完裸症−恥辱の疾患− 読切


 奇跡のエネルギー、最新科学の英知・高度文明の結晶が生んだ石油に変 わる新しいエネルギーが作られた。  安価で大量に生産できる上に、自然にも影響を及ぼさないため、一気に 世界中に広まり、様々な機械のエネルギーとして使用されることになった。  だが、このエネルギーから飛散した煙を吸いすぎると、あるアレルギー 症を引き起こすことが後々にわかった。  そのアレルギー症の名は「完裸症」。  一部の若い女性だけが引き起こす恥辱の疾患であった。  今日もその疾患の宣告を受けて愕然とする少女の姿があった。 「う・うそですよね..先生..私が「完裸症」だなんて..」 「残念ながら、手の紋章がはっきりと出ている以上、「完裸症」であるの は間違いないだろう」  少女の手の甲に綺麗に浮かび上がった紋章。これは花粉症などで用いら れるアレルギーの元を皮膚にたらして反応を調べるスクラッチテストのよ うなものであり、新エネルギーの加工薬品を手の甲の皮膚に注入して疾患 判断するものであった。 「もう1週間前から動悸がひどいようだが、おそらく発症しかけているに 違いないだろう」 「はい..動悸もそうですが..ジンマシンの方もひどくなってきてるん ですが、これも「完裸症」の症状なんですか?」 「正確には服や下着などに接触して起こるもので、服を着ていると身体が 勝手に服を危険物と判断して、それを排除させようとする警告抗体が作り 出される。この抗体が様々な症状を引き起こしているのだよ」  そう、簡単にいうと「完裸症」とは花粉症や金属アレルギーと似てるの であり、身に付けるものに対して激しいアレルギー反応を引き起こすもの であった。 「つまり..服や下着をすべて脱げば症状が出ないということですか」 「そういうことだな。残念ながら現在の科学ではこの「完裸症」に対して の治療方法も未確立で、症状が自然に消えるのを待つだけなのだよ」 「自然にって..いつ治まるんですか?」 「大体、30過ぎが平均だと言われてる。若いうちにしかかからないのも「 完裸症」の不思議なメカニズムというしかないだろう」 「あ・あの..それじゃ、私はこれからどうすれば..」 「もちろん、全裸で生活してもらうことになる。服を着続けると命にも関 わってしまうからな」 「そんな破廉恥なこと出来ませんっ!大体、裸で生活だなんて外に出たら 捕まってしまいます」 「それは問題ない。君もすでに外で見ているはずだと思うか。「完裸症」 の女性が全裸で外を歩いてる姿を」 「ぅぅ..それは知ってますが..けど、どこで見分けるんですか.. あういう女性が「完裸症」だと..」 「手の甲の紋章だよ。この紋章をしているものは国から全裸で生活してい いことが認められている。先進国のほとんどが「完裸症」を認知している ので海外旅行も裸でいくことが可能だよ」 「そんな恥さらしな旅行なんてしませんっ。私は死んでも服を着ます」 「それは無理だな。「完裸症」と認知された女性に服を着させて死亡させ ると殺人罪が適用されるから、もう君に服を売ることも出来ないのだよ」 「そ・そんなぁ..」 「さて、明日からの全裸生活にいろいろ手続きがあるから強制的に受けて もらうよ」  こうして少女は強制的に役所に連れて行かれて、いろいろな手続きをさ せられてしまった。  少女の名は成岡 瑞穂(なりおか みずほ)。共学の高校に通っている 2年生であり、学校の文化祭で開催したミス学園コンテストでは優勝した ほどの美少女であった。  もちろん、彼女が水着になっただけで男子生徒全員が総立ちして歓喜す るのだから、これはとんでもない事態であろう。  何せ、明日からミス学園の成岡 瑞穂が生まれたままの姿で登校して学 園生活をすることになるのだから。  