私の頭の中に直接、話しかけてくる謎のノート。
結局、私はこのノートを警察に届けることが出来ず、持ち帰ることにし
てしまった。
(私..何でこんな変なノートを持って電車に乗ったんだろう..このま
まじゃ本当に家まで持って帰ってしまうわ)
今からでも電車を乗り換えて秋葉原に戻った方がいいのだろうか?
人が落としたノートを勝手に持って帰るなんていけないことだから。
<くくくっ、安心しな。このノートの所有者はお前のもんだぜ。あの女は
所有権を放棄して堕ちるとこまで堕ちたからな。お前は俺を拾ったんじゃ
ない。俺がお前に拾わせたんだ。新たな所有者、御主人様としてな>
またノートが私の頭の中に話しかけてくる。これは悪い妄想なの?
そうよ。悪い心の私が生んだ妄想が話しかけてくるだけなんだわ。
やっぱり、早くこのノートを届けなきゃ!
<まだ理解出来てないようだな。困った御主人様だ。いいだろう、このシ
ェイムノートの凄さをその身で受けるがいい。初めて使う人にも分かりや
すく説明する!分厚いマニュアル一切不要の親切設定!それがこの俺、シ
ェイムノート!御主人が望むなら、こんなことも御安い御用っ!>
私の視界がくらくらとしてくる。このシェイムノートとやらば何を私に
してくるの?
<シェイムノート音波はバーチャル力!さあ、思う存分、未知なる露出を
愉しんでくるがよいっ、御主人!>
「えっ?バーチャルって..ぁぁっ..目の前がくらくらする〜」
シェイムノートが私に仮想空間を見せてくる。
そこでようやく、このノートがどんなものか理解した。
このノートはそこに書いたことが本当になり、それも恥ずかしいことを
書きたくなるようにしてくるので、女性にとっては辱しめのノートだ。
仮想空間の私も半信半疑だったが偶然かどうか、露出行為を書いてみる
と、それが本当になった。
そして、あとで消せばいいと、ほんの出来心で、いつも妄想していても
出来なかった満員電車での露出行為を書いてしまう。
どうやら、このノートは書いたら最後。どんな無理なことでもやってし
まうことになるのだ。
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