愛条家の人々 −梅雨つゆ、お汁もつゆつゆ− 読切


 ※ この短編は、旧作「愛条家の人々」1年目の6月、7月を    まとめたものとなってますので、ご了承願います。 【主な登場人物】  愛条 美斗里  10歳(小4)  愛条家3女  愛条 巫甘   13歳(中1)  愛条家次女  愛条 亜緒奈  16歳(高1)  愛条家長女  愛条 亜歌乃  34歳(スチュワーデス) 美斗里の母親  愛条 愛衣子  25歳(女教師)     美斗里の母の実妹  催郷 色吉   65歳(心理カウンセラー) 愛条家居候
 外では毎日と言っていいほど、雨が降っている。  なのに、お姉ちゃんたちはいつも傘を持っていかない。 「ぁぁ〜また、びしょびしょだよぉ〜」  体操着姿で走って帰ってきた巫甘(みかん)お姉ちゃん。  走ったせいか、顔は真っ赤になり、息も荒い。  でも、何か走ったせいでもない様な気もするのだ。  何故なら、お姉ちゃんは下着を付けておらず、濡れた体操着からおっぱ いが丸見えになっていたからだ。 「ぁぁ〜こんなに降るとは思わなかったよ〜」 「巫甘お姉ちゃん、下着どうしたの?」 「部活で汗をかいてびっしょりだったから着けたくなかったのよ」 「・・・そうなんだ」  そもそもびっしょりで帰ってきてるでしょ!とつっこみたいけど、いつ ものことだから諦めよう..  いや、その前に傘を持っていけばいい様な気もするけど。  私が少し呆れてる中、亜緒奈(あおな)お姉ちゃんも制服姿でびしょび しょになって帰ってくる。  当然、ブラウスが雨で透けて、おっぱいが丸見えになっている。 「ぁぁっ..もう何で雨が降るのよぉぉ..」 「亜緒奈お姉ちゃん、下着どうしたの?」 「買ったばっかりの下着だから濡らしたくなかったの。てへっ」 「・・・そうなんだ」  だからって、ノーブラ・ノーパンで傘なしで帰ってくる自体、間違えて る気がするんだけど..諦めよう..  大体、朝から降ってるんだから傘持っていってよぉぉぉ〜!  2人のお姉ちゃんの呆れた行動に溜息をつく中、今度はお母さんが帰っ てきたのだが、何故かTシャツ1枚のスケスケ姿で帰ってきた。 「急に降ってくるとは思わなかったわよぉぉ〜。んもぉぉぉ〜」  よく分からないけど、下着を付けずに外に出たらしい。 「お母さん、下着どうしたの?」 「今日は暑かったからTシャツ1枚で行ったのよ。まさか雨が降るなんて 失敗だったわぁ〜」  いや..それは無理ありすぎでしょ。  そもそも朝からずっと降ってますよ..  さすがに、このお母さんの行動にはお姉ちゃんたちも少し呆れていたみ たい。  そう、雨季を露出行為に利用する変態な家族だけど、学校にも1人、似 たようなことをする者がいた。  ある大雨が降る日の中、校庭で体育の授業をやっている私のクラス。  普通なら雨が降ったら屋内なのに、わざわざ外でするなんておかしすぎ るよぉぉぉぉーーー。 「今日はみんなで思いっきり泥遊びしましょ〜♪」  愛衣子先生の提案でみんなで泥んこ遊びではしゃいでいるけど、何か男 子が愛衣子先生の服を脱がしているんだけど気のせいだろうか..  窓からはエロタヌキと呼ばれる校長とフェチで変態のピンクシャツがト レードマークの教頭がにこにこしながら堂々と覗いている。 「いやぁぁ〜愛衣子先生はまさに教育の鏡ですな〜」 「そうですね、校長〜。実に子供たちの心も見事に掴んでますよ」  いや、がっちり掴んでいるのは男子生徒の心だけだと思うんだけど.. 「雨の中、子供たちが好きな泥んこ遊びをするなんて素晴らしいですな」 「これぞまさに自然と一体化とするということですなぁぁ〜」  ああ..校長と教頭がこれじゃ..