だが、手の甲で「完裸症」と判断するといっても、いきなり全裸できた ら、おかしく思われてしまうのではないだろうか?  もちろん、そんな混乱を防ぐために瑞穂は病院のあとで、いろんな手続 きをしており、その内の1つを自分の部屋で確認し始めた。 「本当に載ってしまうのかしら..あんなのが載ったら私..」  瑞穂が自分のPCを立ち上げて、ネットであるページを検索した。 「あった..特別官報サイトのページが」  官報とは別の、国が正式に発行している機関サイトであり、国民なら誰 もが普通に見られるサイトであった。  今日の特別官報目次の「完裸症」告示のリンクをクリックすると何と、 成岡 瑞穂の名前が記載されている。 「私..全裸で生活することを国で認められてしまったのね..」  自分の名前が載っていることにショックを受ける瑞穂であったが、詳細 リンクを押すと、それ以上の衝撃を受けてしまった。 「うそっ!何で私の裸の写真が載ってるの!?こ・これ、国が発行してる ものなんでしょ!」  何と堂々と瑞穂の全裸姿の全身写真が載っており、役所で写されていた 全裸写真がここで使われるなんて思いもしなかった。 「いやぁぁぁーー!何よ。前姿だけでなく横姿や後ろ姿まであるなんて..」  まるでどこかの犯罪者のような感じで名前が書かれたプレートを持たさ れて、前後左右から見た写真が載っており、さらには写真にマウスを持っ ていくと、クリックができるようになっていた。 「まさか..これって..」  試しに自分のおっぱいに合わせてクリックしてみると瑞穂のCカップの おっぱいがズームアップされて別ウィンドウで表示されてきたのだ。 「ああっ..私のおっぱいが..いやぁぁぁぁっ」  おっぱいの写真の下にはバストサイズから乳首の色・形・長さや乳輪の 大きさまでの詳細なデータが書かれている。  これでは、どこかのアダルトサイトを見ているような気がしてしまう。 「もしかして..下までも..」  いくら何でも下の方は表示はしないだろう。国が女性の秘部の写真を載 せるなどあり得ないからだ。  だが、恥丘をクリックしてみると、何のモザイクもしてない無修正の瑞 穂の恥丘のドアップが出てきてしまった。 「何なのよ!これっ!国がこんな卑猥なもの載せていいのっ」  あまりの仕打ちに怒りを露にした瑞穂だが、恥丘データのところに”さ らに詳細”を見つけて顔が真っ青になる。 「さらに詳細って..ど・どういうことよっ..これ以上、晒されるって いうの」  おそるおそるマウスを合わせてクリックすると、今度は瑞穂のおま●こ が無修正のままで表示されてきた。  それも、よく見るとJAVAアプレット形式でおま●こが表示しており、 ”陰唇に合わせてドラックすると引っ張れます”と書かれていた。  そう、何と瑞穂のおま●この中まで見れるようにしていたのであった。 「おま●こまで晒されるなんて..いったい、これって何人見てしまったの?」  完全に身体の隅々までネットで晒されてしまった瑞穂が、次にカウンタ をチェックすると信じられない数が表示していた。 「10万アクセスって..もう私の裸を10万人以上が見てるってこと?」  瑞穂は知らないだろうが、実はこの特別官報は、ほとんどの男性がお気 に入りに入れており、必ず毎日チェックするページとなっていた。  もちろん、瑞穂が通っている高校の男子たちのほとんどが、このページ のことを知っており、今頃は狂喜に近い大声をあげて喜んでいるであろう。  しかし国の機関であるものが、ここまで破廉恥なことをしているのだろ うか?  それは簡単な答えであり、「完裸症」の女性をすぐに国民全員に認知さ せるためであり、裸で歩く姿を見ても警察などに通報をさせない目的があ った。  あとは裸で生活しなければ駄目だと本人に理解させるためでもあろう。  だが、これは「完裸症」の手続きの1つであって、まだこれから、いろ んな恥辱な手続きが始まるのであった。  