タレントさんの大体が体当たり芸能人であり芸能界では”よごれ専門”と 言われるほどの所であった。  けど大まかな部類で見るとお笑いの部類であり桐愛自信もそこのタレン トさんは結構好きな人が多かったのであった。  とりあえずせっかくのチャンスと思った桐愛はプロダクションに行き、 そこの社長さんの豚野社長に会ったのであった。  豚野社長、実はかってはバラエティのよごれ役で有名な人であり必ず変 な罰ゲームやコントでよごれなおいしい役をやってた芸人であった。  会ってみるとものすごく優しく芸人思いである事がよくわかった。  そうこれだけよごれと言われるプロダクションだがここにいる芸能人は まだ誰1人ここから移ろうとしないほど、いい雰囲気だった。 「えっと、たしか桐愛ちゃんだったよね。あの清純アイドルの...」 「はい。でもそれはもう過去のことで今は新人扱いで構いませんので」 「うむ感心だのう。他のお局清純アイドルにも聞かせてやりたいのう」 「あのーところで、今回のこのオファ良くわからないので詳しく聞きにし たのですが」 「ああ、それか。それは実際やっての楽しみって事で。うちは知ってると 思うが、よごれな事ばっかやってるのでな。あまり台本ってのはないんだ」 「はあ、でもこれだけだとちょっと..」 「そうだのう。じゃあ1つだけ言よう。今回のオファははっきり言って女 のよごれじゃ」 「女のよごれ?それってここのタレントさんがやってる事を私が?」 「そう、普通女のよごれと言ったらどうしようもないブスや男みたいな子 がやるのだが、あえてその常識を跳ね返したいのだよ」 「瀬町課長代理みたいな感じですか?」  瀬町課長代理、かっては中小の会社の課長代理だった人が一般参加した コーナーのやり取りがおもしろくて豚野社長が強引に引き抜いたのであっ た。 「そうじゃ。彼は別に台本を見てやってるのではなくあくまでも会社にい た時と同じ雰囲気でやってもらってああいうキャラになっているんだ」 「…って言うと私は清純アイドルのイメージでよごれをやれと?」 「それはやめて欲しい。私はあんなストレス溜めてた清純アイドルの君を 欲しいとは言っていない。あくまでも素の君が欲しいんだ」 「素の私ですが?」 「そう1度、楽屋裏で君がうちのタレントと馬鹿話で盛り上がっていたの を見て私は君のその素を気にいったのだ」 「はあ、でも私はっきり言って演技とか下手ですよ。それでもいいと?」 「ははは、演技などはいらんよ。君は素のままでやってくれればいいんだ よ。ただこのオファはもう1度言うが完全なよごれで君がやればかなりシ ョックを受ける者を多いと思う」 「そんなによごれなんですか?」 「ああ、これがオンエアすればまず私のプロダクションにかなりの抗議が くるし、ワイドショーのネタにはなるだろう」 「…そうなっても私をこのオファに出したいのですか?」 「うむ。君にある程度の意思があればもう少し詳しく話そう。もちろんそ の後で断っても一向に構わんが」 「…わかりました。私別にそんなよごれに変なイメージ持ってませんので やってみます」 「そうか。じゃあ約束どおり詳しく話すとするか、ちょっと衝撃的な内容 なんで驚かんでくれよ」 「は、はい..」  そのオファはTV業界でよくある”どっきり”ものであり、桐愛はある ミニコーナーの仕掛け人となって大物芸能人をだます設定であった。  そのミニコーナーのタイトルは”大物俳優のタオルをGET”だった。  桐愛は社長が詳しく言う前に変だと思った疑問を先に聞き始めた。 「あのーこのタオルって一体何のタオルなんですか?」 「実はな。そのタオルは腰に巻くタオルの事じゃ!」 「腰?それってまさかお風呂で巻くあれですか?」 「そう、感がいいのう。そう風呂に入る時巻いてるタオルじゃ!」 「・・・・・・」(顔を一気に赤める桐愛) 「まずはこのビデオを見たほうが説明しやすいだろう」  社長はある番組のどっきりTVのミニコーナーのビデオを観せてきた。  そこには、このプロダクションでNO1のよごれブスで有名な光永がや っているコーナーが出ていた。  そのコーナーはまさしく今回のオファと全く同じのコーナーであり、た だ違うのは相手が若手お笑いと言う点であった。  派手な似合わないビキニを来た光永が男子風呂に突入し、若手お笑いの タオルを奪取するドッキリであった。  ただ相手は若手お笑いの為、恥ずかしがるものは意外にいなく逆に平然 とその下劣な箇所を光永にくっつけていく下品なオチつきな内容だった。  桐愛は冷ややかな目と呆れた感じでそのビデオを最後まで観た。 「どうだ?呆れただろ?これな案の定3回でつぶれてしまった最悪なコー ナーなんだよ」 「そうですね。私にはやりたくない事ですね」 「そうだろうな。だからこそあえて見せたのだ。