奏子の全裸100m走(読切)


私の名は瀬野中 奏子。これでも中学・高校時代はマラソンで少しは 名が知られた選手であったのに... 崎長商事に入ってから何かが狂ってきた感じであった。 今日も運動会の100m走に参加する為、とある場所に来ていた。 「あのー本当にここで走れって言うんですかぁ?」 「当たり前だ。ここが今回の100m走の場所だ!」 「うわぁぁーー、何かだんだんグレートアップしてるんじゃないの?」 「奏子?棄権でも構わぬぞ。」 「冗談じゃないわよ。それよりも今年も賞品はあるんでしょうね?」 「当たり前だ。ちゃんと選手が欲しいものを崎長が全力を尽くして 用意させてもらった。」 「本当?でも私のはレアコレクションよ。お金では手に入らないのを  よく用意したわね。」 「我々、崎長に用意できないものはない。」 「そうなんだ...」(ちぇっ。そうなら、もっとレアなのを頼めば良かった..) そう、どの競技でもお得意様よりの特別賞品が用意されており、中には 参加者の希望の賞品も揃えてくれるのであった。 しかし、それだけ恥かしい目に遭うのも承知しなければならないのだ。 <3.100m走 午後9:00> ドームでは突如、モニタからの生中継となり繁華街の映像が映り出された。 ビルの陰に選手たちが控えており、道を挟んで向こう側のビルの陰にゴールの紐 があった。 その距離は丁度100m。だが少し違うのはコース上に一般客が歩いている事で あった。 そう、スタートの合図と共に選手はコートを脱ぎ、真っ裸で100mを渡りぬく羞恥な 100m走であった。 当然、奏子もコート1枚しか着ておらず、その下は生まれたままの姿であった。 「ううっ。人がいっぱいいるよぉーー。こん中を走るの..」 奏子はスタートまでの間にとりあえずコースの状況を調べていた。 (道を横切るって事は、歩いてる人にはぶつかれないわね。後はなるべく女性の  所を走るべきね..軽蔑はされるけど安全度は高いわね。) 奏子が走るコースを考えている中、突如頭がぐにゅとした感覚と共に重くなった。 「おほほっ。相変わらず研究熱心ね。奏子さん。」 「・・・ちょっと、もう脱いでるの?それに人の頭に胸なんか載せないでよ。」 私の後ろに少し露出気がある真伊子が既にコートを脱いで立っていた。 真伊子とは縁が長く、かってはライバルとして競って走った時もあった。 「真伊子..あんたこのレース恥かしくないの?」 「おほほっ。あなたを負かす為には火の中、水の中でも闘いますわよ。」 「・・・・・なんで、そこまでこんなレースに?」 「私はあなたの一生のライバル。あなたがどんな鬼畜なレースでも出る以上は  私も出て闘うのよ。おほほっ。」 「・・・そこまで自分を落としたくはないわよ...」 「ところで奏子さんはどういう戦法で来るのかしら?」 「普通なら言うのは変だけど、こんなレースだから言うわ。私は女性の間を通るわ。」 「なら、私は男性の間を突っ走ってあげますわ。」 「あのねっ。真伊子。あんた何で人のアドバイス無視するの?」 「あらっ。このナイスバディは男性に見せる為にあるのよ。」 「そう?なら、勝手にしなさいよ。」 (とりあえず、3位まで入れば最低でも希望賞品だけはくれるから3位まで入らねば。) 私はあたりの選手を確認した。とりあえず要注意人物はマークしないと.. 「あらっ?今度はマークかしら?用心深いわね?」 「うるさいっ。」 「マークなら端の選手よ。そうゲスト選手のニーディナ選手ね。」 「ニーディナ?あの人ニーディナなの?5輪出てた人がなんでこんなのに?」 「賞金が大きいからね。恥よりお金を取ったんじゃないの?」 「・・・はぁぁーー崎長って良くそんな選手を...」 「奏子。マークはニーディナだけじゃ済まないわよ。脚はみんな速いわよ。」 「わかっているわよ。とりあえずお金は2の次なんだから。」 「ええ、私もあなたに勝てれば何もいらないわ。」 「はいはい..そうですか...」(レアは絶対にこの手に!!) 「じゃあ、そろそろ皆さん。走る準備を。」 参加選手たちは、その合図と共にコートを脱ぎ始めた。 コートの下の身体にはソックスとシューズのみが着けられていた。 