何言っても駄目だよね..  すっかり、泥レスみたいになってる体育の授業。  よく見ると愛衣子先生の下着や服があちこちに散乱していることから裸 にされているのは間違いないだろう。 「生徒のために身体を張った授業、見事でありますな」 「うむっ!教育には恥ずかしさは無用ですなぁ〜」  愛衣子先生も変態だけど、それを楽しんで見ている校長と教頭も変態だ。  って言うか、ここって学校全体が危ないんじゃないかなぁぁぁぁ〜!  結局、学校でも家でもエッチなことばかり..  そんなエッチを利用する校長と教頭。そして家ではボケたフリばかりす るおじいちゃんが調子に乗っている。  何せ、おじいちゃんが毎回、お姉ちゃんやお母さんの入浴時に間違えて 入ってくる事が日常茶飯事となっているからだ。 「おっ、すまんの〜入っていたのか〜」 「んもう、おじいちゃんたら。せっかくだから背中流してあげるわよ」  意外にも追い返さないで、そのまま入浴させるとこがお姉ちゃんたちの おかしなところであろう。  おかげで1日に何回も、特に夜に何回もボケて、そのまま入浴するから よく縁側でのぼせている時がある。  バカだ..バカなじじいだよ..はあああぁ〜。  それでも炊事が終えたお母さんが入浴の準備を始める音を聞くと、お風 呂場へ向かうおじいちゃんであった。 「おおっ、入っておったか」 「はいはい、わかってますから。ついでに洗ってあげますわ♪」 「すまんの〜、亜歌乃さん」  私が1人で入っている時にも来るのだから、おじいちゃんのエッチのス トライクゾーンは相当広いのかも知れない。  というのか、そんなに入浴を繰り返してると身体に悪い気がするよぉ〜。  梅雨時でこんな感じなので夏が近づく7月になると、さらに変態行為が 加速していく。  そう、この時期はお姉ちゃんたちが大喜びする季節でもあり、今からい ろんな水着を準備して夏本番に備えていた。 「ねえ〜こんな水着はどうかしらぁ?」  家の中でお母さんが着てきた水着に私は思わず、飲んでいた水を吹き出 してしまった。  現役のスチュワーデスさんであるお母さんが海外で見つけて買ってきた という水着。  それは完全な紐水着で、ちょっと動いただけでもおっぱいがこぼれて見 えるものであった。  それに加えて股に紐が食い込んでいるのだが、日本の海水浴場では絶対 に着れないような気がする。  そんな水着を見て欲しがるお姉ちゃんたちも何かおかしいような気がす る。  毎年、水着が大胆になっていくお姉ちゃんたちとプールや海に行くのは 恥ずかしてたまらない。  私もその内、こんな水着を着たがるようになると思うと怖くてたまらな いよぉぉ〜。  しかし、家でこれだけ騒いでるとなると、学校でも同じように愛衣子先 生がいろんなことをしてきそうだよ..  何せ、プール開きの日がやってきてしまい、私のクラスも明日の図工の 時間が終われば、プールで泳ぐ事が出来るのだ。  だが、プールの前に図工をするのが不味かった。  どういう経緯でこうなったのか、わからないけど翌日の図工の時間で男 子たちが裸になった愛衣子先生の身体に絵の具を塗っている。 「ああ〜ん、ちゃんと水着になるように描いてね」 「うん、まかせて!愛衣子先生」 「俺たちがいい水着かいてあげるよ」 「だからって..違うお筆はあそこに入れちゃだめよぉ〜」  んもぉぉぉ〜!これって図工の時間でやることなのぉぉ〜?  これって犯罪だよ。おまわりさんに通報します!しますからぁぁ〜!  だけど..そのおまわりさんが梯子を使って愛衣子先生を覗いています。 「ちきしょぉぉ〜!さすが愛衣子先生だぜぇぇ〜!本官がちゃんと見守っ ていますから、熱血授業を続けてくだせぇぇ〜」  ちなみに、おまわりさんの名前は松吉さん。