第4話「全てを予測できる娘。」
不幸だぁぁ〜不幸だぁぁ〜〜〜不幸の樹結歌ですぅぅ〜
どうして私がこんなおかしな目に遭わなければならないのよぉぉーー
確かにセクハラされるのは承知だし、裸にされたとしても仕方ないと
思ったけど、こんな囮に使われるなんて最悪よぉぉーー
上で残りの1人をおびき出して倒すみたいだけど、倒すなら早くしてよぉぉ!
倒したら、すぐに帰ってやる!そう、ぜったぁぁぁーーい帰るっ!
私が叫ぶ中、エレベータがどんどん上に向っていく。上へ行く途中の階の
ランプが点灯していることから、どうやらこの階で待ち伏せするらしい。
けど..また、さっきみたいな、おっぱい丸出しのお姉さんだったらどーしよう・・
(大体・・・あんな大きいおっぱい初めて見たよぉぉーー)
樹結歌が指定された階に向ってる中、13課ではこまめにその様子を監視
しているのであった。
「どうやら、順調にいってますね。魅耶愛さん」
「もちろんよ♪この魅耶愛が失敗すると思ってるの。今日はさっさと片付けて
みんなでパーと遊びにでもいきますか♪」
「ふふっ、そうですね」
13課に戻ってきた魅耶愛がずっと樹結歌の動きを調べている女性と楽しく
話している。
その女性の名は魅耶愛と同じ、13課所属の双藤 ひかり(そうどう ひかり)。
13課の中で一番最後に入った子で、その関係でいろいろ雑用を任されてる
女の子である。
一言で言うと明るいみつ編みの眼鏡っ子。弱々しく見えることから周りの人の
可虐心をくすぐる性質を持っている可哀想な女の子なのだ。
だが、そんな性質を持っていながら、今まで酷い苛めに遭うことが無かった事
から、魅耶愛がある能力を見抜いて彼女をスカウトしたのである。
その能力はいずれ出てくることなので、後の楽しみとしておこう。
「ひかり、ところでこの前、あんたを虐めてたOL、特社に移ったみたいだけど
相変わらず手加減知らずだね..」
「さあ、それはきっと彼女にその気質があったからだと思いますけど」
「そう・・・、まあ〜そういう事にしておきますか..ところで、もうすぐ例の階よね?」
「はい、もうすぐで到着しますけど..あ・あれ?」
「どうしたの?ひかり?」
「つ・通過しました・・・・な・何か屋上に向ってます?」
「ひかり?ど・どういう事よっ!」
「どうやら..残り1人じゃないみたいです..誰かに細工されました..」
「何ですって!あちゃぁぁ〜こりゃ、やばいわね..」
「犯られますね・・・きっと・・・」
「ううぅぅ・・・ど・どうしよっか・・・」
2人が困った表情をしている中、奥の方で突然、大きなビープ音が鳴り響く。
ピコォォォッッ♪
「!この音はピコタム!?ラナ!何かわかったの!」
「・・・・・はい..予測できました..」
奥の方でパソコンをじっと見つめていた女性が小さな声で話しかけてくる。
どうやら、自分のパソコンから何か樹結歌に関しての情報を得た感じらしい。
「ピコタム(コンピュータの愛称)は言いました..今回の裏には樹結歌さんの異常
なファンクラブが関与していると・・・」
「異常なファンクラブ?」
「はい・・・その名も樹結歌ちゃんを凌辱しまくる会。略して樹凌会が動いてます..」
「あの子のファンはおかしなのが多いと聞いたけど極め付けなファンクラブだわね..」
「ちなみに残り1人の男がすでにエレベータの上にしがみ付いて中に入ろうとしてます..」
「ううぅ..異常すぎるわね..ひかり!屋上の様子を防犯カメラで確認してみて」
「はいっ。確認してみます」
急いで防犯カメラを確認するひかり。そのモニタには次々と人の影が確認できる。
「1人・・2人・・・3人・・・いっぱい居ますぅぅ..どうします?魅耶愛さん!」
「待ち構えてる紗未留に連絡をとって!すぐに直行するように伝えて!」
「そ・それが紗未留ちゃん、連絡切ってあります..繋がりません..」
「あ・あのぉぉ〜馬鹿ぁぁぁっ!こうなったら夢音に行ってもらうしかないわね。もしもし!夢音」
<何?今、13課に向ってるから連絡は後にして欲しいけどな>
「事情が変わったわ、直ちに屋上に直行よ!ちょっこぉぉぉーー!」
ガチャ・・・13課のドアが突然、開く。
そこから頭を軽く掻きながら、気絶している男を放り投げてきた女性が立っている。
「今すぐ直行と言ってもな..もう後ろに居るんだけど..」
「・・・・ああぁぁ〜戻るの早すぎるわよっ!どーしよーー!」
「・・・・大丈夫です..そうピコタムは予測しています..」
「ラナ、それは本当なんでしょうね!」
「..はい..もちろんです。ただ、具体的な回避に関しては予測してくれませんでしたが..」
「はぁぁ〜あなたの予測は、いつも勿体ぶった予測をしてくるの?」
「それは..常に全てを予測していますので1つの事に処理を割り当て出来ないからです..」
「・・・はいはい。そうでした..まあ、大丈夫ならいいけどね」
魅耶愛が何故か素直に予測した事を素直に受け入れる。