特別官報で自分の恥部をほとんど晒してしまった瑞穂だが、恥辱はまだ まだ序章に過ぎなかった。  恥部を晒されたショックを押さえながら、自分が載っているページを見 ていると、まだとんでもないことが書かれていた。 「う・うそっ..住所や私の携帯番号まで載っているわ..何でここまで 情報公開してるのよっ!」  裸の写真だけではなく、自分の個人情報まで公開されてることに疑惑を 抱く瑞穂だが、実はこれにはちゃんとした理由があり、それは後で説明す ることにしよう。  そろそろ2つ目の手続きが行われるようであり、瑞穂の家の前に数台の 運送屋の車が止まった。  運送屋の男たちが車を降りて、次々と瑞穂の家に入っていき、そのまま 瑞穂の部屋にノックをせずに乗り込んできたのだ。 ガチャ!ドカドカ 「えっ?ちょっと何をしてるんですか!」  部屋に乗り込んできた男たちが、いきなり瑞穂のタンスを持ち上げて部 屋から出ていってしまう。 「何で私のタンスを?そ・それには私の服がっ!」 「わかってますよ。私たちは貴女の服を回収しにきたんで。手続きもした はずだと思いますが」  1人の男が瑞穂がサインした書類を掲示して、続けて説明してきた。 「ほら、ここに私は「完裸症」が完治するまで一切の服を国に預けますって」 「あっ..けど、別にここに置いていても服は着ませんので」 「駄目ですよ、それじゃ。現に今のあなた、無理して服を着てるじゃあり ませんか?このままじゃ症状が悪化するだけですよ」 「あ・明日から脱ぐつもりだったのよ..今日ぐらい着ても」 「結局、服があれば着てしまうんですよ。だから全て没収させてもらいます」 「まさか..今、着てる服もですが..」 「当たり前です。さあ、次の業者がもうすぐくるので、こちらで脱がしますよ」  数人の男が手際よく、瑞穂の手足を押さえて服を脱がしていく。  気がつくと下着も取られてしまい、あっという間に全裸にされてしまった。 「ああっ、み・見ないでくださいっ」 「何、恥ずかしがっているんですか?明日からはそれで外に出るんですよ」 「出ませんっ!は・裸で居ればいいんでしょ!外に出るつもりなんてあり ません」  実は、瑞穂は明日からずっと家に閉じこもるつもりでいたようだった。  そんな瑞穂に男が一言だけ忠告して部屋から出て行ったのだ。 「誰もがそういいますが、「完裸症」を甘く見すぎてますよ。まあ、後で 他のものが説明するでしょ。では」 (甘く見てるって何よっ!みんな、私を晒して喜んでるだけじゃないっ! いつから、この国はこんな破廉恥になったのよっ!)  あまいにも不条理なことに納得がいかないとこに、また別の業者が部屋 にやってきたのであった。  ガチャ!ドカドカ 「やっぱり、しっかり閉めていたか。おいっ、すぐに外すぞ」 「ちょっと!何、カーテンを外してるのよっ!外から丸見えになるじゃない」 「嬢ちゃん、外すのはカーテンだけじゃないぞ」 「えっ?」 「うーむ、やはり下半分はすりガラスになってたか。おい、交換するぞ」 「な・何をするつもりなのよっ」  どうやら、部屋にやってきたのはリフォームの業者であり、瑞穂の部屋 のカーテンを全て外した上に、窓ガラスを全面透明なものに交換してきた のであった。 「こ・これじゃ外から丸見えになっちゃう..やめてください」 「嬢ちゃん、もしかして「完裸症」の怖さを知らないのか?」 「こ・怖さって?」 「この「完裸症」ってやつは完裸を維持しないと、どんどん悪化するんだぞ」 「それは知ってます。だから、さっき服を取られてしまって..」 「ふぅ〜、わかってないな。嬢ちゃん、なぜ「完裸症」の女性が恥ずかし さを我慢して外に出てるかを理解してるかい?」 「それは..外に出なければいけない理由があるんじゃ」 「半分正解だな。