だが、これ以上に恥かしい事は各選手のお腹と背中にはゼッケンシールが 貼られており、はたから見れば危ない女性たちとしか見られないのであった。 (この番号だけは外したいよ..何か馬鹿みたいよー) 奏子はかなり抵抗はあったが今さら、引き帰る事も出来ず、後は合図を 待つしかなかった。 バァァンンッ!! 大きなスタートの合図のピストル音が鳴り響いた。 それと同時に全裸の女性たちが次々とビルの間から飛び出てきた。 始めは合図のピストル音にまず驚く通行人だが、すぐにその視線は 裸の選手たちに向けられるのであった。 「おおっ。何だ。!!うおおっ。」 「集団ストリートキングか?」 「きゃあああーー何これ?」 人々の罵声を浴びながら思い切り走る選手たち。ここは1秒でも早く走らなければ それだけ晒されてしまうので皆、本気でゴールを目指していた。 奏子は予定どおり女性が居る前を通る作戦で走っていった。 「何なの?この馬鹿女?」 「ばっかみたい。ゼッケンつけてるわよ?変態かしら?」 (ぐっ..くやしい..でも我慢よ。我慢っ!) 「Oh−ハナシテグダサイィィーー!!」遠くでニーディナ選手の悲鳴が聞こえていた。 どうやら次々と通行人が集まってしまい先に行けなくなってた様だ。 「おい?あんた5輪に出てたニーディナ選手じゃねーか?」 「何だよ。次はストリートキング大会でも出るのか?」 「Oh−ムネサワラナイデ!!トオシテクダサイ!!」 ニーディナ選手に次々と群がる通行人を見て私は思った。 「悪いけど、ここは5輪じゃないのよ。5輪のテクはここには通用しないわ。」 マークしていたニーディナが敗北していくのをほっとしながら走っていた。 一方、崎長女子社員は、それぞれ自分なりのコースを選んで走っていた。 ただ、中には作戦が失敗し、ニーディナの様に取り囲まれてしまう子も多かった。 そんな中で1番凄まじいのは、あの真伊子であり、予告どおり男性の間を狙って 突っ走っていたのであった。 「おーほほほっ。退きなさい!!退かないと***をぶっ掛けるわよーーー。」 男性が思わず引くような下劣な言葉を吐きながら走っていた。 ついに最初の女子がゴールした。単純に責めていった子がゴールしたのであった。 続いて、他の子もゴール。これで1位と2位は確定してしまった。 「うわぁぁ!!やばい!!私のレアアイテムがぁぁーー!!」 私はなりふり構わず猛ダッシュを掛けた。ここで3位以内に入らなければ何のために こんな恥かしいレースに出たのがわからないからである。 「おーほほほっ。あなたには負けはいたしませんわよぉぉーー!!」 「真伊子!!来るなーー!!私のレアは絶対にゲットするのよ!!」 私の鬼気迫る表情が効をなし、女子たちが引いてくれたのであった。 ゴォォーールゥゥゥーーー!!ギリギリの差で何とか3位に入ることが出来た。 「くやしぃぃーーーー!!また来年こそ勝負よ。奏子!!」 「はぁ..はぁ..良かった..私のレアアイテムが..」 その後、何とか通行人から逃れた選手たちが次々とゴールしていった。 ニーディナは途中でキレテ暴れたのが良かったらしく何とかゴールしたのであった。 こうして次々とゴールした選手はコートをもらい、用意されている車に飛び込んでいった。 だが、このゲームには罰ゲームがありビリとなった女子はその場で折り返し入口から 逃げなければならないのだ。 要するに引き付け役をやらされてしまうのであった。 今年は酔っ払い親父に囲まれた女子選手がビリになり、また再び親父たちから逃げながら 入口へ逃げていった。 その頃、ドーム内では助徹たちが映像を見て興奮していた。 「凄かったっす..こんな100m走、見たことないっす。もう、たまらんっす。」 「おいおい、まだまだこれからだぜ。それじゃ、この先、持たないぜ。」 「ふぉふぉ。お楽しみはこれからじゃぞ。確か次は50mハードル走じゃのー。」 「これにも何かあるっすか?」 「ああ、100m走の様な単純なものじゃないぜ。」 「ふぉふぉ、まあ見てのお楽しみじゃな。」 ごくっ。「・・・・・100m以上の..」 助徹はますます、この運動会にはまっていく感じがしていた。 羞恥運動会..まさにこの名にふさましい競技がまだまだ続くのであった。


<完>