街の見回りと言う口実で、 しょっちゅう愛衣子先生の授業を梯子で覗き見をしています。  一応、腕っぷしは凄いみたいで、噂では一個旅団を相手にしてもコテン パンに出来るそうです。そうは見えないんだけどね..  しかし、愛衣子先生まさか絵の具で塗った姿で、本当にプールの授業を するつもり?  そんな不安な中で、図工の時間が終わると愛衣子先生が本気でその姿で プールまで行ってしまった。  明らかに全裸だと分かる姿でプールの授業をし始める愛衣子先生に今度 はエロタヌキとピンクシャツが涙を流してプールの柵ごしで感動している。 「生徒が描いた作品を大事にするとは感激ですなぁぁ〜」 「これぞ教育者の鏡ですなっ。うむうむ」  いや、違うでしょ。この危ない姿にどこが感動するのやら..  あとエロタヌキとピンクシャツ!どうして柵のとこに張り付いているの!  あんたら一応、ここの学校の校長と教頭でしょ!  ああぁっ、上に立つ人がこんなのだから愛衣子先生が暴走してしまうの よっ!  あと勝手に暴走するのは構わないけど、せめてお願いだから、プールに 入る前にシャワーで絵の具を流して..    せっかくの初泳ぎなのに絵の具まみれのプールなんかで泳ぎたくないの よぉぉぉぉーーー!  ああ、学校でも家でもいろいろ疲れてしまう私だよぉぉーー。  こういう時はペットと遊ぶのが一番かも知れない。  そう、巫甘お姉ちゃんが家で犬を飼っているので貸してもらお♪  私が巫甘お姉ちゃんの部屋に行こうとしたら、何と部屋の前にはおじい ちゃんがボケたフリをして立っており、そのまま部屋の中に入ってしまっ た。  何かとんでもないことをしそうな気がするだけに、少し様子を見てから 部屋に入ったほうがいいかも..  笑って許すボケならいいんだけど、時たま止めたくなるボケをする時も あるから少し怖いよぉぉ〜。  部屋の中から、早速おじいちゃんのボケ会話が聞こえてくる、 「おお、今日は久々にポチを散歩させないとなぁぁ〜」 (えっ?ポチ?散歩?)  外が夜中と言うのに突然、散歩をするといってくるおじいちゃん。    でも、よく考えれば私のとこの犬は室内犬で名前も黒助のはずなんだけ ど..  黒助は巫甘お姉ちゃんが自分の部屋で世話をしており、外なんか出たこ とがないんだけど..  だんだん不安になって部屋の前で耳を立てて中の様子を伺うと、黒助の きゃんきゃんと泣いてる悲しい鳴き声が聞こえる。  黒助を無理矢理、外に出すつもりなのかと思ったが部屋から連れ出され たのは黒助ではなかった。 「ほら、ポチ。たまには外に出ないとなぁ〜」 「ぁぁ..おじいちゃん。私、ポチじゃないよ」  何と裸になってる巫甘お姉ちゃんの首に首輪を付けて散歩させようとし ていたのだ。 「お姉ちゃん..おじいちゃん、何をしてるの..」 「美斗里、これはそのぉ..私を犬と勘違いしてるみたいなの」 「おおっ、よく見たらポチじゃなかったわい。わしとしたことが、とんで もないことをするとこだったのぉ〜」 「・・・・・・・」 「んもう、しっかりしてよ。おじいちゃん」 「すまんすまん。巫甘」  私に見つかったので、散歩をやめてくれたけど、本当にあの姿で外にい くつもりだったのだろうか。  大体、巫甘お姉ちゃんは何で裸になってたのよっ。それによく見たら尻 尾も付けてたし、絶対に勘違いではないと思う。  ああ、私もそのうち、こんな馬鹿なことをするんだろうか?  まだまだ変態になるつもりはないけど、ずっとまともでいられる自信は ないかもぉぉぉ〜〜。  これから本格的な夏の季節がくると思うと、どんなエッチなことをして くるか不安でいっぱいだよぉぉぉ〜 <完>