俺が同じ立場だったら、まず歳を取るまで、ずっと閉じ こもっているな!嬢ちゃんもそう思わないか?」 ギクッ。「そ・それは当たり前の行動です..誰が世間のさらし者に..」 「やっぱりな。まあ、年頃の女性にいきなり全裸で外に出ろなんて無理な 注文だ」 「・・・・・・」 「まあ、分かりやすく言えば「完裸症」が悪化すれば”完裸”の認識範囲 が広がってしまうんだ。わかるかい?」 「いえ、よく分からないんですが..」 「つまりは、今外したカーテンも身体を隠しているモノになってしまい、 さらに悪化すれば、すりガラスも..いいや部屋そのものが服の代わりと 認識されてしまうんだよ」 「そんな馬鹿なことが..」 「すでに部屋に閉じこもっていた「完裸症」の女子高生が数人、重症とな って病院に運ばれているぜ」 「でも、その時になったらカーテンや窓ガラスを変えれば..」 「それじゃ遅いんだよ。悪化したものは元に戻せない。これがどういう意 味がわかるかい?」 「いえ..」 「2度と室内に入れなくなる。ずっと全裸で野外生活することになる。それ は、いくらなんでも国としても頭の痛い問題となってしまう」 「つまり..これは悪化させないために?」 「まあ、そういうことだ。嬢ちゃんを晒し者にして楽しんでるわけじゃな い。俺だって自分の娘が「完裸症」になったら心を鬼にして晒すつもりだ」 「・・・・・・」 「おそらく、嬢ちゃんは完裸の意味がわかってないだろ?ただ裸になれば いいと思っているんだろ?」 「えっ..だって、それ以上に何があると言うんですか!」 「完裸とは常に裸でいるということを意識付けするものだ。誰も居ないと こで裸になっても見えなくちゃ、服を着てることになっちまうのさ」 「何なんですっ!その変な解釈は!」 「これが「完裸症」のメカニズムだから仕方ないだろ?大体、国の方もい ろいろと対策を取って来たんだぜ。無人島で「完裸症」の女性たちが生活 する案もやったんだがな..」 「そうか、無人島なら..別に裸でも」 「駄目だったみたいだ。どんどん悪化したから中断したそうだ。要はこの 「完裸症」ってやつは晒され続けるのが一番いいみたいだな」 「そ・そんな..晒され続けるなんて..」 「嬢ちゃん、ひとついいことを教えておくよ。最近の研究では晒し続けた 女性の方が早く完治するというデータが出ているんだ。現に国がいろいろ やり始めた頃から早く治った例がいくつかあるみたいだ」 「えっ..」 「この「完裸症」は一度治れば二度と発症はしない。だが、悪化すれば30 近くになるまで裸でいなければならない。嬢ちゃんはどっちがいいんだ」 「30過ぎだなんて、10年以上じゃありませんか!早く治るんなら..」 「ちなみに一番早く治った例は2ヶ月だそうだ。国の方も効果が出てると 分かって、これを強制的に始めたってわけさ」 「つまりは私のために?」 「まあ、嬢ちゃんにとってはどちらも苦しい選択だが、俺らは早く完治す る方法でやらせてもらうさ」  少しずつ「完裸症」のことがわかってきた瑞穂だが、カーテンがついて ない全面透明窓ガラスの部屋で全裸でいなければならないのは辛くてたま らない。  ベットも肌をまとう物として撤去された上に消灯できない部屋で寝る事 を義務付けられてしまった。  だが、これはまだ序章にすぎない。恥辱の疾患となった瑞穂は明日から 全裸で通学して学校に行かなければいけない。  特別官報のメルマガを登録している瑞穂の学校の男子生徒には次のメー ルが配信されてきた。  【ミス学園、成岡 瑞穂は明日から全裸デビューします】と。 <完>


「完裸症−恥辱の疾患−」完
 ※ 学校裸々サイトの様に毎回テーマを決めて、テーマにちなんだ内容
   の読切形式で進めていきたいと思いますので、ご了承願いますm(__)m
  (決して、続きを書かないというわけではないので安心してください)