何せ君のやる事はこれ以 上に下劣になるかも知れないからな。」 「え?今以上って..あの社長さん..正気でそんな事言うんですか?」 「正気だよ。君が全てを承諾しなければ出来ない事だから。ただな下劣と 言っても、君の下劣はあの光永のものとは違うものだがな」 「?違うもの?どういう事です」 「まずは今度の相手は大物俳優が相手だ。はっきり言ってあんな若手の行 動はとらないだろう。そう恐らくは相当な顔で激怒するだろう」 「そうですね。大物俳優さんを怒らしたら大変なのはわかってます」 「だからこそ、こういう場合は君が全ての下劣を引き受ける事になるのだ。 要するにあの光永みたいに相手が下劣にのらない分、君1人が下劣をする 事になるんだ」 「私1人が下劣を?それはどういう事ですか?」 「つまりだ。そこが君を今回選んだ理由なのだ。光永は見ての通り、ビキ ニを着ても、やっぱ下品に見える。当然それ以上の格好は見るに耐えない ものがある」 「・・・・・それってまさか私に、、は、裸で」ドキッ! 「そう、君がこれをする時は水着すらもないって事だ!」 「み、水着を着ないって..それTVですよね?」ドキドキッ! (あれ?わ、私何でこんなにときめいているの?ここは怒るとこなのに) 「ああ、TVだよ。だから、初めから裸で行けばただの下劣なAVか深夜 番組みたいになってしまうだろう」 「そうですよね..もしかして、素肌の上にタオルを巻くんですか?」 「さすが感がいいのう。そう君にはタオルを巻いてやってもらいたい。た だしバスタオルの様なタオルじゃなくあくまで男性と同じ腰巻タオルを上 と下に巻いてやってもらうのじゃ」 「上下に..こ、腰巻タオル〜〜〜!」ドキッ! 「言うまでもなく、それなりのハプニングは出るじゃろうな」 「・・・それって恥部が見えてしまう時もあるって事ですね」 「そうだな。いいやどちらかと言うと毎回編集なしでは見せられないもの になると言った方が近いだろ」 「…つまり、早い話相手が大物俳優でも男性なので、怒らせない方法と言 えばこちらが肌を晒して慌てさせるって感じですね」 「ああ、だがこれを君がやればとんでもない反響がくるだろう。それは君 にもわかるはずだ」 「…あ、あの、社長さん。そもそも、ここまで素直に話したら普通誰も引 き受けてくれないんじゃ..」  桐愛は優しい笑顔で社長に問い掛けてきた。 「いいや、ここまで全て出して引き受けてもらわなければよごれじゃない からの」  社長も一切の変な思惑のない真面目な顔して桐愛に答えを返してきた。 (社長さん、本気なんだわ..けど..何か不思議だわ..私、全然嫌な 仕事に思えない..むしろ何か、やりたくてムズムズしているような..)  ふと、桐愛はヘアヌードの撮影時を思い出す。大部屋の中で1人だけ全 裸になって生まれたままの姿を撮られていく。  その際、写真家の方から、人払いをするかを聞かれてきた。  けど、桐愛は「このままで大丈夫です..」と大勢の撮影スタッフの前 で全裸となった。  別に裸を見られたいというつもりではなかった。どの道、今撮られてい るヌードが多くの男性の目に晒されるのだから、ここは勇気を振り絞って 皆に見られることを選んだらしい。 (ぁぁ..でも、すごく恥ずかしい..こんな大勢の人の前で裸を晒した ことなんてないのに..)  しかも、前張りも一切つけないので、編集前の写真は桐愛のおま●こは 無修正のままである。  大物写真家も、桐愛のエロさをもっと引き出したいがために、写真集に は載せられないポーズも要求してきた。 「桐愛ちゃん。両指でおま●こ掴んで、そのままカメラに向けて左右に引 っ張っていいかな〜」「あっ、あぁっ、こ、これで、いいですか..」 (あの時の私、すごくエロくて、途中から気持ちよくなってたわ..写真 集ではカットされるのが分かってたのに..私、もしかしたら裸を晒すの に抵抗がないのかも..)  もう今の桐愛は、このオファを嫌う要素は一切なく、逆にゾクゾクと快 感で震える気持ちを抑えながら、返事を口にした。 「…そ、そうですね。わ、私はヘアヌードもやってますし、は、恥ずかし いけど、その仕事引き受けます」 「そうか。じゃあ早速契約をしよう」  こうして桐愛はとんでもないものにチャレンジする気になったのであっ た。  だがそこには桐愛が思ってるほど以上の羞恥が待っていたなんて気づく 事もなかったのであった。 <完> ※当時、この作品のアップの有無を掲示板にて聞いた際、何の反応も無い 為、そのままお蔵入りになってしまった経緯がありましたが、完成度が高 いので誤字脱字だけ直して公開することにしました。 (2002年の段階ではここまでだったので、序章として読切にしてあります)


「どっきりアイドル桐愛 −序章−」完