そう、彼女のコンピュータ、愛機ピコタムは本当にあやゆる事を予測できる力があるのだ。
彼女の名は魚永 ラナ(うおなが らな)。普段はほとんど喋らない無口な女性。
コンピュータが好きなサイバーな娘で、あやゆる事を予測できる愛機ピコタムを操る女性
である。
彼女の愛機が予測したことは、ほぼ100%当たるのだが、全てを予測している関係で
愛機の方から勝手に予測してくる。
つまり要求したことを予測できない笑える欠点を持っているのだ。
だが肝心な時や危険な時には予測をしてくるので、13課の中ではそれなりに役に立つ
存在であろう。
そんなラナが予測したことをほとんど伝えると、再び口を閉じて愛機をいじり始める。
きっと当分の間はラナが喋ることはないだろう。
「さて..大丈夫なのはわかったから、とりあえず樹結歌ちゃんに連絡いれとかないとね♪
もしもし〜」
<は・・・はい..き・・きゆかです..ああぁん..>
「・・・その口調だと中に男が入ってきたのね?」
<は・・ふぁい..おっぱいを..揉まれてますぅぅ..>
「ふぅ〜まだ、おっぱいで済んでるのね..とりあえず今のとこは安心ね♪」
<安心じゃないですぅぅーーー男の人がこれから私のレイプイベントを開催するって
言ってますぅぅぅーーーあ〜ん〜>
「なるほど♪みんなの前で晒して犯すってことね。じゃあ、屋上に行くまでは安心ね」
<ひどいですぅぅぅーーーそれじゃ、もうすぐ犯されちゃうじゃないですかぁぁーー>
「う〜ん、大丈夫なはずなんだけど..膜は駄目ってことかしら?」
<何です〜その変な答えはぁぁぁーーーお姉さま!何とかしてくださーーい!>
「とりあえず、夢音を行かせるから、何本かは諦めて挿れられて♪」
<そんな殺生なぁぁぁーーー!何本ってどういうことなんですぅぅぅーーいやぁぁぁー>
プチッ!会話の途中でいきなり携帯が切れてしまった。どうやら樹結歌を襲っている
男が強制的に切ったらしい。
「はぁぁ・・・まいったわねぇぇ・・・夢音、とりあえず今すぐ行って!」
「まじかよ..ここは地下だぜ..屋上に行った頃には犯されまくってるぜ」
「13課の責任を追及されそうですね..魅耶愛さん」
「そうね..もう屋上に着く頃ね..ちっ..本当にこのままじゃヤバいわね..」
軽く唇をかみ締める魅耶愛。そんな魅耶愛の不安が当たるかのように、ついにエレベータが
屋上につく。
チーーン♪
屋上のドアが開くと同時に男に捕まえられている樹結歌の全裸姿が露になる。
男は樹結歌の胸を激しく揉みながら屋上で大きくこう叫んだのである。
「さあ、みんな樹結歌ちゃんのロストバージンショーだぁぁーー♪みんなで樹結歌ちゃんを
立派な性奴にしてあげようじゃないかぁぁーー!」
「そんなのなりたくないよぉぉぉーーー!いやぁぁぁぁーーー!」
必死に泣き叫ぶ樹結歌だが、そんな叫ぶ声に反応して屋上にあちこちに隠れていた
樹凌会のメンバーが次々と姿を見せていく。
その樹結歌の泣き叫ぶ姿をモニタで悔しさ一杯で見つめる13課のメンバーたち。
13課の救出が間に合わない中、ついに樹凌会の男たちが我慢できずに樹結歌目指して
襲い掛かってきた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
樹結歌の悲鳴が屋上に響き、もはや駄目かと思った時、大きな轟音が屋上に響く。
ドォォォォォーーーンンン!!ジャバァァァァァァーー!!
何と屋上に設置された貯水タンクの1つが粉砕されたかの様に崩壊していく。
樹凌会の男たちが、その破壊音に驚き動きを止める中、大きな笑い声が空から聞こえてくる。
「あっはははははははーーーーーこのウツケ者どもめぇぇぇーーー!」
「だ・誰だーーー今の声は!!」
「拙者の名は射手宮 紗未留!人は拙者の事をこう呼ぶであろう。一撃昇天の蒼き棍士と!」
空高く聞こえる声。皆が上を振り返ると社旗が取り付けられているポールの頂上に1人の
少女が片足で立っている。
首には風になびく大きなマフラーを背中には長棍を背負っている少女。
だが何故か服は着ておらず全裸のままでポールの上に立っている。
モニタでようやく確認を取った13課のメンバーも少女の姿に呆れてしまう。
「・・・・あ・あの馬鹿・・・一体、何がやりたいのよ..」
「けど..あんな3mもあるポールにどうやって登ったんでしょうね..」
「知らないわよっ!はぁぁぁぁ・・・・」
ポールの上で全裸で蒼いマフラーをなびかせる少女の名は射手宮 紗未留(いてみや さみる)。
少女と言う表現が合うほど幼く見え、見た目が小学生に見えるほどちんまりした少女
なのである。
そんな少女みたいな子が果たして、この人数相手に勝てるのだろうか?
樹結歌の運命は全てこの紗未留の力にかかっているのであった。
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